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2005-2006 駅伝時評 プロローグ

男女ともにマラソンは低調!
駅伝レースだけは今シーズンも花ざかり


昔の名前で出ています
マラソンはベテランに名をなさしめる

 名古屋国際女子マラソンを最後にして、今年度(05〜06)のロードシーズンはすべて幕をとじた。(厳密にいえば千葉クロカンあたりにも目配りしなければならないが……)
 今年度も箱根を中心にして駅伝レースは華やかであった。ヘルシンキの世界陸上の余韻が冷めやらぬなかで、シーズンは幕あけ、いつものように年ごとに出場チームが少なくなるあの横浜国際女子駅伝で閉幕となった。
 本サイトでは16の駅伝レースをとりあげ、気ままな時評としてアップしてきたが、最終回として総評をしたためるにあたり、まず今シーズンのマラソン・レースにおける日本人の成績にふれておかねばなるまい。
 駅伝はマラソンの延長にあるからである。駅伝はもともとマラソンのトレーニングのひとつとして始まっている。国内で駅伝がいくら盛況をきわめても、国内外のマラソンレースで日本選手のめぼしい活躍がなければ本末転倒、駅伝レースは本来の役割を果たしていいないことになる。
 今シーズンは8月にヘルシンキで世界陸上が行われている。日本勢は男女ともに5人が出場している。
 出場選手の顔ぶれからみて、男子は実績上位の高岡寿成に優勝の期待がかけられたが、結果は4位に終わってしまった。健闘したのは尾方剛のほうで銅メダルの3位、奥谷亘は14位、入船敏は20位、細川道隆は20位であった。
 女子は原裕美子の6位が最高、弘山晴美8位、大島めぐみ10位、小崎まり15位、江田良子17位という結果であった。女子の場合はラドクリフ、ヌデレバという世界のトップに比較して、タイム差や順位差以上に大きな距離があったようである。
 国内のマラソンレースをみわたしても、ほとんど収穫はなかった。何よりも活きのいい新鋭の台頭はなかったことがさびしい。
 男子の4大レース(福岡国際、別大毎日、東京国際、びわこ毎日)で、日本人は誰ひとりとして優勝できなかった。タイム的にもサブ10を達成したのは福岡の藤田敦史(3位=2:09:48)と東京国際の高岡寿成(2位=2:09:31)の2人だけというありさまである。これが新人ならまだ楽しみもあるが、高岡はもちろん藤田にしても今やベテランである。もはや登り目は期待薄である。男子マラソンは近年まれにみる氷河期に突入したようである。
 女子は東京国際で高橋尚子が優勝、名古屋国際では弘山晴美が悲願の初優勝をとげた。シドニーの金メダリスト・高橋の復活、弘山の37歳にしてマラソン初制覇は大いに讃えられるべきである。しかし、日本長距離の将来を考えると、頂点をきわめ、もはや峠すぎた2人にあっさり名をなさしめるようでは、日本のマラソン界に人材はいないのか……ということになる。日本女子の将来もけっして明るくはないのである。
 タイム的にみても弘山晴美の2時間23分26秒が最高というのでは、世界がだんだん遠くなる。


揺るがない王者の牙城
男子はコニカ、女子は三井住友海上が横綱相撲

 実業団駅伝は今年も勢力図に変化はなかった。男子はひわこ国際マラソンで2位にはいった松宮隆行のいるコニカが連覇で5度目の制覇、女子は名古屋国際で弘山にまさかの逆転をきっした渋井陽子のいる三井住友海上が3連覇で5度目の優勝である。
 50回を数えるニューイヤー駅伝ではコニカミノルタがまさに横綱相撲という趣で、あっさりと当面のライバルである中国電力を退けた。1区から好位置をキープ、中盤はやや紛れがあったものの、勝負どころではきっちりと決着をつけた。どこかれでも自在に勝負ができる。鉄壁の布陣であった。
 ライバルの中国電力は今年も前半に遅れをとって、終始リズムに乗れなかったようである。3位には富士通がとびこんで久しぶりに上位にもどってきた。ヤクルトの4位も予選の成績から見れば大健闘である。
 注目すべきはトヨタグループの3チームが常に上位を賑わせたこと。最終6位のトヨタ九州は3区、4区でトップを奪った。トヨタ紡織は7位、トヨタ自動車は9位……。なかでもトヨタ九州の台頭は新鮮ですがすがしいものがあった。系列3社がともに上位に絡んでくるというのは企業の勢いというものだろうか。
 意外な結果に終わったのは10位の日清食品、1区の出遅がすべて、15位におわったカネボウ、その原因はトヨタグループとは逆のケースというべきか。スズキの12位というのも納得できないものがある。
 女子の三井住友海上5度目の優勝でかつてのワコールとならんだ。対抗には関西の京セラがあげられていたが、勝負は出足の善し悪しで決まってしまった。1区でまずまずの位置をキープした三井住友海上にくらべて、京セラは1分以上も遅れをとった。1区の攻防がすべてであった。
 三井住友は3区の渋井陽子でトップがみえる位置まで肉薄、4区の石山しおりであっさりとトップに立ってしまう。繋ぎの区間に石山のようなランナーを配することができるところに、三井住友の強さがある。選手層の厚さ、チーム力の分厚さでは今年も一枚も二枚も抜けていた。
 健闘したのは2位の天満屋、3位の沖電気である。両チームともに大砲は持たないが、堅実にタスキをつないで流れに乗った。
 期待を大きく裏切ったのは京セラと第一生命である。京セラは1区のつまずきがすべてで最終5位までくるのがやっとというありさま。第一生命も1区で出遅れてチーム全体のリズムを失い、なんと13位に沈んでしまった。
 明るい話題をあげれば、駅伝娘・福士加代子の復活である。ワコールの5区に登場した彼女にとって、このレースが今シーズン最初の駅伝、14人抜きで17位から一気に3位まで押し上げてきた。顔にほほえみをたたえながら、1人、また1人と抜いてゆく走りは圧巻であった。


史上最大の混戦駅伝
実力伯仲でトップはめまぐるしく変転!

 大学駅伝は近年 まれにみる混戦模様であった。
 出雲では東海大学が初優勝、今シーズンの戦力充実ぶりをみせつけ、一気に箱根5連覇をねらう駒沢の対抗馬にのしあがった。のちに箱根を制する亜細亜大は出雲に出場していない。 優勝した東海が出場権のない全日本では日大が14年ぶり2度目の優勝である。2区からトップに立って、そのまま……という圧勝ぶりであった。駒沢は中央にも遅れをとっての3位、ここで各大学の実力は拮抗、にわかに箱根は戦国駅伝の様相を呈してきた。ちなみに箱根を制する亜細亜大は全日本8位であった。
 箱根は今シーズンも観るレースとして最も興味深いものがあった。
  史上3度目の5連覇にのぞむ駒沢、出雲を制した東海大、全日本を制した日大、両大会で2位に甘んじた中央など、優勝争いは混沌としていた。。なかでも近年まれにみる強力な布陣でのぞむ東海大の評価が高かった。
 事実、4強それぞれチャンスはあった。そのほか意外にもといったら語弊がありそうだが、山梨学院大、順天堂にも優勝の目はあったのである。勝利の女神は各大学に機会均等にチャンスを与えていた。だが、それぞれいま一歩のところでチャンスをモノにできなかった。最後は往路を制した順天堂と往路2位につけた駒沢にしぼられたかに見えた。事実7区をおわったときには、順天堂が最短距離にいた。だが8区で暗転、駒沢がトップに踊り出し、2位の亜細亜、3位の山梨、5位の中央までが2分以内で続くという大混戦となった。復路の半ばでここまでもつれる大会というのはめずらしい。
 最後はやはり駒沢……か、誰もが思っただろうが、その駒沢もチャンスを生かせずに、伏兵・亜細亜大にトップを奪われてしまうのである。
 かくして往路6位、復路2位の亜細亜大が総合優勝……という劇的な幕切れとなったのである。5連覇をねらった駒沢は最終的に5位に終わり、優勝候補ナンバーワンの呼び声が高かった東海大は6位に終わった。
 大健闘したのは2位の山梨学院、4位の順天堂大であろう。往路15位ながら、復路優勝で7位にとびこんだ法政大も、下馬評ではシード落ち……と、ささやかれていただけに、みごとな戦いぶりだった。
 逆に期待を裏切ったのは8位、9位に沈んだ中央大と日本体育大というところか。
 女子は今年も立命館と名城のマッチレースに終始した。
 大阪から仙台に舞台を移しての初めての全日本、立命館は3連覇をめざしての登場、当面の相手は2年連続で涙をのんできた名城、関東の雄・城西であった。レースは4区で名城のスーパールーキー・佐藤絵里が逆転、悲願の初優勝を達成した。
 全日本女子で立命館はエースの池田恵美を欠いていたが、2月の選抜大会で、こんどは名城が全日本初制覇の立役者・佐藤を故障で欠いて戦うはめになった。エース不在がひびいたのか名城は中盤で失速、立命館が選手層の厚さにモノをいわせてリベンジに成功した。6位に沈んだ名城にとって、来年は真価を問われることになりそうだ。

どこまでつづくのか! 仙台育英の連勝記録
女子は楽しみな新鋭が台頭

 高校駅伝は男子が仙台育英が3連覇、女子は興譲館が悲願の初優勝を飾った。
 昨年は「神の領域……」と言われる1分台に突入した仙台育英は今シーズンも強かった。3区までは伏兵・世羅が突っ走ったが、4区ではあっさり逆転して、そのままゴールまで突き抜けた。昨年は1区からトップをひた走ったが、今年は中盤から攻めての逆転優勝である。
 高校駅伝で3連覇は至難の業だが、その自在の戦いぶりからみて、指導者の脳裏には、しでにして4連覇、5連覇への設計図がひけているのだろう。
 女子は興譲館と須磨学園のマッチレースになった。興譲館は1区に登場したエースの新谷仁美が今年も激走、2年連続の区間新記録でライバルの須磨学園を48秒もぶっちぎって、結果的に逃げ切ってしまうのだが、須磨学園も2区で小林祐梨子が区間新記録で追い上げてくる。超高校級2人の走りはいかにも迫力十分だった。
 新谷と小林は高校駅伝だけではなく、全国女子駅伝、横浜国際女子駅伝でも快走、もはや日本のトップをもしのぐ勢いである。さらに福岡クロカンでも2人はトップを激しく争っていた。最後は小林のスピードが勝ったが、楽しみな新鋭が台頭してきたものだ。
 駅伝にかんするかぎり新谷は3度走って、3度とも区間1位を獲得している。なかでもエチオピアのランナーと激しく争って、競り勝った横浜国際女子の最終区の区間賞は燦然と輝いている。
 男子も女子も世界で戦える新鋭の登場が待ち望まれるされるなかで、新谷と小林はまれにみる素材である。来シーズンの本時評で、果たしてどのように採りあげさせてくれるのか。楽しみにして時機を待ちたい。



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