日時計 2000年 日記

本を読んでいるうち、いつのまにか日が傾いてしまっている・・・なーんて生活いいなア!

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2000.0329(水)〜31(金)
  購入本:なし

 恒例のスキー。長男は別口のスキー合宿のため、娘、次男、連れ合いの4人である。


2000.0328(火)
  購入本: キャサリン・アサロ   『稲妻よ、聖なる星をめざせ!』   ハヤカワ文庫SF
    加藤弘一   『電脳世界の日本語』   文春文庫
    「室内」 4月号 キッチン大特集   工作社

 午後から春の嵐のような荒れた天気になってきた。昼休みはまだ暖かく穏やかで、キャンパス内の桜がほんの1,2輪開花していたが、その後の風と雨でどうなっただろうか。

 SFM5月号の「読んでみたいハヤカワ文庫の名作」アンケート関連の話題が安田ママさんの掲示板MZT氏の掲示板で。SFに限らないようなのでもう少しゆっくり考えてみよう。今の私だと、FTに偏っている気がする。
 ママさんのところへの鈴さんの投稿「絶版にしておいて、読んだこともないのにどうやって名作とわかるのか?」(パラフレーズ)には笑わされた(ぱちぱち!)。

 DASACON3オンライン企画「サン・ジョルディの日をめざして」に投票。投稿は間に合わず断念。うう、くやしいのう。投票のついでに、やっと出来たポップを送る(あきらめ悪いよ)。

 キャロル『パニックの手』を読み始めるかたわら覗いた『電脳世界の日本語』は、日頃感じている、ワープロ上での漢字を中心とした日本語の取り扱いに関するもので、コンピュータに甚だうとい私にも良く理解できるように書かれている(ようだ)。
 私も本籍地の住所の旧字体表記にこだわっていたのに、いつの間にか戸籍が手書きから活字(ワープロ?)に移行して旧字体が略字体(新字体)に変えられているのを見て、そんな理不尽な、と思い続けている。これに限らず歴史やパーソナリティに関わるものまでコンピュータの都合で勝手に変えられてしまってたまるものか(怒)。

 明日29日から4月1日まで、スキーに行くため更新が止まります。天気はどうなのだろう?雨だったら困るな、とつい本を詰め込む私と娘であった(娘の洗脳もずいぶん進んだでしょ)。このスキーのため、DASACON3に行けないのである。某大物作家にサインしてもらうため、青木みやさんに本を送りつける。よろしくね〜!!落とし前、落とし前、とφ(。。)
 では行って来まーす!


2000.0327(月)
  購入本:なし

 朝晩はさすがに結構肌寒いが、昼休みに外出したときにはずいぶんと暖かく良い天気。出入り口のドアを押し開けたとたん、暖かい風と沈丁花の甘くすがすがしい香りに包まれ、からだがほぐれるのを感じる。

 今日も赤江瀑の新刊が来ていなかったら店長に文句を垂れようと思って本屋に行ったが、新刊も店長もどちらも見あたらず。
 これと言ってめぼしい本もないままボーっと歩いていると、平台にひときわ目をひく本が。何だこれは?
フランシス・ジャム!ほしい〜、買いたい〜、でも5800円もする〜。3回くらい手にとっては戻し、を繰り返したが、えいっ、と、すがる本を振り切って帰ってきたのであった(何を大げさな…)。ほしいよう。

 ようやく『天使の牙から』読了した。「おきまりの」ラストのどっひゃー、はここでも健在。この作品は今までの中で一番映画化して欲しいと思わせられた。映画にするとちと平板か?
 死は、人間にしっぺ返しをしているのではなくて、とにかくちやほやして欲しい、怖がって欲しい、恐れて欲しいのだ。人間に無視され、忘れられることが一番の弱点なのだ。そうされないために、奪い、貶め、傷つけ、人間が死の影に怯えずにはいられないようにこれでもかとばかりに力を尽くす。死の不条理さを語るのに、「死」になぜか好かれている人間と嫌われている人間とがある、という主張をワイアットにさせているが、これを読んで、キャロルは現実に自分またはごく身近な人間が死に親しい状況があったのだろうかと思った。またこれも、今までで一番良かった、と思わせる作品である。次は短篇集がお待ち。

 娘が今日もヴィデオを借りてきて、夕食後しきりに「ママ、ママ、始まるよ!」とお呼びになる。再び鑑賞会。1本目は『スリーピー・ホロウへの招待』、つまり予告兼メイキングですね。バートンはひげ面よりやはり例のツンツン頭にグラサンじゃなくっちゃね。デップさまを連発しつつ見る。次男、「どうしてあの人(騎士)首がないの?どうして?」
 やはり村に着いたときのハロウィーンのかぼちゃのお出迎えは、バートンだよ、ぼくだよ!という画面いっぱいのサインで嬉しかった〜。

 次はなに?と訊くが、「見てればわかる」の一点張り。するとそれは今更ながらの『マトリックス』メィトリ〜ックス!)。ヴィデオが解禁になったらしい。キアヌが、ぼーっとした輪郭もはっきりしないオニーチャンだったのが、ある時点からりりしい救世主の表情になるあたりがイイ。
 どうもこのごろ現実感をどこに感じればよいのか自分でもよくわからない、と言うふうがあるので、この仮想現実という設定もそれ程にはもはや珍しくない。ただ娘のようにSFの洗礼を受けていない(ネット世界の汚染も受けていない)ものにとっては、カプセルの無限に続く世界をああやってバンと出さないとわかりにくいのかも知れない。私はむしろそのシーンやカプセルから肉体が甦るシーンは要らないように思うが。荒れ果てた本当の地上も、かえって興ざめの様に思えた。
 初めにエージェントが出てきたとたん、声を揃えて「メン・イン・ブラックだぁ!」あの役者はトミー・リーのパロディか?どうせなら彼その人にやらせれば良かったのに(ファン)。カンフーシーンは格闘ゲームそのものの動きでひたすら感心。どこまでが生身かCGか、わからん。軌跡つきの弾丸をしゅぱぱっとよけるシーンでは、娘が「出たっ!」「出ましたっ!」とかけ声をかける。ワイヤアクションでは私も「出ました!これだね!」と歓声。ただどうにも手足が長すぎるので、間延びした印象があるのは否めない。オペレーターのタンクにいちゃんがかっこいい(目がいい)>奇跡の復活というか都合のいい復活(許す)。
 続きはぜひ劇場で見たい、と思ったのであった。お、映画熱に火が…?


2000.0326(日)
  購入本: レイチェル・カースン   『失われた森』   集英社
    SFマガジン 5月号   早川書房
    ユリイカ 臨時増刊 村上春樹を読む (2000.3月)    青土社
    ユリイカ 臨時増刊 村上春樹の世界 (1989.6月)    〃

 連れ合いが、このところ急に背が伸びつつある長男にスキーパンツを譲ってしまったので、新しいのを買いに行くのに付き合う。神保町へはついこのあいだ長男と行ったばかりなのに、3月も末となるといよいよスキーウェアは少なくなって、代わりにテニス、ゴルフ、自転車用品が幅をきかせている。

 帰りがけに「1階だけ〜」と手をすりすりして、三省堂に寄る。敵さんも何のことはない、夢枕獏『陰陽師 生成姫』なんかを買おうとしているのであった。

 帰宅後、スキーの荷物詰め。要るものと要らないもの、古くなった手袋、去年買った手袋、などごっちゃになっているのでやたらに時間がかかる。それに娘が昨日借りたヴィデオをダビングしがてら見始めたので、つい手は休みがち。というよりメインはヴィデオ鑑賞というべき。

 一つは『エバー・アフター』で、ドリュー・バリモア主演の、「ほんとうのシンデレラ物語」である。『E.T.』のときとちっとも変わっていないバリモアがかわいい。冒頭に出てくる「陛下」と言う呼称の老婦人、はてどこかで見た、と思ったら、ジャンヌ・モローではないか(驚)。16世紀フランスが舞台である。貴族の館が、心に思い描くおとぎ話のお城にとても近いイメージで、それだけでも嬉しいが、貴族達の衣装が豪華でチャーミングなのも目に楽しい。いっぽう、仕方ないとは言えフランスが舞台なのに台詞は英語(貴族のしゃべり方のせいか乱れていなくて聞き取りやすい)、ちらりと出てくる手紙ももちろん英語、と言うのはやっぱり変な気がする。

 もうひとつは『マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ』である。
 イングマール少年は辛くなるとスプートニクに乗せられたライカ犬に思いを馳せ、それに比べれば自分はまだ運が良かった、と考える。
 読書が何よりの母と、兄、愛犬との生活。父は不在である。いかにも子どもらしい彼は、母の頭痛の種である。ある日愛する母は病に倒れ、彼は兄とも犬とも離れて田舎で一夏を過ごすことになる。そこでサッカーにもボクシングにも人一倍頭角を現すのは、少年の姿をした女の子であった。彼を可愛がる年上の優しい女性、彼に下着のカタログを朗読させる寝たきりの老人、年中屋根直しをしている偏屈な隣人など、イカレた、暖かく愛すべき田舎の人たちに囲まれてそれなりに楽しい日々を送るが、母を思うとき、彼はいつもライカ犬に思いを馳せて、それに比べたら自分はずっとマシ、と思い直すのだった。
 彼の一生懸命な心遣いがいつも裏目に出てしまい、そのために傷つく姿には、淡々とした描写ながら(だからこそ)胸を打たれずにはいない。また暇さえあれば本を読んでいる母親は(というより本を読む暇に他のことをしているように見える)自分自身の鬱屈から子どもたちに怒鳴りちらす。そんなときイングマールは「怒鳴らないで」と心に念じて耳をふさぐが、彼らの姿はふたりながらあまりにも我が身に近く、痛切に感じずにはいられない。
 ライカ犬を思うときの星空のシーン、「元気なときにもっと話せば良かった」と母を思い起こすときの幸せな海辺の回想シーンは忘れない。なるほど、そこそこ「マシ」に幼年時代を抜け出そうとするところで映画が終わっていて、人生は思い通りには行かないがなかなか捨てたもんじゃないぜ、というあたたかいエールのように思える。

 このところ読書モードは散漫に傾いているが、なんとか『天使の牙から』は残すところ4mmくらい。『犬博物館の外で』ではアラブの内戦が背後に描かれていたが、この作品ではウィーンからの視点がユーゴの内戦を捉えている。エイズ、戦争、癌、事故。死はこんなにも身近にあり、しかも理不尽だ。死を理解しようとしてさえ、死からしっぺ返しを受けねばならないのか?


2000.0325(土)
  購入本:なし

 いつもと同じくらいに起床して次男と上野動物園に行こう、と思っていたが見事に寝坊。混みそうだから遅い時間では行く気なし。ぽっかり予定が空いたので、代わりに、昼過ぎから娘と突然『スリーピー・ホロウ』を見に行くことに超決定(置いて行かれることになった次男にとってはどこが代わりだか)。

 行こうと思っていた日劇は昨日で終わってしまい、池袋も夜しかないので仕方なく新宿へ行く。上演約1時間前に着くと、ほとんど誰もいない。年配のご夫婦が、チケットを示して「『本当のジャクリーヌ・デュプレ』はここじゃないんですか」と訊ねている。「昨日までやっていたのですが、今日からは○階の方へ移りました」との返事。
 「このチケットではそちらへは?」「この館指定ですのでそれは…」がっかりした様子のふたりである。「こちらのはどんな映画ですか?」チケット嬢、首を傾げて「うーん、ゴシックホラーって言うか…」ご夫婦は顔を見合わせて「ホラーじゃねえ…」と逡巡している。
 そこで、あら、助け船!とばかりに私「チケット引き取りましょうか?」としゃしゃり出た。すると夫人の方が「あらっ、これ招待券なんですよ!」うわっ、恥!失礼しましたーとばかりに引き下がる。娘の「ママ、だから余計なことを…」と言わんばかりの冷たい視線。
 こそこそ財布を出していると、チケット嬢にさらに何か訊ねていた夫人の方が振り向き「これ、差し上げます」とチケットを差し出す。「普通のチケットだと思って声をおかけしたんですよ」と遠慮したが、「いいんですよ、どうぞ、プレゼントします」と重ねておっしゃるので、有り難く頂いてしまった。それは期限が3月31日までのこの映画館の無料招待券で、それまでずっと『スリーピー・ホロウ』だからどうせ使わない、ということのようであった。なんてラッキーなんでしょう!デップさま、ありがとう〜!(オーノー、おばさま、ありがとう、でしょ)

 と、うれしいプレゼントで見た『スリーピー・ホロウ』は、そりゃもうおもしろかったー!アカデミーの衣装デザイン賞ほかにノミネートされたと言うだけあって、凝った衣装がすばらしい。イカボッド(ジョニー・デップさま)のシンプルな衣装(モダンなニューヨーク)とオランダの移民村の住人の、豪華で装飾過多な(昔風の)衣装の対比は目をひく。ヴァン・タッセル夫人が最後に着ている衣装も素晴らしい。木の枝にからめ取られたような、意味深な衣装だ。
  黒・白を基調に青みがかった美しい画面に、あるいは滴り、あるいはピューッと飛び出る血の色が非常に効果的。この血の色は決して、見るもののアドレナリン分泌を高めるような激しい色ではなく、むしろ落ち着いた美しい濃い赤だ。ティム・バートンが「死人の木」に例の笑顔でこの血の色の塗料を塗りつけている写真は、見ようによってはキモチわるいオタクだが、ファンにしてみれば、好きなことをして大ニコニコの少年そのもの。
 不気味な西の森の木々の向こうに見え隠れするカトリーナの白い装束、ここにも赤い薔薇の刺繍。このお人形のようなカトリーナは、写真も美しいが動いている姿はもっと素敵。決してポスターのように不気味ではないです。
 冒頭にドラキュラ俳優のクリストファー・リー(ニューヨーク市長役)が出ているのと併せて、この血の色はドラキュラへのオマージュであるかもしれない。元・首なし騎士のキスも、血の色だ。
 
 デップさまの演ずるイカボッドは、深い傷を抱えているのだが、いつもの、どこかに憂いを秘めたという役どころでは必ずしもない。むしろコミカルな面が強調されていて、それも効果的だ。魔女に会いに行くシーンで少年(ヤング・マスバス)を楯のようにしてへっぴり腰を見せたり、再三目を回してひっくりかえったり。
 夢の中で幼い日の彼の母親がくるくると踊るシーンは、『シザーハンズ』で雪の降りしきる中キムが踊る美しいシーンに重なる。
 ラストシーンは雪のニューヨーク。冒頭の、ちょうど200年前の小汚いニューヨークを、雪が美しく覆っている。フィニイを思い出すようなシーンでもあった。

 もうひとつの楽しみは音楽で、これなしにはバートンの映画が語れないダニー・エルフマンである。今回も、バートンワールドをしっかり堪能させてくれた。

 ああ、首なし騎士がふりまわす(かっこいい!)剣の、シャキーン!と言う音がまだ耳に焼き付いている。また、見に行くのだ!

#くやしいことに娘は昨日、お友達と『ノイズ』を見て来ちゃったのだ(怒)。

 さて長男は今日の夜から31日の朝まで、恒例のスキー合宿。上手になって帰ってくるでしょうか(スキー部希望)。スキーと言えば我々も29日〜1日とスキーなのであった。この前のスキーの時の辛さは喉元をすぎてしまい、またも何も運動してない(困)。


2000.0324(金)
  購入本: 志村有弘・編   『怪奇・伝奇時代小説選集(6)』   春陽文庫
  友だち本: 京極夏彦   『どすこい(仮)』   集英社

 朝起きてカーテンを開けると厚い雲が垂れ込めてばらばらと雨が打ち付けている。しかし天気予報ではじきに晴れて日中は19度ほどになると繰り返し言うので、一枚薄着で出掛ける。ちょうど出勤時間には雨は上がって日が差してきた。
 ところが晴れたのも束の間。昼になっても午後になっても、厚い鈍色の雲は相変わらず居座って時折雨を降らし、しかもちっとも暖かくないし、風も激しい。帰宅時には職場に置いてあるカーディガンを着込んで来る有様。やっぱりまだ、3月なんですね。

 美術館友だちがいきなり、「京極夏彦の『どすこい(仮)』読む?」と、例のやたらに分厚い本を貸してくれた。彼は時々面白そうなのを読んでいる。『ぼっけえ、きょうてえ』も布教しようと思う前に既に買って読んでいたし、先日は『心霊写真』も持っていた。
 『どすこい(仮)』は評判が良いようなので興味はあったのだが、自分からは手を出さないつもりでいた。ただし来るものは拒まず。受け取ると厚さの割りにずいぶん軽い。中味を体現しているのか、それとも力士、肥満、暑い(厚い)というイメージのせいで実際以上に重そうに思っていたのか。ついでに言えば値段も厚さの割りにお安いようで。
 帰宅してページをめくり、大笑い。見返しから、なんという暑苦しい汗模様、しかも立体的だよ。力士の肉まん豚まん状態の絵、原作の表紙をパロった目次、各原作者へのさりげない挨拶文などなど、凝ってる。そしてノンブルわきの各作品名が地響きでナナメっているので思わず吹き出す。気をそそられるがキャロルの図書館本と村上春樹の新刊と新書(『星と生き物たちの宇宙』)が終わってから、と肝に銘ずる。とりあえず期限もないことだし。

  2月末発行の赤江瀑の新刊『星踊る綺羅の鳴く川』を、発行前に近所の本屋に注文して置いたのに未だに入らない。3回催促したうち、1度目は「まだ入りません」、2度目は「ご注文いただいていますか?」、3回目のおとといは無言でもう一人の店員と頭を寄せて、私が渡したメモ(レジ横に貼ってあった)を見てコソコソッと相談し、「まだ…」。こらっ、フザケロ!講談社の本がそんなに入りにくいだろうか?月曜にまだなかったら店長に言いつけるからね、顛末を。
 ここに注文してあるから、と思い、池袋などで見かけても買わないでまじめに義理立てしているのに。別に急いでいるわけではないので遅れてもちっともかまわないのだが、入らない理由をきちんと説明せず言葉を濁してごまかしているのはまったく良くない。せめて馴染みの客くらいは大事にすると言う姿勢はないのだろうか?それでは客を大書店やネット通販に取られても知らないぞよ


2000.0323(木)
  購入本:なし

 激しい風の続く毎日。歩いていてもいきなり背中をどやしつけられるようなビル風には怖さすら覚える。ふっと風が止んだ瞬間、柔らかい春の日差しに包まれるのを感じるが、まだ春のコートでは寒さが身にしみる。
 こぶしは早くも花盛りをすぎてしまった。とっくにハコベやスギナが茂りだしているが、なぜかこの春はまだ
オオイヌノフグリを見かけない。

 花粉症の方々はこの時期さぞかし辛かろうし、気温の変動が激しいから風邪も多発。職場のいわばオツボネ様が、鬼の霍乱(当人談)で咳の出る風邪をおひきになった。しわぶきという語感がぴったりの水っぽく激しい咳を頻繁になさって辛そう…でも頼むからいい加減にマスクして(願)。

 『天使の牙から』を読み始めたが、いきなり日常とかけ離れたシーンが。うむ?ちょっと様子が違うかも。
 久しぶりにCD-ROM『イバラードの旅』『イバラード大図鑑』で楽土に遊ぶ。あぁ、天国だぁ。

 SFセミナーは昨日申し込み済み。昨年は事前申し込みしないで大勢で押し掛けたのであわや門前払いの憂き目に遭いそうになったのであった。


2000.0322(水)
  購入本: ジェイムズ・P・ホーガン   『ミクロ・パーク』   創元SF文庫
    『鳩よ!』4月号 岡本綺堂特集   マガジンハウス
  図書館本: シャーリイ・ジャクスン   『ずっとお城で暮らしてる』   学研
    ジョナサン・キャロル   『天使の牙から』   東京創元社
     〃   『パニックの手』    〃

 夕方佐藤哲也のサイトを見に行くと、ご無沙汰していた佐藤亜紀のサイトが「新 大蟻食の生活と意見」となっているのを発見。しかしその久しぶりの更新では『バルタザールの遍歴』(新潮文庫)が3月いっぱいで絶版になる、それも佐藤亜紀が新潮社から版権を引き上げる為という、その顛末が書かれていた。
 ここに書かれている事情が本当であれば全く情けないことこの上ない。あのような作品を出している出版社としての矜持はどこに?どんな本であれ単に売れれば良いのか。『日蝕』の平野啓一郎がそんなに佐藤亜紀より素晴らしいとはだれも思っていないのに。
 こう言うとき読者に出来ることは何かないのであろうか(いや、ない、と反語的にオチるのであろうか)。

 リクエストしておいたジョナサン・キャロルの本が図書館に入ったようなので取りに行く。『ずっとお城で暮らしてる』はしばらく前にお願いしておきながらようやく入ったようだ(ほとんど忘れていた〜)。
 入り口に茶と白のぶちの短毛の犬が繋がれ、所在なさそうにご主人が出てくるのを待っている。あれえ、と思ったが顔は見えない。本を借りて出てくるとその犬は飼い主かと思って期待して私を見るが「違った…」とがっかり顔である。あっ、これやっぱりブルテリアだ!すぐに飼い主が中から出てきたので確かめると、やはりそう。暗合が嬉しくてつい「今、ブルテリアがよく出てくる本を借りてきたのであれっと思ったの」と言ってしまう。おとなしい犬なのか、と訊くと、結構凶暴だということだが、この子はなでても全く気にせずとてもいい子で可愛い。
 きゃー、ブルテリアがしょっちゅう出てくるキャロルを借りに来て、めったに見ないブルテリアに本当に会うなんて、キャロルのいたずらに違いない(はあと)。

 スキーのためどうしても行けないださこん3に、「某大物作家」が、ゲスト出演は断ったものの参加するとか…(滂沱の涙を流す)。びえぇ〜。


2000.0321(火)
  購入本: ロバート・J・ソウヤー   『フレームシフト』   ハヤカワ文庫SF

 もはや何曜日なのか、体感曜日は不明〜。

 イバラード展@東武百貨店をもう一度見たくて、1時間弱早退して行く。エスカレータの目の前に会場入り口があるのだが、ちょうど降りようとしたところへフクオカさん@アートスペースが現れる。お出迎えありがとう(ってわけじゃないか)。
 一昨日に比べればさすがに人が少なく、落ち着いて見られる。大きいのも小さいのも、後ろに下がったり近づいたり、ゆっくり堪能する。今回は軒並み「御約定済み」の赤テープが貼られてしまったので、見納めのようなつもり。

 井上先生もさすがにお疲れのご様子だったが、「象の家」を楽しそうに解説して下さった。こんな所にこんな仕掛けが隠してあるとは。奥が深い…。
 次の予定時間が迫っていたので、後ろ髪を引かれつつ別れを告げる。また今度ねー。

 その足でいそぎ銀座・クロイドンホール(七宝ビル8階)へ向かう。中野振一郎サロンコンサートである。今日のプログラムはちょっとへヴィにゴルドベルク組曲。あまり広くない会議室といった広さの会場の、真ん中にチェンバロを据えて、聴衆はぐるりを囲む形である。前半は中野氏の真後ろあたりの席であったが、後半から楽器をはさんで反対側に移る。場所によって音が画期的に違うのに驚く。もちろん後半の方がはるかにベター。チェンバロの演奏をこれほど間近で聴くのは、初めてである。決して軽くないプロなので、後半まで忍耐が持続しないと見受けられた方々多し(至近距離お気の毒さま)。
 終了後、恒例の軽食(立食)の席で、中野氏の誕生日を祝うケーキが登場しお相伴に預かった。幼い頃、お若い頃の写真が数枚さりげなく置いてあった(むふふ)。

 昨晩からの『星と生き物たちの宇宙』は地下鉄に乗ったおかげでかなり読めた。電波天文学の話題は、わかりそうで結構わかりにくいぞ。それこそメイルでここはどういうことでしょうかと質問したくなる。大きな流れとしてはとても面白い。
 衛星として打ち上げた電波望遠鏡による様々な新しいトピックや、ソユーズなどで行われたカエルやイモリなどの実験の話など。
 各章の頭に万葉集などが引用される。ただしこの万葉集、21巻だったり…。さりげないお遊びもいっぱいでなかなか楽しい(この手の本として、素人には難しい部分があり、そうでない人には食い足りないのは仕方あるまい)。


2000.0320(月)
  購入本: 斎藤清明   『南極発・地球環境レポート』   中公新書
    平林久/黒谷明美   『星と生き物たちの宇宙』   集英社新書
    森英俊/野村宏平   『乱歩の選んだベスト・ホラー』   ちくま文庫
    アル・サラントニオ編   『狂犬の夏』   創元推理文庫
    月刊 メロディ 4月号   白泉社

 連休三日目だというのに、息子の高校の、きょうは物品購入日。体操着、カバン、靴、教科書等々で9万円強。制服の上着代と障害保険料は別だよ。う〜ん@@バタ(倒)。

 帰りに所用で西武百貨店によったついでにリブロへ(逆かも)。『南極発〜』を見たとたん、海水面上昇だっ!と反射的に手に取る。
 『星と生き物たち〜』は、電波天文学(平林)、宇宙生物学(黒谷)!を専門とする二人の、メイルによるやりとりで出来上がったという本だ。チャーミングなイラストが随所に踊っている。パラパラめくったところ、顔文字や数字、アルファベット(NASAのような略語もかなり多い)が多く使われているのだから、どうせなら横書きにした方が読みやすいのに、と感じた。顔文字が縦書きの中に横向きに混じっているのは、ちと滑稽。中味は面白そう。

 この所読みでのある本がずっと続いたので、これらの新書で気分転換をしようかな?新書は興味あって買うのだが、どうしても後回しに…そのうち時代遅れになってしまったり。

 土曜に、成績をもらいに登校した娘が、バレンタインデーのお返し、と男の子自作のレモンケーキ(パウンド型まるまる1本分)をもらってきた。素敵な包装を開けるとちゃんとグラスシュガーもかかって本格的だ。しかも、おいしい〜!ほんとにほんとに自作?と念を押してしまった。チョコをあげた何人かの女の子全員に焼いてくれたのだという。凝るタイプの子で、何でも本格的なのだそうだ。次はぜひレシピ付きで、とリクエストする母(太)>娘に焼かせようという魂胆なのであった。

 その娘は、『これは王国のかぎ』が気に入ったというので勧めた『西の善き魔女』が、これも大層好みらしく、あっという間に3冊目に突入。私も後を追わなくちゃ。


2000.0319(日)
  購入本:なし

 しっかり休日モードで寝坊し、家事に追われる。1時からの長男の高校の入学ガイダンスの前に、イバラード展@東武百貨店を見に行こうと予定していたのだが、ほんの30分くらいしか時間がとれないことが判明、急ぎ出発。ガイダンスが終わり次第イバラーダー(イバラードのファンのこと)のオフ会(発起人みるるんさん)に参加予定であるが、その前にひとわたり出品作が見たくて、時間をフル活用(って最初から早起きすればー)。1時からは何と井上先生(もともと美術の先生なだけに「先生」の呼び名がしっくり)とご友人とのミニライブがあるというのに、もろにスケジュールがかち合っているではないか〜。
 今回は全体のトーンがクリヤーな感じ。めぼしい=手の届きそうなサイズの作品には軒並み赤い売約済みマークがついている。出遅れたか!と寒い懐にもかかわらず一応言ってみる。

 ガイダンス終了後、池袋駅ちかくのオフ会場に遅れて合流、食事、歓談。皆さん、お・わ・か・い〜。一渡り自己紹介後ふたたび個展会場にぞろぞろ戻り、井上先生と集合&個別写真の撮りまくり。「撮影ご遠慮下さい」の貼り紙もあって無きがごとし。写真攻勢、サイン攻勢にもめげず楽しんでおられる先生。

 思いがけず先生の口から「J・R・R・トールキン」の名が。どうしたことかと伺うと、なんと以前某出版社から、『指輪物語』の挿し絵を描くつもりがあれば版権をとる、とのオファーがあったそうな。ひぇぇぇぇ!どど、どうして引き受けなかったのか!それは「一生仕事になっちゃうから」だそうだ。固有名詞などをより適切な訳(トールキンが目論んだ発音に近く)にして訳し直し、エルフもずっと細面にしてはかなげにしたり、全部いろいろ変えて(ニコッ)「イバラードにしちゃうんです」さすがにイバラード化はお断りになった今だから言える発言だろうが、イバラード版指輪、見たかったよう!ほんの一部分でも良いから、ちょっと描いて下さらないかなあ!?

 夜めずらしくイバラード方面のチャット。口数多いよ>自分(人の倍以上だった)


2000.0318(土)
  購入本:なし

 長男の中学の卒業式である。昨年は娘が卒業だったが、同じ中学でも1年違うとずいぶん学年の雰囲気、卒業式の雰囲気が違う。今年は昨年に比べ、子どもたちが幼い感じ。

 校長、来賓など数人の挨拶が、要点がはっきりしていて短い、という点でマル。それに対し送辞、答辞(特にこちら)が、中味のない空疎な現代風美文というか詩的っぽい表現を多用した馬っ鹿みたいなもので、しかも長い。一体誰がこんな答辞を指導したんだぁ。「私たちは今、夢と希望をもって大空に羽ばたいて行きます(はあと)」なんて言う台詞で締めくくるなって(爆)。

 終了後仲間親子でお寿司やさんに行き、昼ご飯は小祝宴である。卒業式の2時間をいい子で耐えた次男も、お相伴する。娘にはリクエストにこたえ厚焼きたまごのおみや(高)。
 よそはどうか知らないが、このあたりでは小中学校とも卒業式当日の夜に教師を招いて父母の謝恩会がある。せっかくの卒業式の夜に卒業生本人をほったらかしにして宴会もないだろうという意見も水面下にはあるのだが、かといって良い解決策もこれといってないようだし。ともかく謝恩会に出席、終了後の2次会はお取り巻きにお任せして、我々はお茶してせいぜい3年間の溜飲を下げる。
あー、義務教育も終わった、せいせいした!でも来年からは次男が義務教育に突入である。良い方に変わって行くといいのだが!

 せっかくの3連休なのに、二日目の明日は長男の高校のガイダンス(保護者同伴)、あさっては同じく物品購入。1日で済ませて欲しかった(泣)。

 ハヤカワ文庫挟み込みの新刊案内に、ミステリのヴィデオの広告があったが、そのヴィデオ販売会社が企画しているらしい、修道士カドフェルの舞台を訪ねるカドフェル・ツァーの案内を見つけた。7月の木曜から次週の金曜日まで…9日間ということは、やっぱり土日以外に7日も休暇を取らなくてはならないと言うこと。ううううううううん…。無理だなあ…(年休貧乏、ていうか年休貧乏)。


2000.0317(金)
  購入本: 池上永一   『復活、へび女』   実業之日本社
    赤江瀑   『罪喰い』   講談社文庫

 郵便局に行きがてら久しぶりに古本屋に顔を出す。このあいだ赤江瀑がまだ何冊かあったのでそれを見るのが目的だったが、上記以外はダブリ本であった。レジを打ってもらっている間にレジ後ろの棚に目をやると、ヒラノマドカさんが話題にしていた『復活、へび女』があったので頂く。はじめて目にする本だったが、1999年9月出版であった。桜吹雪の絵柄のカバーが美しくちょっと不気味。
 棚からとってもらうとき、「あの〜、そこの、ふっかつ…ていうの頂けますか?」と指さしつつ控えめに口に出したが、「え?何、どれ?」と訊かれ「ちょうど手の所の、ふっかつ…ていうのですが」と返事。「どれ、どれ?」とおじさんの手は見当違いの方へ。ままよ、「そこの、ふっかつ、へびおんな!っていうのです!」店内にいた2,3人の客の耳が一斉にそばだった気がするのであった(羞)。

 夜、TVでココシリ(中国奥地)の探検記を見る。標高5000m以上の広く広く、寒い凍った土地。荒れた塩湖をすぎて未踏峰の登山。一見平地のような高原から隆起したこの山頂からの眺望は、四方360度あり、はるか彼方を囲む山脈の眺めが驚異的だ。地球上の眺めとも思えず、出来ることならここに立ってみたいと思わせた。 

 終わって次男を寝かしつけて気がつくとなぜかもう1時を回っているのであった(眠)。


2000.0316(木)
  購入本:なし

 先週スキーに出発した日からどうも胃(?)が痛いのが続き、今日も昼から調子悪し。うううう。帰路、小走りに走れば間に合う青信号にも、その元気がなくとぼとぼ歩く。やはり風邪のせいらしい。

 昼食は抜き(カップスープのみ)にしてひたすら『沈黙のあと』を読んだおかげで、夕食後には無事読了。今までのキャロルの中でもっとも「普通小説」に近い、というか、として読める。最後の1ページでの展開(転回)は、『我らが影の声』の読み方を「普通小説」としてのそれにさせようという意図か?と勘ぐってしまうようなものだ。
 もしくは、主人公の世界を「現実」が浸食する、という、逆のベクトルの示唆なのだろうか。ないしは地に堕ちた天使か天使・魔法の不在?

 こうして一人の作家を攻めてゆくと、ある時点で未読が残り少なくなってしまったことにハッと気がつき、充足感(達成感)よりもむしろ、未踏の世界が一つ消えてしまいつつあるという喪失感のようなものを抱く。最後の一作品になればもちろん達成感が強くなるのではあるが。帰宅途中に図書館に寄って次の『天使の牙から』、『パニックの手』を予約する。あとは『黒いカクテル』のみ(涙)。

 後に何を読むかの選択にしばし逡巡する。やや現実感の強い、軽めのものにしようか?などと決めかねるが、とりあえず途中のままの村上春樹の続きに決定。改めて手に取ると、ずっと感じていた違和感のひとつは、三人称での語り口にあるのだとわかった。


2000.0315(水)
  購入本: 大島弓子   『サバの秋の夜長』   白泉社文庫
    清水義範   『絶滅星群の伝説』   ハルキ文庫
    隔月刊 confort 特集 装飾の原初   建築資料研究室

 昨晩はまたもやラジオドラマ『これは王国のかぎ』を聴くはずの時間に、次男を寝かしつけたまま一緒に寝込んでしまった〜。

 2時間も寝てしまったものだから、12時に起きだしたあとでつい気が大きくなって、2時頃から『犬博物館の外で』を読み始め、結局3時近くに読了。いや〜、これは好きです!バベルの塔に、こんな魔法に、ヴェナスクにビッグトップ、クレア。一番好きかも知れない、今までの中で。そしてまた今日からは次の『沈黙のあと』に取りかかる。
 どうしてもっとみんな、
キャロル!と騒がないのだ?!なぞ。なぜですか>鈴さん

 今日は放送開始三日目にしてようやくその『これは王国のかぎ』を聴いたが、池澤春菜のジャニがなかなかチャーミング。だれかエアチェックしてませんか〜?ちなみに開設されたばかりの荻原規子のサイト「時の娘」を発見。

 寮美千子さんが自作『ノスタルギガンテス』のリーディングパフォーマンスを録音した自家製CDRが届く。
 よ、よかった!
 寮さんファンは全員聴けー!(義務) 早く売り出されないかな?しかし、確かにこれをいきなり商業ベースに乗せるのは難しいかも知れない…。
 ブックレットがないので、単行本のほうのカバーの美しい写真をスキャナで取り込んで印画紙に印刷して、ジャケット代わりにする。製作、発送、お化粧とみんな手作業だ。


2000.0314(火)
  購入本:なし

 次男の熱が何とか下がったので無事保育園の就学祝賀会に参加。咳、鼻水があるので、午後職場へ行く予定を取りやめて連れて帰る。出番ではぴょんぴょんがえるになりハイジャンプ!さすがに帰宅後は3時間ほどぐっすり昼寝であった。

 NHKFM青春アドベンチャーで荻原規子『これは王国のかぎ』が今週から始まったのを忘れて見事に聞き逃す。これが始まるまでに読もうと思いつつ忘れていたのを、次男の昼寝の時間に、あわてて読み始めた。さすがに評判通り面白く、一気に読み終えてしまった。荻原規子は今までに勾玉3部作しか読んでいないのだが、そこでも感じたとおり、文章はうまく、スピード感、テンポが小気味よい。「ほんとかよ」のような日常語部分のはさみこみ方も好きだ。最後にいきなりもとの世界に帰らないでワンクッションあるところがひとひねり、というわけ(ここあぶり出し)。『西の善き魔女』もそろそろ行ってみようか。
 挿し絵の佐竹美保の絵はかなり好きだ。古ーいSFマガジンのイラストに同じ名前を見たことがあると思うのだが同一人物だろうか。絵の感じはだいぶ違うようだったが。

 今日の読売新聞夕刊文化欄にまたも「SF」の字を見る。「原点に戻るSF作家宣言」と題して新井素子の(かなり太めの)写真入り記事が掲載されており、今年のSF大賞授賞式の話。受賞作の『チグリスとユーフラテス』も分厚いのを買ったきりずーっと後回し。早く読みますと言えないのはなぜ。

 『犬博物館の外で』は、あともう少し。バベルの塔まで。一つ新しいのを読むたびに、前のよりもっと好き、と思ってしまうのはすっかりキャロルにはまってしまった証拠か。


2000.0313(月)
  購入本: 神林長平   『魂の駆動体』   ハヤカワ文庫JA
    横田順彌   『古書狩り』   ちくま文庫

 SFセミナー2000のアナウンスが届く。へー、ちゃんと過去の参加者へのフォロー、してくれているんだ!(封筒の郵便番号が、正しい3けた部分に電話番号の4けた部分が合体していたのは笑えた)ゲストが角川春樹、牧眞司、巽孝之、大森望では行かずばなるまいて。

 ちょうど今日の読売の夕刊文化欄に「とれんど in 小説」という囲み記事がある。「『SFブーム』高まる期待」(期待してますか?)という見出しで、「ホラーの次はSFブーム」「SFに『春』は来たのかー。」に始まり、「SFの春はおのずとやってくる」で締めくくられる。みんなどこかで見たようなネタだー。「石田汗太記者」もネットウォッチャーか(意外に「え、あの人?」なんて人だったりして)。もうちょっと違うこと書けば

 ジョナサン・キャロル『犬博物館の外で』も佳境。というか、いつでもこの人のは、行けども行けどもこれから話が始まるそのための長い長い前段階と言う気がする。そしてラストに行って急展開(=転回)。もちろんこの「前段階」はものすごく人並みはずれて面白いのであって、これは不満ではなく単なる印象・感想にすぎないが。
 アラブの小国家サルーのスルタン、モハメッド・イドリス・ガダラーニがかっこいい。が、またこの人物もキャロルは消してしまった。ほかにもシャーマンのヴェナスクをはじめ、またまたチャーミングな登場人物がたくさん出てくる。るんるん、続きが楽しみ楽しみ。

 一日からだがギクシャク、C3PO状態なのであった(現在完了進行形)。宿で一晩中暖房を入れて乾燥していたためかのどが痛いし、おなかもシクシクする。つきあいのいい次男は、夕方から発熱(38度)。明日は保育園の就学祝賀会(卒園式+学芸会みたいなもの)で出番がいっぱいあるのに〜。オマジナイオマジナイ。ネツヨサガレー、カゼヨタイサンシロー!


2000.0310(金)〜12(日)
  購入本:なし

 10日の夜から今日の夕方まで、区が主催のテレマークスキーの講習会に参加していた(霧ヶ峰)。テレマークスキーまたはスノーシューの選択で、「両方!」と言うのがよかったのだが、前からやってみたかったテレマークスキーの方にする。

 10日は夜7時集合、バスに乗り霧ヶ峰にある区の宿泊施設に11時着。行く道々沈み行く三日月とそのすぐ近くの土星・木星のつくる三角が美しかった。到着してバスを降りると、冷たい夜空は一面の星、北斗七星とオリオン、シリウス、天の川…。

 11日。朝から一日、近くのゲレンデ(緩斜面)で講習。かかとが上がる靴なので、おっかないこと甚だしい。スキーのジャンプの着地の姿勢=テレマーク姿勢で斜面を滑る。斜面を滑るのと平らなところを歩くのとが一本のスキーでできる、という、楽しい(はずの)スキーなのだ。レンタルのものは見た目アルペンスキーとそれ程変わらない。長さは私の身長157cmで180cmをあてがわれた。一応エッジはある。裏に一部うろこ状の滑り止めがあり、緩斜面がいくらか登りやすくなっている。
 ヒールフリーのためアルペンスキーでは考えられない格好でこけるので、「うっそー!」「信じられない〜!」の声、続発。まっすぐ前とかまっすぐ後ろにバッタリとこけまくるのだ。どの人もアルペンスキーでは一応は滑れるはずなのに、勝手が違いすぎる。頭の中は「こ、こんなはずでは…」の思いが渦巻く。
 ガリガリのゲレンデを、しかたなく大ボーゲンで滑るので、程なくマタが、おしりが、痛みだし、全身が疲労物質のつまった枕のように感じられてくる。あー。11人いたのにあっという間に二人リタイヤ…。意地で最後尾あたりをついてゆく。
 終了後、温泉でひたすら役立たずの身体をいたわる。アキレス腱とふくらはぎが痛い。「ああ、どうか明日は吹雪になりますように〜」と皆で吹雪乞い。

 12日。やたー、雪だ!でも残念ながら吹雪ではない。さらに一人リタイヤを決める。そんなぁ!でも意地でもリタイヤするもんか。
 きょうはバスで高いところまで行き、バックカントリー、というほどではないが、散策の予定。降ろされたところは雪の吹きつける、さびれたスキー場跡である。何が哀しくてこんな所に痛む身体で来ているのか?雪の原野(に見えた)を少し歩き、枯草のニョキニョキ突っ立つゲレンデ跡に出る。新雪が10〜20cm積もっているので、きのうとは大違いである。ひたすらテレマーク姿勢をとろうと努力し…こけてこけてこけまくる。見ているとほかの人たちも皆ころころこけて大穴の中に埋まっている。先生も冬眠がさめたクマよろしく、一段と深い雪に埋もれている。よかった。しばしまた歩いて、八島湿原を間近に望むところで休憩。このあたりですっかり晴れてきた。お茶したあと再び戻ると、もう日差しで雪が重くなり、油断していると板の裏にはりついてしまう。
 昼には宿に戻り、食事と温泉、びいる。
 帰路の混雑を気にして、朝から早めにスケジュールが組まれていたので、結局帰着は夕方5時。中央道も一般道も、がらがらだったのだ。
 それでも皆懲りずに、「また今度来ようね」と再会を期したのであった。かわいそうなのは出来の悪いおじさんおばさんを来年も教える羽目になった先生である。よろしくね〜!

 しかし温泉と食事と布団の合間に、ちゃんと『犬博物館の外で』を読み進める、私はやっぱり活字中毒者なのであった。哀しいかな、車酔いをするので、片道4時間もあるバス内では本というものが読めなかったのが残念。しかも席割りの都合で運転手の後ろの席に一人だったのに。口惜しや。

  それにしても身体って、筋肉と筋で動いているのね、と今更ながらその存在を痛切に感じる現在なのである。明日は仕事になるのであろうか(反語)。


2000.0309(木)
  図書館本: ジョナサン・キャロル   『犬博物館の外で』   創元推理文庫
     〃   『沈黙のあと』   東京創元社

 DLしたテキストを読むにはT-timeがいいと有里さんのおすすめだが、どうも以前から動作不良だったので、アンインストールして入れ直す。今度はちゃんと読めるぞー。今まではなぜか1ページ目しか読めなかったのであった。あちこちのファイルを試し読みしたりしている内に遅くなってしまった(眠)。

 昼休みには村上春樹の続きを読む。いつもの彼らしい雰囲気はやや薄いような気もする。最近の彼のノンフィクションも読むべきかと思わせる。


2000.0308(水)
  購入本: 『コミック・フラッパー』 4月号   メディアファクトリー

 きのうは一枚薄着をするくらいの暖かさだったのに、今日は再び寒さが戻る。けれども、その寒さも今までとは確実に違う。ついこのあいだ葉を落としきったばかりの柳が、若緑を散らした枝を風にそよがせているのに気付く。日陰の沈丁花もすっかり花を開いて、春は後戻りしない。『コミック・フラッパー』のますむらも、春だ。

 『夜叉の舌』読了。「自選恐怖小説集」と銘打たれ10の短篇が収録されており、目次の次のページには「編集協力・東雅夫」の名が見られる。
 最初に読んだ「春の寵児」のほか、「夜叉の舌」「鳥を見た人」、短い「迦陵頻伽よ」が特に好き。「草薙剣は沈んだ」、「夜な夜なの川」はこれらとは違い冷たさの這い上がってくる作品で印象的。それから…、とどれにも言及したくなる魅力がある。別格、と言うべきか。

 夜、『神の子どもたちはみな踊る』を読み始める。先日も書いたが、どういう訳かこの装丁、造本が妙に気に入った。ただ机の上にあるときは特に魅力を感じないのに、手にとってページを開くと、表紙から1ページ1ページ、順ぐりにたどりたくなる。紙質も良い。扉の効果も良いし、目次のエッチングも好き。各編の扉のカットも、何気ない絵ながらどこか日常との違和感を呼び起こす不思議な絵だ。装画・挿し絵は北脇昇とあるが、村上春樹ご本人が選んだのだろうか?
 私はずっと以前知り合いから指摘されたのだが、本を読むとき、表紙やページを指でいじりながら読む癖がある。だからこの本のようにソフトカバーのものは感覚的にしっくりくるのだと思う。同じ新潮社のクレストブックスの装丁・造本も好きだし
 
表紙を見たとき帯の黄色が強烈であまり好きではないと思ったが、表紙をめくったときの雰囲気との落差が、村上春樹の世界へ落ちて行く、自然な仕掛けになっているようにも思える。


2000.0307(火)
  購入本:なし  

 昼休みに読んだ赤江瀑『夜叉の舌』(自選短篇集)がとても面白く、食事もそこそこに読みふける(ミスドのごまドーナツでは赤江瀑にぴったりというわけには行かない)。折しも4月の陽気と言うくらい暖かかく、いかにも爛漫たる春という雰囲気の赤江瀑にはちょうどの日和。確かに幾分古めかしい感じがするのは否めないが、その分正統的な小説!という印象を受ける。気障とでも言いたいようなスタイルが、まるで「ついておいで…」と言っているようで抗しがたい魅力だ。
 なのに、帰りに急いだため、本を机の上に置いてきてしまった〜。幸いに今日は連れ合いの青色申告の手伝いのためネット徘徊も読書も出来なかったからあきらめがつくというもの。

 とか言いながら、キャロルに関するサイトがないかとやっぱり徘徊するのであった。最初に訪ねたサイトで『我らが影の声』の記述を読み、ええっ、私の受け取ったものと全然違うじゃーん、と、昨日読んだばかりの筋を反芻する。フツーの人はこう読むのか?登場人物を単なるきちがいにしてしまっては何にも面白くも怖くもないのに。ショック。
 それにしても、英語の公式・非公式サイトはあるが、意外にキャロルを扱った日本のサイトは少ないように思う。まだ捜索不足なのでまた捜そう。

 ジョニー・デップさまの『スリーピー・ホロウ』には一体いつ行けるのやら。これからの週末はスキー、次男の高校の説明会、またスキー、入学式、リーディング・パフォーマンス、と毎週なんやかんや。いきなり決まったDASACON3にも行けないし。そういえばデップのもうひとつの映画『ノイズ』はいったいどうなんだか?うう、行きたい〜。


2000.0306(月)
  購入本: 『ダ・ヴィンチ』 4月号   メディアファクトリー
    『母の友』 4月号   福音館書店

 夕食後ジョナサン・キャロル『我らが影の声』を読み終える。文庫で出ているもののうち5冊目であるが、いままで読んだものの中でストレートに「怖い」と言う感情を抱いた。かなり早い部分でのことである。このあと続けてキャロルを集中的に読もうかどうしようかと思っていたが、これを読んでさらにほかの作品も読むことに決定>AKOさん。
 兄の死をすっと引きずっている主人公であるが、なぜ執拗にそのことが本筋と並行してこれほどに書かれるのかといぶかしく思い続けた。これがどういう風に収束するのか、と期待しつつもどんどん残りのページ数が少なくなってくる。そしてもうこんなふうに終わりか、と思ってから最後の最後に至ってのこれはうまい!
 キングのように人の感情に即して怖い(短篇を読んだときの手触りから)のとは違って、風変わりで常に現実からの逸脱を微妙な違和感をともなって書くキャロルの面目躍如であった。あまりにうまく作ってあって、あざとさを感じるくらいでもある。
 リトル・ボーイには、映画『バットマン』のジョーカーを思い出した。また改めて題名を見るとその意味深なこと。ここでもこの題名自体、作中作(作家である主人公の”代表作”)の題名となっている。
 この作品は、今まで読んだキャロルの中ではかなり好きな方にはいるだろうか。といってもどれも甲乙つけがたいのが本音である。強いて言えばベスト1は『炎の眠り』か。

 これときのうの感想とをちゃんと書いてしまいたかったのだが、諸般の事情で延期。せっかくノっているのに。


2000.0305(日)
  購入本: 皆川博子   『ゆめこ縮緬』   集英社

 次の週末にテレマークスキーの講習会に参加するので、足りない小物(スパッツとか)を買いに神保町へ行く。なぜか長男もついてきて、手袋だのサングラスだの。まだ足裏の脂肪の塊を切除した傷が治らず、包帯+サンダルなのに、へーき、へーきと言いながらズルズル歩く。

 神保町、しかも遅くなったからちょっとね、と言いつつもいちおう三省堂に寄ったのに、何も本を買わなかったので「これから雨が降るから早く帰ろう!」なんて言ったのであったが、帰り際に伯剌西爾(だっけ、グランデ隣)の横の、ワゴンで古本を売っているところで『ゆめこ縮緬』を買ったせいか、雨は降らず。

 途中、紅茶の「高野」でお昼。チーズトースト、と言ってもやや厚めのトーストにゆで卵のマヨネーズ和えとチーズ、キュウリを挟んだものと、ラプサンスーチョンである。このお茶は、名前は聞いて久しいが実際に飲むのははじめてである。運ばれてきたと同時に、薫製の匂いがたちこめる。お、おいしい…!今度どこかで茶葉を仕入れよう。帰宅してもしばらく、髪や衣服にいぶした匂いがまとわりついているようだった。

 スキーまで1週間を切ってしまったのに運動不足解消策を何もとっていないのが怖ろしい。ステッパー(ウォーキングマシン)で気休めに歩きながら今週あまり進まなかった『闇の守人』の続きに取りかかり、一気に読み終える(終わりの方はちゃんと座って読んだ)。前作『精霊の守人』にも増して複雑な謀略の渦に巻き込まれるバルサ。山の奥底の世界が魅力的なので、あまり詳しく出てこないのがもったいない。


2000.0304(土)
  購入本:なし  

 午後から、譲っていただいた入場券で、デンオン・J・クラシック・フェスティバル・コンサートなるものに行く(紀尾井ホール)。天気予報通り昼頃から雨になり、小雨かと思えば時には本降りになってみたり。だが寒くはなく、このまま春になってしまうのか、と思わせる。季節の方が半歩ばかり先を行って、冬の装いが流行遅れになってしまったような気がした。

 恒例の3月末のスキーのためにウェアを点検する。長男には昨シーズン、それまでのが小さくなってしまったのでワンセット買ってやったのだが、今日着せてみるとそれがもうつんつるてんだ。大きめのを買ったはずなのに、どうしたことだ〜、しかも2回しか着てない。すかさず自分のを譲ってやると言う連れ合い。「だって、スキー部に入るんだから今買わない方がいいでしょ。」入部して確かめてからそれなりのを揃えるべきだというごもっともな理屈ではあるが、キミのも昨シーズンに買ったんじゃなかったかね、あーん?

 小林泰三さんが、「〜円からお預かりします」という文を書いておられる。しばらく前に私も某掲示板でこの事に触れたことがあるので、わが意を得たり。昔アルバイトをしていたときには、ちょうどの金額を渡されたときには「○○円頂きます」、お釣りのある金額を渡されたときには「××円お預かりします」と言うように、と申し渡された。○○円頂くところをとりあえず××円預かってお釣りをお返しするのだから、と。単純明快。
 もうひとつ言わせてもらえば、「何々のほう、お持ちしました」とか「何々のほうになります」という「
ほう」もやめて欲しいぞ。「何々じゃないほう」もお持ち下さるわけかい?


2000.0303(金)
  購入本: 藤森照信・文/増田彰久・写真   『アール・デコの館』   ちくま文庫
    『幻想文学』 57号 伝綺燦爛――赤江瀑の世界   アトリエOCTA
    『SFが読みたい!2000年版』 SFマガジン4月臨時増刊号   早川書房
    『SFJapan』 日本SF大賞20周年記念   徳間書店

 昼前から休みを取って、友人と上野と目黒へ行く。『モナリザ100の微笑』東京都美術館)と『アールデコと東洋』東京都庭園美術館)が目的である。
 暖かな日だったので、散策を楽しむにはもってこいである。どちらも軽めの展覧会かと思いきや、それぞれ意外に見応えがあり、最後に寄ろうと思った渋谷のブックファーストはあきらめ、勝手知ったる池袋リブロで上記を急ぎ購入するともう5時。電車が混まないうちにと早々に帰る。遅い昼食に目黒駅前で食べたトンカツがおいしかった〜。

 モナリザのほうはとにかく様々な模写や引用、パロディ作品など126点(100じゃない)が並び、それぞれに同じ様だけれど違っている謎の微笑を競っているので、作品として上映されていた2つのビデオのように、目に映るものが皆モナリザに見えてくるような強迫観念にとらわれてしまうほどであった。

 『幻想文学』57号は、聞いていたように、表紙のデザインが一新され(わー、ほんとに『五輪の薔薇』だー)それと知らなければわかりにくかったかも知れない。斜め読みした女性3人の鼎談が面白い。後でちゃんとまっすぐに読もう。
 北まどか氏の児童文学評に、『ミステリアス・クリスマス』(パロル舎)が挙げられているが、まったくアンテナにひっかかってこなかった本なので早速図書館にリクエストしようと思う。

 保育園で保母さんが(おっと、最近は保育士と言うのだ)親に向かって、「三人官女、五人囃子の次はなんだか知っている?」と言うのだが、右大臣、左大臣?ずいしん?太刀持ち?露払い?などなどの声が挙がるばかりで、当の保母さんも「それが、わからないのよ〜」と言うのだ。
 調べたところ、2段目が三人官女、3段目が五人囃子、4段目が随身(左大臣と右大臣)、5段目が仕丁だという。保育園のおひな様は4段目に3人が並んでいたような。左大臣(老人)は向かって右、右大臣(若者)は向かって左で、仕丁とは外出するときの従者なのだそうだ。ちなみに我が家のおひな様は木目込みの親王・内親王の二人だけ(だから知らないのサ〜)。この親王(男雛)は向かって左、内親王(女雛)は向かって右が一般的のようだ。と言っている間に明日にはもう片づけなくては。


2000.0302(木)
  先日の購入本: リチャード・ネルソン   『内なる島』   めるくまーる
    エリス・ピーターズ   『納骨堂の多すぎる死体』   原書房

 昨晩2時過ぎまでやめられず『山梔』読了。すごかった、重かった。

 2週ごとの職場のゼミ、前回私が回り番で準備していたが、ボスの都合で当日すっぽかされた。2週後の今日。何日も前から準備して、今日も夕方からのゼミに向けて仕事の段取り。昼もだいぶ回った頃、「先生、今日ゼミですね?」と軽く言ったら「あらっ、来週よ!」…。やだー、また引きずるの。今日で終わりにしたかったー。

 先日書きそびれた購入本、『内なる島』は写真が星野道夫。
 またピーターズカドフェルシリーズの書き手なのでハードカバーをためらわずに手に取った。カドフェルシリーズ(教養文庫)は20冊ほどあるものが初め1,2ヶ月おきに訳され、次をまだかまだかと首を長くして待っていた、大好きなシリーズ。邦訳が追いついたとほとんど同時に、ご本人が亡くなってしまってがっかりしたものである。カドフェル以外のものを読むのはこれがはじめてなので、楽しみ。カドフェルではたしか3人くらいの訳者が交互に訳しており、しっくりくるのとどうも居心地が悪いのとがあった。この『納骨堂〜』はそれらとはまた別の訳者のようである。カドフェルは中世が舞台だったからことに訳者の得手不得手があったのだろうが、こんどはどうだろうか。

 次男が昨夕から鼻水がでてズルズル、鼻をかんではスンスンと鼻を鳴らす。保育園の帰り医者に行く。大好きなお医者さんなので、聴診器を当ててもらっているあいだ中、嬉しそうに先生の顔を見ている。先生もそれに気付き、目を見合わせて二人でにっこり。「先生、おうちどこかなあ」というから、帰りがけに医院の裏手の家を教えると、「ずいぶん近いねえ…!」と感心している。先生の庭のこぶしが咲くのももうじきだ。


2000.0301(水)
  購入本:なし  

 帰りに次男と図書館にふらっと寄った時に、ルーマー・ゴッデン『人形の家』が岩波少年文庫にあるのを見つけつい借りて夕食後読む(再読)。もともとこの版だったか?と首を傾げるが、それはともかく、堀内誠一の挿し絵はいつもながらいいなあ、と思う。

 先日FMを聴いていて発見したボーイズ・エア・クワイアのCDを、娘がとても気に入ったらしく、日曜などなんべんも繰り返して聴いていたようだ。がびーん、と来るようなハイトーン、と言うと竹宮恵子できまり。

 『山梔』『闇の守人』『草原の祝祭』を交互に読んでいるので人生とっても幅広く豊か、といおうか、それともなんだかよくわかんない、と言うべきか。『闇の守人』は読む前から人名がどっちゃり表になって出ているのでそれを見るだけで辟易>寮さんと同じ。

 このあいだ職場で本をひっくり返していたら『とりかえばや物語』(ちくま文庫)を発掘したが、1月のオフでMZT氏が『薔薇の荘園』はやおいだー、と喜んでいたのを思い出し、これもそう言う視点で読むべきか?と持ち帰ったのであった。そうなのか?これはずっと以前FMでドラマをやっていたような気がするが記憶違いかも知れない(未読)。


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最終更新日 00/12/01 23:41:10
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