日時計 1999年9月 日記

本を読んでいるうち、いつのまにか日が傾いてしまっている・・・なーんて生活いいなア!

<1999年> 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

<1998年> 9月 10月 11月 12月


▲最新の日記 は、トップページにあります。 ▼読了本


990930(木)
  購入本: なし

 ★9月25日(土)寮美千子リーディング・パフォーマンスのレポートはこちら

 きのうの天気予報では、今日は雨。しかし、朝からまたもや汗ばむような良い天気となった。これはきのうおちびがネネと一緒に作ったてるてるぼうずのおかげである。いよいよ「ほんとうのうんどうかい」(本番のこと)が明日に迫り、今日が雨という天気予報を聞いて心配になって作ったてるてるぼうずの御利益はすごい。でも肝心の明日の天気はいかに?

 『ねぎ坊主畑の妖精たちの物語』を昼休みに読了。7編からなる短編集。うれしいことに『闇の中のオレンジ』の中の作品「まわりみち」に直接つながる「人形川」があったのである。「グーンの黒い地図」はオレンジ党3部作を補完するもの。「「ねぎ坊主ばなし」から」、「びわとヒヨドリ」「土神の夢」はひとつの話のいわば藪の中版と言おうか、あるできごと(イメージ)を語り直したもの。なかでも白眉は「夜の道」、おなじみ京志が主人公で、月光に照らされた夜の冒険、と言った趣なのだが、おお、このラストの透明感のある不気味さ!

 職場の友人から『鏡 ゴースト・ストーリーズ(偕成社)を借りる。
 どういう成り立ちの本かと思えば、1996年のIBBY(国際児童図書評議会)世界大会のプロジェクトとして、ひとつの国からひとりの作家、対象年齢は12歳、ホラー短編集というコンセプトで編まれたアンソロジーが元の形だという(「あとがきに代えて」より)。その11編の中から6編を選んだのがこの本とのことだ。表題作は門野栄子で、他に読んだことのあるのはマーガレット・マーヒーのみだが、貸してくれた友人によればどれもなかなか良い出来だというからたのしみ。
 鏡、と言うと今なら梨木香歩の『裏庭』を思い出してしまうな。おお、アリスを忘れてはばちが当たる。

 流行ものはやらないという溝口大人もこれはやってみたという、うわさのスカウターをやってみました。これは一体何を測定しているのだろう?ともかくも、結果は

攻撃力 2821
防御力 7115

守りに力を注いでいると言う、逃げ腰の姿勢が図らずも露呈してしまったか〜。


990929(水)
  購入本: 天沢退二郎   『ねぎ坊主畑の妖精たちの物語』   筑摩書房
    ダン&ドゾワ編   『不思議な猫たち』   扶桑社ミステリー
    ジェイムズ・アラン・ガードナー   『ファイナルジェンダー 上下』    ハヤカワ文庫SF

 近所の書店につい先日注文しておいた『ねぎ坊主畑の妖精たちの物語』が、早くも手に入った。一時は品切れ情報もあって危惧していたが、溝口さんが筑摩に在庫を確認して下さったので、今日書店に念を押しに行ったところ、すでに到着していたのであった。94年6月初版、林マリ装丁・挿し絵の綺麗な本である。筑摩は宮沢賢治全集も何遍も出しているくせに、賢治の研究者である天沢退二郎をもっと大事にしなくてはダメではありませんか。
 みんなで天沢の絶版本の復刊要望を出そう!これらがいま読めないのは悲しすぎる、というより
筑摩書房の怠慢と言うべき。


990928(火)
  購入本: 北村薫   『夜の蝉』   創元推理文庫
     〃   『空飛ぶ馬』    〃
    A・ブラックウッド   『ブラックウッド傑作集』     〃
    レ・ファニュ   『吸血鬼カーミラ』    〃

 先日寮美千子RPの際にお会いした雪樹さんからお借りした、井辻朱美『パルメランの夢』(ハヤカワ文庫NV)を読み始める。どうも山尾悠子とオーバーラップしてしまう。と言うことは、気に入ったということでもある。自動人形のパルメランには、過日展覧会を見に行ったレメディオス・バロの絵を思い起こしてしまう。
 バロというと、日曜に池袋リブロで新刊の平台にバロの絵をカバーに用いた本があったのだが、あれは何の本だったか、ちいとも記憶にないのである。(誰か教えて〜)

 児童文学MLのほうで、『ぱろる 7号 翻訳って何?に、梨木香歩の対談が出ていると教わったので、さっそく引っぱり出す。ちゃんと持っているところはエライが、田村隆一と寮美千子の対談しか読んでいないところが笑える。先日のリーディング・パフォーマンス(模擬授業)の進行役を務めた酒寄進一氏の名前も目次に見える。
 梨木香歩の記事は神宮輝夫との対談で、この号のテーマが翻訳であるため、そちらの方に話題が傾いている。ぱろるとしては恥ずかしいことに、名前が全部間違った表記になっている(香歩(正)→果歩(誤))。また、その後の梨木香歩の講演によれば、記事自体も校正が不十分のまま出てしまったもので、発言の意図したものが伝わっていない部分があるとのこと。次号(8号)の執筆者紹介ページに、この点についての訂正文が載っているが、ちょっと失礼すぎ。
 『ぱろる 8号 これからどうする子どもの本には、寮さんの「『これでいいのか子どもの本』なんていっている場合だろうか?」、別に寮さん構成のインタビュー記事、芝田勝茂の「ティラノザウルスのいいがかり」など。
 また『ぱろる 9号 子どもって何だ!?には、最近『でりばりぃAge』を出した梨屋アリヱの短篇「タケヤブヤケタ」を発見。いかにほとんど読んでいないかがありあり、おっとこれは洒落に非ず。『でりばりぃAge』はまだ読んでいないが、この短篇はちょっと忙しすぎ〜。言葉足らずのまま気持ちだけ急いてドンドン走り抜けて行っちゃった、と言う印象を受けた。

 本屋の雑誌の平台でジョニー・デップ様のお顔が表紙になっていた「Cut」(ロッキン・オン)をついつい買う(値段が安い)。これはいったい何の雑誌か?映画関係か?ものすごい直訳調の記事(元は英語)は読むのに一苦労であるがデップ様には本当に惹かれてしまう。

 買ったばかりのSFM11月号が床に転がっていたので取り上げると、今号は『宇宙消失』のグレッグ・イーガン特集で、短篇が3つと作品解題が載っているではありませんか。近いうちに『順列都市』が発売になるそうなので楽しみだ。

 『怪談の悦び』のせいか、私にしては怪奇づいており、古本屋ではブラックウッドとレ・ファニュを購入する。上記の「ぱろる」を取り出すとき、並びに「幻想文学 37号 特集・英国幽霊物語があり、よい手引き、とこれも取り出す。

 #今日はなんだか雑誌のレビューもどき。


990927(月)
  購入本: 川上弘美   『物語が、始まる』   中公文庫
    キプリング   『ジャングル・ブック』   角川文庫クラシックス
    ホフマン   『ホフマン短編集』    岩波文庫

 比較的早く寝たつもりなのに、起きた瞬間からあまりに眠い一日。頭は痛くなるし、おなかも痛くなるし、どうしたことやら。

 昼休み『怪談の悦び』ようやく読了。作品(群)にジャンル名を冠するとき、そのジャンル名自体がどのように読者に捉えられるか、かなり幅が大きいと思う。ファンタジーしかり、SFしかり、ミステリしかり、さらにそのサブジャンル、周辺に至っては何をかいわんやであるが、別に風呂敷を広げるつもりはなく、単にここでは、「怪談」という言葉が内容をうまく言い当てているか、と言うこと。
 最初に読んだのが美しすぎ、はかなすぎ、あの世界に近すぎる「「彼等」」だったので、「怪談」という題名はどうかな、と思わないでもなかった。しかしいざ初めから読んでみると、確かに訳者の言うとおり「いくぶん世紀末的廃頽味の勝った物語集」(序より)とは感じられはしたものの、私にとっては「怪談」という言葉でぴったりであった。ストレートな、しかしさまざまな英国的怪談の数々はちょっと贅沢。しかもその数、十三編ときては…。

 「「彼等」」に次いでは、巻頭の「ダンカスターの十七番ホール」「青の無言劇」「深き淵より」そして「ウルヴァーデン塔」などが好きだったが、いずれ劣らぬ粒よりの作品揃いで、ひさしぶりに面白い思いをした。急にふたたび「リップ・ヴァン・ウィンクル」を読んでみたくなってしまった。こどものころ、TVでシャーリー・テンプルが最初と最後に出てくる(たぶんアメリカの)番組があり、「はだかの王様」「ラプンツェル」「リップ・ヴァン・ウィンクル」などのようなおとぎ話をやっていて、毎週楽しみに見ていた。このなかでリップ・ヴァン・ウィンクルを呼ぶ声「リーーップ・ヴァーーン・ウィィンクル!」がとてもとても印象的で、未だに時々こうして甦ってくるのである。

 きのう到着した、町田ブックオフの収穫は以下の通り(布教本★を含む)。『Sudden fiction II』を買い忘れた〜(あったのに)。お持ちの方譲って下さい。Iでも可。

 【文庫】
 H・ベンマン 『石と笛 1,2,3
(上下) 河出文庫
 ペイトン 『卒業の夏』 福武文庫★
 モールズワース 『かっこう時計』 福武文庫★
 ファージョン 『町かどのジム』 福武書店★
 村上哲哉  『ラストマジック』 新潮文庫ファンタジーノベルシリーズ
 加藤正和 『念術小僧』 新潮文庫ファンタジーノベルシリーズ
 イアン・ワトスン 『存在の書』 創元SF文庫
  〃 『星の書』 創元SF文庫
 井辻朱美 『エルガーノの歌』 ハヤカワ文庫JA
  〃 『トヴィウスの森の物語』 ハヤカワ文庫ハィ!ブックス
 ジョナサン・キャロル 『死者の書』 創元推理文庫
  〃 『月の骨』 創元推理文庫★(たぶん)
 いぬいとみこ 『いさましいアリのポンス』 講談社文庫
 安房直子 『ハンカチの上の花畑』 講談社文庫★
 湯本香樹実 『夏の庭』 新潮文庫★
 山岸涼子 『私の人形は良い人形』 文春文庫ビジュアル版

 【単行本】
 川島誠 『もういちど走り出そう』 マガジンハウス
  〃 『800』 〃
 佐藤亜紀 『鏡の影』 新潮社

 この日『怪談の悦び』を100円の棚で見つけ、欲しがっていた雪樹さんに。かわりに、彼女は井辻朱美のを捜して下さった。単行本のフロアを探索しきれなかったのが残念。コミックはまったく見る時間がなかったが、とりあえずターゲットではなかったので。こうして書いてみるとあまり大したことはないような気が…。これって、恐ろしい〜。


990926(日)
  購入本: エドガー・アラン・ポオ   『ポオ小説全集1〜4』   創元推理文庫
    アラン・ガーナー   『エリダー』   評論社
     〃   『ふくろう模様の皿』     〃
    神沢利子   『くまのこウーフ』   ポプラ社

 夏の間に息子が大きくなったので、ジーンズなどがきつくなった、買ってくれとの要望。今日はくたびれたので出かけたくなかったのだが、先日からのお約束なので仕方ない。けれどもまだ大人サイズでは大きすぎる、子供サイズではデザインが子供っぽい、という中途半端な年齢/サイズなので、なかなかこれというものがなく、時間がかかる割に収穫が乏しい(疲)。
 池袋リブロで、最近本を出したゾマホン・ルフィンが、サイン会をやっており、息子が「欲しい!」彼はおちびといっしょに並び、ふたりとも握手をしてもらって話をした、と喜ぶ。いつもながら衣装が素敵。なぜサインとともに「象」とデカイ字で書いてある?

 ここで買った『エリダー』以下3冊は実は持っていなかったもの。ところが帰宅してみると『くまのこウーフ』はページ端が裁断ミスの本であった。電話をかけて後日交換と言うことに。めんどー。

 きのう宅配便で送ったブックオフでの収穫本が、夕方にはもう届いてしまった。が、ちびちび取り出す楽しみをあとにとっておくことにしよう。というのは表向きで、本当は家人の手前、休日の今日は自粛といったところ。

 きのうの続きを書くはずであったが、参加メンバーのレポートまわり、MLのフォローなどしていたら思ったより時間がかかり、今日は時間切れ。ごめんなさ〜い。


990925(土)
  購入本: たくさん(後日報告)

 遠く町田で11時待ち合わせ。うう、一体何時間かかるのだろう。
 今日は、3時から町田の手前、鶴川にある和光大学で、受験生向けガイダンスの一環として行われる、寮美千子さんの『ノスタルギガンテス』リーディング・パフォーマンスなのである。それに行くネット仲間数人で、噂に聞く町田ブックオフ買い出しツアーに行こうというのが、午前の部というわけなのだ。

 Yahooの路線検索で町田まで1時間強とわかったが、家から最寄り駅までの時間と、迷子になる時間をプラスして1時間半と計算し、9時半少し前に家を出る。予定より1時間寝坊してしまったので髪も顔も服も、大慌て状態で、ただ一つ買い出しに備えてリュックだけはしっかり背負う。
 いざ新宿で小田急線に乗ってしまうと、何のことはない、10時半ちょっと過ぎに着いてしまった。町田がこんなに近かったとわ。待ち合わせ場所で本を読むのを断念して近くのファッションビルで涼むほどの暑さである。さて、ぼちぼちヒラノさん、溝口さん、雪樹さん、谷田貝さんと、姿を現し、真夏並みの暑さの中、商店街をブックオフへ向かう。町田駅前って、こんなに盛っていたとは知らなんだ。(顔を合わせたとたん溝口大人、めでたく入手されたばかりのオレンジ党三部作の一冊を嬉しそうに見せびらかす。くそっ。)

 到着したブックオフは…で、でかい。私はブックオフというものはただ一店舗(佐久中込店)しか行ったことがないがそれでも古本がいっぱい!と感激であったが、ここはコミックのフロア、文庫のフロア、単行本のフロア、と、売場が3階にわたっているのである。溝口さんの「まず文庫から行きましょう」という指令で2階に上がるが、どこから見てよいのか、パニック状態。どの文庫の何という作家を捜すのか、頭の中を捜してみても空白である。古本、ありすぎ〜!
 
「各自勝手に捜して、正面玄関12時半集合!」の指令を受けてそれぞれ散らばる我々であった。しばらくして、カワカミさんが息を切らして到着、呼吸も落ち着かぬうちからすでに目は本の列に。

 当初のパニック状態も治まり、布教本を含めてめぼしい本をかごに入れてゆくと、いつのまにかかなりな重さになってしまった。時々メンバー同士すれ違っては戦果報告など。結局購入額は7000円弱になり、重さにめげて宅配便で送ってもらうことにした(何冊、と言うより何キロ買ったかという芋なみ)。戦果は後日報告の予定。

 近くでぱくぱくスパゲティなどを食した後、これも噂のコーヒー店ダンケでコーヒー&ケーキ。飽きもせず本談義に花が咲くうち、時間となり、鶴川駅まで戻って学バスにて和光大学へ向かう。3時に到着してみると、純粋な受験生向けガイダンスを先に行うので、パフォーマンスは4時頃からの開始だという。とりあえず藤棚の下で美猫たちを見ながら水分補給、休息など。

▼午後の部(リーディング・パフォーマンス)はこちら


990924(金)
  購入本: なし

 朝いつものようにぎりぎりの時間に出て、自転車置き場へ行く。すると、自転車がない。え〜、どうしたんだろう!…よく考えてみると、きのうの休日は使う必要がなくて、その前の水曜日は一日雨だったので乗らず、っていうことは…、そうだ、火曜日の帰りに雨が降っていたので職場に置いてきた!とようやく判明。しかたなく、おちびを保育園(徒歩2分)に預けたあと必死にたくしいをつかまえてご出勤。夕方本当に職場の自転車置き場にあるかどうか危惧しながら行くと、かごやサドルに桜の落ち葉をぺったり貼り付かせて、けなげに待っていてくれたのであった。


990923(木)
  購入本: なし

 連れ合いはきのうから三重の方に出張で、今日昼2時頃戻る。戻る前に、明日の日帰り出張先(山陰方面)の関係者から電話が入り、「台風が近づいているため明日の飛行機が飛びそうもないので、今日の夜の寝台特急で来て下さい」とのこと。それって、午後帰ってまた夜出ろっていう訳かい?ちょっとそれひどいな〜。さっそくTVをつけて台風情報を見ると、明日日中は山陰はもろに台風のど真ん中ではないか。無理して行っても一体人が集まるのか?電車だって止まるのではなかろうか。
 と思っていると、先ほどの人からふたたび電話で、「協議の結果、台風直撃のため明日の件は延期に」と言う連絡である。ホ。

 納戸とあんどん部屋の和室が完璧に物置と化しているので午前中から片づけ。今天気が崩れるか、日が陰るか、と外をにらみつつ並行して洗濯をする。11時近くなり、気がつくとすでに数回洗濯機を回しているが一向に雨が近づく気配はなく、朝より上天気になり、願ってもない秋晴れになっているではないか。これはいけない、と、片づけも中途のまま、おちびを連れて買い物がてらの散歩に出る。

 彼は普段から補助なしの自転車で出かける機会を狙っているので、すかさず「じてんしゃでいっていい?」もちろん、オッケー。いまいち危ないので、私は徒歩で介助役である(私も自転車だと危なげなときにさっとフォローできない)。小走りについて行くと汗ばむようであるが、昨日の冷たい雨を境に、もうすっかり空気は秋になっている。
 公園を通っていると足許でぱりぱりと音がする。気の早いどんぐりがまだ青いままたくさん落ちているのだった。見上げれば思ったよりずっと背の高い梢には、すっかりたくさんのどんぐりが鈴なりになっているのであった。(青木みやさん、こんにちは)

 本屋によって、まこりんさんお薦めの別冊文藝春秋を捜すが、すでになし。お昼時であるが上のふたりの子供たちはてんでに出かけているし、連れあいもまだ帰らないし、ほかに用もないので本屋の並びの珈琲屋でホットドッグを食べた。割に食が細いおちびも、ちゃんとひとつ食べられたので大いに誉める。いい天気なのでもう一軒の本屋にも足を延ばそうと駅近くの横断歩道を歩いていると、「どうしたのこんなところで」と呼び止める声あり。それは向こう側から渡ってきた連れ合いなのであった。悪事露見す。

 洗濯物を次々干して、そろそろ使用の毛布も干して、片づけの続きをして、それでもやっぱり素敵な夕方である。どうにももったいないので、もう一度、おちびと川沿いを散歩(川と言っても神田川みたいな小さな川なのだが)。川沿いの遊歩道を橋の数にして5つくらい下流に歩く。途中、電車の線路をくぐった少し先に子供用のアスレチック遊具のある小公園があり、おちびと追いかけっこをしたりする。電車が思ったより頻繁に通り、その都度振り仰ぐと、電車の走る向こう側に落ちかけた夕日がまぶしく光り、タイムスリップしたような気分を味わう。

 夕食後『オレンジ党、海へ』読了。ああ、これ、3部作の中では言いようによってはとても難解。謎はますます謎となり、悪も善も、その基準自体が実は示されてはいない。作者の言うようにもはや善悪の二元論はなりたたない。とっても放り出されたままの気分だが、物語が完結していない、ということ自体が、すなわち現実世界と物語世界がつながっているとつよく感じさせるのだ。

 娘が借りてきたビデオ「スネーク・アイズ」を成りゆきで見る。いや、これ面白かった。こうしてひとつ見てしまうとまた見たくなる、すると時間がなくなる、うう、もっと映画(ビデオでもいいから)が見たい〜。


990922(水)
  購入本: なし

 日経新聞の夕刊1面に、「魅惑の一点 オルセー美術館展より」という囲み記事が月曜から出ている。月曜はルドン(大好き)、火曜はシャヴァンヌ(知らない)、今日はモネ。ああ、いいなあ!販売店からしっかりただ券をもらってあるので、仕事が一段落したら年休を取って行って来なくちゃ。

 昨夜から『魔の沼』を読んで昼休みには終わり、続いて『オレンジ党、海へ』に突入。雨で、しかもハードカバーだというのに読みたい一心で2冊とも職場にリュックで背負って行ったという…。
 『光車よ〜』の時からどことなくアラン・ガーナーを思い出させると感じていたが、ガーナーはあれきり翻訳(新作)がないのだろうか。『ふくろう模様の皿』なんてすごかったという記憶がある。
 ひえぇ〜、TRCではすでにガーナーはヒットしない。そんなぁ。(と、infoseekでさがす)おや、あった。と思ったら、
AMEQさんのところではあーりませんか。さすが。

 おほほ、松茸が届きました〜。あしたのお楽しみ。松茸スパゲッティってどういうの>ヒラノさん(すまぬ)
 10日ほど前に連れ合いの母から届いたプルーン(どっさり)、今年は実が入る頃に天候がよくなかったため不作なのだそうで、そのせいか届いたものも味がどうもよくない。
 それはともかく、これだけ大量にあると痛んでしまうので困るのだが、ちゃんとしたプルーンは、小分けにしてビニル袋にいれて冷蔵庫に突っ込んでおけば意外に長いこと持つ。忘れて皮がしなしなになってしまっても、水分が飛んで実がねっとりしてきて糖度が上がり、フレッシュなものとはひと味違ったおいしさになる。だから、フレッシュなときにおいしいプルーンは、急いで全部ジャムにしたりしなくても(場合によってはしない方が)じつは後々まで楽しめたりするちょっと不思議な果実。
 ただ今回のは元がいまいちだったので、どうもこの図式にはあまり当てはまらないようだ。仕方がないので一部を皮付きのままふたつわりにして、卵・砂糖・小麦粉液に浸してオーヴンで焼く、クラフィティというのを作った、というより娘に命じて作らせた、と言うべきか。本当はタルトにすればいいのだろうが、めんどくさいのと、手指の湿疹のため生地を練り練りするのに躊躇があるのとで、簡単バージョンにした。うん、まあまあかな!ちょっと砂糖を振りかけ忘れて、酸味が勝っているけど、オッケー。

 さて、ちょっとつまんでまたアマタイでも読むかな。 


990921(火)
  購入本: デ・ラ・メア他   『恐怖の愉しみ    創元推理文庫
  図書館本: 天沢退二郎   『魔の沼』   筑摩書房
     〃   『オレンジ党、海へ』     〃
    ウェイクフィールド他   『怪談の悦び』   創元推理文庫

 ちょうど昼休みになったという時間からの雨は、そのままずっと降り続いている。そんなはずじゃなかったのに。思いがけず肌寒さを覚える帰路、暑いのが恋しい、なんて虫の良いことを。
 午前中は何とか天気も持ったので、おちびの保育園の、運動会の総練習は無事にできたようだ。でも、またも彼の紅組はリレーで負けてしまったので、「こんなにがんばったのに負けちゃった」(保母さんによる)と、「泣いちゃったんだよ」とぽつりと話してくれるのであった。
 (あ、この4月から「保母」という名称は「保育士」になったのであった。)

 保育園から家までの間に、ある老人施設の自転車置き場があり、波板で出来た高い屋根がついている。その真ん中が雨が降ると滝状態になるので、よくおちびはトトロのバス停みたいに傘を差してその真下に立ち、音と振動を楽しんでいる。今日は滝の量がちょうどいいくらいに降っていたので、さっそくおちびは駆け寄って行く。「ママもやらせて!」と、そこに立つと「ドバドバドバドバ」と、えらく面白い。ふふふ、前からやりたかったのさ、これ。またあしたもやろうっと。嘘だと思って皆もやってみましょう。

 図書館に寄りリクエスト本『怪談の悦び』を借りる。他に、おとといの夜以来続きが読みたくて仕方のなかった、オレンジ党3部作の続き『魔の沼』『オレンジ党、海へ』も借りるが、ごめーん、これはおちびの図書カードにて。どうやら天沢の魔力にはまってしまったらしい。

 『怪談の悦び』収載のキップリング「「彼等」」(かぎかっこつきなのだ)が溝口さんお薦めなので、とりあえず帰宅してすぐ「くたびれた〜」と言いつつ、おさんどんを後回しにして読む。
 さすがにそれはちょっと暴挙だったので、食後もう一度読むと、う〜ん、これは傑作!確かに英語の原典に当たりたい思いがする。
 一読するとボストンのグリーンノウのシリーズなどに連なってゆくものかと思うが、よく読むと(もちろんそう言う面もあるのだが)単にそれだけでない、非常に繊細で危うい均衡を保ち、それでいて同時に含蓄に富んだ作品になっている。まったく違う内容だが、昔読んだポーのある作品を想起させる(題名忘れた。「島」?妖精がボートに乗って島の周りを回っている、見ているうちに次第に妖精は老いて行き文字通り影が薄くなり、すっかり日が暮れると共にその姿は消えてしまっていた…というもの)。

 先日から岩波文庫の『キプリング短編集』もぽちぽち読んでいるのだが、これも奇妙な味わいの短篇揃いである。そろそろ『少年キム』にも取りかからないといけないということか。
 フィリパ・ピアス(のスーパー・ナチュラル色の強いものを特に)読み直したいと思っているので、今これらに出会えたのはなかなかグッド・タイミングである。しかし英国(風)幻想・怪奇の系譜はすごいなあと今更のように思う。>溝口さん、皆さん、ピアスを読みましょう!トムだけじゃなくてほかのも全部!

 そうそう、偕成社『鏡』を買わなくては。これも幽霊の出てくるアンソロジー。


990920(月)
  購入本: なし

 早いもので彼岸の入りだというのに、相変わらずの暑さには閉口。そろそろ体も限界か、どうも睡眠モードに切り替わっているらしく、眠さ満載である。

 梨木香歩が講演会で触れていた、コートル『記憶は嘘をつく』を読み始める。この邦題よりも原題"How we create ourselves through memory"のほうが内容をよく表している。こうだ、とばかり思いこんでいた自らの記憶に裏切られたときの驚きに的を絞ったそれなりにインパクトのある邦題ではあるが。

 8章のうち2章を終わろうとするところであるが、ここではいかに我々の記憶というものがどんどん変容して行くかが語られ、脳というものがどれほどダイナミック(=動的)なシステムであり文字通り生きているかを今更のように感じさせる。

 記憶と言えば、知り合いに記憶力のとてもよい人がいて、彼は、何日も何ヶ月も何年もたってからでも「あのとき君はこれこれこう言ったじゃないか」と一言一句変えることなく何遍でも再現(再生)するという能力の持ち主なのである。テープレコーダーかきみは。
 その記憶を武器に人を攻撃するのが得意なのだが、反面「卒業写真」(ユーミン)などにあるような「私が変わってしまってもあなただけはずっと変わらないでね〜」みたいな歌詞には「自分勝手なことを言うな、腹が立つ」と思いっきり反発するという、何ともな人なのであった〜。


990919(日)
  購入本: なし

 日曜の朝と言えば、普段は起こしても起きないおちびと長男は、朝早くからテレビを見るために起き出していると言うのが相場であるが、なぜか今日は寝ている。代わりに娘が文化祭のためいつも通りに出ていった(様子)。しばらくして、連れ合いが9時からのおテニスに出ていった(様子)。なんだか静まり返った気配にかえって目が覚めてしまうが、すでに9時半。今日は別段予定もないが、昨夜はおちびと一緒に10時過ぎに寝てしまったので11時間睡眠をとったことになり、かえって目が覚めない。

 なんだか疲れが抜けないままどっかりソファにはまりこんで昨日読み始めた『闇の中のオレンジ』の続きを読む。一話一話、つながっているようでもあり、そうでもないようであり、また書きたいままを書いたようでもあって、ことさらに説明らしいものがないところは、たとえば黒沢の『夢』を想起させるものがある。奴凧のイメージ、黒い水、ぬめぬめとした不気味な手触りの気味の悪いもの(ナメクジ、ナメクジナマズ、黒い「もの」など)、いっぽうそれらとまったく異質のオレンジのイメージなど、これらが相まって原初的な夢の記憶と不安をかき立てる。

 これを読んでしまったので続けて『オレンジ党と黒い釜』に突入、これも止められなくて読み終わってしまった。『闇の中のオレンジ』の世界と、まったく同一ではないが明らかに深いつながりのある設定である。オレンジ党3部作の続きの2冊、さっそく明日借りてこようと思ったが、第3月曜日は悲しいことに休館日なのであった。こういうとき1日のお預けはつらい〜。

 冷蔵庫の製氷部分、火曜に修理に来てもらうはずが、午後いきなり電話があって今から伺いますとのこと、有り難いが、あわてて台所を片づけるはめに。怠惰な日曜のツケである。


990918(土)
  購入本: 波津彬子   『雨柳堂夢咄 其の七   朝日ソノラマ
    須藤真澄   『観光王国』    アスペクトコミックス
     〃   『子午線を歩く人』    〃
  図書館本: 天沢退二郎   『闇の中のオレンジ』   筑摩書房
     〃   『オレンジ党と黒い釜』    〃

 第3土曜なので学校は休みではないのに、母(私のことだ)のみすっかり休日モード。今日明日と文化祭の娘は、いつも通りにお出かけ(の気配)。うう…と返事をした記憶があるような、ないような。続いて息子も「行ってくるね」と言う声を残し(たような気がし)てドアの閉まる音がする。……。

 ようやく起きて洗濯だの食事だの。連れ合いはきのうから泊まりで、昼前に帰って来るというので、その前にゴミ捨て、クリーニング屋、図書館と、用を済ませる。

 先日遅ればせながら天沢退二郎『光車よ、まわれ!』を読んでとてもよかったので、図書館で続けて出版順に『闇の中のオレンジ』、さらに『オレンジ党と黒い釜』を借りた。オレンジ党3部作はこの館にちゃんとあるので安心。他に、溝口氏の強力お薦めながら品切れと言われてしまった『怪談の悦び』(創元文庫)をリクエストしたがこれは区内の他の館にあるとのことなので、2,3日うちに入ると思われる。

 夕方から息子ふたりと根津神社のお祭りに行く。暗くなってから行くのは久しぶり、けれども今年は蔭祭りとのことで、賑やかさはいまいちである。
 都営三田線の白山で下車するといきなり目の前を白山神社のほうのお神輿がしずしずと通って行く。かけ声も楽しげに、足取りは踊りのそれのようで、見るからに洗練されている感じ。
 根津神社までたらたらと歩いて行くと、日本医大と根津神社の間の通りに神輿が出ている。神輿についている提灯に灯が入って、実にきれいだ。こちら側は裏に当たるので、ぐるりと回って正面から境内にはいると、太鼓の音が聞こえる。

 この太鼓は、「権現太鼓」で、若い女の子たちの出番だ。う〜ん、そこいらの太鼓に比べるとここの太鼓はとても上手なのだが、これはまだまだかな。かなり小さい子もいるので音の弱さは措くとしても、主旋律(というのか)が聞き取りにくく、耳に残っているものと似て非なるものに止まっている。これ、女の子ばかりでなく、全体にもう少しきちんと初心に戻って指導し直さないとなんだかわからないものになってしまうかも知れないぞ。がんばってくれー、権現太鼓!ぢつはファンなのだ。

 まずお参りをして、それから夕食代わりにたこ焼き、イカ焼き、チヂミ(と、びいる)などで腹ごしらえをして、射的、三角くじ、などなど。そんなこんなしていると、門前の町会で神輿を出しているので見に行く。やはり提灯に灯が入ってからの宵宮はなんとも風情がある。う〜ん、やっぱり足取りが違う。跳ね上がり浮き立つような小さい足取りで、その軽さが何とも言えず粋!いいよねえ、うちの方の町会のお兄さんたちももっとよく勉強するように。

 帰路、白山駅近くの南天堂(森まゆみ本、谷根千のバックナンバーがどっさり、ちなみに谷根千は定期購読しているのだ)に寄って波津彬子、須藤真澄を買う。だらだら帰るともう8時半を回っているのであった。


990917(金)
  購入本: イアン・バンクス   『共鳴』   ハヤカワ文庫ミステリアス・プレス

 ようやく昨夜から涼しいという言葉を使えるようになった。しかし日中は少し動けばやはり湿気と相まって汗ばんでしまう。

 今週は月曜から、仕事上のトラブル続きでめげめげ。おまけに職場自体もちょっと大げさに言えば存続の危機が迫りつつある状態なのである。ううっ、胃が…。いや、月曜日にトラブルが降って来たときには、本当にいっとき、きりきりっと胃が音を立てたものであった。

 昨日から読み始めた『ななつのこ』昼休みに読了、鮎川哲夫賞、と言われても何の賞かピンとこない私であるが、郷愁を感じると共に非常に爽やかな読後感をもたらす作品であった。
 本筋とは関係ないが「いかなる状況下でも本屋の前を素通りできる私ではなく」(258ページ)に思わず付箋を貼る私であった。ご同類!

 連れ合いは泊まりの仕事の上、長男は塾、娘は明日からの文化祭の準備で、それぞれ帰りが遅く、おちびと侘びしい夕食をとるのであった。ちょっと遅すぎるぞ>娘。


990916(木)
  購入本: ロザムンド・ピルチャー   『コーンワルの夏』   日向房
    原 子朗   『新・宮沢賢治語彙辞典』    東京書籍

 下の息子は保育園で運動会の練習つづきである。彼は紅組なのだが、年少・年中・年長クラスのリレーでは、練習のたびに紅組が負けてばかりなのだそうだ。
 お便り帳にも「○○ちゃんは年中さんのアンカーですが、紅組が負けていたので年長さんの一人目と一緒に走ることになり、差が縮まらないので泣きながら走っていました」とか、「また紅組が負けたので、「きょうもまけちゃった」と、ぽつりと言っていました」とか、ぐっと来るようなメモが書き込んである。
 ある日迎えに行くと「きょうあかぐみかったんだよ!!」と嬉しい報告、小さい頭を寄せ合って「作戦」を練り、見事それが実を結んだのだとか。母と子は、手を取りあって万歳をしたのであった。
 さて、会場になる公園で練習をする日にはお茶を入れた水筒を持って行くので、氷が必須なのだが、これがいかれた。

 うちの冷蔵庫は自動的に氷が出来るタイプで、真ん中に2段、引き出し式の冷凍庫があり、その一部に氷がたまるようになっている。数日前、長男が引き出しを閉めるときに冷凍品がつかえたと言ってがちゃがちゃやっているので見ると、なんと奥の方の見えないところにある製氷皿がはずれて落っこちているではないか。皿には氷が出来たのを感知する温度センサーの差込もついているが、これもしっかりはずれている。連れ合いとかわるがわる元に戻そうと試してみたが、本来ユーザーが取り外しするようには想定していないので、全然見えない、分からない。仕方ないので製氷皿をそのまま氷の貯蔵部分に入れるしかないが、それがたったの8個分。こりゃ普段からなかなか氷がたまらないわけだよ。直しに来てもらうにしても日中はいないから週末まではダメなのである。おまけにいくら電話してもかからないメーカーのサービスセンター(困)。

 午後、夫婦揃って体調が悪いとかで最近ご無沙汰の、出入りの本屋さんが来る。いや〜な予感がして「あのう…」と訊くと、「はい。たくさんあります。」と重々しいお返事だ。だいぶ前に頼んだきりになっているのが数冊、それに加えて『宮沢賢治語彙辞典』が。給料日あとなので一月分の支払いもせねばならない。さ、財布が空に…。自業自得である。いっぱいあったのでこの辞典しか持って帰れなかったよ、まったく。

 きのうまでとがらっとかわって加納朋子『ななつのこ』を読み始めた。これは初めての作家である。神経の行き届いた文章、とても頭の良い感じの、女性らしい文であるが、ちょっと気疲れするかも。中味は面白い。


990915(水)
  購入本: L&N・ゴールドスタイン   『古書店めぐりは夫婦で』   ハヤカワ文庫NF
    花郁悠紀子   『四季つづり』    秋田書店
    大島弓子   『ロングロングケーキ』   白泉社文庫
    レ・ファニュ他   『恐怖の愉しみ    創元推理文庫

 夜半からの雨は上がったがどどっという音をさせて風の塊が吹きつけてくる朝。にもかかわらずおテニスにお出かけのお連れ合いである。ヤツはマンション自治会の敬老の日記念品(今年は若干1000円の商品券)配り係に当たっているのに、「風が強すぎたら帰ってくるけん、時間までに帰らなかったらよろしく〜」なんて言い置いて強風の中へ出かけるが、相棒のおぢさんたちはみな意地でもラケットにしがみつきたいらしく、一向に帰ってこない。仕方なく代わりに顔を出す。ふたり組になってそれぞれ7,8軒ほどを回るが、私たちが回ったところは幸いに皆ご在宅。全戸数の一割近いお宅に、対象の75歳以上の方がいらっしゃるということを知った。最高齢は92歳。

 で、自分のうちの母たちに敬老の日グッズを用意するのをすっかり忘れていたので、急遽昼から買い出しに。結局七宝焼きの額絵の大作を作る義母には、水彩色鉛筆や筆などがはいった携帯用絵手紙セット。これと言って趣味のない母にはキュウガーデンショップのスリッパ。母へのプレゼントにはいつも頭を痛める。アクセサリはそのうち「これいらない?」といって戻ってくる。服は、「これ着ない?」と帰ってくる。お菓子は「食べない?」といって持たされる。以下略。で、袋物とかエプロン、スリッパの類になってしまうのだ。つまんなーい。

 たびたび中断しまくっていた『精霊がいっぱい!』読了。下巻に入りますます好調、魔法漏出事件もいよいよ深刻な局面を迎え、もう大変なことに!ちょっと長いが、なかなかお薦めである。


990914(火)
  購入本: 山尾悠子   『仮面物語』   徳間書店
    芝田勝茂   『星の砦』    理論社
    江戸川乱歩   『魔術師』   創元推理文庫
    宮部みゆき   『初ものがたり』   新潮文庫
    笠井潔   『物語のウロボロス』   ちくま学芸文庫

梨木香歩講演会詳細レポート  ★当日の速報版

 「おなかすいた!」コールに、いい加減な夕飯をでっち上げたのち、きのう読み損ねた『光車よ、まわれ!』の続きを読む。昼休みにあと5ミリくらいの所まで来ていたので、だーっと読み終える。ちょうど外はざざぁっと嵐のような風が吹きまくり始め、ばらばらと大粒の雨がベランダに打ち付ける。これは大変に面白く、なぜ出版当時に手に取らなかったかと思う。実物を見た記憶は全くないのである。水を通って行くさかさまの世界は、やはり寮美千子のルーツのひとつか。敷石からしみ出してくる、命を持ったかのような水の粘度は、血を連想させるようでもある。

 先日某サイトに出ているのを溝口大人から教えていただいた結果譲っていただけることになった『仮面物語』、ほかに『星の砦』、『魔術師』が届く。
 『星の砦』ときくと子供の頃読んだ『星の牧場』を思い出してしまうが、それも題名だけで中味は自分の好みの詩的な感じしか覚えていない。

 どこからかあらわれた精神年齢鑑定、当サイトの夜歩きボードでも「ギョエー」の声があがる。ちゃんと記録しておこうっと。(敬称略)

MAKI:52歳
かんちゃん:34歳
OKKO:36歳
まこりん:16歳
安田ママ:19歳
踊るらいぶらりあん:41歳
有里:45歳
湖乃:36歳
生簀真美子:25歳
溝口:謎


990913(月)
  購入本:なし

 日中は比較的ひまだったのに、そろそろ終業時刻が近づいた頃上司がややこしい急ぎの仕事を持ってきたので、帰宅したら7時半近かったよ〜。急いで帰り支度をしたので、読みかけの『光車よ、まわれ』を置いてきてしまった。いいところにさしかかっていたのに!う〜ん、たしかに寮美千子はこれにも抜きがたい影響を受けていると思う。

 長男が、間もなく行われる運動会の練習のことを楽しそうに話す。昼休みに一種のアトラクションがあって、希望者から10人ほど選抜で、マット上で宙返りなどを何種類か見せ、さらに人間の山を飛び越えての宙返りなどを行うのである。一番最後には、とても飛び越えられないくらいの高さの人の山を作って、踏切台を飛び越えた瞬間にその山がどっとつぶれて、演技者は無事そこを飛び越える、というオッカナイ見せ物がある。割に身の軽い長男は、至極楽しそうにその様子をあれこれ話すのだが、ああ〜、コワイ!首の骨なんか折ったらどうしよう!はらはらして聞く母(精神年齢18歳)なのであった。

★幼稚度:86%(1歳児なみ)
★大人度:29%(ほんのわずかですが、大人っぽい所があります)
★ご老人度:21%

てな所で(有里さんご満足でせうか)。
ちなみに夢を持っているところと、よっこいしょと言わないことと、問30に「はい」と答えるのが若さのポイント(自己分析)。


990912(日)
  購入本:なし

 今年度は、マンションの管理組合/自治会の役員の回り番なので、夏休み中のパトロールや盆踊りに続き、近所の氷川神社の祭礼のお手伝いもあるのだ。きのうは自治会館(御神酒所)から宮出ししたお神輿は、今日はうちのマンションの玄関から宮出し。担当の人は朝6時半からお神輿の準備、つまり担ぎ棒をくくりつけるのだそうだが、うちは9時過ぎから、2時宮出しまでの見張りと接待が役目である。

 宮出し直前に御神酒をふるまうので、100個コップを用意するようにとの指令が出る。方々から担ぎ手の助っ人が来てくれるのだが、彼らは「いっさいお酒は頂きません」とのことなので、3割方余る。ホントの下町の祭りに比べれば素人臭くてかわいいものだが、やはりパッチに半纏の祭り装束は実によく皆に似合っている。かけ声も「セヤ」だか「ソヤ」だか「サァ」だか、ばらばらだが、それでもなんだかかっこいい。役員として半纏を着ていた連れ合いは、いつの間にか成りゆきで担ぎ手として徴用されて行ってしまったのでおちびとずるずる付いて行く。

 あまりの暑さに、帰宅してからもめげ状態で、夕食は近くの商店街の中で外食。すると、ちょうど目的の店のあたりに神輿が3基ほどいて、狭い商店街は人でぎっしり。こちらの町会は商店街が主なので、うちあたりよりずっと賑やかで、夜のせいか担ぎ手も多くてノリもすっとよい。
 食事が終わる頃にまた戻ってきたので、今度は一番賑やかそうな神輿について歩く。かけ声に会わせて手を叩きながら、足も踊りだしてくるのであった。
 来週は根津のお祭りを見に行かなくちゃ!(恒例)


990911(土)
  購入本:なし

 朝寝坊。だらだら午前中を過ごし、洗濯などのかたわらメイルチェックしつつ時々ネット徘徊。家事とどちらがメインか分からない。<いや、分かってると言うべきか。でも言ってしまうと自分がオソロシイので敢えて言わないでおく。

 そんなことをしているうちに12時近くなる。今日明日は、氷川神社のお祭りで、12時からは子供神輿が出るのでおちびをつれて山車を引きに行くのである。曇りがちなのでよかった…と思っていたがちょうど昼過ぎから見事に晴れてとんでもない暑さ。保育園友だちが集まり、子供たちははしゃぎまわっている。
 上の子も大きくなってここのところお神輿とは縁遠くなっていた。その間に、近所に大きなマンションが新しくできたせいか、山車をひく小さい子の人数も上の子の頃の倍くらいになっている。どこが少子化やねん。そのためか、要所要所のお休み所で配られるお菓子やジュースの類も、以前よりちょっと量がケチになっていた。動いている時間よりお休みしている時間の方が長く、ほんの町内一回りがなんと3時間以上で、暑さにばてたのはむしろ親の方か。帰宅してあまりの大汗に、昼間からシャワーでようやく生気を取り戻す。

 夕方から息子ふたりを連れてマリオンへ行く。連れ合いと落ち合って、スター・ウォーズEP1を再度見に。
 ちょうど出かけようとしている頃に用事が済んで帰ってきた娘は、先日からお誘いしているのにもかかわらず断固「行かない」という。一度池袋で見たからいい、と言うのだ。「日劇は画面大きいよ!」だの「2度見ると一層楽しいよ」だの、「一度見ておしまいなんて、そんなのだめだよ!」(こりゃ説得になってない)だの強力お誘いをかけたが、ぜんぜん動かない。あ〜、がっかり。しかたなく彼女抜きである。
 土曜の最終回(7:10から)なので念のため1時間前に行ったらまだ十数人しかおらず、結局始まっても空席はかなり目立っていた。先に偵察に来ていた連れ合いによると、その前の回は立ち見だったそうな。それにしても指定席多すぎ。

 結果、大画面の2度目はそりゃあ楽しかった!先日封切りの日に釧路で見たときは、深夜だったせいで、あちこち瞬間的に寝ていたという自覚はあったのだが、今日見て瞬間どころかけっこうごっそり記憶にない部分があったことが判明。瞬間にしてもキーワードになるような台詞を聞き漏らしていたりとか。
 1000円払っても昼間の疲れでどうせ寝てしまうだろう、と思われたおちびも、「あっ、ダース・モールだ!」などと叫びながらしっかり最後まで見ており、終演後アナキンのポッドレーサーがほしい〜、とむずかるのであった。
 けれども、噂のチューバッカやETは見つけることが出来ず、がっかり。またディズニーがあまり好きではない私は、ジャージャーがちょっと鼻についてきた。雪樹さんの、「クワイ・ガン=ユパさま説」には賛同です。
 帰宅したら11時に近く、駅から家までの間に抱っこしたおちびは夢の国へと行ってしまったのであった。


990910(金)
  購入本:なし

 おちびとお風呂に入り、本を読んでやって、すぐ起きるはずが…。ああ、睡眠不足がたたっているのだぁ。

 読んでやったのは、かこさとし『あさですよ、よるですよ』で、福音館の月刊「こどものとも」年少版の、もう十数年前のものである。えんどうまめの一家が主人公の、かこさとしらしい楽しくていくらかおかしな本。上の子たちが幼いとき、ふとんにはいってよく読んでやった本だ。本棚から見つけて出してきて置いたら、長男が「ああ、これよく読んだなあ。なつかし〜!おい、これニニたちよく読んでもらったんだぞ、今度はお前か、いいなあ!」と、嬉しそうに言っていたので、上のふたりが両脇にぴったり寄り添って熱心に本を覗いていたその暖かい重みをありありと思い出したのであった。


990909(木)
  購入本: 長野まゆみ   『夏至南風』   河出文庫
    リンゼイ・デイヴィス   『錆色の女神 密偵ファルコ』    光文社文庫
    ダ・ヴィンチ 10月号   メディアファクトリー

 昨晩更新後『月の砂漠をさばさばと』読み終わる。おもったよりずっとずっとぴたっと来る、いとしい本だった。

 日中いない間に、連れ合いに机とその周辺(上下を含む)を片づけられてしまった。
 私はヤツが以前使っていた本棚つき折り畳みデスクを使っているのだが、当然本棚部分も机の上も下も後ろも、本(と紙類)の山。けれども数日前に整理(整頓に非ず)して、山ごとにカテゴライズしたばかりだったのだ。
 これは、待機本。これは、待機本その2。これは、読まないといけない本。これは、借りた本だからなるべく早く読む本。あれ、みんな同じか?

 それなのに、きのうおちびがそばで紙をちょきちょき切って紙吹雪にしてしまったのを、日中家で仕事をしていたヤツが掃除するという理由で、ふだんから邪魔な私の本を片っ端から段ボールに押し込んでしまったのである。
 片づけたからね、と言うメイルを職場で受け取り、重い心を抱いて帰ってみると、はいはい、机を畳んだので部屋は広くなりました。でも、先日の私のあの労力は何だったの。仕分けし直す気力はなく、今も恨めしく段ボールを眺めているのである。

 しかし困った、図書館本まで見境なく詰め込まれてしまったので、どうしても近日中に「整理」しなくちゃ!よーし、1本本棚を買うぞ。…でも言い出せない。

 溝口大人のページがでているというので『ダ・ヴィンチ』10月号を買う。いったいどういう雑誌かも知らなかったので、レジで訊ねる有様。本の雑誌(一般名)だったとは知らなんだ。
 長野まゆみの近影もでていたが、このあいだサイン会で見たのより老けて撮れているような気がする。わざときつい顔に撮れたのを使ったのか?じつは彼女と梨木香歩は、背格好も顔かたちもかなりよく似たタイプ。


990908(睡)
  購入本:なし  

梨木香歩講演会詳細レポート  ★当日の速報版

 知らん顔してものすごく暑い一日。気分も、朝夕のたたずまいも、もうキンモクセイ気分なのに。キンモクセイ…金木犀…長野まゆみにあるのは『銀木犀』。
 おちびの保育園では、夏の締めくくりのお化け大会をやったそうな。年中クラスのうちの子は、年長クラスがお化け役をやったときは平気で入ったのに、次に先生がお化け役をやったときには泣いて逃げ回りとうとう入らなかったのだと。帰宅後もトイレに行くのに「一緒に行こう」と手をつないで行き、入り口で「そこで待っててね、ね!」と念を押す。お化けが先生だと分かっていてもやっぱりこわいんだね。

 北村薫『月の砂漠をさばさばと』読みかけ。
 最近けっこう読んでいる、湯本香樹実、江國香織、重松清、川島誠、だのは少し前ならきっと手を出さなかった(かもしれない)類で、恩田陸や北村薫なども名前だけは見ているがそれこそ男か女かも知らないと言うくらい(今は知ってるけど)。
 というわけで、北村薫初体験である。おーなり由子のすてきな表紙と挿し絵(イラストというより挿し絵の方が好き)で、軽めの本かなと思ったがなかなかこれが読みでがある。ちょっと、昔の石井桃子の作品を思い出す感じかな。ささっと読めるのだが内容はかなり充実している。他の作品はだいぶ感じが違うのだろうか?


990907(火)
  図書館本: 神沢利子   『おばあさんになるなんて』   晶文社  

梨木香歩講演会詳細レポートできました

 相変わらずの寝不足を抱えてへろへろ帰宅すると、出迎えた娘が、長男がさっきから寝ているという。こいつ、この数日おたふくまがいで、左耳の下が何となく腫れているのだが、そう言えば少し腫れているかな、と言った程度でそこが若干熱を持っている他、何の症状もない。う〜ん、微妙。食事だよと声をかけて起きてきた彼は、ボーっとしつつもまあ何とか普通に食べている様子。やはりしばらくしたら家族全員抗体検査か。それはともかく、わたしもあまりの眠さ、と言うよりだるさに、食後に1時間ほど寝てしまった。

 この時『おばあさんになるなんて』の最初の章を読む。子供の頃の自分と常に行き来している著者(と言うか、実際にはこの本の大部分は聞き書き)。
 子供の頃の自分と、たいていの人は断絶しているのだろうか。体験こそまったく違え、彼女の言っていることにはごく自然に共感を覚える私である。それにしても、ものを書くように運命づけられている人はほんとうに想像力と感受性が豊かであることに改めて驚かされる。と書いてしまうとすごく陳腐ではあるが本当に!
 この本は、挿し絵(表紙も)が佐野洋子で、とても綺麗。やっぱり買おうっと。

 『精霊がいっぱい!』下巻に突入。言い回しが、なかなか面白くて新鮮である。駄洒落は好き。デーモン・ストレーションとかバーチャス・リアリティ(高徳現実)だとか。帯には「熱血 ユーモア 冒険 ミステリ」などと書いてあるしカバーのイラストもそれっぽいのだが、いやいやどうして、意外にシリアスだぞ。


990905(日)
  購入本: なし  
  図書館本: 川島誠   『しろいくまと くすのき』   文溪堂
    ジョン・コートル   『記憶は嘘をつく』    講談社
    天沢退二郎   『光車よ、まわれ』   筑摩書房

 日頃の寝不足がたたる休日の朝は短く、さみだれ式に朝ご飯が終わり洗濯物を干すと、もう昼ご飯を考えなくてはならない時間だ。遅く起きた者はべつにブランチでかまわないのだが、連れ合いは8時頃起きてちょっと食べて仕事(きのう深夜に帰ってきたせいだ)し、11時から1時までおテニス、やはり2時間運動して帰ってきたらなんかあてがわないわけにはいくまい(他の全員は「食べたくないよ〜」と言っている)。この暑いのに長男のリクエストでとんこつラーメンとなり、材料買い出しなどのため商店街へ。
 昨日の梨木香歩の余韻で、現実に対応しきれない感じ。単に寝不足がたまっているという説もあるが、また違った視点で読み直さなくてはと言う強迫観念に近いものを感じ、気持ちがそちらの方にばかり向いている。

 夕方散歩がてらにおちびと図書館に行く。某所で話題の『しろいくまと くすのき』、きのう梨木香歩が話題にした『記憶は嘘をつく』はどちらも意外にもちゃんと在庫していた。前者なんて複本(2冊)あったが、読まれた形跡はないみたい。『光車よ、まわれ』はしばらく前には児童書の棚にあったと思ったが今日は閉架から出てきた。他に、やはりきのう梨木香歩が引き合いに出した神沢利子の『おばあさんになるなんて』は、先日から買うつもりではあったがすでに区内の他館にあってすぐにはいるそうなのでとりあえずリクエストをしておいた。
 このうち『しろいくまと くすのき』は短いのですぐに読了。とても重い〜。が、一般に安易に作品の寓意だけを云々したくはない、と思う。

 ほか、昨日購入した『父は空 母は大地』読了。最初に部族を引き連れて居留地に移動したアメリカ・インディアンの大酋長シアトルの演説が元になっているので、つい書棚からアメリカ・インディアンの詩『おれは歌だ おれはここを歩く』(福音館書店)を引っぱり出す。そう言えば、アリューシャン黙示録のスー・ハリソンが新刊を出したようだ。アリューシャン黙示録は興味がありながらまだ読んでいない。この1巻目の題名が『母なる大地 父なる空』なので思い出したというわけである。そろそろ『1万年の旅路』などを含めてアラスカものを読まなくちゃ。
 これと似た(と聞いている)ジーン・アウルの
「始原への旅立ち」シリーズは、以前4部中第3部まで読んで、面白いには面白いが、よく言われるように、ネアンデルタール人よりクロマニヨン人がずっと高等で美しいと言うように描かれ、しかもクロマニヨン人の姿はそのまま現在のヨーロッパの白人を思わせるなどの点があるので、興ざめであった。いちおう第4部も読もうとは思っているのだがどうも手が出ないままだ。第1部は文庫版にもなっているようだ。

 このサイトでは読書感想、あるいは本の紹介をもっとメインにしたかったのだが、オープン以来はやくも一年になろうとする今、気が付くとしっかり日記がメインになっている。読みながらのコメントや感想はけっこう日記に織り込んでいるのだが、感想のページにまとめることがなかなか出来ないでいる。きのうまこりんさんともそれが話題になり、「読んだらすぐに書かないとだめよねぇ。あとでゆっくり、なんて言ってると絶対書けない」とうなずきあったのである。反省はしたものの、う〜ん、なかなか難しいぞ。しかも私は文がつい長くなりがちと言う欠点があるので、難事業かもしれない…。


990904(土)
  購入本: フィリパ・ピアス   『まぼろしの小さい犬』   岩波書店
    北村薫   『月の砂漠をさばさばと』   新潮社
    寮美千子 編・訳   『父は空 母は大地』    パロル舎

 まこりんさんと待ち合わせてかねてより予定の梨木香歩の講演会に行く。
 表参道にある落合恵子の主催する書店(とくくってよいのか)クレヨンハウスの年間通しての企画「子どもの本の学校」の一環であるが、11時の開店時刻より当日券を発売するというので、あらかじめおととい電話で様子を問い合わせた上、1時間前の10時に現地待ち合わせとした。予告通りオレンジのTシャツ、ジーンズに、お約束の『エンジェル エンジェル エンジェル』を膝に乗せて入り口前の椅子にぽつんと座っているのは、わ、若い!!「おかあさん」ではなくて、「おねえさん」だわ、まこりんさん。内心の動揺を隠して(あらわだったかも)「こんにちは〜」と声をおかけする。

 梨木香歩のこと、それぞれのページのこと、子供のことなどあれこれおしゃべりしながら開店を待つが、この分なら開店時刻に来ても当日券30枚の中には楽勝で入れたかも。無事、まこりんさんは1番、私は2番の券をげっとしたのであった。地下の自然食レストラン(バイキング形式)で早お昼を取る。ここはおかずももちろんだが玄米ご飯がおいしいのである。うー、おなかいっぱい。講演会の開始時刻は夕方の4時。

 このあと私はどうしてもの用があったため、いったんまこりんさんと別れて渋谷経由で明大前に向かう。下北沢を過ぎたあたりで外はいきなり雨である。明大前に着くと、ものすごい豪雨となっているではないか。数分様子を見るが、一向に止む気配はない。すでに約束の時刻を過ぎようとしているので意を決して頼りない折り畳み傘を広げ、豪雨の中へ突入だぁ!7,8分の道のりであるが、すでに道は川、あるいは池状態になっている。白く煙るほどの雨のため、恥も外聞もなくたくし上げたロングスカートは前後ともぐっちょりになってしまう有様。ようやくたどり着いた先では、椅子に座れないほどの濡れようである。ニムの家ネズミならぬ、ニムの濡れネズミ
 しばらくして雨はほとんど止んだのだが、2時すぎ用が済むころにまた降り出してしばし足止め。全然ついてな〜い(涙)。結局3時半近くにクレヨンハウスに戻り、お茶しているうちにいよいよ講演会は開場である。

 さきほどの自然食レストランが片づけられ、椅子が並べられて会場となっている。30枚の当日券の他に、まだ20人ほど?の行列があったが、結局それも全部入れたようで、椅子を追加してさらに立ち見の出る状態となった。
 いよいよ案内されてきた梨木さんは、まったく予想通りの方で、終始感じのよいしゃべり方をなさるのであった。

 アニメ版「アルプスの少女ハイジ」をひきつつ、作品における人物の役割分担について語り起こし、続いて、成熟すると言うことは、今の自分が殻のようにあるのではなくて、その人のそれまでのさまざまな年齢層における「自分」が豊かに連関することだと述べられた。その実例が『くまのこウーフ』の神沢利子さんだと(『おばあさんになるなんて』)。

 「魂の滋養としての物語性」を深めるには、作り手はどうしたらよいか?その一つは、読者がある洞察(新しい世界観)を得るために「ああそうだったのか体験」をするように作る、ということだ、と、実例(北村薫『月の砂漠をさばさばと』)をあげて話された。

 そのあと、先日新聞に掲載されたショートショートを皆に配るため急遽コピーを依頼されたが、それを待つ間に質問コーナー。
 そこでは物語を書くことは自分にとって「ごはんを食べるのと同じように」自然なことであり、自分が安定しているためには書き続けないではいられないこと、『西の魔女が死んだ』の続編もいつか書くだろうことが語られた。
 私も「作品の成り立ちを跡づける上で執筆順が知りたい」と質問したところ、『裏庭』より先に出版された『丹生都比売』が、かなり早くから書かれ始めたものでありながら、じつは『裏庭』のあとに最終的な完成をみたのであり、しかもそのことを清水真砂子が「そのはずだ」と指摘した、という話を聞くことが出来た。
 コピーもできてご自身による朗読と、その書かれ方について。

 時間が足りない感じを残したままではあったが、彼女の作品を理解する大きな手がかりをたくさん得られた講演だった。終了後のサイン会にも多くの人が並んで彼女の人気を裏付けた。私の先ほどの質問に対する返答は「長い話になりそうなので…」としり切れトンボだったので、サインついでに重ねて私にとっての問題点を伺ったところ、じっくり考えて必ず返事したいという有り難い返答を頂いたのであった。

 こうしてみると私にとって梨木香歩は、ひとつひとつの作品というよりその作品全体が、かなり大きい意味を持っている、と改めて思えてならない。自分として今まで読みとってきたもの、感じたことが、およそ作者のみちすじとかけ離れたものでなかったと確認できたことや、読み解く上でのキーワードを得ることが出来たことなど、とても大きな収穫があり充実感を覚えている。梨木さんには感謝である。
 そうそう、『からくりからくさ』の次の本、『りかさん』は、もう書き上がっていて、たぶんこの11月に出るだろうということ。期待!

(この項あらためて詳細をまとめたいと思います)

 『精霊がいっぱい!』は降りる駅を忘れそうになるくらいおもしろいぞ。


990903(金)
  購入本: 『母の友 10月号』   福音館書店
    『こどものとも 年中版 10月号』    〃
    荒俣宏   『荒俣図像館 4 庭園』    小学館文庫

 やっと『宇宙消失』読了。最近SFらしいSFからやや遠ざかっていたので、久しぶりに楽しめた。ガネット『七百年の薔薇』を読むつもりが、やはり待機時間が長いほうを優先してタートルダヴ『精霊がいっぱい!』を読み始める。

 と思ったら『キリンヤガ』だの『アイヴォリー』だの読んでいたのであった。
 『キリンヤガ』だけ読んであれこれ考えている方にはついでにこの『アイヴォリー』もお勧めなのであった。こちらはキクユ族ではなくマサイ族だが。

 桃の季節ももう終わりで、これからは梨とブドウ、イチジク…と、果物好きには嬉しい季節が続く。ちなみにこの4種類全部、今現在冷蔵庫に入っているのだ(はあと)。
 イチジクと言えば思い出すのは、『プラテーロと私』である。詩人とその友人たちがたわわに実ったイチジクを投げ合い、みなイチジクまみれになる、月の銀色のプラテーロもそのとばっちりを食らってイチジクの爆弾を浴びてしまう…。

 この本は今は理論社のフォア文庫に入っているようだが、私のはその前身の理論社のハードカバーである。もう20年も昔、知り合いに貸したら「荷物の中で卵が割れて函がぐちゃくちゃになっちゃった、ごめんね〜」と中味だけ、しかも卵色のしみがべっちょりついて帰ってきたのである。フツーこんな状態にしてしまったら新しいものを買って返すと思うけどな。あまりにあっけらかんとしているので言うも無駄と思い、以後むやみに人に本を貸さないと言うご教訓の具象化したものとして今もその本は残っている。くすん。

 あすは梨木香歩の講演会があるのだが、当日券が買えるでしょうか!


990902(木)
  購入本: 重松清   『舞姫通信』   新潮文庫
     〃   『見張り塔から ずっと』    〃

 ★ださこん2レポート改訂しました。★

 昼休み、有里さんに、ださこん2の記念品を郵送する。な〜んだ?乞うご期待。

 郵便局から戻ってきてセブンイレブンのミニ冷やし中華をずるずる食べながら『宇宙消失』を一心不乱に読む。
 波動関数はいったいどの瞬間に収縮するか?
 それは大事にしまって置いたジャンボ宝くじの連番10枚の封を切って当たり番号と照らし合わせようとする、ちょうどその瞬間に違いない、と私はつねづね思っている。番号を見た瞬間、あれっ、さっきまで当たり券だったのに、と何度思ったことだろう。
 そうか、その時点までは波動関数は拡散しているのだから、「私が1等に当選した状態」を何気なく思い浮かべて封を切ればいいのね。何だ、簡単じゃん。

 娘がこの夏休みに読んだ本のリスト31冊も読んだとは、なかなかである。予定のない日は、日がな一日ソファに陣取って読みふけっているようだ。ときには職場に電話をしてきて、「あれの続きの本はどこ?」などと聞かれることもあるくらいだ。うう、これはいつまで続くのであろうか。
 実家に行ったら村上春樹とか宮沢賢治とかゲド戦記とかを発掘してこなくっちゃ、と思っているわたしであるが、翻訳物とかSF、ファンタジー系はいまいちかなあとちょっとがっかりである。荻原規子をすごいスピードで読んでいるから、ファンタジー系のノベルスにはまってゆくかも?少しクラシックなものにも、そのうち目を向けてくれることを願うばかり。


990901(水)
  購入本:なし

 いつのまにやら9月になったが、昼休み外に出ては今更の暑さにうんざりする。始業式を終えた息子から電話があり、一緒にスパゲティ屋でお昼。小柄な彼は、今日久しぶりにあった級友たちから「お前、変わった」「背が伸びたなあ」などなどと口々に言われたと、とても嬉しそうであった。夏休みのうちにどうやら私の背をほんのちょっと越したようなのである。

 終業後カザルスホールにて「仲道郁代の音楽学校」、今年は相方がチェロの林峰男さんである。このふたりの演奏は出会いものだ。
 終わったあと同行した連れあいと神保町で、そば屋の看板を出している、しかし飲み屋によって食事代わりに腹ごしらえをしながら、カザルスホールをはじめ金のかかって役に立たない(と思われる)ものは端からどんどん切るばかりという企業、ひいては自治体、国の発想の貧困さを嘆いたり。財政も貧困なんではあるけれど何とかならないものかいな、これ。

 じつはカザルスホールに行くため、地下鉄で座って『宇宙消失』を読んでいたら、神保町に到着前に寝てしまい、降り損なうところだった、とは未だにださこんの後遺症。


 

▲ページトップへ

<1999年> 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

<1998年> 9月 10月 11月 12月 

Home 

最終更新日 01/12/31 01:11:34
MHF03170@nifty.ne.jp