[第22回 fukuiスーパーレディース駅伝競走大会]


スズキが1区から独走! 2年ぶり3度目の優勝

 第22回fukuiスーパーレディース駅伝は11月12日(日)、実業団、大学、各県選抜43チームの参加で争われ、スズキが2年ぶりに制覇し、本大会3度目の優勝となりました。
 レースは1区の4q手前でスズキのキャプテン松岡範子が一気にスパート、2区以降もいちどもトップをゆづらないまま、アンカーのR・ワゴイがゴールにとびこんでゆきました。昨年優勝の第一生命は2位、3強の一角、パナソニックは前半の出遅れが影響して5位に終わりました。
 実業団チームのほかでは大学2チームが大健闘、立命館Aが4位、名城大Aが6位に食い込み、むしろ5区まではトップをゆくスズキを脅かすほどの存在感を示していました。


◇ 日時 2006年 11月 12日(日)12時10分スタート
コース:福井県営陸上競技場〜堀ノ宮町〜福井県営陸上競技場  日本陸連公認30kmコース
天候:曇り  気温10.9度 湿度52% 風:北北西7,4m(正午) 
スズキ(松岡範子、松岡裕子、高橋紀衣、赤川香織、八木洋子、R・ワゴイ)



いちどもトップをゆずらないまま、ゴールまで……
(2006.11.21)
好調・松岡範子、中盤で一気に勝負を決めた!

 勝負は1区で決した。
 1区(6.0q)の3.8q付近であった。トップ集団のなかからスズキの松岡範子がするすると抜けだしたのである。この瞬間からレースの主導権はスズキの手に落ちたといっていいだろう。
 松岡範子はいままさに旬のランナーのひとりである。全日本実業団の10000mで世界選手権B標準を突破、国体5000mでも4位にはいっている。
 先の淡路島駅伝でもスズキを初優勝にみちびいた。まさに現在ノリにノッているランナーというべきである。
 淡路島駅伝でも松岡は1区(6.52q)に登場している。あのときは3.8qで先に飛び出しをみせたワコールの野田頭美穂に合わせてスパート、4qでトップを奪い、そのまま1位でタスキを渡している。
 1区というのは失敗がゆるされない区間で、とかく誰もが慎重になる。終盤までダンゴ状態でゆき、タスキ渡しの直前でヨーイドンになるケースが多いのだが、松岡は中盤で仕掛けているのである。今シーズンはよほど調子がいいのだろう。
 本大会でも淡路島駅伝と同じように、残り2qあまりを残して、スパートをかけているのである。松岡の自信にみちた積極的な走りがチーム全員をノセてしまった。
 1区を終わってライバルとみられるユタカ技研には20秒、パナソニックには22秒、第一生命には24秒もの差をつけて、2区以降の展開を楽にしてしまった。かくしてスズキはいちどもトップをゆずるころなく、そのままゴールまで突っ走るのである。


終始後手を踏み、追い切れなかった第一生命

 第22回fukuiスーパーレディース駅伝の第一部は実業団、大学、各県選抜のチームで構成されるが、今年も43チームが出場した。スーパーレディースといえば、まさにその名にふさわしく、本大会でもきわだった活躍ぶりをみせているあの福士加代子が脳裡に浮かんでくる。だがそのワコールが今年は出場していない。淡路駅伝のときも故障者続出で4位に沈んでいるが、今大会も調整がつかなかったのだろうと判断されるが、ワコールの欠場はやはり残念といわねばならない。
 ワコールの欠場で優勝争いは昨年優勝の第一生命、1昨年の覇者・スズキ、あとはパナソニックモバイルあたりが3強にあげられていたが、まずは好調の波の乗るスズキがこれらライバルに20秒以上の差をつけてしまったのである。
 2区は3qで最短区間だが、これも淡路島駅伝と同じように松岡範子の妹・松岡裕子がとびだしていった。3000mで自己新記録を出している裕子は淡路島のときは区間6位だったが、後続との差が20秒もあるせいか、前半をゆっくりと入った。1区で遅れをとった第一生命が追い上げてくる。昨年もこの区間で1位をとった森春菜が5人抜きという猛追ぶりで、一気に2位までやってくるのである。
 松岡裕子はトップをまもりきり、2区を終わって12秒差で第一生命と大健闘の立命館大A、3位も名城大Aで、パナソニックは55秒も遅れ、スズキと第一生命の一騎打ちかと思いきや、追っかけるほうの腰がいまひとつ定まらない。
 4区では2位に名城大Aがあがってきて13秒差、第一生命とは28秒差、パナソニックには2分ちかくもの大差がついてしまう。さらに5区になるとスズキと第一生命の差は32秒になってしまうというふうに、最後は追っかけるほうが息切れしてしまって、まんまとスズキの術中におちてしまった。


最終区のケニア人対決! E・ワンボイが制す!

 5区、6区はケニア人の助っ人が活躍した区間であった。パナソニックは5区(5.0q)にJ・ワンジクを配していた。トップをゆくスズキの八木洋子を13秒差でタスキをうけた名城大Aの1年生・足立依實子が追っかけ、その後ろでは立命館Aの後藤麻友と第一生命の安藤美由紀がはげしく3位を争っている。そのはるか後方から、アテネオリンピック5000m8位入賞のJ・ワンジクが8位から追い上げでようやく5位までやってくるのである。
 6区(8q)ではパナソニックはR・ワテトゥ、ユタカ技研のE・ワンボイそしてスズキのR・ワゴイが区間1位をめぐって、はげしいバトルがつづいた。
 5区を終わって2位の名城大Aに23秒も差をつけたいたスズキのワゴイは余裕の走りというべきか。もう普通に走ってゴールまでタスキを運んでゆけばいい……というわけで、そのぶんモーティべーションの差で区間賞こそ逸したが、らくらくと優勝のゴールテープにとびこんでいった。
 後続の2位以降はもつれにもつれた。第一生命がしぶとく2位を奪い、後ろからはユタカ技研のワンボイとパナソニックのワテトゥが並んで追い上げてくる。ワンボイはさすがにアテネオリンピック10000mのケニア代表らしく、最後はワテトゥを置き去りにする区間1位の快走で、ユタカ技研を3位まで押し上げた。


大学生チーム、立命館大A、名城大Aが大健闘

 スズキの勝因はやはり1区で好調・松岡範子が好リズムをつくったことであろうか。松岡範子と4区の赤川香織が区間賞、他の4人も区間4位以内という安定ぶりがきわだっていた。最後は地力で2位までやってきた第一生命も出来は悪くはなかったが、終始後手にまわってリズムを欠いたのが敗因といえば敗因だろう。
 ユタカ技研の3位はひとえに、E・ワンボイの快走のなせるわざといえるが、パナソニックを押さえたのは讃えられる。逆にいまひとつ乗り切れなかったのがパナソニックで5位というのは不満が残る結果だろう。
 大健闘したのが立命館大Aと名城大Aの大学勢である。4位の立命館大Aは1区で2位と好位置につけ、終始4位以内につけていた。6位の名城大Aも3区では中尾真理子の区間賞で7位から5人抜きで一気に2位に浮上、最終区ではさすがに順位を落としたが、5区まで2位につけて、あわや1位をうかがえるポジションにいたのである。
 逆に大学チームにここまで善戦されるようでは、実業団チームがだらしなかったという証左にもなる。
 12月の全日本実業団女子駅伝にゆくえをうかがうといういみで、実業団各チームの動向に注目すべき大会だった、現状でみるかぎり、王者・三井住友海上のチャレンジャーになりうるのは、スズキ1チームだけということになる。



出場チーム&過去の記録

出場チーム
スズキ陸上競技部
第一生命女子陸上競技部
パナソニック女子陸上競技部
沖電気駅伝陸上競技部
ユタカ技研駅伝情報
城西国際大駅伝部
名城大陸上競技部
佛教大学陸上競技部




関 連 サ イ ト

オフィシャル(福井TV)





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総 合 成 績
順位 チーム名 記  録
スズキ 1時間36分43秒
第一生命 1時間38分04秒
ユタカ技研 1時間38分20秒
立命館大学A 1時間38分22秒
パナソニック 1時間38分26秒
名城大学A 1時間38分53秒
沖電気 1時間39分49秒
デオデオ 1時間40分35秒
福井県選抜 1時間41分23秒
10 順天堂大学 1時間41分28秒
11 TOTO 1時間41分32秒
12 神戸学院大学 1時間41分39秒
13 ヤマダ電機 1時間42分06秒
14 佛教大学A 1時間42分12秒
15 名城大学B 1時間42分27秒
16 立命館大学B 1時間42分56秒
17 京都産業大学 1時間43分19秒
18 小島プレス 1時間44分08秒
19 北国銀行 1時間44分16秒
20 愛知県選抜 1時間44分32秒
21 城西国際大学 1時間45分34秒
22 岐阜県選抜 1時間45分55秒
23 椙山女学園大学 1時間46分19秒
24 長野県選抜 1時間46分43秒
25 大阪人間科大学 1時間46分53秒
26 大阪学院大学 1時間47分12秒
27 愛知電機 1時間47分13秒
28 新潟県選抜 1時間48分56秒
29 石川県選抜 1時間49分22秒
30 大院人科大混成 1時間51分47秒


区 間 最 高
区間 距離 選手名 所属 タイム
 6.0 松岡 範子 スズキ  19:08
 3.0 森  春菜 第一生命   9:32
 4.0 中尾真理子ら 名城大学  13:01
 4.0 赤川 香織 スズキ  13:10
 5.0 J・ワンジク パナソニック  15:42
 8.0 L・ワゴイ スズキ  25:08

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