第14回都道府県対抗全国男子駅伝競走大会



長野が2年連続5度目の制覇!

 第14回全国都道府県対抗駅伝は1月18日(日)におこなわれ、長野前回につづいて優勝、2年連続5度目の制覇を果たしました。優勝タイムは2時間18分43秒は大会新記録です。
 1区で3位と好発進の長野は2区で栃木と首位を争い、3区では福岡に首位をゆずりますが、5区の村澤明伸で逆転、そなまま逃げきりました。2位は1分20秒差で兵庫、3位には前回18位の宮崎が大躍進。4位福岡、5位福島、6位栃木とつづき、7位には埼玉、8位には千葉がはいりました。
 優秀選手には福岡・三津谷祐(トヨタ自動車九州)、ジュニアA(高校)優秀選手には長野の村澤明伸(佐久長聖高)、ジュニアB(中学)優秀選手には静岡の勝亦祐太(富士岡中)がそれぞれ選ばれました。


◇ 日時 1月18日(日)12時30分スタート
◇ 場所 広島市
◇ コース 広島・平和記念公園発着/中電大野研修所、7区間48Km  
◇ 天候:くもり 気温:7.0度  湿度:85%  風:北西1.6m
◇ 長野(千葉健太 両角駿 佐藤悠基 平賀翔太 村澤明伸 上田瑠偉 上野裕一郎)



終わってみれば長野の圧勝劇!
(2009.01.21)

5区で勝負を決めた! 村澤明伸が今回も快走!

 曇り空から、ときおり雨がおちてくるという天候だったが、気温8度でおだやかな風、選手たちにとっては駅伝日和だったのではあるまいか。
 優勝した長野は大会新記録をマーク、他のチームも記録更新があいついだのはきっとそのせいだろう。
 勝負は5区のせめぎあいであっさりと結着した。
 前半の主役をつとめた福岡と連覇をねらう長野、第4中継所ではほとんど差がないという大接戦、勝負は高校生の5区(8.5q)にゆだねられるのである。
 長野は村澤明伸(佐久長聖高)、そして福岡は高城孔、5000m軒録で比較すれば両者のあいだにはおよそ38秒もの差がある。
 村澤はハナからすっとばしてゆく。がっしりした体躯、いかにも力強いよいうイメージの走り、タスキをもらってすぐにトップをうばい、福岡の松山を置き去りにしていった。1qが2:45、1qから2qが2:47、2qから3qが2:51……。ペースはまったく落ちてこないのである。
 トップが抜けてしまい、2位は福岡、3位以下は大混戦である。埼玉、千葉、兵庫、福岡、愛知、栃木、宮崎……と3位グループをなして2位の福岡をけんめいに追ってくる。
 5qではとうとう3位集団が2位の福岡をのみこんで2位集団となる。だが後続のそんな乱戦を知るよしもなく、トップの村澤は独りわが道をゆくという風情で独走態勢をきずいてしまう。
 ほとんど競り合うこともなくまったくの独走、それでいて区間新記録だから、村澤の強さには底知れぬものがある。かくして、2位まであがってきただライバル兵庫との差を1分10秒としてしまうのである。
 5区の村澤の快走で、長野だけが混戦からやすやすと抜けだした。長野の連覇は事実上この5区で決定的なものとなったのである。


1区は埼玉の服部が混戦を断つ!

 高校生区間の1区、昨年は福島の柏原竜二が果敢な勝負を挑んできた。インタハイにも国体にも、そして全国高校駅伝にも顔をみせていない。全国的にはほとんど無名にひとしいニューフェース、それでいて1区の出場メンバーのなかでは5000mのタイムがいちばんというかれにとって、全国男子駅伝はねがってもない登竜門となった。
 柏原は3q地点からとびだして高校ナンバーワンといわれた八木勇樹らをねじふせてしまったのである。鮮烈なデビューとなったかれは、おそらく大きな自信になったのだろう。今年の箱根駅伝では東洋大初制覇の立役者になった。
 全国男子駅伝の第1区はそういういみで高校生にとっては、都大路とならぶ、もうひとつの檜舞台である。
 残念ながら第二の柏原竜二はいなかった。1qが2:56秒ペースで2q、3qとすすむ。むろん大集団である。中間点が10:14……、いくぶんスローの展開であるが、だれも飛び出そうとはしない。
 4qになって、長野の千葉健太、埼玉の服部翔太、兵庫の福士優太朗が前に出てくるが、いずれもまだ余裕ありそうな表情、いぜんとして集団はくずれない。
 5qで福島の佐久間健が前に出てきた。長野の千葉、埼玉の服部、兵庫の福士らがつづく。5.6qでは広島の北傀道と先頭は入れ替わり立ち替わりの状態、残り1qになってもトップ集団には、まだ20チームぐらいがのこっていた。
 最後はスプリント勝負……。埼玉の服部、長野の千葉健太、千葉の久我和弥、宮崎の前田悠貴がやってきた。混戦を断ったのは埼玉の服部、2位は宮崎の前田、3位には長野の千葉がとびこんだ。上位はほとんど差がなく、10秒以内になんと12チームがおさまるというありさまであった。


首位はめまぐるしく変転! 1区〜4区

 乱戦は2区になってからもつづいた。
 はげしく先頭をあらそう埼玉の藤岡孝影と長野の両角駿の背後から、宮崎の蔵田秀純が追ってきて3つどもえ……。
 1qすぎて長野がトップをうばうのだが、後ろから栃木の横手健があがってきて、1.7qでは長野、埼玉、栃木、宮崎がトップ集団をなし、さらに後ろから兵庫の小川誉高、広島の箱田幸寛が接近してくる。長野にかたむきかけた勝負の流れが、揺りもどされたかっこうで、またしても混沌としてくるのである。
 残り1qになっても長野、栃木、埼玉、宮崎の集団は容易にくずれなかったが、兵庫が追いついてくる。
 最後はここでもスプリント勝負になり、栃木の横手がスパートするも長野の両角追いすがり、栃木とほぼ同時に中継所にとびこんだ。2秒遅れで埼玉、兵庫がつづいた。
 3区は一般の区間である。
 長野は佐藤悠基、栃木は宇賀地強である。箱根ランナーによるトップ争い。後方は埼玉の金塚洋輔、兵庫の森本直人、宮崎の堀端宏行とつづき、8位でタスキをうけた福岡の三津谷祐がもうぜんと追いあげを開始する。
 3.5qをすぎて、三津谷が3位集団にもぐりこむ。3位集団をひっぱりはじめた三津谷、4qではまえをゆくトップ集団の佐藤と宇賀地をとっらえてしまう。
 かくして長野、栃木、埼玉、兵庫、福岡の5チームがトップ集団を形成するのだが4qすぎでは福岡の三津谷がトップに立った。後方からは福島のあの柏原竜二が6位集団をひっぱりながら迫ってくる。
 そして5qをすぎて満を持していたのか。三津谷がスパート、後続はじりじりとはなれていった。
 3区をおわってトップは福岡、2位には大健闘の宮崎、後ろは栃木、長野、埼玉とつづき、柏原竜二の福島は16位から19秒おくれの6位まで順位をあげてきた。
 候補の長野は17秒おくれの4位をキープしたが、兵庫は38秒おくれの13位まで順位をおとして、くっきりと明暗をわけた。
 勝負のゆくえは4区でもまだくっきりとはしてこない。トップをゆく福岡を長野、宮崎、栃木、福島、埼玉などがひとかたまりになって、追い上げはじめるのである。そうなると逃げるほうよりも競っているぶんだけ追うほうに分がある。
 3qをすぎて長野の平賀翔太が集団からぬけだして福岡の松山雄太朗を急追しはじめるのである。
 残り600mで追ってきた平賀が松山をとらえてトップをうばうが、福岡の松山も意地をみせてトップを死守、そのまま中継所にとびこんだが、両者の差はわずか1秒……。もはや勢いの差は歴戦としていた。
 そして……。5区の村澤はタスキもろともに平賀の勢いをひきついだのである。


アナのない布陣の長野、果たして王座はどこまでつづくのか!

 長野はやはり強かった。高校駅伝全国制覇の佐久長聖高の三本柱をフルに活かしきった。うち2人が区間賞をうばっている。一般で出場した佐藤悠基と上野裕一郎はいまひとつの出来だったが、それでも大会新記録を軽く更新してしまった。アナのない布陣は他府県のうらやむところだろう。
 2年連続の5度目の優勝、優勝をのがした年も2位だから、このところ6年はつねに優勝争いを演じていることになる。長野の王座はしばらくつづくのかもしれない。
 2位の兵庫は戦力的にみれば、長野とさして差はなかった。だが全体的な流れがいまひとつで、とくに3区で遅れをとったのが致命傷となったようである。同じような力をもちながら、ひとつくるえばおもわぬ大差がついてしまう。駅伝の怖さをまざまざとみせつけられたかんじである。
 大健闘は3位の宮崎である。1区で2位と好発進してリズムにのってしまった。4区でひとたび8位まで順位をおとしたが、5区の高校生エース区間で野脇勇志の快走でふたたびエンジンかかかった。実業団選手の一押しと高校生の活躍に光るものがあった。
 4位の福岡は三津谷祐のひとえに奮闘によるものだえる。この時期の駅伝に出てくる一般の選手、つまり実業団と大学生は、いづれも新年の全日本、箱根を走って、ほとんどヨレヨレ状態になっている。一押しが効くかどうかが大きなポイントになる。だが三津谷はさすがと思わせる走りで魅せてくれた。
 5位の福島、箱根で爆走した柏原竜二がここでも大器の片鱗をみせてくれた。アンカーの佐藤敦之はいまひとつだったが、柏原は三津谷についでの区間2位である。みごとな走りだったと記録にとどめておこう。
 6位の栃木も高校生、中学生が奮闘した。6位というのは上々の結果だろう。
 埼玉は7位に終わったが、1区でトップを奪った埼玉栄の服部をはじめ高校生、中学生が強かった。一般選手に人を得ておれば、あるいは優勝争いにからんでいたかもしれない。
 このところ長野と兵庫の王座争いがつづいているが、今回にかぎっていえば、長野の強さがきわだっていた。来年も長野を中心に展開するのだろうが、兵庫がどのように巻き返しに出てくるか。駅伝ファンとしては竹澤健介あたりを「ふるさと選手」で起用してもらいたいものである。


出場チーム&過去の記録

出場チーム






関 連 サ イ ト

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広島男子駅伝(中国放送)
広島男子駅伝(中国新聞)


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最 終 成 績
<順位 チーム名 記  録
長  野 2時間18分43秒◎
兵  庫 2時間20分03秒
宮  崎 2時間20分07秒
福  岡 2時間20分15秒
福  島 2時間20分42秒
栃  木 2時間20分46秒
埼  玉 2時間20分52秒
千  葉 2時間21分14秒
大  分 2時間21分18秒
10 宮  城 2時間21分22秒
11 京  都 2時間21分35秒
12 広  島 2時間21分35秒
13 岐  阜 2時間21分39秒
14 愛  知 2時間21分47秒
15 秋  田 2時間22分03秒
16 福  井 2時間22分13秒
17 神 奈 川 2時間22分13秒
18 三  重 2時間22分22秒
19 熊  本 2時間22分28秒
20 新  潟 2時間22分38秒
21 東  京 2時間22分49秒
22 鹿 児 島 2時間23分01秒
23 佐  賀 2時間23分02秒
24 富  山 2時間23分06秒
25 香  川 2時間23分14秒
26 長  崎 2時間23分24秒
27 静  岡 2時間23分59秒
28 山  口 2時間24分02秒
29 高  知 2時間24分14秒
30 大  阪 2時間24分15秒
31 茨  城 2時間24分15秒
32 徳  島 2時間24分31秒
33 群  馬 2時間24分32秒
34 奈  良  2時間24分36秒
35 鳥  取 2時間24分52秒
36 山  梨 2時間25分08秒
37 島  根 2時間25分13秒
38 滋  賀 2時間25分28秒
39 石  川 2時間25分28秒
40 北 海 道 2時間25分40秒
41 愛  媛 2時間25分49秒
42 山  形 2時間25分55秒
43 岡  山 2時間26分05秒
44 岩  手 2時間26分17秒
45 青  森 2時間26分33秒
46 和 歌 山 2時間28分29秒
47 沖  縄 2時間29分33秒



区 間 最 高
区間 距離 選手名 所属 タイム
07.0 服部 翔太 埼 玉(埼玉栄高)  20:10
03.0 勝亦 祐太 静 岡(富士岡中)  ◎08:30
08.5 三津谷 祐 福 岡(トヨタ自動車九州)  23:49
05.0 平賀 翔太 長 野(佐久長聖高)  14:28
08.5 村澤 明伸 長 野(佐久長聖高)  ◎23:55
03.0 池上 秀志 京 都(亀岡中)  08:51
13.0 岡本 直己 広島(中国電力)  38:09




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