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追いつ、追われつ……。 降りしきる雨のなかで息詰まるデッドヒート。エチオピアのデンボバと日本の新谷仁美は最終区6区の2.8qから、ビッシリと体を接して火花とびちるような先陣争いをくりひろげたのである。 トップをゆくロシアははるか前方にに遠ざかり、2位の中国の後ろ姿さえももはや視界から消えようとしていた。 5区を終わった時点で、すでにして勝負の大勢が決してしまい、観戦する側としては、いささか味気なさにシラけはじめていたのだが、最後の最後でにわかにこのレース最大のみどころがやってきたのである。 第5中継所で日本は4位に落ちていた。アンカーはスーパー高校生といわれる新谷仁美だが、前をゆく3位のエチオピアとの差は26秒、エチオピアのアンカー・デンボバとの力の比較では新谷が上回るが、エチオピアやケニアの選手には量りしれない力をひめている。もはやレースは決したも同然……と、みていたが、中盤からにわかに3位争いが熾烈になってきたのである。 4位でタスキを受けた新谷がエチオピアのデンボバを急追、2.8qすぎで背後に追いすがったのである。3.4qで新谷がひとたび前に出たが、デンボバも必死に食らいついてきた。そこからゴールまで壮絶な3位争いがつづいたのである。ともに18歳、たがいに負けられない……という思いだったのだろう。 冷たい雨のふりしきるなか、たがいにスパートをかけ合うのだが、2人はもつれた糸のように絡んだまま……。最後は新谷仁美の地力が勝ったのだが、若さみなぎる2人のランナーの息づかいが聞こえてくるようで迫力があった。
24回を数える横浜国際女子駅伝、今年のナショナルチームは日本を含めて7チームであった。外国チームは中国、エチオピア、ケニア、ルーマニア、ロシア、アメリカ……。なかでもロシアがグリゴリエワをはじめ世界大会の入賞者をならべて、本気で勝ちにきたいた。ロシアをめぐって、日本、ヌデレバをのケニア、トメスクのルーマニアなどがどんな戦いをみせるのか。興味はそんなところにあった。 ロシアが1区から突っ走った。3000mの室内世界記録ホルダーのショブホワが飛び出し、ケニアのキプチュンバとエチオピアのフェカドウが追いかける展開、3q=9:01というハイペースであった。 日本はポイントになる第1区にスーパー高校生といわれる小林祐梨子を起用した。ずいぶんと思い切った抜擢だが、その試みはみごとに当たった。怖いモノ知らずの高校生は、さすがに上位3チームにはついていけなかったが、直後の4番目につけて、先頭集団からそれほど離れることもなく追走、3q=9:08というから、これはなかなかの健闘ぶりであった。 レースは4qすぎてロシアとエチオピアが抜けだし、最後はショブホワがフェカドウをねじ伏せた。注目すべきは小林の走りであった。5千mを走るのは初めて……というのだが、自分のポジションをしっかりとまもり、後半もそれほどペースダウンすることもなかった。最後は落ちてきたケニアに迫る勢いで4位に粘りきったのである。 区間1位のショブホワだけでなく、2位のフェカドウ、3位のキプチェンバ、そして4位の小林までが区間新、なかなか見応えがあった。
レースの大勢は早くも2区で決してしまった。 10qのこの区間、ロシアはエースのグリゴリエワを起用、3qでエチオピアの追撃を振り切ってからは、あとは一人旅、31:09は区間新記録である。中継所では2位のエチオピアに58秒もの大差をつけていた。 日本の石井智子はケニアを交わして3位に浮上するも、トップからは1分54秒もおいてゆかれている。 最下位まで落ちていたルーマニアはエースのトメスクで追い上げを開始したが、10位までやってくるのがやっとのありさま、むしろ注目は中国で10位から一気に4位まであがってきて、上位を狙える位置につけた。 ケニアはここで3位から一気に8位まで順位を落として一気に圏外に去ってしまう。5区にヌデレバを配しているとはいえ、2区でトップから3分という大差がついてしまってはどうしようもない。 地域選抜では中国・四国、関東、近畿の3チームが5位から7位につけ、前後20秒差内外でしのぎをけずっていた。 地域選抜といえば北陸・東北選抜の熊坂香織、3区の区間賞をもぎとった。繋ぎの区間というせいもあるが、ナショナルチームのランナーをしのいだのはみごと……である。かつて第一生命のメンバーとして活躍した選手である。強豪チームをはなれて選手活動をつづけているだけでも大変だろう。それにもかかわらず、いまなお衰えぬ力を保持している。その精進ぶりに拍手喝采したい。
本大会は伝統ある国際駅伝レースだが、近年はナショナルチームの数が少なくなり、千葉国際にくらべてもいまひとつ。今回もナショナルチームは7チームだった。観戦するレースとして、大会そのものの魅力が年をおって薄れてゆく。そんななかで、わずかな救いをあげれば、高校生ランナー・新谷仁美(興譲館)と小林祐梨子(須磨学園)の快走であった。 ともにスーパー高校生といわれるランナーで先の全国女子駅伝でもその実力をみせつけてくれたが、本大会でも目をみはるような活躍ぶりであった。 まずは大会当日に18歳の誕生日を迎えたという新谷仁美、エチオピアとはげしく3位を争い、ゴール前で相手をねじふせ、みごと区間賞を獲得した。そして高校2年の小林祐梨子は世界のトップクラスに臆せずに走りきっただけでなく、区間新記録というオマケまでついた。 若い2人をスタートの1区とアンカーの6区に起用したのは、期待の大きさのあらわれだろうが、これは、なかなか面白い演出であった。そして何よりもその2人が期待にたがわぬ活躍ぶりをみせてくれた。今回にかんするかぎり、本大会2人のためにあったといってもいいだろう。 2人の将来ある選手が本大会の快走で自信をつけて、大きく飛び立ってくれれば、国際駅伝としては、いささか色あせた感ありといえども、千葉国際駅伝もそれなりに役割を担うことになろう。 ★開催日:2004年2月26日(日) 神奈川・みなとみらい21「横浜赤レンガ倉庫」発着 42.195Km ★天候:午後1時 雨 気温6.2度 湿度88% 北の風8.4m ★ ロシア(L・ショブホワ、L・グリゴリエワ、M・コノクロワ、I・アビトワG・ボゴモロワ、A・サモクワロワ ) ★日本チーム(小林祐梨子、石井智子、中村友梨香、尾崎好美、小川清美、新谷仁美)
区 間 最 高
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