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10月30日(金曜日)晴れ所々雨

雷鳴を伴って降っていた雨が、明け方になってようやく上がった。ホテルの名前がサンダーバードロッジというだけのことはあると感心するほどの雷だった。
朝食を摂り、チェックアウトをする。このサンダーバードロッジは、ザイオン国立公園への入り口にある。昨夜の予定では、ザイオンは見ないでブライスキャニオンに行こうということになっていた。今朝の打ち合わせで「それでもせっかくだから」ということで、ちょっとだけザイオンを覗いて行くことになった。

サンダーバードリゾート
ザイオンの入り口
ざっとひとわたり、車を走らせてみるつもりのザイオンだったが、期待以上の風景に胸が躍る。結局端から端までいちいち車を降りて写真を撮る。「もう写真は撮らない」と言いながら、この3日で10本もフイルムを使う夫。相変わらずバッテリーを買いまくる私。なんとも学習能力のない夫婦だと、つくづく思う。3日前にオーレムを出発してから、目の前に開ける景色に感動することには「疲れた」と、何度となく言い合った。ごちそうもたまにならおいしいが、毎日続くといやになるの譬えの通りである。それでも目の前のごちそうを食べずに入られない貧乏性と、お互い笑いあう。

ザイオンは昨日までの2日間に見た国立公園とは趣を変え、勇壮な岩山と、豊かな緑の美しい峡谷である。場所によっては、日本の峡谷に良く似た風景にも出会う。何より感動したのは、赤く色づいたもみじの葉と思ったのが、かえでの葉(メープルリーフ)だったことである。北米に来たという実感が、新たに湧いてくる。
紅葉の峡谷
メープルリーフ
ザイオンは豊かな植生だけでなく、奇岩のそびえる渓谷でもある。目の前に真っ直ぐにそそり立つ岩山を見上げることが、これほど恐いものだとは気がつかなかった。子供の頃の高所恐怖症も治って、今では恐いものなどないと思っていた........。その岩山を登る人がいる。ザイル一本に命を託して登っている。ほぼ真下から見上げているだけで、恐怖感が込み上げてくる。
岩山を上る二人
ビジターセンターより
心底疲れてザイオンから直接15線を北上し、帰途に就く。途中15号線がまったく動かなくなってしまう。車から降りてキャッチボールを始める人もいる。しばらく待っても動かない。何が起きているのか、遠いところなので双眼鏡で見てもわからない。業を煮やした人々が、分離帯を横切り反対車線へと戻っていく。始めはRVやトラックなど車高の高いものだけだったが、乗用車も一台、また一台と戻り始める。おもしろ半分にエンジンを切って待っていた私たちも、とうとう我慢できなくなり、分離帯に乗り入れる。脇道を通り、一つ先のインターチェンジから再び15号へ入る。オーレムまで4時間。久しぶりに家で夕食を取ることになる。持ってきた日本食を堪能しようと、夫は張り切る。
車を降りて待つ人々
反対車線に向かう車
Kはハロウインパーティに、Yは仕事が終わるのが11時過ぎ。というわけで、夕食は私と夫、Yとリンダ(お母さん)の4人になる。「ちょっときついものがあるね」と夫と私。ご飯を炊いて、味噌汁を作る。ポークチャップを焼き、漬物を切る。何ともおかしな組み合わせである。支度をしながらザイオンに行ったと話すと、リンダが古いアルバムを取り出してくる。「昔はザイオンにキャビンを持っていた」と写真を見ながら話してくれる。ついでに、昔のイエローストーンでのキャンプの写真なども、懐かしそうに披露してくれる。こういう内容だと、英語の苦手な私たちにも何とか理解でき話が弾むことになる。KもYもいない食事はどうなることかと心配したが、何とか意思の疎通を図ることができたようである。月曜日のジャパニーズフードパーティーの打ち合わせも行う。知り合いのチャドが、日本でしばらく暮らしたことがあり、料理も得意なので「スキヤキ」を作るという。私と夫は餃子を作るようにと言われている。

食後にYは制作中のギターを取り出し、磨き始める。胴体をくり抜き、長い板を曲げて脇を作る。ネックも自分で作ったという。作り始めて2年。さらにこの先1年で終わるかどうかと彼は笑う。

ボディーを磨く
ここまで約2年

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