日時計 2000年2月 日記

本を読んでいるうち、いつのまにか日が傾いてしまっている・・・なーんて生活いいなア!

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2000.0229(火)
  購入本: ミカエール・アンドレオポーロス   『賢人シュンティパスの書』   未知谷
    町田純   『草原の祝祭 ヤンのヨールカ    〃
    星野道夫   『ノーザンライツ』   新潮文庫
    野溝七生子   『山梔』   講談社文芸文庫
    清水義範   『不死人類の伝説』   ハルキ文庫

 次男を寝かしつけた後、何度も起きて日記を書き更新したのに、またも全部夢だった。しょぼしょぼお目目で起き出して徘徊&更新。

 週末にネットから未知谷に注文していた『草原の祝祭』ほか、ポストカードなど届く。『賢人シュンティパスの書』は、先日行った旭屋、リブロなどでも目にしていない新刊本であった(未知谷はとっても好感の持てる対応)。

 野溝七生子と星野道夫が手に入って嬉しい。『ノーザンライツ』はハードカバーで持っているが、『イニュニック』同様、親しく身につけたい。写真もたくさん入っていてきれい。
 『山梔』の講談社文芸文庫は、近くの書店にはほとんど在庫がなく取り寄せ。この文庫はすっきりとした綺麗な装丁で好感を持っているが、なにせ値段が高い!『ノーザンライツ』はカラー写真たくさんで314ページ667円、『山梔』は461ページで1600円(いずれも税別)。こうしてみると、函つき布装ハードカバーのいかにも本らしい『眉輪』の3200円は高くない(高いけど)。

 『闇の守人』を読もうと思っていたが、この『山梔』を先に読み始める。さすがに『眉輪』ほど難しい漢字が出てこないのは、1983年立風書房版を底本としているからだろうか。すでにこの版で旧漢字等に手を加えてあるのかもしれない。けれども、『眉輪』でおなじみの独特の文体はそのまま。
 矢川澄子の解説をちらっと見ると、彼女(矢川)の『野溝七生子というひと』(晶文社)が挙げられており、おもにこの書名で私が野溝七生子の名を記憶していたことに思い当たった。要チェック。『山梔』はとても読みやすいので、昼休みと帰宅後とでもう半分くらいまで。


2000.0228(月)
  購入本: 徳井いつこ   『インディアンの夢のあと』   平凡社新書
  図書館本: 上橋菜穂子   『闇の守り人』   偕成社

 夜も更けてから、読みかけた『美しい鹿の死』を手に取って、結局またそのまま読んでしまった。次第にナチの手が身辺に迫る。口ひげがヒトラーそっくりのおじさん。収容所送りを前に、狩猟犬で、禁じられた鹿狩りをすること。取り上げられた池の鯉をそっくり浚ってナチスの鼻をあかし、食料と交換したおかげでユダヤ狩りを生き延びる。戦後「おやじ」の晩年、ハエ取り紙とうさぎのエピソード。などなど。
 斜に構えた姿勢でわざと淡々と書いている、というのではなく、修羅場をくぐり抜けた人間のもつ澄明さが感じられる。後の方に進むに連れ次第に単純に笑っていられなくなり、とうとう涙する。ぜひ、未訳短篇集が出版されることを望む。


2000.0227(日)
  購入本: オタ・パヴェル   『美しい鹿の死』   紀伊國屋書店
    『ユリイカ』 3月号 特集ボリス・ヴィアン   青土社
  図書館本: 町田純   『草原の祝祭 ヤンのヨールカ   未知谷

 『眉輪』を途中でやめられずゆうべ2時半までかかって読み終わる。
面白かった!!おすすめっ!!

 きのうまでの寒さから比べると今日は比較的暖かい。ベランダの緑に水やりをするとき土の匂いがして、春を感じる。午後からめがね直しと『ユリイカ』3月号を買いに出る。

 最近人気の料理研究家栗原はるみ(栗原玲児夫人)のHarumi.K.というブランドのショップ(オリジナルの食器類、エプロン、Tシャツ、リネンなど)が池袋東武百貨店に出来たというのでついでに覗くと、あれれ、ご本人が。何でも突然のことで店員もびっくりと言っていた。ご主人の方はとんとご無沙汰だがお元気なのかな。

 東武だけで済まそうと思ったのに、目当てのユリイカがここの旭屋はまだ2月号のまま。『美しい鹿の死』はつい買ってしまったが、やはりしゃくなので西武リブロに足を延ばし無事購入。先日目立つところにおいてあった『眉輪』は見あたらず。布教活動が功を奏しているのか?

 『ユリイカ』3月号ボリス・ヴィアン特集では、『幻想文学』誌の東編集長が寮美千子さん(とその掲示板周辺)をひいて「うたかたなるもの」の暗合を書いておられる。
 と同時に、
オンド・マルトノ奏者の原田節が「ハラダ タカシ」という名で記事を書いている。この人、カタカナ名前に変えたのだろうか?不思議な電子楽器オンド・マルトノの世界的に数少ない奏者の原田節は、また美声の持ち主で(とってもハンサムでもある)、コンサートでも素敵なシャンソンを披露する。これがス・テ・キ!ちなみにこの記事での肩書きにはオンド・マルトノ奏者、作曲家、シャンソン歌手とあった。おお、いつの間に。

 『草原の祝祭』を読むかたわら『美しい鹿の死』をパラパラと見る。つもりが、つい引き込まれて、短篇8編のうち3編を読んでしまう。なるほどチャペックの再来と言われるゆえんがわかるような気がする。エレクトロルックス社のトップセールスマンであり釣り好きの「おやじ」の、ユダヤ人迫害前後にかけてのエピソードが淡々と語られる。にっこり、あるいはクスクス笑ってしまう。辛い味付けのユーモアであるがシニカルに走っていない。まだ邦訳はこれ一冊のようだが、未訳の短篇集というのもぜひ読みたいと思わせる。訳のせいか日本語が分かりにくい部分が散見されるが、原語がこのようなのか、読み手の側の問題か。
 これを含めて今年に入ってから読んだ本は多少の差こそあれ当たりのものばかりなので、嬉しい限りである。


2000.0226(土)
  購入本: 村上春樹   『神の子どもたちはみな踊る』   新潮社

 長男が足の裏のいちばん当たるところにまた脂肪の塊をこしらえてしまったので、期末試験も終わった今日、外科に連れて行く。ひとりで行った前回は傷の治りが良くなく、あまりいい思い出がないようなので、今回は付き添って行く。娘も折悪しく足の親指を深爪をして化膿してしまったらしいので、結局次男も入れて4人でぞろぞろ。思いの外切った後が痛いと、長男は松葉杖を借りる。おお、痛々しい。ブツ(摘出した脂肪塊)はホルマリン漬けにしてもらい記念品となる。うー、前回より大きいぞ。

 家を出たのが遅かったので、終わると昼時を過ぎてしまい、めずらしく4人で珈琲屋でホットドッグなど。たまにこういうのもいいね、なんて言いつつ。

 待ち時間に『眉輪』の続きを読む。合間合間に、娘に「面白いっ!」と報告。人間関係がわかってくると、なんて面白いんだろう、時代背景は古事記だけれども、何と自由に色濃く人々を描いているのだろう。ところどころクリムトを思い浮かべる。帰宅してからも一心に読む。ところどころ、付箋をつけずにいられない。ああ、これからがまた楽しみ!いまは眉輪王が母と別れたところ。

 いま使っている付箋は、ポストイットのカラー透明版で、最近出た幅が5ミリくらいのもの。9色あって、全体に着色されているものと上の方だけ着色されているものとの2種類ある。このくらい細いのがブックマークにはちょうど良いが、あまりあちこちで売っている訳ではないのが面倒だ。

 村上春樹の新刊はノンフィクションかと思っていたが、よく見ると連作短篇集なのでつい買ってしまう。一見目立たない装丁のせいでそう思ったのか。実際に手に取ってみると、手になじむ、私好みのソフトカバー仕立てだった。背表紙から裏表紙にかけては、表紙の小さな絵の拡大版がもちいられており帯も同じ図柄で重なっている。絵の力か、思いがけず惹きつけられるものを感じる。惜しむらくは、裏表紙左上方の、バーコード等の情報が印刷されている部分が白抜きにされていること。いかにも裏口を見るようで、本当に惜しい!

 ……後刻。
 『眉輪』は3/5くらいの所まで進んだ。舞台劇を見るようではないか!?場面の転換、幕間に演じられる夢幻的な会話の数々、ハムレットを模した計略など。狂言廻しの役を務める神出鬼没の朽木媼。付箋もだいぶ増えたわん。いそいそ(と本に戻るようす)。そう、ごく上質のト書きでもあるような。


2000.0225(金)
  購入本: 塔晶夫   『虚無への供物』   東京創元社
    CUT 4月号   ロッキング・オン

 またジョニー・デップさまのお顔にひかれてCUTを買う。帰宅して子供たちに「ホラー!」もとい、「ほらー!」と「スリーピー・ホロウ」の表紙を見せびらかすと、ちらりと見て「うん」と軽くいなされてしまった。またか、と言う顔をしないのはしつけの良さであろうか。単にいつものことなのでいちいちいやな顔もしてられないってだけか。

 行きつけの本屋で「けさ入りました!」と『虚無への供物』(4000部限定は本当か?)を差し出す店長氏、「これって中井英夫なんですね!?題名を見て、あれっ、おかしいなって。あー、やっぱりそうなんですか」と言う。お読みになりましたか、と訊くと「はい、前に読みました!」えらいっ、買った本人はまだ読んでません。建石修志の非常に美しい装丁。前後左右上下うちそと、カバーを取ったりかけたりして眺める。見返しに雲英紙が使ってあるのは鏡花全集を思い出す(あの全集も綺麗な装丁)。

 『眉輪』登場人物一覧および関連図、早速の作成ありがとう〜有里さん!感謝感激雨霰(古)。

 『美しい鹿の死』 (オタ・パヴェル、紀伊国屋書店)という朝刊一面下の広告の書名に目を引き寄せられる。なんてうつくしい題名だろう!クリュニー美術館の一角獣と貴婦人のタピスリを思い起こす。何でも著者はチャペックの再来とある。また読みたい本が増えた。

 『ヤンとシメの物語』読了。ややや、なかなか哲学的な展開。高く、低く、ヤンの視点、シメくんの視点、気球からの視点など、3次元的な広がりを感じさせる。時間に言及しているから4次元か。それにしても白樺の林の黄葉、シメくんの住む、うち棄てられた屋敷を吹きすぎる風、森の中の空き地の日だまりなどなど、描写がほんとうに素敵。からだはここにいても、気持ちはすっかりヤンの住む広い大地へ行きっぱなしの上の空状態である。もしかして足と地面の間にちょっと隙間があるかも。


2000.0224(木)
  購入本: 神林長平   『言壺』   中公文庫
    W・アーヴィング   『スケッチ・ブック』   新潮文庫
    プレミア 日本版 4月号   アシェット婦人画報社

 本屋の音楽、映画雑誌のところで平台にジョニー・デップさまのお顔が!そうだよねえ、『ノイズ』『スリーピー・ホロウ』だものねえ、しかも表紙には「スーパースター」とも書かれている。

 ジョニー・デップは『シザーハンズ』でいっぺんに虜になり、『ギルバート・グレイプ』は劇場こそ行けなかったが、未だに繰り返しビデオを見る(最近はDVDも買った)。決して忠実なファンというわけではないが、あのシャイなほほえみがもうたまらない。トム・クルーズも美しいし、レオは最高だし、ジム・キャリーは大好きだし、マイケル・キートンはぐっとくるし、はげてからのショーン・コネリーは大ファンなのだが、ジョニー・デップは私にとっては特別な俳優だ。

 なかなか時間を割けないことが大きな理由で、映画には力を入れていないが、決して嫌いではない。どころか、実は大好き。しょっちゅうビデオを借りて片っ端から見ている娘がうらやましい〜。
 この『プレミア Premiere』という雑誌は初めて手に取ったが、そういうわけでデップと『スリーピー・ホロウ』、監督のティム・バートンにかなりのページが割かれている。折り込みでポスターもついている〜(嬉)。

 驚いたことに、デップの記事ではしきりに彼を「ハンサム」「美しい」「美貌」と言っている。私はデップに魅力を感じても、今まで彼を「ハンサムかどうか」という評価基準で見たことがなかった。風変わりで、個性的で、シャイな彼の、どこかぎこちないところ、いつでも当惑したような表情、何よりもその目が好きで…。娘も私がジョニー・デップがいい、いいと言い続けるものだからいつの間にか気に入りのひとりになったらしい。その娘に、この記事にはしきりにハンサムだ、美貌だと書いてあるが、そうかなあ?と水を向けると、「超〜ハンサムじゃん!こんな人がホントにいるんだよ!目の前に出てきたらぶっ倒れちゃうよ!」と言うのである。そりゃハンサムではないとは思わないけれども。
 彼はむしろマイナーな俳優だと思っていたせいもあって、このハンサム連発記事にはちょっとびっくり。お願い、あまりメジャーにならないでぇ。

 おまけにこの雑誌の『スリーピー・ホロウ』評はわるもの・大森望氏が書いているし、巻末近くの「マスター&パダワンのあっと驚く深読み術」でやたら盛り上がっているマスターとは渡辺麻紀さんなのであった。

 ちなみにアーヴィング『スケッチブック』はこの映画の原作が収載されている短篇集なのであった。アーヴィングと言ってもジョンではなくWashington、この文庫自体は、大森氏も記事の中で触れているが、昭和32年発行と、昔からあるもの(但し私は出会っていませんでした)。「リップ・ヴァン・ウィンクル」もここに収められているのか、ふむふむ。
 というわけできょうはもっぱらデップさま話(はあと)。

 ところで『眉輪』、人物の名前と読みと関係の一覧表を参照しながら読みたい〜誰か奇特な人いませんか、はかない期待。


2000.0223(水)
  購入本: なし

 昼食のサンドイッチを買いに行き、ここの角を折れれば古本屋…いやいや、今月の目黒係数は超高いぞ、と誘惑を振り払う(偉いっ)。そのせいか帰りの空模様が怪しかった。

 町田純『ヤンとシメの物語』を読んでいるが、昨日教わったヤンのページでは、今はもうない町田純の店「オデッサ・イスタンブール」のことを窺い知ることが出来る。ヤンシリーズと併せて読むと愉しさ倍増。本の方は、理屈っぽいシメ(鳥)が本能的行動(渡り)をしてしまうあたりにほほえみを誘われる。それにしても草原と森、季節の移ろいの描写が素敵だー。胸の中にさわさわと葦がそよぎ、白樺の木が揺れ、雲間から日差しが差し込んでくる。ああ、いいなあ〜。あこがれが胸を灼く。

 エンデバー帰還のニュースに、「そう言えばまほろばって知ってる?」と子供たちに訊ねる。「大和は国のまほろば、たたなづく青垣、山ごもれる大和しうるわし(表記めちゃくちゃ)」とうっとり唱える。怪訝な顔の子供たちに、「高校の古事記で習ったんだよ〜。ああ、なんて美しい言葉なんだろう、ってすごく感動したんだよ」と、解説してやる。高校生の娘「ふーん、まほろばってカタカナでマホロバかと思ってた」
 駄目押し:「なんでエンデバーがまほろばなの」ぅぅぅぅぅ、毛利さんが地球は我々にとってまほろばだという意味の発言をしたんじゃないかぁぁぁぁ!こみゅにけーしょん・ぎゃっぷ。

 美術館友だちが、今度はシスレー展があるよ、と教えてくれた。検索したらこんなお役立ちページが。有り難いっ。自分用のを作ればいいんだけど。

 どれ、『眉輪』をつまみ食いしてみようか。


2000.0222(火)
  購入本: アル・サラントニオ編   『999聖金曜日』   創元推理文庫

 帰宅する道々、ポータブルラジオで『小惑星美術館』の再放送(第2回)を聴く。この時間はちょうど空が暗くなり始めて、刻一刻と光の加減と色合いが変わってゆくときだ。満月をすぎて月こそ見えないが晴れ上がって次第に藍色に染まって行く空に、一つ、また一つ星が瞬き出すのを見ながら聴く『小惑星美術館』はまた格別の味わい。
 またも最後の「聞こえますか、聞こえますか?こちらはラジオ・グリーン。私はここにいます。あなたがそこにいてよかった」に感動。
 そのあと次男を保育園から引き取り手をつないで歩きながら見上げる天頂には、木星と土星、東にはオリオンとシリウス。ほんの1分ほどあとに再び見上げると、木星と土星をつなぐように、群青を背景に白い飛行機雲が出現していたのに驚く。

 猫のヤンのシリーズを最初に目にしたのは、こざる図書館だったので、お礼参り、ぢゃなくてお礼の書き込みに伺う。白鳥こざる@こざる図書館さんによるとシリーズの出版社の未知谷のページがあるという。わーん、ヤンのページもあるやん。嬉しいだす。これから『ヤンとシメの物語』に行くのだ。『我らが影の声』は忘れていませんのでよろしく。

 『月の石』読了。オスロのニコライの回りの人々がカリカチュアライズされているのはよいが、月の石を狙う謎の人物たちが思わせぶりに長々描かれている割には、世界を巻き込むと言うほどでないのがやや期待はずれ。月の神殿、伝説の部分は魅力的だ。いやしかし寒いオスロのなお寒々とした大邸宅で、ニコライが不思議な影や物音に身をすくめ、雪の中を歩き回るあたりはやはり独特だと思う。

 あっ、おそれおおいお方カウンタ25000を踏んで頂きました。合掌。もとい、感謝〜。


2000.0221(月)
  購入本: なし

 先日連れ合いが仕事で宮崎に行き、買ってきたおみやげが「ねりくり」「からいも団子」日向夏ようかん。「ねりくり」は、つきたての餅にふかしたからいも(さつまいも)をつきまぜて黄粉、砂糖をまぶしたもの、これに粒あんを包んで大福仕立てにしたのが「からいも団子」だとある。賞味期限を見るとなんとその日一日!今すぐ2パック平らげなくてはならないのはつらい〜!とか言いつつそのふわふわな黄粉餅を食べると、これがヒット!ぷにぷにでうす甘くて、おいし〜い!地元の人にお勧めを訊いても、何もなくて、というので、スチュワーデスたちが群がっているところで買ってみたのだそうだ。また買ってきてくれー!!日向夏ようかんは、金沢あたりの柚ゆべしの日向夏バージョンといった感じの、まるごとの日向夏(小ぶりの夏みかん)をくりぬいた中にようかんを充填したもので、これもなかなか美味である。それこそ何も特産品がない東京はつまらない。

 先日野溝七生子『眉輪』を購入したが、今日の読売新聞夕刊「手帳」欄によると、これが刊行されたのと同じ2月12日に、講談社文芸文庫から同じ野溝七生子の『山梔』(くちなし)が出たそうである。この文庫はそこらの書店ではなかなか常備していないので、捜しにくいこと甚だしい。
 この記事では野溝七生子のプロフィールが簡潔にまとめられているので、どこかで野溝の名前を聞いたことがあるにすぎない私にはタイムリーな資料だ。

 その夕刊の同じページに、クイケン・アンサンブルの演奏会評が出ているが、クイケン兄弟と寺神戸亮の組み合わせって、どうにもお顔がブルブル以下略。

 読み途中の『月の石』はどこか異教的な月の神殿、モンゴルの草原、ノルウェーの街、ダイヤモンドの密輸、など舞台があちこちに散らばり、交互にそれらの物語が語られる。北欧の作品に共通して感じられる独特の暗さ、というより昏さが、読む者にとってある種の忍耐を要求するかも知れない。


2000.0220(日)
  購入本: 清水義範   『おもしろくても理科』   講談社文庫
    J・ケッチャム   『老人と犬』   扶桑社ミステリー
    壺井栄   『壺井栄童話集』   新潮文庫
    皆川博子   『妖櫻記』上下巻   文藝春秋

 またも娘がクッキー作りに精を出す。次男が、タネをこねたりのして型抜きをするのを見て自分もやりたいというので、そうだっ、この前なにかに小麦粉粘土の作り方がでていたな、と思いだして早速製作。ちょっと柔らかめになってしまったが、赤ちゃんのほっぺのようにふわふわした、優しい粘土ができた。次男も一生懸命こねたり延ばしたり。今度は本物のクッキー作ろうね!

材料:小麦粉2カップ、塩1カップ、水2カップ、コーンスターチ1/4カップ、サラダ油1/4カップ、クリームオブターター(製菓用酒石酸、なくてもよいが、入れると手離れがよくなる)大さじ2

作り方:材料全部を鍋に入れ、木べらで混ぜながら、ひとかたまりになるまで弱火で数分練る。食用色素を水で溶いて加えると色粘土に。 (婦人之友 2000年3月号より)

 寒くなるといやだから、と雪混じりの雨が止んだ昼頃、次男と近所に買い物に出たが、この頃が一番寒かったかも。まだ時折雨がちらついたりして次第に冷え込み、帰りがけから腹痛。この時寄った古本屋(いつも行く職場の近くのとは別)で上記を購入。ローカルに話題の皆川博子はハードカバーだったので迷ったが、2冊で400円、しかも綺麗だったのでゲット。ほかの買い物が小麦粉、砂糖、豆腐、バナナ、バター、などなど、やたらに重いものばかりだったので帰りが大変だった。12月に痛めた手首がまだ治りきらずまだ自転車には乗れないため、荷物は大きめのリュックに押し込み、あとは手に持つしかない。抵抗せずに母のところからショッピングカーでも借りてくるべきかも。うう、まだおなかが痛い〜。

 寮美千子・文/伊沢正名・写真『しあわせなキノコ』『日本のきのこ』と併せて再読後、昨夜から読み始めた森まゆみ『その日暮らし』を読了。うーん、素敵な音楽を聴いて、好きな本を読む、今一番のシアワセ。
 『日本のきのこ』は山渓の図鑑だが、伊沢正名が共著として写真を担当しており『しあわせなキノコ』と同じ写真も散見される。これは長男が小さいときに父親が「これがいいって言うから」と嬉しそうな顔で買ってやったもの。

 夕飯は鮭の粕汁だったが、舞茸とシメジを用意しているとさっきのキノコ本の写真の数々がまぶたをよぎるのであった。

 トルーモー・ハウゲン『月の石』に取りかかる。表紙絵が印象的。


2000.0219(土)
  購入本: 町田純   『ヤンとシメの物語』   未知谷
     〃   『イスタンブールの占いウサギ』    〃
    野溝七生子   『眉輪』   展望社

 日だまりの植え込みを次男と通りがかってふと足を止めると、沈丁花がほころび始めていた。早速顔を近づけると今年初めての芳しい春の香り。「開いているところの匂いを嗅ぐんだよ」と言うと「小さいのはどうかな?」と、開きかけのつぼみに花を近づける次男。「すこーしだけいい匂いした?」と訊くと、「ううん、いい匂いいーっぱいした!」
 少し行ったところではさざんかの花にメジロがとまってしきりに蜜を吸っている。足を止めてみていると向こうもハッと気が付き、しばし見つめ合う。メジロの目は、さもびっくり!というふうにまん丸でした。フフフ、メジロっていつでも白い縁取りのびっくりお目目なんだけどね!

 野暮用に出掛け(いつでも野暮用のみ)、途中池袋西武リブロによる。新刊書の入り口のかなり目立つ平台に、『眉輪』があった。値段の割に分厚くなかったので良かった、のかどうか。最近の単行本には珍しく、堅い函に入っているのがたいそう好もしい。ただしグラシンペーパーは掛かっていない。 いったいどんな内容なのか、どきどきしてしまう。

 今週FMをBGMに聴いているときに、手が止まってしまうくらいぐっと胸を掴まれる曲を流していた。ボーイズ・エア・クワイアというグループであるが、CDショップで訊くと即座に有り場所を教えてくれたので、たぶん巷では既に人気があるのだと思う。英国の各聖歌隊のトップシンガーたち(もちろんボーイ・ソプラノ)によって編成されたものだという。早速『Air』というアルバムを買い求めて帰る。「マハラリィの華」「シューラ・ルーン」「デュラマン」「マーメイド」などなど、ケルトの香りのするものが多く、独特の旋律がたまらない。また「天に在すわれらの父よ」は主の祈りを16世紀の作曲家カデクの旋律で歌ったものとあり、この一途な美しさと言ったらない。ああ、もうけ、もうけ!
 ついでに今が旬の若いギタリスト木村大くんの『ザ・カデンツァ17』も買ってしまった。例のヨーク作曲「サンバースト」&「ムーンタン」はじめどれも刮目。いやはや、今でなくては聴けない演奏をぜひとも記憶と記録にとどめておきたい。おすすめ!

 音楽ネタをもうひとつ。BBC交響楽団の首席指揮者アンドルー・デイヴィス(はあと)は、毎年大人気のプロムスラストナイトコンサートを振っていて、私も彼のゴキゲンな指揮の大ファンである。最近はオールバックにお髭と、マエストロ風のお姿になってしまったが、少年のような目と微笑み、指揮のスタイルは相変わらずのようだ。ところが、先日のFMのN響ライブ放送によると、彼がラストナイトを振るのは今年限りで、来年からはレナード・スラットキンに交代するのだという。えーん、非常にがっかり〜。と言うかガックシ

 先日から読みかけたままだった『マツの木の王子』を読み終える。フェリシモ出版が読者のリクエストにこたえて復刊した本だと言うが、残念ながら私は以前には出会っていない。しかしなるほど、子供の頃に出会ったこの本にまためぐり会いたい、と思わせるだけの切なさに、私もファンになった。最後でまた泣いた。煙は消えてしまうの〜。


2000.0218(金)
  購入本: 池澤夏樹   『旅をした人 星野道夫の生と死   スイッチパブリッシング
    加納朋子   『魔法飛行』   創元推理文庫
    R・C・ウィルスン   『時に架ける橋』   創元SF文庫
    ロバート・アスプリン   『魔物をたずねて超次元!』   ハヤカワ文庫SF

 昼休み、銀行と郵便局と薬局と本屋とパン屋に行ったら、時間はかかるは、荷物は重いは、息切れ状態。急ぎ足で歩いたので寒さを感じなくて良かったかも。

 『精霊の守り人』はなかなか力が入り、昼休み、終業後、夕食後と脇目もふらず読んでそのまま読了。最初に出てきた女用心棒(うーむ)バルサが主人公と思いきや以下略。

 次は(キャロルはともかく)ドラゴンファームシリーズ?『西の善き魔女』?それとも『リトル、ビッグ』?今日の、『時に架ける橋』とは?まじめにカルヴィーノも読みたいし。うーん、悩む。(と、頭を横向きにしてつらつら積ん読の山の背表紙を見る…)あっ、『その日暮らし』にしよう!(ちょっと、デ・ラ・メアや新・妖精文庫はどうするのよぅ)

 『小惑星美術館』、ユーリがもうちょっとキンキン叫ばないともっといいんですけど。まあ夜に聞くからそうなので、夕方の再放送だとまた受ける感じも違うと思う。ネモ船長の高木均はどうしても私にとっては愛するムーミンパパ。
 お願いだから、まいにち「こちらはラジオ・グリーン。私はここにいます。あなたがそこにいてよかった」をやって欲しい〜。


2000.0217(木)
  購入本: なし

 寒波も3日目である。凍りそうな寒さであるが、娘などは制服の短いスカートで出掛ける。そう言えば私も高校の頃、ミニスカート・もちろんストッキングなしで雪合戦したっけ。寒かったのだろうが、「寒かった」という記憶はないぞ。今は手袋、襟巻き(きょうはやっぱりマフラーでなくて襟巻きでしょう)で完全武装。イヤーマフ欲しい。

 『空に浮かぶ子供』読了。ますます哲学的。映画監督のウェーバーが主人公で、前作のカレン(『月の骨』という本を書いた)やマリス(レゴの都市を作っている)たちも顔を出す。このシリーズはさらに続いているのだろうか?とりあえず長篇第2作である『我らが影の声』に進むことにする。実家のどこかに『犬博物館〜』あるはずだがあとはハードカバーか。図書館頼み。

 図書館で借りている『精霊の守り人(もりびと)を読み始める。ケルト文様に似た意匠の表紙、扉絵は蓮らしい植物文様とともに描かれた異形の生き物(こりゃあ指輪のゴクリだ!)。主人公は橋を渡っていて、上流側の橋を見ている。背中に傾いた西日と来れば川は東から西に流れているのだと思うのだが、地図によると北から南南西に流れているように見える…。
 虹の描写があるとき、どう見ても太陽と雨が同じ方向にあったり、そんな時間に沈むはずのない月齢の月が山の端にかかっていたりすると、興ざめ。

 FMのニュースで、現在スペースシャトルで飛行中の毛利衛さんが「素晴らしい地球、という意味の『地球・まほろば』と言った」と言う。ん?確かにそれに続いて緑育む地球だのと言っていたからまあ良いのだが、『地球・まほろば』=「素晴らしい地球」とは、ものすごいパラフレーズなり。古事記でこの言葉を知ったときの衝撃、よろこび。ああ、NHKには憮然とするのみ。

 ヘルプリン/オールズバーグ『白鳥湖』、昔の物語ならちゃんと大団円になったのであろうが、悲しいかな、現実の世界(に近い世界)に開かれて高い山から引きずりおろされてしまうのが現代の物語の定めなのであった。というところで>有里さん。でも美しかったでしょう…!


2000.0216(水)
  購入本: 清水義範   『禁断星域の伝説』   ハルキ文庫
    ドナルド・キーン   『日本語の美』   中公文庫
    講談社インターナショナル編   『これを日本語で言えますか?』   講談社インターナショナル
    トールモー・ハウゲン   『月の石』   WAVE出版
    飯田雪子   『地下十七階の亡霊』   プランニングハウス
     〃   『再生のとき』    〃
    赤江瀑   『春喪祭』   徳間文庫

 一日、死にそうに眠い。一昨日はかなり夜更かしをしたのだが、昨晩はそうでもなかったのに。本当に眠い時って、例えば電車で吊革につかまっているときなど、手はぎゅっと吊革を握っているのに、ひざがガクッと脱力するが、まさに今日はそれ。立って作業していて、時間待ちしているとき、ちゃんと起きて居るつもりなのに次の瞬間ガクッ!あー、ひとりで作業していてよかったー。

 古本屋に赤江瀑が増えていた。もしやここのご主人、幻想的掲示板周辺を見ているとか…?


2000.0215(火)
  購入本: 天沢退二郎 ほか   『幻視の文学1985』   幻想文学出版局

 昨晩、と言うか未明、『炎の眠り』読了。いやその、もう少し、もう少しと読んでいたらやめられないところまで来てしまったので。
 これもまた、ハッピーエンドでおしまい、と思いきや最後におっかないオチが。うまいっ!さっそく『空に浮かぶ子供』に飛び込む。前作までに出てきた人物や事物が再び現れる。題名からして、『炎の眠り』に出てきた、教室から飛び去って行く子供たちを想起する(現時点ではどうしてこの題名かは不明)。

 MZT氏から『幻視の文学1985』が届く。さっそく山尾悠子作品(とても短い)を読む。天沢退二郎も書いている(「土神の夢」)が、これは単行本におさめられている(筑摩書房『ねぎ坊主畑の妖精たちの物語』収載、入手可)。

 同便でヒラノさんがゲットして下さった『ナビィの恋』のサントラCDも送っていただいた。この映画は音楽なしには語れない。ナイマンのテーマ曲は、一種のフレームを作る役割をしていて、しかも空気のような肌触りがよいと思う。ほかは、やはり視覚的要素が大きく、映像と切っても切れないので、また行くか、ビデオ化(DVD化)に期待。
 職場の友人が、ラジオの番組でおすぎがこの映画を絶賛していた、と言っていた。どう誉めていたのだろうか、聞いてみたいものだ。
 ストーリーの展開にやや難がなくはないけれども、そこは言及されない部分を自分で都合良く埋めて(おばぁが、取り立てて魅力的に描かれていないサンラーを選んだわけとか、奈々子が福之助を選んだところとか、ユタのお告げはどうなっちゃったんだとか)それなりの理由があったのだろうということにして見たので、とりあえず問題なーし。良さの方がこれらの瑕疵をはるかに上回っているから。


2000.0214(月)
  購入本: 赤江瀑   『マルゴォの杯』   角川文庫
     〃   『ニジンスキーの手』    〃
     〃   『鬼恋童』   講談社

 さっそくひみつそしきの活動にいそしむ。

 きのう日中、町田純『ヤンとカワカマス』読了。これは独特でとても好きです。シリーズの他の本は図書館にリクエストした(区内の他館にある)ので2,3日ですぐ手に入ると思ったのに、今日から10日間ほど蔵書整理で休館なのであった。

 『炎の眠り』はちびちびとしか捗らないのだが、たとえば訳わかんないえいごを読みながら居眠りをしているとき、物語の中の「夢」や登場人物があたかも私自身の「夢」であるかのように私の夢and/or現実と奇妙な入り混じり方をし始めている。
 たぶん、他の作品も全部読む羽目になるのだろうと感じる。と同時に、初めの方だけ読んだきりのジョン・クロウリー『リトル、ビッグ』が思い出されて気にかかる。

 寮美千子『小惑星美術館』のラジオドラマ(第1回)を聴く。原作とはレンガの月への入り方が違っている。別物、別物、と小さなおまじないをとなえる。
 最後に投げかけられる呼びかけに引き寄せられ、ぺったりスピーカーの前に座って耳を傾ける。

きこえますか、きこえますか。
こちらは、ラジオ・グリーン。
私はここにいます。
あなたがそこにいてよかった。

 私は胸の中でくりかえす、私はここにいます。あなたがそこにいてよかった、と。
 いまこの時間に、何人もの私とあなたが同じ時間を共有している。そして、心の境界線を遠くまで差し伸べる。窓の外へ、静かな夜の中へ向かって、ラジオの空電と共に感覚が遠く広がる。

 銀河盤って、ユーリが両手を広げても届かないくらい、大きかったのか…!


2000.0213(日)
  購入本: 眉村卓   『ねじれた町』   ハルキ文庫
    酒井 健   『ゴシックとは何か』   講談社現代新書
    ネムキ 3月号   朝日ソノラマ

 有り難いことに有里さんが、先日お願いしたひみつ組織のバナーばかりか、すんばらしいページまで作成して下さった。参加希望の方は規約に従って手続きをおとりくださるよう。

 ビックカメラパソコン館、東急ハンズなどへ行く。MS FrontPageを購入。けっこうめんどくさ〜。ホームページビルダーが売れるのが分かる気がする。あちらは感じでいじっていれば適当に使えてしまうのだが、こちらは説明がわかりにくいことこの上なし。大体はベタに字を書くだけなので、満載の機能もそう使わないからいいや(何でわざわざ買ったんだ?)。

そう言えば、明日からNHKFMで寮美千子『小惑星美術館』のラジオ・ドラマが放送されるので、エアチェックしなくては。


2000.0212(土)
  購入本: 町田純   『ヤンとカワカマス』   未知谷
    柳瀬尚紀   『猫文学大全』   河出文庫
    S・モーム   『カジュアリーナ・トリー』   ちくま文庫
    びわの実ノート 第9号   びわの実ノート編集室
    季刊 ぱろる 1号   パロル舎

 午前中長男と高校の入学手続き。今時にしては珍しく(と思う)ここは受験料も入学金もすべて現金である。私もめったに持ったことがないン十万円を「よく見て置きなさい」と息子にしかと見せて支払う。あー、バッグが軽くなった。

 長男とお茶してから別れ、まこりんさんとまちあわせの表参道・クレヨンハウス(最近ようやくホームページが出来たとのこと、しかし更新されていないぞ〜)。地下の自然食レストランで腹ごしらえした後に話題の映画『ナビィの恋』を渋谷で見るのが目的である。
 少し早めに着いたので、あれこれ物色。梨木香歩の短篇の出ている『びわの実ノート 第9号』を発見し購入。廃刊された『飛ぶ教室』のバックナンバーなど、なかなか他では見られない雑誌などがたくさんあることに今更ながら気付く。まあ、あまりここまで足を延ばす機会はないけれど。ちょうど支払いをしているときにまこりんさんが現れ、彼女もこの同じ本を買う。梨木香歩は私たちのマイ・ブームなのである。

 玄米ごはんのランチバイキング(これがおいしいのだー!)をついおなかいっぱい食べる。話題はやっぱり本のこととネットのこと。ああだこうだとしゃべっているうち、3時近くなったので急いで映画館へ向かう。到着したのは上映15分前くらいだったのだが、予想より人が多く、滑り込みで席が取れた。しかし別々の席。すぐに立ち見の座布団を配り始めていた。
 事前の予備知識はほとんどゼロ、
公式ホームページも強力布教活動をしているヒラノマドカさんの感想も読まないまま、沖縄のほうのどこかの島が舞台と言うことしか知らず。そして…。

 これは必見!まぶたの裏はこんな色でいっぱい。どうして?って、見ればわかるのだ。

 音楽もキャストも風景も空も海も、ツボだった〜!なぜかいつの間にか、笑っては泣き、泣いては笑っている自分。いったん落ち着いたと思ったが、エンドクレジットの部分で再びじわあっとこみ上げてくる涙に、しばしハンカチを目に当ててしゃくりあげてしまう。なんなのだろう、これは。なにかが心地よく解放された気分なのか。

 先日某BBSで、「旅したいところ」というお題のもとに次のような書き込みをした。

波照間島、っていう名前に、すごく惹かれます。
南の海で小舟に揺られていると、金に砕ける波の間にまの遙か遠くに、
幻のような小島が見えるの。
それが、波照間島。
というイメージをずっと抱いています。

今日のこの映画のクライマックス部分にほとんどこのイメージに近い光景があって、目がまん丸くなるのを禁じ得なかった。波の向こうに見えたかも知れないのは「アイシテルランド」か、はたまたニライカナイか。

 明るいところに出られないくらい、いかにも泣いた後の赤鼻顔になってしまったので、終演の5時半がもう暗くなっている時刻であることを有り難く思った。ところがそれも束の間、建物の外に出ると渋谷の町は人だらけ、そして一つも暗くなんかないのであった。ああ、悲惨。

 マドカさん、布教してくれてありがとう!まこりんさん、誘ってくれてありがとう!でもマドカさん、「老婆」ではおばぁアイドルが泣くんでは?

 今日は電車に乗ったので、車中で『炎の眠り』の続きを読む。ちょうどそろそろキャロルらしい逸脱が始まったところである。


2000.0211(金)
  購入本: エリナー・ファージョン   『ファージョン自伝 わたしの子供時代   西村書店
    SWITCH vol.18 No.1 特集 岡崎京子   スイッチ・パブリッシング
    ムー 3月号   学研
    ユリイカ 2月号 特集 アイルランドの詩魂   青土社
    ず・ぼん 6号 特集 児童書は元気かい?   ポット出版

 きのうは長男の高校受験の日なのであった。結果発表は今日なのであったが、本人は今日も別のところを受けに行ったので、連れ合いと次男とで結果を見にゆく。掲示ではなく受験票と引き替えに封筒を受け取る。おそるおそる中を覗くと……よかった〜!ゴウカクしていた〜!(これで明日は3日連続のカツ弁当を作らないで済んだ)

 というわけで、肩の荷が下りてつい寄ったBookoffで『ファージョン自伝』を買う。分厚い。こんなのいつの間に出ていたんだ、と思い奥付を見るとほとんど新刊だ。つい先日買った『ウィリアム・モリスコレクション 世界のはての泉 上・下』なんぞも出ている。ああ、とてもソンした気分。

 監訳者(中野節子)の解説を見ると、本国イギリスおよびアメリカでもほとんど絶版になっているファージョンの本のうち、私のもっとも好きな(と言うか、どれも甲乙つけがたいのだが)『リンゴ畑のマーティン・ピピン』が、インターネットでよみがえったと書かれている(嬉)。その解説からの引用:

1993年、絶版になってしまっている古い本を、デジタル処理してインターネットで読めるようにする、「オンライン・ブックス・ページ」というプロジェクトが、カーネギー・メロン大学で開始された。その一環としての「女流作家たちの祝典」という分野で、並み居る英国女流作家の作品の一つとして、エリナー・ファージョンの『リンゴ畑のマーティン・ピピン』が採用され、その原文全文が挿し絵付きで公開されているのである。

 そして絶版になっている『リンゴ畑の〜』のamazon.comの読者の書評欄に、「日本人を含む熱心なコメントが寄せられている」ことがデジタル化のためにファージョンが選ばれた一因であろうという意味のことが書かれている。
 しかしここまで書かれているのに、解説にはまったくこれらのURLが書かれておらず、なんたるちゃー、と急いで調べる羽目になったのであった。と言っても別に急がなくたって良かったのだが。
 YAHOOで、【online books page】や、【carnegie mellon】、さらに【fargeon】でひいても、近くまでは行くのだが結局ノーヒット。カーネギー・メロン大のライブラリをちょっとさまよっても見あたらない。そこでもう一度YAHOOに戻り、最初から【fargeon】でひいたら、あーら、何のことはない、一発で当たり!
これが"Martin Pippin in the Apple Orchard"である。リチャード・ケネディの素敵な挿し絵がなんともいいでしょう!日本語版の作品集(岩波)は高校時代に揃えてあるので、挿し絵などほぼ英語版と同じ形のものが手許にはあるのだが、何冊かもっているファージョンのペーパーバックの中にピピンは残念ながらない。それがこうして居ながらにして英語の雰囲気が味わえるのは実に嬉しいではないか!(って、いつ読むかは不明)

 でもこのライブラリの中にフィリパ・ピアスはないの。彼女は現役だからか。

 キャロル『炎の眠り』を読み始める。『月の骨』には、主人公カレンの、生まれなかった息子が重要な人物として登場する。じつは、ちょうど10年前の今頃(もう10年も前!)残念なことに3番目の子を妊娠6ヶ月でなくしているので、こういう設定はホントはとてもイタイのであった〜。

 TVでナウシカを見ていた次男、腐海の深奥で王蟲が水の中から現れるシーンを見て、「うわァ!王蟲だ!…よく水の中で耐えられるねェ!」5才のご立派な日本語に、おもわず足を突っつきあう父と母なのであった。


2000.0210(木)
  購入本: 赤江瀑   『夜叉の舌 自選恐怖小説集   角川ホラー文庫
    槇佐知子   『くすり歳時記 古医学の知恵に学ぶ   ちくま文庫
    ジャン・コクトー   『ポトマック』   河出文庫
    上遠野浩平   『ブギーポップ・ウィキッド エンブリオ炎上』   電撃文庫

 川面に差し交わす桜の枝に、日溜まりの沈丁花に、名を知らない植え込みの木々に、いつのまにか硬く丸いつぼみが付いているのに気付く。その中で確かに季節が動き出しているのを感じる。

 昨晩『ドードー鳥の小間使い』読了。これ、続きがあるのかな?ドドピスドドが復活するに当たっての「部品」、結構グロテスクというかシュールだったりする。

 赤江瀑のお薦め本をいくつか教えていただき、その中から今日本屋で見つけた『夜叉の舌』より「春の寵児」を読む(短い)。どっひゃー、世の中には私が知らないだけで、すごい才能の人がたくさんたくさんいるのだと言うことに今更ながら気付かされる。
 ちなみに東へんしうちょう@『幻想文学』のお薦め本は次のごとくです(掲示板より)。

 今月半ば刊行予定の新作『星踊る綺羅の鳴く川』(講談社)でしょう。これは一種の異界ファンタジーだしぃ。
 あとは……悲しむべきことに、現在活きてる流布本が極端に少ない。角川文庫の『海峡』『上空の城』、講談社文庫の『罪喰らい』『花曝れ首』、文春文庫の『野ざらし百鬼行』『八雲が殺した』あたりは、古本屋で見かけたら絶対「買い」です!

 ジョナサン・キャロル『月の骨』を読み終えた。どっひゃー(再)、これまた一挙に気に入り〜。『死者の書』も面白かったが、これはこれは…!最後にアルヴィンが絡んでくるのはもちろん見え見えなのだが、そんなことどうでもよい。そしてまたもや素敵なキャラクターが死んでしまうのであった(涙)。さっそく『炎の眠り』を引っぱり出す(待機しているのだ)。

忘れないように書いておこう、これから集中的に読みたい本の中から(いつのことやら<<牽制)

リトル、ビッグ ほか、クロウリー
少年キム ほか、キップリング
ジョナサン・キャロル
デ・ラ・メア
タニス・リー
赤江瀑
などなど


2000.0209(水)
  図書館本: 上橋菜穂子   『精霊の守り人』   偕成社 

 西の空に落ちて行こうとする木星を、受け止めようと待ちかまえる月の杯。藍色の空に凍り付いた速度。

 朝は西へ向かい、夕方は東へ向かうのが私の通勤路。夏にはぎらぎらの太陽と反対向きなので都合がよい。けれどもきのう今日のような三日月が目を奪う夕方は、西空を振り返り振り返り歩くことになる。その代わり満月の頃にはまっすぐ進行方向に月の円盤を見ることになるのでよしとしよう。

 秋の月は確かに美しいけれども、空が澄みとおった真冬の月はまた格別だ。

 先日辞書で偶然「弓張り月」が目に留まったが、私の思いこみとまったく違ったのでショック。わたしは弓がしなっているところのような、細い細い、月齢2くらいの月を言うものかと思っていたのだ。ところが辞書によるとそれは上弦(下弦)、つまり半月を指すのだという。この長い年月(大げさ)ずーっと違うことを思っていたというわけだ。

 月ならば、満月の次は十六夜、立待の月、居待の月、寝待の月(臥待の月)、と月の出が遅くなることによる呼び名があるが、さて寝待の次は何だったか…。類語辞典で調べる。そうか、更待(ふけまち)の月。これも何年かぶりに思い出した言葉だ。
 月(moon)を英語の辞書で引くとmoonbow(月虹)という言葉に行き当たった。月光による虹とある。(気)というマークもついているが、これは一体どんな現象だろうか。広辞苑では

月虹(げっこう):月の光で見える虹。光が弱いために色彩が淡く、白く見える。白虹。

白虹(はっこう):白色に見える虹(にじ)。霧の中などに現れるもの。また、月虹(げっこう)のこと。

 白虹となると龍か大蛇を想像してしまう。こうして辞書を引いているととどまるところを知らない。

 『月の骨』、どんどん面白くなってきた!例の映画監督が夢を共有し始めたところ。ああ、だからどうも「月」という言葉にひっかかっていたのか、と気付く。


2000.0208(火)
  購入本: なし

 きのうちらちら目を通した『ダ・ヴィンチ』で、池澤夏樹が福永武彦の息子であると言うことを初めて知った。またここに、星野道夫に関する新しい本が出ることが書いてあった。星野道夫の生と死…。読みたいような、また読みたくないような。

 今日も三日月を背負って帰る。雲が出始めて、時折月が隠れる。
 夕食後、何だ、雪になると言う天気予報ははずれたのね
と言いながらカーテンを開けて外を覗いてみると、ええっ、さっき(1時間半くらい前)は全然気配もなかったのに、すごい勢いで雪が降っていた!街灯の光が届く範囲は降りしきる雪の影。昼間暖かかったので、路面は黒く濡れている。自転車の人が傘を前に傾けて風と雪を避けながら、丸くなって走って行く。これから帰る人(連れ合いもそのひとり)は気の毒。すぐ後いきなりものすごい雷の音が2度ほど轟きわたるのに驚かされる。

 『月の骨』の続き。これは結構好みかも、という展開になってきた!

 日曜にせっせと作った本の感想のindex、リンクがヘーン。やっつけ仕事はダメダメですね。少しずつしょぼしょぼ直す。とほほ。


2000.0207(月)
  購入本: 北野佐久子   『だから、イギリスが好き』   JTB 
    波津彬子   『夜のやさしい手』   白泉社
    図書館読本 別冊 本の雑誌・13   本の雑誌社
    ダ・ヴィンチ3月号   メディアファクトリー

 あまりに暖かく気持ちが良さそうなので、昼休みはふらふらと外の空気を吸いに出る。まるで3月、間もなく桜が咲くと言う頃の空気だ。南極の氷が砕け落ちる光景が脳裏をよぎるが、とりあえず気持ちの良い空気を胸に吸い込む。
 夕方は明るい西の空に爪のような細い細い月がかかっているのを見つけて、信号待ちをしている間2,3度振り返る。するとちょうどそちら側に立っていたおじいさんに怪訝な顔をされてしまった〜。「月が帰ってきましたよ。」とはちょっと言えなかった。

  昼休みにはキャロル『月の骨』、夕食後柏葉幸子『ドードー鳥の小間使い』をそれぞれ読み始める。土・日と、本を読んじゃ居眠り、に近い生活をしていたのに、今日も又睡魔が親しいお友達。『ダ・ヴィンチ』を拾い読みしたあたりで、次男と一緒に墜落睡眠なのであった。


2000.0206(日)
  購入本: なし

 娘が、朝食を済ますやいなや、「ケーキを焼く」とばたばたし始めた。先日からヴァレンタインデイにはお友達とケーキをあげっこするのだ、と言って、本を見せろだの、あれはあるか、これはあるか、と騒いでいる。お友達というのは女の子同士のことで、男の子にチョコレートをあげるなんていうことは誰も(回りの女の子は)しないと息巻いているのだ。
 今日はその予行で、オレンジブレッドとマフィンを作成。いまいちの天気で全員家でくすぶっているのでおなかも空かず、お昼は有り難くこれらを頂いてすませる(おいしかったです)。

 最低限の家事をする他は、一日本を読んだり読書感想のindexを作ったり、出来るだけさぼって過ごす。おかげでキャロル『月の骨』を横目でにらみながら、町田純『カワカマスのヴァイオリン』、デ・ラ・メア『なぞ物語』、山尾悠子『角砂糖の日』が読めた。『角砂糖の日』は、ちょうど今YAHOOのオークションに高値で出ているが、じつは版元にまだ在庫があるのであった。

 『カワカマスのヴァイオリン』はシリーズものの最新刊で、以前から目にはしていたが読んだのは初めて。ネコのヤンが主人公で、作者によるたくさんのイラストが入っている。良くある絵と文が半々の詩画集もどきなのかと思っていたが、これがなかなか収穫。夏の終わりから秋へ、そして冬、さらに春の訪れまでの季節の移ろいを、ヤンとヤンの友だちのカワカマス、森の野ネズミやリスたちとの交流にのせて描いている。自然の描写にすぐれ、風や光がもたらす季節の移ろいの微かな兆しをよく捉えている。ぜひこれに先立つ数冊も読んでみたいと思った。
 デ・ラ・メアは彼らしくなんとも独特の半分眠ったような時の流れからはずれてしまったような世界。
 いっぽう山尾悠子は、短歌集で、彼女の二十歳頃の作品と、これが出版された1982年に近い作品(彼女は55年3月生まれ)とが収められているということだ。三部に分かれ第一部の跳ねうさぎの連作などはアリスを想起させ、都会を舞台とするいくつかの散文作品にある不思議なユーモアと通底するものだと感じた。どれも一遍ではとても読み解けないものばかりなのだが、通読しただけでも彼女の世界のもうひとつの表現の仕方なのだということが即座にわかる。ことに第三部が彼女独特の世界の崩壊を強く感じさせてインパクトが強い。ここに現れる地平を焦がす朱色のイメージはここでもやはり強烈だ。うーん、今度の選集には短歌は収められるのだろうか?新しい短歌もぜひ見てみたいものである。それにしても、ムズカシイ〜。


2000.0205(土)
  図書館本: 柏葉幸子   『ドードー鳥の小間使い』   偕成社 
    石井桃子   『迷子の天使』   福音館書店

 きのう旅立った私の分身は、どうやらシンガポールへ行ったらしい。

 昼前から次男と買い物がてら散歩、図書館。上記2冊を借りたほか、上橋菜穂子『精霊の守人』をリクエスト。続きの『闇の守人』はあるのに、『精霊〜』はここにはなく他館にあるのだそうだ。そんなものか?
 カウンタにいた若い女性職員に、高楼方子の幼年向きのお薦め作品を尋ねるついでに、「安房直子は借りる人いますか」と訊くと、「そうですね、まあ定番ですから」「ああ、そうでしょうね」「安心して読めるから…」う〜、安房直子、安心して読める…ちょっと違う気もするが。

 午後、日の当たるソファにすっぽりはまって時折澄んだ空を見ながら、マーヴィン・ピーク『行方不明のヘンテコな伯父さんからボクがもらった手紙』を読む。意外に読み応えあり。相棒の亀犬ジャクスンとのやりとりがなんともヘンテコ。ジャクスンにアリスのニセ海亀を思い出して笑う。クライマックスが素晴らしく、かなり気に入った。結局この伯父さん、行方不明のまま。

 あまりのポカポカさに居眠りを挟みながら『死者の書』の続き。佳境に入ってきたので、夕食後「世界ふしぎ発見」の陰陽師特集も見ずに、再び読み続けて読了。これもかなりヘンテコな話だったが、最後の10行に負けた。
 『月の骨』とマーヴィン・ピーク方面へ向かうことにしようか。はたまた、懸案の『リトル・ビッグ』方面か。


2000.0204(金)
  購入本: なし

 頭痛。様子を見て遅刻して出勤する旨連絡したが、どうもはかばかしくない。どうしても今日と言う仕事はなかったので結局休む。そう決めたとたん治ったり。

 と言うのは脚色ではあるが、とにかく午後から治ったので、部屋(=本)の片づけなど。ちょっとだけすっきりしたような気がしないでもない。それよりも、次に読むぞ本がいくつも出て来るので困った。ソファの回りが物理的にすっきりしたところで、ともかくも『シチリアを征服したクマ王国の物語』を読了。

 プチフラワー3月号の波津彬子ほかを読む。彼女の作品の多くは、感受性が強い/特殊な能力があるため、ものに宿る精霊や人のたましいが見える、という主人公が登場する。たとえば梨木香歩の『りかさん』などを読んでもまったく違和感がないのはこういうのを読んでいるせい、と言えなくもない(須藤真澄『振り袖いちま』なんて、まんまだし)。

 今度は踊るらいぶらりあんさんからとあるサイトを教えてもらい、登録。自分の「分身」を旅に出すと言う趣向である。分身(おお、こわ)が勝手に行先を決めて旅立ち、メイルや写真などを送ってくると言うことだ。私の分身は出発したばかりなのでどこへ行ったかまだ連絡がない。楽しみ〜。

 昨年夏にBS2でライヴ放送された、プロムス・ラストナイトコンサートの再放送があった。アンドルー・デイヴィスのゴキゲンな指揮は相変わらず。最後の恒例の「ルール・ブリタニア」、「エルサレム」そして国歌の盛り上がりのすごさ、そうか、1900年代最後のプロムスだったからだ。それにしても醒めた目で見ればこれってイギリス愛国主義…。けれどもアメリカ中華思想みたいなクサさを感じないのは、単なるイギリスびいき?娘に「中華思想ってわかる?」と訊くと、「知ってる。今習ってる。」ここぞとばかりアメリカ映画における中華思想について語る(ほどでもないけれど)。


2000.0203(木)
  購入本: 江下雅之   『ネットワーク社会の深層構造』   中公新書 
    こどものとも 3月号   福音館書店
    母の友 3月号    
    プチフラワー 3月号          

 昼休み、キャロル『死者の書』を読むが、気付くと本を取り落とさんばかりに眠りこけていた。夕食後も、次男を寝かしつけて、お風呂に入り髪を洗ってぱそこんをいじったはずだったのに、寝かしつけて以降はぜんぶ夢だった。


2000.0202(水)
  購入本: なし

 川べりの柳はようやく大方の葉を落として、長い枝だけを北風に揺らしているが、それに気付くとまもなく、いち早く緑の芽吹きがみられるという、春を告げる木でもある。明日は節分

 結局昨晩中に『十一月の扉』を読み終える。『時計坂の家』とは全然違った世界。けれども同じようにすんなりとまっすぐに入ってくる文章はとても自然で心地よい―爽やかな空気のように、そこにあるのを忘れてしまうくらいに。

 ブッツァーティ『シチリアを征服したクマ王国の物語』を読みつつ、ジョナサン・キャロル『死者の書』を読み始める。
 後者は、「至る所にばらまかれてた」「腰に手をあててた」「町の誰にも知られ、好かれてるらしい」のような文体(主人公が語る地の文)が、一旦気になったら最後、のどにつかえた小骨のようにひっかかって具合が悪い。訳者は浅羽莢子なので、作為的にやっているのだろうとは思うが、英語の教師である主人公の言葉遣いらしくない。原作ではどういう文体なのだろうか。今2/5程の所まで到達したが、とても風変わりだ。

 同時多発的に『月の石』の名を見かける。以前から気になっていた題名だが、改めて検索すると作者はトールモー・ハウゲンではないか。福武文庫から出ている『少年ヨアキム』『夜の鳥』の人。要チェック。


2000.0201(火)
  購入本: 神林長平   『天国にそっくりな星』   光文社文庫 
    ブラックウッド   『ケンタウロス』   月刊ペン社

 有里さんちでいいものを見つけ、早速試してみる。あまりにもぴったりなものが生成されたので、使ってみることにした。

今日は天気が良かったので、部屋の大掃除してみた。
私には衝動買いするという道楽があるために、いつの間にやら荷物が増え、部屋の中には普段使ってない嫌な人形やぶつぶつと文句ばかり言うピンボールの台が乱雑に積まれてひどいありさまになっている。
ここはひとつ思い切って使用頻度の低いものは片っ端から捨ててしまえ…とはりきって始めたものの、掃除をしていくうちに昔集めていた多機能リモコンの雑誌や、学生時代生体肝移植のサークルで使っていた血も涙も無い自分自身などを発見すると、つい懐かしくなり、掃除のことなどわすれて幽体離脱したり卒倒し始めてしまう始末。
結局、部屋の奥から荷物を引っ張り出すばかりで片付けてないものだから部屋は前より乱雑になってしまった。
…まあいいや、次の日本晴れの日にはきっと片付けよう…と床にムリヤリ空けたすき間で夕食の焼肉を食べながら思った。やれやれ。

 ああ、全然違和感ない〜。しおしお。人形とピンボールは、本と雑誌と言うふうに読み替えてくれい。

 迷った挙げ句、同じ高楼方子の『十一月の扉』を読み始める。なんだかこのひとと私はそっくり同じような読書体験をしているのかしら?実際に出てくる書名も、下敷きとなっている世界も。あとすこしなので、これから又読むのだ。

 なぜか古本屋さんでリンゴジュース1リットルをくれたのであった(だからと言うわけではないが、さん付け。だからか?)。


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