日時計 2000年5月 日記

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▲最新の日記▼読了本

2000.0531(水)

 毎月その月も終わりと言う頃になるとそれなりの小さな感慨があるものだが、5月が終わりになるというのは中でも感慨が大きいものである。4月から5月の、キラキラ輝く光と風、鮮やかな花と若葉、芳しく刺激的な匂い。一年中待っていて、ほんのひと月で終わってしまう晩春から初夏のこの時期は、その一瞬一瞬を、五感を解放して堪能しないとあっという間に過ぎ去ってしまい、また一年待たなくてはならない。
 天気図に梅雨前線を発見して、今年の黄金色のひと月が終わろうとするのを知る。

 『水の都の王女』上巻を終えた。決して読みとりやすい物語ではないのだが、いったんなじんでしまうとその世界の虜になる。いわゆる異教的と言うのとも違った、不思議な世界だ。奇妙な神々が人間たちと深く具体的な関わりを持ち、人間のほかに巨人族や人間の亜種族たちがいる世界なのだ。
 主人公の一人、少女ヘジは図書館へ行って古代の文字の読み書きを習得しようとするが、その古代文字は漢字を彷彿とさせる表意文字である。だが、だからといって中国、日本的なものを特に感じさせるというわけでもない。様々な部族と僅かに想像されるそれらの習俗、神々のあり方や姿など、確かな重みを感じさせてとてもオリジナルな感触の異世界なのである。

2000.0530(火)
購入本
高野史緒/『ウィーン薔薇の騎士物語2 血の婚礼』/中央公論新社C★Novels
渡部潤一/『星空を歩く』/講談社現代新書
高橋健一/『グリム兄弟』/新潮文庫
池上永一/『風車祭(カジマヤー)』/文藝春秋

 昼休み、盛夏のような光溢れる中を、お弁当用食料の調達に出る。大抵の食料は生協の配達に頼っているのだが、今週は野菜もタンパク源も在庫僅少。レタスやミニトマト、青梗菜などが安くてついあれこれ買ったら、その前に仕入れた『風車祭』ほかのせいもあって結構な重さになってしまった。

 『風車祭』は帯付き、まだ初版(1997年)。またピシャーマやギーギーに会える(嬉)。

 『水の都の王女』は途中いくつかの異なる場面が同時進行して、ちょっとくたびれ気味。というのは強烈に眠い昼休みの話で、夕食後また読んだら頭の歯車がまたちゃんと回り始めたらしく、おおなかなか面白くなってきたじゃん、と言うところ。

2000.0529(月)

 強い日差しに、朝からチャリ通の私は汗〜。黒目が人より薄めの茶色のせいか、まぶしがりの私は、そろそろサングラスが必需品だ。

 久しぶりに佐藤亜紀のサイトを見に行ったら、ひゃあ面白い。これその続き

 先日掲示板の方で教えていただいた、題名からして面白そうなオドエフスキィ『火のドラゴンの秘密』(ポプラ社文庫怪奇・推理シリーズ)をTRCで検索してみた。「怪奇推理シリーズ」とキーワードを入れると73件もヒット、クリスティだのルブランだののほかにポリドリとかブラム・ストーカーとか、ブラックウッドとか。デュ・モーリアの『シンデレラの呪われた城』って何だろう?気になる。
 ちなみに『火のドラゴンの秘密』は、なんとちょうど他の件で検索していた佐竹美保の挿し絵ではないか。佐竹美保は昔SFMなどにもイラストを描いていたひと。最近はどうなのかな?版画ふうの挿し絵がなかなか好きだ。

 相変わらず『水の都の王女』の続き、土地の広がりがあって、異世界をありありと感じさせる。この世界の習俗がきっちり設定されているのが安心して物語に身をゆだねられる一因だろう。なかなか奇妙な世界。


東へんしうちょう@『幻想文学』から次号(58号)の予告(掲示板より転載)

 特集は「ファンタジスト2000(仮題)」――主な内容は、インタビューが山尾悠子(牧野修)、寮美千子(四方田犬彦)、水原紫苑(佐藤弓生)、長野まゆみ(福本直美)、上橋菜穂子(石堂藍)など(カッコ内は作家論の寄稿者)。山尾、寮、水原さんには新作も書き下ろしていただく予定。そのほか高原英理による総論とか石堂のガイドとか、ゲオルク・ハイムの翻訳とか(ま、まにあっくだ)色々ありますが、ちょっとまだ流動的なので。

 発売は6月下旬か!?期待。

2000.0528(日)
購入本
デ・ラ・メア/『デ・ラ・メア物語集』1,2,3/大日本図書
Book-Off本
カルボニエ/『床屋医者パレ』/福武文庫d
レオン・ガーフィールド/『見習い物語』/福武書店
イタロ・カルヴィーノ/『マルコヴァルドさんの四季』/岩波少年文庫d
タニス・リー/『黄金の魔獣』/ハヤカワ文庫FT
フランチェスカ・リア・ブロック/『ウーツィ・バット』/東京創元社
 〃 /『ウィッチ・ベイビー』/東京創元社
 〃 /『チェロキー・バット』/東京創元社
五代ゆう/『はじまりの骨の物語』/富士見ファンタジア文庫
 〃 /『遙かなる波濤の呼び声(下)』/ 〃
キャロル=ジェイムズ/『マツの木の王子』/学研

 夜のうちに雨が上がり、朝から暑そうな日差しが降り注いでいる。湿った強い風のために不快指数が一挙に上昇。

 次男らと近所にある区立○○福祉園まつりに行く。ミニSL、プラバン作り、プリクラなどのアトラクションと、地域の人も参加しての売店(お弁当、ラーメン、フライドポテト、焼きそば、草花の苗、利用者たちの作品等々)、フリーマーケットなど。次男が行く行くと言っていたお化け屋敷は、いざ行ってみたらお友達共々怖くてパス。ミニSLは以前見たものと違い、本当に石炭を食べて煙と煤と汽笛を吐いて走る。うーん懐かしい匂い。ラーメンは本格的にダシをとっていて美味だったが、真昼の日差しを浴びて、あーづーいー。
 なぜか午後から屋上で学生プロレス。事前に出場者たちがそれらしい装束(裸・覆面・キラキラ・デブデブ・たてがみ)で園内を呼ばわりながら何周もしている。イヤ〜、なぜにここで学生プロレス?その姿を見るだけで暑さ倍増である。そう言えば2,3年前近所の高校の文化祭に行ってみたら、中庭でやたらに盛り上がっているのが「異種格闘技大会」だったっけ。今日のもきっとその高校生たちだな。まだ帰らないと言う次男をお友達のお父さんに託して、私だけ帰り、さーっと池袋へ。

 2時、長男のお弁当用の箸箱や保冷バッグなどを買いがてら要町のBook-Offと池袋リブロへ(こちらが主なのは公然の秘密だ)。
 懸案の『デ・ラ・メア物語集』が今日の主目的である。リブロではようやく『ジョン・ランプリエールの辞書』の実物を見た。うーん何遍見ても5000円。表紙がやや似ている『五輪の薔薇』は上下巻で各4000円だからそれよりはマシか。しばし考えて次の機会に譲ることにする。児童書では上橋菜穂子の守人シリーズの第3巻『夢の守人』が前2冊と並んでどんと平積みになっているのを発見。ここでもかなり悩むが、前2冊は図書館で借りたので、これも図書館に頼ろう。そう決めたら収穫をリュックに詰め込んで急ぎ帰る(忙)。4時。まったく汗をかきっぱなしの一日である。
 今日の読書は『水の都の王女』

 娘が、化学がよくわからない超難しいと言ってあれこれ訊いてくる。
 「つぎのうちで、安定なイオンになったとき、Ne原子と同じ電子配置になるもので、イオン半径がいちばん小さいものはどれか?」
 うー、こんなこと高校で習ったっけ?ともかくも娘は「安定なイオンとはどういうことか?」「Ne原子と同じ電子配置とはなにか?」「イオン半径の大小は何によって決まるか?」の3点をまったく押さえていなかったのである。うーん。明日は化学の中間試験(驚)。

2000.0527(土)
購入本
米田淳一/『リサイクルビン』/講談社ノベルス
古書
ブラム・ストーカー/『ドラキュラの客』/国書刊行会
菊池仁・編/『大江戸ホラーコレクション』/福武文庫
イタロ・カルヴィーノ/『不在の騎士』/国書刊行会

 待望の土曜日。今日こそは消防設備の点検だったが、それ以外にこれと言って予定もなく、久しぶりにたらたらと過ごす。

 秋山瑞人『猫の地球儀 焔の章』『猫の地球儀2 幽の章』読了。最後はずっと涙でした。やっぱり『エンジン・サマー』だよ。
 楽(かぐら)が愛らしくって。ただどうしてもこの子は小さい牡猫に思えてならない。また円(まどか)を失った幽(かすか)と女の子ロボット・クリスマスが出会うのはある種必然なのではないか。スパイラルダイブ自体は面白いとは思うが私自身はあまりこの手のが好きでない。第一トルクのほかの部分の描写との間に雰囲気のギャップがありすぎると感じた。
 大島弓子の『綿の国星』が出た当時、登場猫が人間の姿で描かれてはいるが実は猫、というのが斬新だった。多分『猫の地球儀』を読んでいる間、そのようなイメージで読んでいたような気がする。

 『日本人の魂の原郷 沖縄久高島』の続きを読む。シジ(セジ)、ノロとユタ、聞得大君のことなど。この本も『レキオス』(沖縄本島が舞台)も沖縄サミットの影響でこの時期に出たのかも知れないが、『風車祭』は石垣島が舞台なのでこの本の石垣島バージョンのようなものがあったらと思う。

 復刊本リクエストを募るサイト復刊ドットコムが運営開始。復刊希望が50票集まったら出版社(著作権者)に交渉、承諾が得られればオンデマンド方式で出版という。50の根拠は何だろう。
 私ならアレとかコレとか…復刊希望その1はこれを待つまでもなくまもなく叶いそうなのは望外の喜び。

2000.0526(金)

 目取間俊<めどるましゅん『魂込め(まぶいぐみ)』を昼休みに読み終わる。中でも「面影と連れて(うむかじとぅ ちりてぃ)」がとても好きだ。冒頭の「魂込め」で、浜の木陰に海を見つめて座り続けるマブイの姿が印象的。この印象が全体を貫いている。作品としてはこれよりも後の方の作品が余韻が深いように感じた。やはり池上を光と言うなら、目取間俊は影(蔭)だろうか。沖縄の森の葉叢の蔭、洞窟の奥の苔むした暗闇、強烈な太陽の光が真珠色の雲に隠れて翳った瞬間。視点が常に「私」であるためか、息苦しさがある。閉塞感と言おうか。そのせいか昔の小説の読後感に似ている。文の上手さは池上に負けてると思う。

 次は読みかけの『猫の地球儀』の続き。1冊目の8割といったところ。猫っぽさが次第に薄らいで来る感じがする。この作家(秋山瑞人)のものを読むのは初めてだ。ちび猫の楽(かぐら)がかわいい。猫、活動(映画)、天使…これ、『エンジン・サマー』だよ!

 角川書店の情報誌『本の旅人』に大森望氏の名が。横溝正史賞受賞作について書かれている。取り上げられているのは『DZ ディーズィー』(小笠原慧)で、『ダーウィンの使者』『フレームシフト』などと並ぶ人類進化テーマものだそうだ。SFセミナーの野田さんの部屋でこれらが取り上げられたのを聴いたが、『DZ ディーズィー』も面白そうだ。どれも早く読まなくちゃ。
 同誌にはほかに風間賢二によるキングの<暗黒の塔>シリーズについて(最初から読んでみようという気になった)、大島弓子(最近は病気ネタが減ってなにより)、小谷野敦(金井美恵子のこと)、など。

 ネットで知り合ったある方と、出身中学が同じだと言うことが判明(年はちょっと違う〜)。こんなこともあるんだねえ。きゃー、校歌、おぼえてる?大好きだったんです。今も大好き。

2000.0525(木)
購入本
長野まゆみ/『彼等』/集英社
加納朋子/『いちばん初めにあった海』/角川文庫
池田あきこ/『英国とアイルランドの田舎へ行こう』/中公文庫
アリサ・クレイグ/『昔むかしの物語』/創元推理文庫
ロバート・アスプリン&ピーター・J・ヘック/『銀河おさわがせマネー』/ハヤカワ文庫SF
SFマガジン7月号/早川書房

 アルバイトのお嬢さんの住まいの方できのうのが降ったのだという。昨年買った新車がぼこぼこになってしまったそうだ。近所では家の窓ガラスが全滅だとか、ガレージの屋根がぬけたとか、果樹が壊滅だとか、相当な被害があったとのこと。場所によってはミカンほどの大きさの雹もあったとか。夏みかんかしらブンタンかしらざぼんかしら(あっ布巾新)。

 『レキオス』の書評がSFマガジンの最新号にさっそく載っている。うーん、これは一種のネタバレとは言えないのだろうか?新刊が出てすぐの書評はもうすこしあいまいな形にして欲しかった。でもさすがにプロの書評は上手。それにあらすじを読んだからと言って面白さが失せるような池上永一ではないな。

 『魂込め(まぶいぐみ)』が図書館から来たので読み始めている。昨年出た短篇集で、冒頭が表題作。池上永一と比べると、同じ沖縄を、あたかも裏と表から描いたようーと言ったらよいか、同じ沖縄の筈なのだが、池上永一と目取間俊の世界に満ちる光は別物のようだ。うーん、題材は面白いのだけれど、印象はこぢんまり、フツーかしら。ただ今2作目。

2000.0524(水)
図書館本
目取間俊/『魂込め(まぶいぐみ)』/文藝春秋

 草むらではヘビイチゴが真っ赤に熟れ、上からは常緑樹の葉が風にバラバラと落ちてくる。もう少しすると竹の秋。無事盗掘(?)をまぬかれた向かいの公園の竹の子はぐんぐん伸びて、4階の我が家より高くなったものもある。竹の子というとどうしても良寛さまを思い出す。 

 『レキオス』読了。悪魔の目は山羊の目をしている、とは何が出典だったか。いやはや、たーいへんな小説である。もっともっと長いバージョンで読みたいあるよ。
 ろみひー(爆)、サマンサらはハチャメチャさ炸裂、一応主人公のデニスは実にかっこいいし。劉もユタも、良枝も、みんな大好きだ。ポーポー売りのオバァ、マチーとガルー姉妹の「お祝いだからねー、お祝いだからねー」に誘われてポーポーを食べると

ポーポーは、ほんのり甘い幼時の記憶を蘇らせてくれた。(略)一口噛むごとに、そんな懐かしい日に戻っていく。そして食べ終わったら、口の中にほんのりとその風味だけが残っている。ポーポーは記憶と同じ味だった。

 一方、アメ女・広美がサマンサの手にかかって犬のようになったところはこうだ。

広美は以前もただの雌犬(ビッチ)だったような気がする。するとこれは本来の姿に戻ったと言うことではないだろうか。犬には飼い主が必要だ。だったら広美は幸福になったのかもしれない。

 こういう味わい、テンポ、ユーモアのセンスが好きだ。
 終盤では20万の魂が。そして世界中にはなお何十万、何百万の戦争で死んだ魂が残されているのだ。

 聞得大君(きこえおおぎみ)は、『おもろさうし』(岩波文庫)によると、(琉球)「王国時代における最高級神女の称号」で「太陽神に成り代わることが出来る神女」のこと。オモロとは「沖縄・奄美の島々に伝わる古謡ウムイを、首里王府が16世紀から17世紀にかけて採録」した歌謡集で古事記、万葉集、祝詞を合わせたものに当たるという。オモロはウムイ(思ひ)の語形変化したもの。『レキオス』本文中のオモロの中の「精高子(せだかこ)」は聞得大君の異称。などなど。ちなみに岩波文庫の『おもろさうし』上巻は3月に出たもの。下巻はまだこの先らしい。

 オモロはでてくるは、聖書、魔笛、更に古代の様々な異教(よくわからないよ)がこれでもか、とでてくるは、スパコンはでてくるは、いやはや、やはり池上永一は膨大な資料を駆使して書く人か。だから次作との間があくのかも知れない。

2000.0523(火)
購入本
藤田宜永/『鼓動を盗む女』/集英社文庫
菊池秀行/『吸血鬼幻想』/中公文庫
外間守善校注/『おもろさうし(上)』/岩波文庫
ひかわ玲子/『ひかわ玲子のファンタジー私説』/東京書籍

 たくさん寝たので目がつぶれそうになっている。昼休みは『レキオス』(こればっかり)、これ、またたくさん削ったのだろうか。それともたくさん書き込む前に思い止まったのだろうか。彼の場合、長篇なら『風車祭』程の分量があった方が嬉しい。一見なくても良いかも知れない文章を読むそのこと自体に喜びがあるから。

 午後、骨密度測定。骨粗鬆症の診断に使われる検査である。腕、足首、骨盤、もう一カ所は忘れた、合計4カ所測定し、そのほかに3日間の食事の内容調査がある。これが面倒くさくて都合2時間近くかかってしまった。結果は大体フツーっていうところ。女性の皆さん、牛乳をたくさん飲みましょうねー。特に閉経前後に急激に骨密度が減少するそうなので、牛乳、チーズ(カルシウムの吸収効率がよい)をせっせと摂るように。

 この待ち時間に、『猫の地球儀』を読み始める。か、かわいい…!ちょっと『小惑星美術館』を想起してしまったり。すばやく読めそうなので『レキオス』の合間に浮気しようかなー、と思ったら『レキオス』の方が強かったらしく、猫の方は職場に置き忘れてきてしまった。はい、順番、順番。

 『レキオス』は噴き出してしまうところが多々あって、次男が、どれほど面白いのかとのぞき込む。字ばっかりだけど面白いんだよー!ヒコーキや武器の名がたくさん出てくるのでいまいちピンと来ないところも。
 『バガージマヌパナス』にも宇宙から地球を見るようなシーンがあったし、『光車祭』でも大地から空、海へ大きく広がる壮大なイメージが溢れていた。それぞれを貫く時間によって、その空間的世界に一層の広がりがあった。『レキオス』ではその壮大さがさらにマジメにかつバカっぽくスケールアップしている。池上永一、アンタは一体何者〜!?

2000.0522(月)
購入本
佐野洋子/『恋愛論序説』/中公文庫
秋山瑞人/『猫の地球儀 焔の章』/電撃文庫
 〃/『猫の地球儀 その2 幽の章』/電撃文庫

 昼からぶっ倒れそうに眠い。帰宅してよろよろ夕食を作り、食後眠さにも関わらず『レキオス』を読む。時々起きて居眠りをしながら読み、また突然起きて「○○ちゃーん(次男の名)、寝るよー」と一足先に添い寝の体勢を取る…朝になっていた。

2000.0521(日)
図書館本
目取間俊/『水滴』/文藝春秋

 低気圧病続く。引き続き片づけ、買い出し、図書館、書き物、等。なかなか昼間は読書に気が向かない。連れ合いは雨の予報がはずれ朝からテニス、昼から某サークル活動、夕方から来週のマンション管理組合総会にむけて最後の役員会、と一日出っぱなし。高校生姉弟はマジメに試験勉強、次男はお友達の家でお父さんに遊んでもらってご満悦(お迎え、お送りつきの王子さま待遇)。

 図書館では目取間俊『水滴』を借りる。本当は『魂込め(マブイぐみ)』を借りたかったのだが自館に所蔵ナシ。『水滴』はたまたま昨日、入手したばかりの『幻想文学』52号に石堂藍氏のあまり芳しくない書評が出ているのを見た。

 この『幻想文学』誌の書評はなかなかに面白く、東雅夫氏、倉阪鬼一郎氏らによる中味の濃いものが数多く載っている。その中で石堂藍氏のSF、ファンタジー、純文学、児童文学などなど多岐にわたる書評にはその守備範囲だけを考えても脱帽である。忠実な読者というわけではない私は、この欄で何ヶ月遅れ(何年のことも)かで面白そうな本を見つけることがままある。
 過日ちょうどジョナサン・キャロルにはまっていた頃には、57号(最新号)に彼の未訳本"The Marriage of Sticks"の書評があることをお教えいただいた。この書評は東へんしうちょうが読者からのメイルによる書評の投稿を募集なさったのに呼応したものだと言う。キャロルの書評はいくら字数があっても足りないよねえ、と思わせる溢れるような評。このメイルによる書評投稿は多分今も受け付けられていると思うので我と思わん方は奮起せよ(私は奮起しませんが)。
 私は福音館書店の『母の友』に駄文が載って絵本を頂いたことがあるが、『幻想文学』に書評が載ったら書評子の皆さんのサインがもらえるとか、へんしうちょうの歌を録音したテープが頂けるとか、次号から本誌が一生送られてくるとか、嬉しい特典があるのでしょうか〜?(これは私の勝手な想像ですので誤解のないように!)

 以前有里さんが東急の通販で購入された、台所のシンクの排水孔のステンレス製ふた。東急ハンズにもなかったが、先日、千趣会のカタログで見つけて注文、無事昨日届いた。有里さんのとおんなじものでしたよ。ピカピカでキレイです。

2000.0520(土)
購入本
池上永一/『レキオス』/文藝春秋
みお ちづる/『ナシスの塔の物語』/ポプラ社
西岡敏・仲原穣/『沖縄語の入門 たのしいウチナーグチ』/白水社
季刊 『幻想文学』52号 【特集】猫の妖、猫の幻 【新・一書一会】津原泰水&池上永一

 朝からずーーっと本降りの雨である。お気の毒な高校生姉弟は雨の中登校。
 私はといえば、11時すぎから相次いで消防施設(火災報知器など)の点検と、ガス漏れ報知器の交換がそれぞれ別個に来ることになっているので片づけを始める。このうち火災報知器類は台所はもちろん、各部屋と押入に納戸、玄関収納の中などにもあるので、家中あますところなく御開陳となり、「納戸開けるべからず」の切り札がきかないのである。こんな日に限って洗濯物も干せないくらいの雨なので、室内は洗濯物に占領されているからうんざりに輪がかかる。
 いやいや片づけをしつつ10時になった頃に改めて消防施設点検の刷り物を見ると「5月27日土曜日」とある。…ん?それって来週?
 …脱力しつつ、こちらは間違いなく今日交換に来る筈のガス漏れ報知器のある台所を片づけておしまいにするのであった。

 昼から次男と池袋リブロへ。今日発売の池上永一『レキオス』を入手するためである。有里さんによると季刊『幻想文学』52号に池上永一のインタビューがあるとのこと。昨晩書棚を見ると51号も53号もあるのに当の52号だけがなかった。買おう買おうと思って機会を逃している猫特集と判明、ちょうどリブロにバックナンバーがあったので購入。『沖縄語の入門』は昨日TRCの検索で見つけて副題の「たのしいウチナーグチ」ににっこり。ひらまつさんの要請もあり入手。

 先日娘が最近売場が減ったと言っていた「雪苺娘(ゆきいちご)」を、久しぶりにおみやげに買って帰る。大福の皮の中にイチゴショートケーキが包まれている邪道のお菓子。前より小ぶりになっているぞう。お茶した後さっそく『沖縄語の入門』第1章をよんで練習問題など。「あいうえお」が「あいういう」となることを覚える。

 M16星雲のカバー写真に彩られた『レキオス』(Lequios)を読んでいるうち安眠ソファの魔力というより慢性寝不足のためしばし夢の国へさまよい込む。眠りに落ちようというとき、頭の中では沖縄語満載の池上永一の文章(ちゃんと縦書きで字が流れている)がつぎつぎとあらわれ、しかもそれは音読つきである。どうやら今勉強した沖縄語で私が池上風の文章を書いているらしく、目覚めている部分の私は「ヘンな文章だぞう」と思っている。
 突然「ママママ、7時だけどごはんどうするの!?」という娘の声に、「えっ、もう朝か?大変、お弁当!」と跳ね起きると、何のことはない、まだ雨の土曜の午後7時だったのである。

2000.0519(金)
購入本
比嘉康雄/『日本人の魂の原郷 沖縄久高島』/集英社新書
橋本一/『薬はなぜ効かなくなるか』/中公新書
モンゴメリ作・松本侑子訳/『赤毛のアン』/集英社文庫

 久しぶりになかなかキビシイ肩こりである。背中から首筋にかけてはれているような痛さ。昼休みにドラッグストアに走りシールタイプの鍼を買って貼る。本当は自分の指でギュッとツボを押さえて人に貼ってもらうとよいのだが、自分で自分の背中のツボに貼るというのは至難の業で、数枚貼ったそのどれもが文字通りツボを外している。うー痛い。

 『風車祭』で沖縄づいているところに『日本人の魂の原郷 沖縄久高島』を見つけたのでさっそく読み始める。『風車祭』の舞台は石垣島で、これは地図を見るとよくわかるのだが沖縄からさらに南西に離れて台湾に近い八重山諸島に属している。一方この久高島(くだかじま)は沖縄本島の東南端近くに寄り添う小さな島である。だから厳密にいうと石垣島とは文化も歴史もやや異なり、祭祀もそうである。沖縄諸島の中でも古い姿の祭祀を残す島だという。

 目次を見ると

序章 久高島の祭祀世界
第1章 魂の発見
第2章 守護神の成立
第3章 海神からの贈り物
第4章 神々の鎮まる場所
第5章 巫女の力
第6章 久高島祭祀の風景
第7章 自然から紡ぎ出した物語
第8章 誕生・結婚、そして死
終章 崩れゆく母たちの神

と、なかなか面白そうな内容で、実際その通り(現在第1章)。著者は写真を専門とする人らしく、あちこちに興味深い写真が載っているが、いずれも黒々としたトーンなので幾分トーンを自分なりに修正してみた方がよいかも知れない。
 今日読んだ部分にマブイの説明がありそれなりに参考になったが、『風車祭』でオバァが説明している方が哲学的でずっと面白いと思った。
 沖縄言葉(ウチナーグチ)入門書が欲しい。

 今日もまた韓国海苔のDMが。3通目?4通目かも。

 私信:日本薬学会の雑誌『ファルマシア』98年のどれかに感染症の特集あり>青木みやさん

2000.0518(木)
購入本
町田純/『善良なネコ』/未知谷

 昨日は遠足のため有休。その前日・火曜日には、帰宅時に雨が降ったため職場に自転車を置いてきてしまったので、朝は徒歩で出勤である。帰宅時、急ぎの用があったのだが置き自転車があると思って余裕で自転車置き場へ。ところが、何度捜しても自転車が見あたらない。すわ、盗られたか!頭から湯気が出る。タイムリミットが来て仕方なく走るように帰宅。
 翌19日朝、また新しく自転車を買わなくちゃいけないのか…と自宅(共同住宅)の自転車置き場をむなしく眺めると…なぬ!なくなったはずの自転車が!
 ということは、雨が降って職場に自転車を置いてきたのは火曜ではなく月曜だったか?火曜の夕方は雨ではなかったのか??考えてももはや脳内に過去ログはのこっていない。水曜の有休をはさんで、すっかりその前の記憶をなくしているのであった。

 昼休みに読み始めた恩田陸『月の裏側』を帰宅後も集中して読み夕食後に読了。 読む前に、舞台が水郷であると知り、じゃあ茨城が舞台なのだな、と思いこんでしまったのは早とちりである。箭納倉(やなくら)という地名、郷土の歌人・桐山白秋という名などが示すとおり、この水郷は九州の柳川をイメージしたもの。読み始めてすぐ「あっ、そうだったのか」とイメージ修正である。題名の「月の裏側」とは、ふだん見えている表の面のその裏に、実は隠された暗いものがあるのだ、それも見えているものと別なものというわけではなく、同じ月ではあるのだけれど…というような比喩だろう。べつに月の裏側から異星人が侵略してくるわけではない(ちょっとがっかり)。しかし月というキーワードによって、ラストの場面で水面に映った藍子の笑っている顔が、月の顔ーあざけるような髑髏の顔にだぶる。
 SFMで断片的に読む以外、恩田陸をちゃんと読むのは初めてである。一気に読ませるのはそれなりの実力だろう。各章の始めに付された話者不明(そのうち分かっては来るが)のゴシック体での独白は、いかにも読者に謎めいた雰囲気を与える。このようなテクニックも含め、あれこれと欲張っていろいろ盛り込みすぎて、読後の印象がやや散漫だ。もっとシンプルに美しく怖く終わらせて欲しかったが、これも読者サービスの一つかも知れない。

 文中の「集団無意識」という言葉につい笑ってしまったりする今日この頃。

2000.0517(水)

 保育園の遠足の行き先は、所沢の航空記念公園である。自家用車(死語)にはしばしば酔うが、遠足のバスで酔ったことがなかった次男は、興奮して早起きして睡眠不足だったためか、往きの車内でしっかりゲボ。出発前に服用した小児用センパアも効果なしだった。
 気分の悪さを引きずっていたのか、現地でのスタンプラリーでも、あるポイントでのジャンケンにどうしても勝てずにヒクヒク泣いてしまったり、お友達と衝突したり。アスレチックでようやく発散し、さて飛行機でもそろそろ見に行こうか、という頃になって天気予報通り雨が落ちてきたのですぐに召集になってしまい、航空のコの字も見なかったよと笑い合う始末。結局しり切れとんぼで終わって不完全燃焼のまま帰宅。2,3人のお友達に電話しても、買い物にでも行ったのか応答ナシ(もっとも応答がなくて胸をなで下ろす>向こうのお母さんたちもくたびれているものナァ)。
 普段それ程ご機嫌の悪いことのない子だけに、車酔いから始まってちょっと気の毒な一日だったが、さすがに走り回ってくたびれたか、9時過ぎに討ち死に。

 分厚い『風車祭』読了。光と熱と風と匂いに満ちあふれた、素晴らしい別世界だった。齢247歳になるマブイ(魂)のピシャーマ、高校生の武志、同級生の睦子、6本足の豚の妖怪ギーギーを巡る一大ラブストーリーである。97歳にして娘、孫娘達よりはるかに生命力に溢れた型破りのオバァ・フジや、ホールザーマイをはじめとする巫女達がみな魅力たっぷりだ。狂言廻しのような海人の兄弟がもう一組のニライカナイとの橋渡し役である。
 それに加え、舞台となっている石垣島の様々な古い謡や祝詞、言い伝えの数々の実に豊饒なこと。巻末の参考文献の数々に、この作品が大変な労作であることも偲ばれる。もし若いときにこの作品に出会っていたなら、こうした民族学的な研究に惹かれていったかも知れない、という思いさえする。これらの伝統に裏打ちされた、けれどもやはり実際の石垣島とはどこか違うこの島でくりひろげられる相当に滑稽で一途な物語の終盤はことに圧巻で、しばらくその圧倒的なめくるめくイメージに、こみ上げてくるものを抑えることが出来なかった。素晴らしかった〜!!

 今週末には折良く池上永一の新作が出るので、楽しみだ。

2000.0516(火)

 『風車祭』では登場人物が次々とマブイ(=魂のようなものだが魂とはちょっと違う。我々内地の日本人には備わっていないらしい)を落とし、本物とマブイがそれぞれ別個に動き回って混乱に拍車がかかる。武志と妖怪豚のからみのところでつい笑い出してしまったら、次男が「おもしろいの〜?」とニコニコ寄ってきたので、余計おかしくなりしばらく笑い続けた。
 短篇集『復活、へび女』収載の「失踪する夜」に出てきたビッチンヤマ御嶽は、ここで既にその妖しい役割を見せていたのだった。

 昨晩は食後私がソファで沈没していたら、寄り添うように横になっていた次男がそのまま寝入ってしまった。今日もまた私は1時間沈没してただ今復帰中。

 明日は次男の遠足(保護者参加)、どうも天気は良くないらしい。お弁当に入れる果物を物色するが、今の時期ちょうど良いものがない。いちごは終わり、ブドウやびわはまだ高価だし、スイカ、メロンを持って行くのもなあ。結局ピンクグレープフルーツ(ハチミツ和えにする)とキウイという無難な所に落ち着く。
 いちじくや桃、さくらんぼが待ち遠しい。

 ところですっかり脱力中です>有里賛江

2000.0515(月)
購入本
山本夏彦/『『室内』40年』/文春文庫
トマス・ハリス/『ブラック サンデー』/新潮文庫

 昨晩は実に久しぶりに感想を書いたので疲れたのであった。と言うよりそのために寝るのが遅くなってしまい、なかなか寝付けなかったのがいけない。
 不眠と縁のない私も、深夜2時をすぎるとからだが朝モードになってしまうらしく、決まって寝付けない。1時台なら頭を枕につけたとたんに寝入ってしまうのに。

 分厚い『風車祭』をリュックに入れて昼休みに読む。夕食後もまたずっと。読んでも読んでも、まだ普通の単行本1冊くらいの分量が残っている。
 『ハンニバル』でさんざん豚が出てきたが、『風車祭』にも立派な豚、しかも川で洗濯するのが趣味という豚が登場する。またマブイと魂に関するオバァの考察はなかなか興味深い。島人が内地に来たときにはマブイはどうなるのか?など。
 それにしてもこの池上永一と言う人は実に面白い。ずっと以前にちょっとだけ読んだきりだが庄野頼子に通じるものがあるだろうか?

 今日もまた大雨。この2、3年、強風も多いし、雨も降れば土砂降りという印象があったが、しばらく前に気象庁がデータからもこれが裏付けられるというような発表をしていたのを思い出す。都市化、温暖化現象の一つのあらわれと言っていたように記憶する。また今年も死にそうに暑い夏になるのだろうかと思うと、今から気力が萎えてしまう。

2000.0514(日)

 昼前から娘がせっせと台所仕事を始める。母の日のご馳走作成なのだ。お昼はやはり娘が昨日本と首っ引きで焼いたバターケーキ2種。するとこの時、母の日カードと私の好きな黄色い薔薇の大きな花束が!いつの間に、と思ったが、どうやらその前に息子が「そのへんに遊びに〜」と出たその時にナイショで用意しておいたらしい。昨夜も友人のライブで朝帰りの娘の書いたカードの言葉に、ついジンときてしまう。心配しないでね、と言われてもそれは心配だ〜。連れ合いの影が薄いのは、今朝から台湾に出張のためなので念のため(ラッキーだったね〜)。

 次男が友だちの家に遊びに行っている間に娘、長男と、母の家にゆく。花は既に届けてあるので、実物を見に。鉢植えの紅色のカラーである。母はどうもこの頃、物忘れが激しくなったようだし、髪も一層白くなってきて年を感じる。

 時ならぬ雷雨に驚きながら帰宅、懸案の『羊たちの沈黙』の録画を娘と見る。さすがにたくさんはしょってある、または設定を変えてあるので、ところどころ娘に補足説明をする。看守に齧りつくところはちょっとちゃっちいかも。レクターが犯人逮捕に協力しようとする動機や、彼女の羊の思い出(トラウマ)が唐突で説明不足な感じだが、それも先に原作を読んでしまっているからだろう。 

 夕飯は娘のビーフシチューとレタススープにオムレツのトマトソースかけ、息子のモツァレラチーズの生ハム巻きオリーブオイルかけで、上げ膳据え膳である。なんていい日なんでしょ。ご馳走様でした〜!

 池上永一『風車祭』の続き。『バガージマ〜』よりむしろ筆致は『復活、へび女』により近いように感じる。こちらのほうがが彼の本当の持ち味だと思う。もしや彼の新刊『レキオス』(文藝春秋)が出たのでしょうか。

2000.0513(土)
購入本
ピエール・マッコルラン/『恋する潜水艦』/国書刊行会
立原えりか/『火食鳥幻想』/原生林
R・C・ウィルスン/『世界の秘密の扉』/創元SF文庫
小林信彦/『読書中毒』/文春文庫
Book-off本
図子慧/『媚薬』/角川ホラー文庫

 午後後半から息子の学校の進路説明会。つい通り道にあるブックオフにひっかかり5分遅刻する。まあ、高校に入ったとたん進路説明会とは気の早い…でも今から気をつけておかないと、この頃多くなってきた推薦入試の条件に欠席・遅刻・早退数で引っかかるケースが多いとか、いろいろあるんだって(疲)。頑張ってくれたまえ。

 帰りがけに池袋リブロに寄る。久しぶりに一人なので、時間はそれ程ないもののあちこちウロウロする。新しいものではないがデ・ラ・メアの作品集(大日本図書)3冊セットがあったのでよほど買おうかと思ったけれども、その後荷物が増える予定だったので次回に延期。増えた荷物とは、娘が母の日に作ってくれると言うビーフシチューの肉その他。なぜに私が買う? 

 うさぎ屋さんのところで取り上げられている小林信彦『読書中毒 ブックレシピ61の該当部分(「トマス・ハリス的パターン」の章)を、帰りの電車の中で読む。うさぎ屋さんのところだけではいまいちよくわからなかったのを、ははーん、と納得した。じゃあやはり『レッド・ドラゴン』と『ブラック サンデー』も読まなくちゃ!
 それから『羊たちの沈黙』の映画も明日には見なくちゃ!

 伊藤遊『鬼の橋』読了。事件の発端から次第に季節が移ろって行くのをしみじみと感じさせながら、一方メリハリの利いた表現でなかなかに読ませる。父と少年・篁の関係が主軸になっているあたり、何と言っても、男の子的な作品だと感じた。具体的存在としての鬼と心の中の鬼、また篁と母の関係がやや未解決にも思える。後半での元鬼・非天丸との語らいの部分や、同じく後半の、死してなお都を守り続ける坂上田村麻呂の描写のあたりは、物語のというより作者のメッセージの一つの山場であって、心を打たれる。ストレートな物語の作りようが好きだ。

 次は『風車祭』に再挑戦し始めたところ。

2000.0512(金)

 この頃一晩おきに討ち死にをする。モーロックともうろくくらい違う…って、あんまり違わないような気も。

 起きている間は、貸してくれた友人に催促されている、伊藤遊『鬼の橋』(福音館書店)を読む。平安初期の実在の人物、小野篁(おののたかむら)の元服前の1年を扱ったもの。これは第3回児童文学ファンタジー大賞受賞作(第1回受賞作は梨木香歩『裏庭』)である。昨年NHKFMのオーディオドラマ「青春アドベンチャー」で放送されたこともあり、当時はしはしだけ耳にしてはいた。今振り返ると、ドラマはかなり良くできていたのではないかと思う。

2000.0511(木)

 今日は子どもたちの希望でお弁当ナシ(学食)。昼になり「あーおなかへったよぅ」と食料を仕入れに行こうとリュックから財布を取り出…あやっ、ナイッ!そう言えば昨晩子どもたちにあれこれお金をふんだくられたときにソファの所に置いたっきりだったかも。いきなり教材費が明日〆切だのなんだのと言うのですっからかんになってしまったため、銀行にも行かなくてはならない(貧)。しばし途方に暮れた後、自宅に取りに戻ることにする。何と言っても自転車で数分の強み。職場に戻る途中に銀行、パン屋の順に寄る(そのくらい貧乏)。
 とは言っても日常的に昼休みに自宅に戻るというようなことはしていない。自宅、職場それぞれの自転車置き場へ行く時間、出し入れする時間も結構かかるから結局30分はつぶれてしまうし。自宅が近い人の中には朝干した布団を取り込みに戻るとか、必ず自宅でお昼を食べるとかしている人もあるようだけれど、そんなのはごく少数である。

 夕食後『<骨牌使い>の鏡』を読了。いやー、これはなかなかよかったです!タロット、鏡などを始めとする様々な象徴的事物と人物、(話中の)歴史が見事に繋がりを持っている。象徴の使われ方が本当に上手で、イメージの一人歩きがない。人物の重ね合わせや、各々の持つ心の傷が、必然性を持って帰結しているところも巧い。
 作者の五代ゆうって誰?というくらいの(実際にそう言った)初心者であるが、他の作品もぜひ読んでみたいと思った。視覚的なイメージの非常に豊富な人で、同時に質感の描写がうまい。表紙カバーのイラストが負けています。
 難を言えば、登場人物がそれぞれやや類型的なこと(お約束の世界だから仕方ないと言えば仕方ない)、指輪物語にあるような、土地の広がりを感じさせるだけのおおきな描写がいまいちない、といったあたりだろうか。
 思いきってハードカバー2300円を投資しただけのことはありました。

 ベネッセが書籍の出版から撤退、ということは進研ゼミに専念?
 子どもたち3人それぞれに、よくもまあ、というくらい毎月毎月、進研ゼミのDMが舞い込む。上二人はほとんど見ないでゴミ箱行きだが、次男のは、シールのついた小冊子が入ってくるので、「あー、来た来た、よかったねー」とひとしきり遊ばせてからご用済みとなる。こんなことをしているから書籍部門も立ち行かなくなったのか…?

 ベネッセ(福武)の本では、クロウリーの傑作(と呼ばせて)『エンジン・サマー』はしっかり持っているが、他の単行本は本屋でほとんど見かけなかったせいもあり壊滅状態。福武文庫は、海外ので興味あるもの・児童文学関係は大体あると思うがやはり穴あき。児童書はもっぱら図書館に頼っていたので手持ちはほとんどない。こうして次々貴重な出版社がなくなってゆく。捨てられた本達はどうなるのだろう。捨てる神あれば拾う神、ならぬ救いの神があれば良いのだが。

 と思ったら佐藤亜紀『鏡の影』復刊とか。

 映画『羊たちの沈黙』をTVでやっていたので録画。最初の方を見た限りでは、原作をトピック的にした感じを抱いたのと、レクターがいかにも変質者っぽくなっていたのに少々違和感。『ハンニバル』を読んでの印象か。

2000.0510(水)
購入本
上尾信也/『音楽のヨーロッパ史』/講談社現代新書

 久しぶりにやってきたアルバイトのM嬢は、連休中に沖縄方面へスキューバダイビングに行ってきたのだ。う・ら・や・ま・しいっ!さっそくデジカメの海中写真を見せてもらう。腕にはダイバーズ・コンピュータなるものをはめ、いっぱしのダイバー。
 この彼女が、「そうだっ、見ました見ました!」という。聞けば、行きの飛行機(全日空)の中で映画「ナビィの恋」を見たのだそうだ。上映開始のアナウンスを聞いて、「あっ、あれかな?」と思って見たそうである。宣伝しておいた甲斐があった。沖縄に行ったら映画館で1500円でやっていたので「得した〜」ただし何事にも割合淡々としている人なので、これと言った感想は聞けず。「オバァ、かわいかったでしょ?」「かわいかったですぅ」「オジィもよかったよね」「ふふ、そうですね」と言う具合。

 夕食後本を開いて気づくと寝ていた、を繰り返し、結局10時に次男と一緒に討ち死に。寝不足も限界か(反省)。

2000.0509(火)

 日中は暑い、暑い。「爽やかな五月」も連休でおしまいだったのだろうか。単に暑いだけならまだしも、蒸し暑いのは苦手だ。

 先週あたり、急にアゲハが目につくようになった日があった。普通の黄色と黒の模様のいわゆるアゲハ、その黄色の部分がコバルトグリーンのもの、全身真っ黒のもの、ほんの5分か10分の間に4,5匹(「頭」が正しいのか?)見かけたほか、その日は外に出るたびに必ずアゲハが陽気に誘われたようにふらふら飛んでいるのを見かけた。ということはそれまでどこかに幼虫がいっぱい居たと言うことで…ここで想像を止める私。

 読み出すとその場からすぐに引き込まれる『<骨牌使い>の鏡』は、題名の謎(?)がはっきり明かされる。鏡っていったいどこに出てくるのよ?と思っていたが、その前から暗示、どころかちゃんと書いてあるではないの。うむ、このところの「羅針盤」だの「短剣」だの、加えてこの作品自体の「骨牌」というガジェットに惑わされていたわい。だいぶ終わりに近づき、残りの分量が少なくなってきたので、逆にもったいない気がする。

2000.0508(月)

 ベランダの避難口(床に開いている上げ蓋式の穴)の塗装の日。連れ合いが在宅のため休まずに済んだが、実際の作業時間は5分が2回、さらに金曜日に上塗り5分。このために掃除した時間はその倍だったのだ。

 午後キャンパス内を歩くが、日差しが強く、暑い。こんな日に限ってサングラスを忘れてくる。途中の桐の木が花盛りで、歩みを止めてみるとほのかにすっきりと品の良い香りが流れてくる。ちょうど花の色から想像されるような香りである。

 花のたたずまいとどうしても一致しないのが百合の香りだ。清楚な、という言葉がぴったりの百合は、しかし甘く濃厚な香りがするものが多い。はじめて百合の香りを認識したときにとても驚いたのを覚えている。
 ある時、所属していたアマチュアオーケストラで団員の年上の女性が亡くなられた。それから日も浅いうちに定期演奏会が行われたが、彼女のいつもの席には彼女を偲んで百合の花が飾られた。運悪くそれは私の隣の席で、むせるようなその香りは開演前から私の脅威だった。案の定、演奏会も中盤をすぎて皆の熱気でステージがムンムンしてきた頃、その濃厚な香りに私は気分が悪くなってしまったのであった。以来、百合の切り花を敬遠するようになったのは言うまでもない。
 ベランダにはここ3年ばかり、ふた鉢植えっぱなしの百合があって、室外なら香りは気にならないのだが、室内には強烈すぎ。

 今日の『<骨牌使い>の鏡』はサイベル状態。

2000.0507(日)
購入本
『芸術新潮5月号』/新潮社

 まる10時間ぐっすり眠ったが、なぜかまぶたが腫れて幾分頭痛もするといういやぁな目覚め。食材が乏しくなってきたので、スーパーへ買い出しに行く。次男も路上を一人で自転車に乗せても大丈夫になったので、量の多い買い出しも楽になった(前後のカゴにフルに荷物を積める)。

 午後、昨晩沈没してしまった分のネット徘徊をしている最中、突然、松屋浅草で開催中の「星野道夫展」に行くのを忘れていることに気づく。本当はきのう長男と行くはずだったんだぁ!長男も娘も帰ってくるのは夕食の頃なのですっぱりあきらめ、次男を連れてほとんど普段着のままgo。
 次男はこの巡回展の皮切りの松屋銀座展に行っている。当時4歳半、今は6歳である。写真についているコメント(星野道夫自身のことば)を、「これなんてかいてあるの?」と読ませる。彼にはむずかしいと思われる言葉が多いが、途中でやめると分量的にわかるらしく「それから?」「あとは?」と最後まで読ませる。その度になぜか途中で声が詰まりそうになるのは、かがんでやや苦しい姿勢をとり続けていたためではなかったと思う。
 事前にわかっていたことではあるが、会場がとても狭いので、客はそれ程多くなかったにもかかわらず息苦しい感じがして充分に堪能できなかった。やはり1月の千葉そごう展がもっともじっくりこの展覧会を味わえた。

 あいかわらず『<骨牌使い>の鏡』の途中。

 SFセミナーのあとの雑談で、映画「マトリックス」の中で現実世界とバーチャルな世界を行き来するのを、SFに馴染みのないいっぱんじんはさっぱり分かっていないらしい、という話が出た。そりゃそうかもしれない、とは思ったが、この話題を連れ合いに話すと、「そういう世界があたりまえと思う人間ばかりの集まりに行くのがよろしくない」とナナメったご感想。ほかに、大森掲示板方面の、どうもSFものに多く届いているらしい韓国海苔の広告メイルがうちにも届いている、と言う話をしても、「変なメイルをうけるんじゃないよ」と、おもいっきり偏った見方(偏見ですね)のご意見である。ううむ、これはよろしくない。
 そう言えばSFセミナーの本会(昼の部)で、受付の方々は例年のごとく和服をお召しになっていたのだが、その中のおひとりとトイレでご一緒した際、「セミナーにはいつも?」と訊かれ「いえ、2回目です」と返事すると、彼女は「私は初めてなんです」とおっしゃる。よほどバリバリのSFものかと思ったが意外である。そして彼女は笑って「これで私もりっぱなオタク」まったく、よそから見たら私もこれで立派なオタク。いや、ちょっとまずいです。

2000.0506(土)

 朝早くから物音がする、と思ったら娘の登校日であった。いつもは土曜日もフルに登校する長男の方は、なぜか特別に休み。小中学校もきょうは(当然)登校日で、眼下の道を小学生の登校班の列がにぎやかに通る。

 どうもくたびれてしまい『<骨牌使い>の鏡』をひまひまに読むが、しばらく読んでハッと気づくと眠りの国にさまよいこんでいる、ということを一日繰り返していた。

2000.0505(金)こどもの日

 早起き(休日にしては)して、久しぶりに家族で野川公園に行く(娘は年寄りはいって不参加)。よく晴れて、爽やかな空気に満ちている木々や草の匂いが心地よい。いろいろな木の花が盛りだ。春の華やかで目に立つ花々の後の初夏の木の花は、目につきにくいカエデ類や松、ハンノキやカバ類など。
 シートを敷いた木陰は、日中になってもひんやりと涼しい。大小のフリスビー(単純なリング型、これはむっちゃ良く飛ぶ)や、ゴムバンドでカエデの種子型のプラスチックのおもちゃを飛ばすの(名前不明)などで遊ぶ。青空を見上げて飛び回るのは久しぶりで、爽快。
 連れ合いは次男に一輪車を教えるのが目的である。一輪車は練習中に転んだときにペダルですねを思いっきりぶつけまくるので、それがいやで敬遠していたら、家中で乗れないのは私だけ〜。
 連れ合いが次男と一輪車、長男はふらふら園内をけりぼー(キックボード)で回っている間、文字通り緑陰で読書。昨日から読み始めた五代ゆう『<骨牌使い>の鏡』である。噂に違わぬ予感で、これからの展開に期待。ちょっと指輪、むしろゲド?

 昼は野川公園帰りのおきまりコース、調布駅南口のそば「いしもり」で揚げ出しそばを食べる。これはお品書きに載っていない裏メニュー。連れ合いはあったかいの、私は冷たいの。「いしもり」はちょっと目立たない場所にあるが知る人ぞ知るおそばやさんなのである。

 ところでこのあたりの甲州街道をしばらく通っていなかったが、巨大な建造物が建築途中なのを見てなんだこりゃあ、と驚いた。東京スタジアムだったのである。調布飛行場に隣り合うこの広大な空き地の使い道がここ何年か論議されていたが、しばらく来ないうちにこのスタジアムを含むビルなど建築物ばかりがにょきにょきたってしまい、以前の原っぱや鬱蒼とした木立がほとんどなくなってしまったのにはまったく落胆してしまった。これだけの土地と緑をそのまま生かそう、と、広大な公園にしようという声もあったはずなのに、取り上げられることはなかったようだ。がっかり、と言っても言い足りない。

 夕方から、丸の内線の新中野へ、知り合いのささやかな個展のオープニングに行く。彼が以前属していたタ○ラ○ゥーラで一時メンバーだったサックス奏者らによるジャズテイストのミニコンサート。リュートやギターなども、彼によってペインとされている。中でも非売品のリュートがいちばん綺麗だった(非売というならただで下さい)。ラーメンを食べて帰る帰り道は、日中の木陰の涼しさを引き継いで肌寒いほどであった。

2000.0503(水)〜04(木)
購入本
牧眞司/『ブックハンターの冒険』/学陽書房
ジョーンズ作・福島正実訳/『世界の科学名作2 星雲からきた少年』/講談社
『別冊奇想天外 ヒューゴー賞SF大全集』/奇想天外社
『季刊NW-SF 1976年8月第12号』/NW-SF社

 SFセミナー2000に参加。昨年に続いて2回目である。レポートは書くかも知れないし書かないかも知れないし(疲)。

 初めて実物を見る角川春樹氏は、みかけは全然フツーだけどやっぱりそうとうにヘンな人、と言う印象。「これからSFの時代がくる!」そうなのでそいつは嬉しい限りだけれども。確かにある種の才能の持ち主。でもホントにSFわかってるのかナ?

 新人作家のパネルで「いちばんお姉さん」と紹介された森青花さんは、一見学生か?と思われる感じだが、お話しされると良い意味での年齢を感じさせてなかなか素敵な女性。私の回りでは非常に好感度高かったです。京大独文出身とのことなのでこのお名前はノヴァーリスから持ってきたのか?と想像したがどうだろう。昨年の日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作『BH85』は、表紙イラストのせいもあって非常に軽いハチャハチャSFかと想像していたが、ご自分の書くものに言及される口調、思い入れの様子から、かなり蓄積と奥深さのある個性をお持ちの方と感じられ、早いうちに読んでみたいと思った。

 合宿はのださんのバイオSFの部屋、続いてなぜなにファンジンの部屋。
 最後の「ネットワークのSF者たち Returns」はあまりにも馬鹿馬鹿しくて、こんなものSFセミナーと銘打って金取ってやるな!て言いたい。
 私の側の最大の反省点は「ここでこういう議論をするのは場違いだ」ということをはっきり提案すべきであった、ということである。正直に参加して反論したりした自分も馬鹿でしたね。

 翌朝の閉会後、東大前のルノアールにて20人ほどで朝食。ハンニバルばなしに続いて、MZTさんと洋書読みの加藤逸人さんが話しておられるところからふと聞こえてきた「エンジン・サマー」という言葉に反応してくちばしを突っ込んだ所、英語で作品を読む感覚の話から始まり、ニム、喜びの箱、黄金の羅針盤、ハリポタなど、ずるずると嬉しい話題が(全部英語のタイトルつきで)出てきたので嬉しい限りであった。MZTさん、加藤さん、時間がなかったのが残念です。

 皆さんとお別れしてからその足で近くの根津神社へ。つつじ祭を見るために家族と待ち合わせをしていたのである。文字通り五月晴れのもとのつつじ祭はすごーい人出。不忍通り沿いの往来堂書店を横目に、紅茶とカレーの店「ダージリン」で昼食。途中までは良かったのだが、最後にインド人のおじさんが自分の間違いから料理を一品出し損なったのを、あたかもこちらが悪いかのような態度をとる、その他があったので印象ガタ落ち。

2000.0502(火)
購入本
矢崎存美/『刑事ぶたぶた』/廣済堂出版
こどものとも6月号/福音館書店
母の友6月号/〃

 『ハンニバル』読了。最後の章はへばりつくように読みましたよ。やっぱり『レッド・ドラゴン』も読まないとだめかも。レクターが気になって。読了したあなたはねたばればれ掲示板へgoぢゃ。

 帰宅したのが7時半近かったので、東雅夫へんしうちょう@幻想文学が出演した「万物創世記」を見たり、次男を寝かし付けたりしていたらはや11時半をまわり、なんだか2時間ほど損したような気分。へんしうちょうはやっぱり本物のほうがずっと魅力的(お姿もお声も)。やっぱり背後の本棚のラインナップが気になるのであった。

 明日はお茶の水〜本郷でのSFセミナーに参加するので、更新はおやすみです。

2000.0501(月)

 ゴールデン・ウィークなのに出勤、なんて言いつつハッと気がつけば、子どもたちもそれぞれに進級・進学してせわしない一方の4月がもはや過ぎ去ってしまっている。
 これから梅雨までのひと月強が、一年のうちでもっとも好きな時期だ。またどうせ秋になればやっぱり秋が一番好き、と言い出すのだろうが、早く来ないかなあと待ち望んで、ずっとこういう季節だといいなあ、と願うのはやはり初夏だ。

 土日と間を置いただけなのに、先週はまだだった桐の花がもう咲き始めている。そのすっきりとしたかぐわしい香りをかぎたくてわざわざそばまで行ったのだが、木の下のベンチに横たわる人影のため退散。
 空気は意外に冷たく、夕方は秋の空のような絹雲が高くかかり、爽やかさをいっそう増す。

 先ほど『ハンニバル』下巻に突入した。結構な人気のようであるが、(以下多分ネタバレ)読んでいる自分自身こそが、あたかもハンニバルが観察する対象としている、残酷なものを見聞きして発情する人々に他ならないという気を抱かされてしまう。

 脇にのけられたかわいそうな『風車祭』…。図書館へ行って期間延長してこようっと。なんでも間もなく新刊が出るそうではありませんか>池上永一。
 ところでどうしてもこの作者名を、「池永永一」と言いたくなるのは私だけではないようで…。心当たりの方?


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最終更新日 01/12/31 01:11:33
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