INDEX
全日本実業団駅伝
 前 回(2005)
 前々回(2004)


プロローグ
出雲全日本大学駅伝
箱根駅伝予選会
東日本実業団女子
全日本大学駅伝
東日本女子駅伝

北陸女子駅伝
国際千葉駅伝
全日大学女子駅伝
全日本実業団女子
全国高校駅伝
箱根駅伝
都道府県女子駅伝
都道府県男子駅伝
横浜国際女子駅伝
全日本大学女子選抜
エピローグ



出場チームHP

コニカミノルタ
日清食品
富士通
小森コーポレーション
日立電線
トヨタ
スズキ
愛三工業
YKK
佐川急便
四国電力
中国電力
カネボウ
JFE
旭化成
トヨタ九州
三菱重工長崎
コマツ電子金属



関連サイト

毎日新聞
NHK


駅伝時評
Back Number
駅伝ひとくちメモ
駅伝BBS

第50回 全日本実業団対抗駅伝競走大会

分厚い戦力で横綱相撲!
コニカミノルタが連覇で5度目の優勝!


コニカミノルタ躍進の原動力
32歳! 磯松大輔が若々しい走り!

 50回をかぞえる今年のニューイヤー駅伝。
 トップでゴールに飛びこんできたのはコニカミノルタの磯松大輔であった。日焼けした浅黒い顔、ゴール手前で瞬時、口もとがゆるみ白い歯がこぼれた。コニカミノルタは21年連続31回目の出場にして5度目の全国制覇。勝利をかみしめるかのように、拳ををなんども握りしめていた、
 磯松大輔……。
 ユニークなランナーである。32歳といえば、ふつうならとっくに選手としての盛りをすぎている。超ベテランの部類にはいるだろう。だが、本大会に10年連続出場を果たし、昨年も今年も区間賞をもぎとった。「若さ」というのは「年齢」と無関係だよ……とでも言いたげである。事実その体力的な若さには眼をみはるものがある。
 コニカミノルタは現在でこそ実業団の強豪チームだが、一昔まえまでは旭化成やカネボウ、関東ではヱスビーや富士通などの影にかくれ、それほど目立つ存在ではなかった。注目をあびるようになったのは、ざっと10年前ぐらいからである。
 そのように考えてみると、コニカミノルタというチームは磯松とともに成長してきたといえる。入社2年目にしてキャップテンに抜擢された。それは磯松に対する期待の大きさの表れというものだろう。ランナーとしてのみならず、チームのリーダーとして磯松に着目した会社側の眼識もなかなかのものである。
 磯松は生まれながらにしてリーダーとしての素質にめぐまれているらしい。中学生のころから長距離ランナーとしての素質にめぐまれ、高校駅伝の強豪・大牟田高校では主将としてチームを全国優勝に導いた。
 大学は引く手あまたの強豪を袖にして、こともあろうに箱根駅伝では予選会常連の法政を選んでいる。このあたりがいかにも磯松らしいところであろう。
 法政時代は箱根を3回走った。ここでの磯松のリーダーとしての才能はいかんなく発揮された。エースとして入学当初から練習では先頭に立った。チームを引っ張り、まとめ上げてきた。4年生では主将を任され、法政大学を30年ぶりに6位に押しあげる原動色となった。ユニバーシアードで5000mに出場するなど、ランナーとして着実に歩んできた。
 大学卒業時にはすでにして注目される存在、多くの実業団から入社を勧誘されたらしいが、ここでのトップチームではなく、まるでパッとしなかったコニカをえらんでいる。
 大学のときと同じようで、磯松はチームの先頭に立った。入部2年目にしてキャプテンに指名されたのは、たぐいまれなるリーダシップの持ち主だったからだろう。
 昨年は4区で区間賞をもぎとった磯松、今年は7区のアンカーで登場、追ってくるライバルの中国電力とは47秒差だった。追ってくるのは中国電力のアンカーは梅木蔵雄、5qでは35秒まで差がつまったが、磯松は沈着なレース運び、いかにもベテランらしさを発揮して、ゴールでは逆にその差59秒と突き放してしまった。
 勝負のかかったところで区間賞、きっちりと自分の仕事をする。チームにとっては実に頼もしい味方、ライバルチームにとっては、これほど憎たらしい存在はないだろう。


好対照のコニカミノルタと中国電力
1区の位置どりがすべてを決した!

 昨年は雪景色のなかでの駅伝だった。今年は陽ざしにめぐまれたが、氷点下の気温という厳しい寒さのなかでのレースとなった。
 1区は3区とともに、今年も外人部隊が集結、愛三工業のN・キルイ、JAL AGSのD・ムワンギらが引っ張る展開で幕あけた。
 コニカミノルタや中国電力にとっては、いかに好ポジションをキープするかがポイントになる区間であったが、早くもこの1区で両雄の間で明暗を分ける結果になった。
 外人部隊8人が先頭に立ったが、2q=5:39というから、それほど速いペースではなかった。だが日本選手は第2集団にとどまり、外人部隊についていったのはコニカミノルタの太田崇ひとりというありさまだった。
 太田が積極果敢にトップ集団に絡んでいったのに較べ、中国電力の尾崎輝人は足がのびずに第2集団にとどまった。差はどんどんとひろがってしまう。結果的にみて中国電力にとっては苦しい展開になってしまった。中盤の6.3qをすぎて、ようやく尾崎輝人は第2集団をひっぱりはじめたが、リズムがいまひとつで、第一中継点では22位まで順位を落としてしまった。
 第1区は最終的にD・ムワンギ、N・キルイと太田崇が抜け出し、激しい区間賞争いとなったが、今年もスピード力のあるD・ムワンギのスパートが勝った。コニカミノルタの太田は3位に甘んじたものの、トップとはわずか.1秒差、ライバルの中国電力には41秒も先んじて、今年も両雄対決の機先を制する結果になってしまった。


2区で連覇がみえた!
松宮隆行がすかさずトップを奪う

 1区で好位置をキープしたコニカミノルタ、外国人選手のいない2区では余裕をもって連覇の足がかりを固めにかかる。
 松宮隆行はタスキをもらって1qすぎで、早くも先を行く愛三工業、JAL AGSを交わして、あっさりとトップを奪ってしまう。8q以降はまさに一人旅、独走態勢にはいり、終わってみると2位に1分あまりの差、5位まであがってきた中国電力との差をさらにひろげ、1分15秒もの差をつけてしまう。区間賞の走りで完全にレースの主導権を手中にした。
 後続の第2集団からは、中国電力の佐藤敦之、トヨタ九州の三津谷祐、トヨタ自動車の浜野健らが追ってくるが、トップとの差はまるで詰まらない。
 2区で闘討したのは九電工、前田和浩が区間2位の快走、10位から一気に2位まであがってきた。トヨタ九州も三津谷祐の区間2位と健闘、21位から4位まで順位を上げ、チームを勢いづける結果になった。
 もどかしさを感じたのは中国電力、佐藤敦之である。順位こそ5位まであげてきたが、トップのコニカミノルタは逆に遠ざかってしまい、ますます窮地に立つはめになる。
 3区は1区とともに外人部隊が集結、スピード勝負の区間だが、トヨタ九州のS・ワンジル、スズキのM・マサシの競演となった。トップをねらうワンジル、後ろから追い上げてくるマサシ……というような構図であった。
 トップをゆくコニカミノルタはこの区間に坪田智夫を起用したが、久しぶりのレースゆえに短い距離は苦しかったのだろう。さらに外人部隊の包囲網のなかで、苦しい走りとなった。7.5qで早くもワンジルにとらえられ、トヨタ自動車のムワンギにも交わされての3位、区間14位の結果は本人としても不本意だったことだろう。
 かくしてトヨタ九州がワンジルの快走でトップを奪い、スズキのマサシは区間新記録の爆走でスズキを26位から一気に12位まで押しあげた。
 ホンダ(4位)、トヨタ紡織(5位)富士通(6位)も上位にあがってきたが、中国電力はコニカミノルタと1分11秒遅れの7位といぜん低空飛行がつづいていた。


九州に新勢力が台頭!
トヨタ九州が大会をもりあげた!

 トヨタ九州は九州地区予選で旭化成を退けている。注目の新勢力が3区でトップを奪い、4区もトップをまもった。大健闘である。
 コニカミノルタは4区のS・ムツリがいまひとつでトップを奪うことができなかったが5区の松宮祐行がきつちりと帳尻を合わせた。2.9qでトヨタ九州の福永晃大をとらえ、あとは力強い走りで追従をゆるさなかった。
 追いかける中国電力はようやく油谷繁で2位まであがってきた。本来ならばエース・アブサンでトップに立っていなければならないところなのだが、40秒差まで迫ってくるのがやっとというありさま、これでは勝てるはずがない。中国電力にとっては、やはり前半が誤算だったというべきか。
 3区、4区で若干の紛れがあったものの、あわてずにじっくり時間をかけて、再びトップを奪ったコニカミノルタは、つなぎの6区を初出場の米田尚人で、逆に7秒稼ぎ、最後はチームが全幅の信頼を寄せる磯松にタスキがわたるのである。
 まさに横綱相撲というべきである。コニカミノルタの強さを改めてみせつけられるレースであった。


古豪復活!
旭化成、富士通が久しぶりに上位に……

 3位には富士通がとびこんだ。7位から一気に3位まで押しあげた6区の藤田敦之の快走によるもので、久しぶりに上位にもどってきた。ヤクルトの4位も予選の成績から見れば大健闘とみなければなるまい。
 そのほかトヨタグループの3チームが常に上位を賑わせた。3区、4区でトップを奪ったトヨタ九州、7位のトヨタ紡織、9位のトヨタ自動車……。なかでもトヨタ九州の台頭はレースに新風を呼び込んだのはたしかである。来年も期待できそうである。
 逆に意外だったのは10位に終わった日清食品、1区で出遅れ、そのまま浮上できずに終わった。15位におわったカネボウも今年は戦力がととのわなかったようである。マサシの快走があったもののスズキの12位というのも、納得できないものがある。
 前回、不振をきわめた九州勢だが、今回はいくらか復調の兆しがみうけられた。 前述のようにトヨタ九州が大健闘、古豪・旭化成も8位に食い込んだ。新鋭のトヨタ九州と競り合いながら、力強い復活を期待したいものである。
 中国電力は昨年につづき苦杯をなめ、王座奪還はならなかった。層の厚さではやはりコニカミノルタに一歩譲るということなのか。数年来、両雄対決がつづいているが、来年あたりは、新しい勢力が割りこんできてほしいものである。


★開催日:2003年01月01日(日) 前橋・群馬県庁発着 7区間100km
★天候:  曇り 気温-1.5度 湿度53%  北西の風3.0m

★コニカミノルタ・チーム(太田崇、松宮隆行、坪田智夫、S・ムツリ、松宮祐行、米田尚人、磯松大輔)




 最 終 成 績
<順位 チーム名 記  録
コ ニ カミノルタ(東京) 4時間44分54秒
中国電力(広島) 4時間45分53秒
富士通(千葉) 4時間46分52秒
ヤクルト(東京) 4時間47分45秒
ホンダ(埼玉) 4時間47分47秒
トヨタ自動車九州(福岡) 4時間49分18秒
トヨタ紡織(愛知) 4時間49分06秒
旭化成(宮崎) 4時間49分18秒
トヨタ自動車(愛知) 4時間49分56秒
10 日清食品(東京) 4時間49分58秒
11 九電工(福岡) 4時間49分59秒
12 スズキ(静岡) 4時間50分00秒
13 SUBARU(群馬) 4時間50分01秒
14 愛三工業(愛知) 4時間50分21秒
15 カネボウ(山口) 4時間50分25秒
16 自衛隊体育学校(埼玉) 5時間50分48秒
17 JFE(富山) 4時間51分01秒
18 大塚製薬(徳島) 4時間51分32秒
19 山陽特殊製鋼(兵庫) 4時間51分40秒
20 佐川急便(京都) 4時間51分54秒
21 安川電機(福岡) 4時間51分57秒
22 小森コーポレーション(茨城) 4時間53分36秒
23 三菱重工長崎(長崎) 4時間53分51秒
24 YKK(富山) 4時間54分08秒
25 日立電線(茨城) 4時間54分29秒
26 JAL AGS(千葉) 4時間54分58秒
27 マツダ(広島) 4時間55分22秒
28 八千代工業(三重) 4時間55分34秒
29 四国電力(香川) 4時間55分45秒
30 コマツ電子金属(長崎) 4時間55分46秒
31 重川材木店(新潟) 4時間57分03秒
32 大阪府警(大阪) 4時間57分10秒
33 日産自動車(神奈川) 4時間57分44秒
34 西鉄(福岡) 4時間58分05秒
35 中電工(広島) 4時間58分47秒
36 愛知製鋼(愛知) 4時間59分16秒
37 NTN(三重) 4時間59分17秒
38 滝ヶ原自衛隊(静岡) 5時間00分26秒
39 黒崎播磨(福岡) 5時間01分00秒
40 NTT 西日本(福岡) 5時間01分52秒
41 東日本実業団連盟(東日本) 5時間09分21秒
42 自衛隊13師団(広島) 5時間09分40秒
43 ホシザキ電機(島根) 5時間14分36秒


区 間 最 高
区間 距離 選手名 所属 タイム
12.3 D・M・ムワンギ JAL AGS  34:24
22.0 松宮  隆行 コニカミノルタ  62:16
11.8 M・マサシ スズキ  31:14
10.5 松下 朋広 ヤクルト  29:30◎
15.9 油谷  繁 中国電力  45:46
11.8 藤田 敦之 富士通  33:27
15.7 磯松 大輔 コニカミノルタ  45:05



| Home | 駅伝Home | 駅伝ひとくちメモ |駅伝BBS駅伝オフ時評 |
Copyright(c) 2002 Takehisa Fukumoto All rights reserved. .