ついにオウム真理教との和解が成立しました。
お金ではなく、真相究明を責任追及を目的に提起した損害賠償請求訴訟でした。本来であれば和解などするはずもないのですが、破産手続が進む中では、届出破産債権の中で最も大きなものの一つである本件が確定しないと、他の被害者への配当が遅れてしまうことになります。そこで、遺族としては断腸の思いながら、早期解決のため、和解に応じたものです。
坂本さちよさん「教団の犯罪を許す気にはなれない。お金よりも3人を返してほしいという気持ちに変わりはないが、地下鉄サリン事件など多くの被害者の早期救済につながるならと思い和解に応じた」
さらに言うと、遺族の気持ちを動かす大きな要因となったのは、教団の破産管財人が阿部三郎弁護士だったということです。阿部弁護士は前々日弁連会長として、坂本一家救出運動には大変なお力添えを頂きました。だれも引き受け手のいなかった「オウム真理教破産管財人」という激務を受任されたのも、その縁からです。その真摯な人柄と態度、豊かな発想と行動力が、我々弁護士からの尊敬を集めるだけでなく、悲しみに閉ざされた遺族の心をも開いたのです。あらためて、敬意を表したいと思います。