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いちどもトップをゆずらないまま、ゴールまで……
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(2006.11.21) |
好調・松岡範子、中盤で一気に勝負を決めた!
勝負は1区で決した。
1区(6.0q)の3.8q付近であった。トップ集団のなかからスズキの松岡範子がするすると抜けだしたのである。この瞬間からレースの主導権はスズキの手に落ちたといっていいだろう。
松岡範子はいままさに旬のランナーのひとりである。全日本実業団の10000mで世界選手権B標準を突破、国体5000mでも4位にはいっている。
先の淡路島駅伝でもスズキを初優勝にみちびいた。まさに現在ノリにノッているランナーというべきである。
淡路島駅伝でも松岡は1区(6.52q)に登場している。あのときは3.8qで先に飛び出しをみせたワコールの野田頭美穂に合わせてスパート、4qでトップを奪い、そのまま1位でタスキを渡している。
1区というのは失敗がゆるされない区間で、とかく誰もが慎重になる。終盤までダンゴ状態でゆき、タスキ渡しの直前でヨーイドンになるケースが多いのだが、松岡は中盤で仕掛けているのである。今シーズンはよほど調子がいいのだろう。
本大会でも淡路島駅伝と同じように、残り2qあまりを残して、スパートをかけているのである。松岡の自信にみちた積極的な走りがチーム全員をノセてしまった。
1区を終わってライバルとみられるユタカ技研には20秒、パナソニックには22秒、第一生命には24秒もの差をつけて、2区以降の展開を楽にしてしまった。かくしてスズキはいちどもトップをゆずるころなく、そのままゴールまで突っ走るのである。
終始後手を踏み、追い切れなかった第一生命
第22回fukuiスーパーレディース駅伝の第一部は実業団、大学、各県選抜のチームで構成されるが、今年も43チームが出場した。スーパーレディースといえば、まさにその名にふさわしく、本大会でもきわだった活躍ぶりをみせているあの福士加代子が脳裡に浮かんでくる。だがそのワコールが今年は出場していない。淡路駅伝のときも故障者続出で4位に沈んでいるが、今大会も調整がつかなかったのだろうと判断されるが、ワコールの欠場はやはり残念といわねばならない。
ワコールの欠場で優勝争いは昨年優勝の第一生命、1昨年の覇者・スズキ、あとはパナソニックモバイルあたりが3強にあげられていたが、まずは好調の波の乗るスズキがこれらライバルに20秒以上の差をつけてしまったのである。
2区は3qで最短区間だが、これも淡路島駅伝と同じように松岡範子の妹・松岡裕子がとびだしていった。3000mで自己新記録を出している裕子は淡路島のときは区間6位だったが、後続との差が20秒もあるせいか、前半をゆっくりと入った。1区で遅れをとった第一生命が追い上げてくる。昨年もこの区間で1位をとった森春菜が5人抜きという猛追ぶりで、一気に2位までやってくるのである。
松岡裕子はトップをまもりきり、2区を終わって12秒差で第一生命と大健闘の立命館大A、3位も名城大Aで、パナソニックは55秒も遅れ、スズキと第一生命の一騎打ちかと思いきや、追っかけるほうの腰がいまひとつ定まらない。
4区では2位に名城大Aがあがってきて13秒差、第一生命とは28秒差、パナソニックには2分ちかくもの大差がついてしまう。さらに5区になるとスズキと第一生命の差は32秒になってしまうというふうに、最後は追っかけるほうが息切れしてしまって、まんまとスズキの術中におちてしまった。
最終区のケニア人対決! E・ワンボイが制す!
5区、6区はケニア人の助っ人が活躍した区間であった。パナソニックは5区(5.0q)にJ・ワンジクを配していた。トップをゆくスズキの八木洋子を13秒差でタスキをうけた名城大Aの1年生・足立依實子が追っかけ、その後ろでは立命館Aの後藤麻友と第一生命の安藤美由紀がはげしく3位を争っている。そのはるか後方から、アテネオリンピック5000m8位入賞のJ・ワンジクが8位から追い上げでようやく5位までやってくるのである。
6区(8q)ではパナソニックはR・ワテトゥ、ユタカ技研のE・ワンボイそしてスズキのR・ワゴイが区間1位をめぐって、はげしいバトルがつづいた。
5区を終わって2位の名城大Aに23秒も差をつけたいたスズキのワゴイは余裕の走りというべきか。もう普通に走ってゴールまでタスキを運んでゆけばいい……というわけで、そのぶんモーティべーションの差で区間賞こそ逸したが、らくらくと優勝のゴールテープにとびこんでいった。
後続の2位以降はもつれにもつれた。第一生命がしぶとく2位を奪い、後ろからはユタカ技研のワンボイとパナソニックのワテトゥが並んで追い上げてくる。ワンボイはさすがにアテネオリンピック10000mのケニア代表らしく、最後はワテトゥを置き去りにする区間1位の快走で、ユタカ技研を3位まで押し上げた。
大学生チーム、立命館大A、名城大Aが大健闘
スズキの勝因はやはり1区で好調・松岡範子が好リズムをつくったことであろうか。松岡範子と4区の赤川香織が区間賞、他の4人も区間4位以内という安定ぶりがきわだっていた。最後は地力で2位までやってきた第一生命も出来は悪くはなかったが、終始後手にまわってリズムを欠いたのが敗因といえば敗因だろう。
ユタカ技研の3位はひとえに、E・ワンボイの快走のなせるわざといえるが、パナソニックを押さえたのは讃えられる。逆にいまひとつ乗り切れなかったのがパナソニックで5位というのは不満が残る結果だろう。
大健闘したのが立命館大Aと名城大Aの大学勢である。4位の立命館大Aは1区で2位と好位置につけ、終始4位以内につけていた。6位の名城大Aも3区では中尾真理子の区間賞で7位から5人抜きで一気に2位に浮上、最終区ではさすがに順位を落としたが、5区まで2位につけて、あわや1位をうかがえるポジションにいたのである。
逆に大学チームにここまで善戦されるようでは、実業団チームがだらしなかったという証左にもなる。
12月の全日本実業団女子駅伝にゆくえをうかがうといういみで、実業団各チームの動向に注目すべき大会だった、現状でみるかぎり、王者・三井住友海上のチャレンジャーになりうるのは、スズキ1チームだけということになる。
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出場チーム&過去の記録 |
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関 連 サ イ ト |
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