日時計 2000年8月 日記

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▲最新の日記▼読了本

2000.0831(木) 
購入本
ウンベルト・エーコ/『ウンベルト・エーコの文体練習』/新潮文庫
シェリダン・レ・ファニュ/『墓地に建つ館』/河出書房新社

 長かった夏休みも終わり、明日からはまた早起きの毎日が始まる。ううう。
 夏休みばかりか、夏の終わりを告げるかのように、朝から雨模様である。西の空からあやしい気配の雲が動いてきて、これから出掛けるという10分ほど前には俄に激しい雨となってしまった。幸いに時雨もほんの10分ほどで勢いを失ったが、日中数回繰り返してざあっと降ったようだった。目にはこうしてすっかり秋の気配が感じられるが、気温は相変わらず高く、梅雨時のようにべたついて気分が悪いことこの上ない。

 こう秋を感じるようになってくると、髪の傷みが俄然気になってくる。さすがに純毛は暑いので、ほとんど毎日結わえるか上げている一方でちっとも省みなかったが、ふと今日まじまじ見ると、悲惨にもほとんど全部が枝毛という感じになっているではないか。あちゃー。
 そういえば、数ヶ月来なかなか借り手が付かなかったすぐ近所の新築賃貸マンション1階の貸し店が、つい最近内装工事が始まったのを見ると、商店街にある美容院が出店を作るらしい。これは近くて何よりだわい、開店予定の9月中旬にはぜひ行こう(開店セールで安いのを当て込んでいる、ってわけ)。

 昼休み、久しぶりに本屋に行く。数日前に出たはずの岩本隆雄『鵺姫真話(ぬえひめしんわ)(ソノラマ文庫)が欲しかったのだが、訊くと1冊しか配本にならず注文中とのこと。先日来待っているワインバーグ&グリーンバーグ編『ラヴクラフトの遺産』(創元推理文庫)も同じく。代わりに『墓地に建つ館』を発見。なぜにこんなのが入っているの>ここの本屋。解説にレ・ファニュの簡潔な紹介がある。どうしてもジョイスを読まなくてはいけない順番になっているらしい。

 突然話題の「電子文庫パブリ」、ほんとに役に立つのか、ちょっと期待してみる。

 DASACONまでひと月、課題図書は何ぞ。

 そうだ「DASACON4 オンライン書評に関するアンケート」に回答しなくては!DASACON不参加の方もぜひご協力を。じっくり回答をオフラインで検討するためのテキスト版もあります。DASACON参加申し込みも受付け継続中。

2000.0830(水) 

 夕方自転車を乗り出しながら空を見ると、沈んで行く夕日の方から秋のうろこ雲が流れていて目を奪われた。高度の低いところにはまだ夏の綿雲が淡い茜色に染まって飛んでいる。文字通り夏と秋とが交錯している。私が帰る方向は東なので、振り返り振り返り自転車を走らせるが、これはちょっとあぶない。

 今日の昼は役所(出張所)に用事。先客は年配の男性一人だったが、職員を相手にやたらに怒っている。ほかの用事で来たところ、自分がいつのまにか弟の世帯に入ってしまっていると言うことを発見したらしく、えらい剣幕である。どうやら現在は独り者で弟一家と住んでいるらしいが、世帯主でないと言うことに抵抗感が大きいらしい。聞いていると、そもそも住民登録と戸籍の区別がついていないらしくもある。一から説明する数人の職員たち、私が行くとあきらかにその人から離れられてホッとした、と言う顔をしてそこから一人抜けてきたのであった。で、とても早く用事が終わる。

 『手おし車大戦争』読了。つぎは借りてきたままの同じ作者の『歯みがき〜』のつもり。

2000.0829(火) 

 アルバイトの子からすごい鼻声で電話があり、体調がすぐれないので今週(水曜)は休みますとのこと。うー、じゃあその分前後の日に振り分けなくちゃ、と午後から忙しくなる。昼休みには暑い中どうしても自宅近くの郵便局に用があり自転車で往復(疲)。

  『魔術師マーリンの夢』以来、スキオポドとはなんぞや、と気になり、2、3情報も頂いたが、池内紀『幻獣の話』にもスキヤポデスとして載っているのを発見。マーリンのスキオポドと同じではない(あのひらひらあんよの不思議さは…!)。足首から下が後ろ前に付いている一本足人間というのもあるようだ。
 どうして一本足人間が気になるかというと、このスキオポド自体に不思議な魅力があったことのほかに、ナルニアに出てくる「いっぽんあんよ」が大好きだからである。自分らのことを「いっぽあんも」なんて言ってしまうかれら、笑ってしまうくらい大きいあんよでぴょんぴょん跳ね歩き、スープなんか持って歩くとこぼれてしまうのだ。『幻獣の話』の図版のスキヤポデスの格好は、いっぽんあんよたちが足を上に転がって寝ている姿とそっくりで、噴き出してしまった。

 夜は、気付いたら本を胸に、天井を仰いで討ち死にしていたのであった。

2000.0828(月) 
購入本
安藤哲也/『出版クラッシュ』/編書房
『書物の王国』編纂委員会編/『妖怪 書物の王国18』/国書刊行会
 〃 /『王朝 書物の王国19』/ 〃
サン=テグジュペリ/『夜間飛行』/みすず書房

 午後から母(83歳)の健康診断に付き合う。私の娘と一緒に来てもらって病院で落ち合ったのだが、なぜかいつも押して歩いているシルバーカー(それこそ手押し車)を持ってこなかったため、ずっと腕を取って歩く。病院にシルバーカーを持ってきては邪魔になって怒られる、と思いこんでいたようだ。ようやく終わって、さすがに私も娘もおなかが減ったので喫茶店へ行く。母は喫茶店なんていったい何年ぶり?

 母を送っていって、実家の書棚から池内紀『幻獣の話』のほか昔の『幻想文学』12号(1985年9月)を取り出す。「特集インクリングズ」の号だったので買ったもの。残念ながら昔から忠実な読者だったわけではない。当時どこを読んだか全然記憶にないのも無理はない、この年の1月に長男が生まれているのだから、買ってあったことだけでも自分を誉めてあげたいなんちゃって。それはともかく大変に読みでがある内容なのだが、ちらちら見ていて目に留まったコミック評のなかにあったのが井上直久『イバラード物語』と、もうひとつ内田善美『草迷宮・草空間』なのである。後者には一齣のいちまさんの絵が載っていて、この絵はツボ!(>H2さん)読みます読みたいです内田善美。誰か奇特で親切な方お貸し下さいませ『草迷宮・草空間』
 他の書評欄には『タイタス・グローン』『恐怖の愉しみ』『氷』『夢織り女』『フレドリック・ブラウンは二度死ぬ』とか”The Name of the Rose”とか。
 というわけでまた読まなくてはならないものが増えた。

2000.0827(日) 
図書館本
ジャン・メリル/『手おし車大戦争』/講談社

 蝉時雨洗濯と掃除で終わる日曜日。字余り。

 過日当方の掲示板(サーバーダウン中)で初めて存在を知った『手おし車大戦争』(The Pushcart War)がようやく図書館に入る。とうきょうとりつひびやとしょかんこどもしつからやってきたのです。
 書かれたのは1964年、訳出は71年、作品の中の年代は76年と86年。今2/5くらいのところ。タイトルや紹介ページからするとニューヨークの子どもたちが騒ぎを起こすのかと思ったら全然そうではなかった!手おし車で商売するばかりか手おし車に住んでいるような年寄りのジャルーサラムさんが、内心この戦争に反対していながらいかに参戦するようになったか、のくだりが面白い。油井誠一の絵も懐かしく大好きである。
 この本には作者「ジャン・メリル」とあるが、先に借りた『歯みがきつくって億万長者』にあるように「ジーン・メリル」のほうがより原語に近いのではないか(Jean)。紹介ページにもそのように表記されている。
 ついでに言えばこのタイトル「手おし車」もちょっと変、普通なら「手押し車」よのう。きのう上橋さんに伺ったが、児童書の漢字表記は出版社サイドできっちり基準があるのだという。もちろんそういう基準の存在は基本的には必要かも知れないが、首を傾げることも多い。子どもたちが小学校の頃、学校で「石じい川」という表記を見た。「いしじいかわ」???よくよく考えて、あっ、そうか、「石神井川(しゃくじいがわ)」のことだ。それまでに習った漢字は極力使い、習っていないのは使わない、という指導基準があるので、ある段階ではこうなるのだという。じゃあたとえば「とう京と」だの「日ぽん」だのと書かせるのか?へんだー。なんといっても「あ然」と書かせる国だからなあ。

 並行読みは恩田陸『上と外1』、開いてみて、あらー活字が大きい。グリーンマイル形式の出版である。恩田陸には多分はまりそうはないが、本読みにはある種のツボであることは確かなので、ぼちぼちと読んで行くつもり。

 いったいいつ復活するのだ掲示板>復活する日がくるのか(泣)

2000.0826(土) 

 雨女さんのお誘いで、横浜(関内)に上橋菜穂子講演会を聴きに行く。現在文化人類学者として川村学園女子大講師を職業としておられるだけあって、ユーモアとメリハリのある話術はなかなかのもの。自著などでおみかけするお姿よりはずっとスマートで、しかも大柄な方かと思っていたのに小柄で色白な方!一緒に写っていたアボリジニたちとそれほど遜色ない背丈のように思ったのだが、彼らはかなり太ってはいるが背はそれほど高くないのだったっけ。

 『幻想文学』最新号に掲載されている石堂藍氏によるインタビューとかなりオーバーラップする話題であったが(その作品について語っているのだからあたりまえ)、非常に生き生きとした語り口でそれらが語られ、会場は90分のお話の間中気持ちのよい集中と、絶え間ない笑いに包まれていた。これはお人柄。
 期待に反して質疑応答の時間が持たれなかったが、主催者側のご厚意で終了後のお茶の席に同席させていただき、質問のいくつかに答えていただくことができた。

 守人シリーズではっきりと描かれる世界の二重性は、別段アボリジニの神話伝説にふれたから出てきたというわけではなく先に自分の中に世界の二重性を感じるものがあったこと、作品の漢字仮名交じりの割合(基準)がおおくは編集サイドの都合で決まること、作中の名前は音から受ける感じを大事にしてつけていることなどなど。タンダの年齢は最初は34歳だったのに編集との駆け引きで年齢が下がったこと(最終的に30歳と決めたのはタンダ自身だったようだ)。
 昔語りの名手だったおばあさまの膝でたくさんのお話を聞いて育ったことが彼女にとってどれほど大きかったことか。
 中高生時代に、まいにち帰りには必ず本屋に引っかかって帰り、それが母上にばれた後には店長さんに「菜穂ちゃーん、お母さんから電話、豚ロース○枚買ってきてって〜」と言われたりしたとか。
 子供の頃は体が弱かったそうだが、今の彼女は行動力をお持ちでエネルギッシュ。それが威圧感を伴っていないのが好もしい。ちなみに見かけによらず格闘技ファンだということで、なるほどタンダたちの格闘シーンがリアリティあるのもうなずけるのであった。なんでも格闘シーンは書きたくて書いたのだと言うこと。小柄な老人が巨漢をいともたやすく投げる柔術に「いくらなんでもそんなことがあるのだろうか?」と思って実際にご自分でも習ってみた、というあたり、学者らしい検証の精神が宿っているのだなあと感じた。

 昨日オーストラリアから戻られて、また二日後にはアイルランドに旅立たれるというお忙しさ。ファンが次の本はまだか、と言うようになったので、今までのように、学者としての仕事があるからマイペースで書けたときに本にしてもらう、と言うわけにも行かなくなって、いつもお尻をじりじり火であぶられているみたいだ、と笑っておられたが、タンダたちの登場する新作も構想しておられるそうだ。近いところでは9月に『月の森に、カミよ眠れ』が偕成社文庫として出されるとのことである。
 あっ、彼女が以前フィールドワークを行った沖縄つながりで、池上永一についてお尋ねしようと思っていて忘れた。

 『麦の海に沈む果実』読了。『三月は深き紅の淵を』なる赤い表紙の本の存在がストーリーに楔のように打ち込まれている。舞台である寄宿学校は回りの世界から隔絶された大湿原の「青い丘」に設けられている。美少女、美少年ばかりの登場人物、注意深く配された様々の設定、と最初から最後までつくりものの世界なのだが、学校を取り巻く湿原や丘の深い木立の湿気や気配が濃い霧のように息苦しいほどに充満している。終章の急展開と雰囲気の変化には、まるで湿原の眼(auge)に緩慢にはまって行くかのような気分を味わわされる。

2000.0825(金) 
購入本
『SFマガジン 10月号−幻想の1970年代SF』/早川書房
『ムー 9月号』/学研
島村匠/『聖痕』/ハルキ・ホラー文庫

 SFマガジン10月号(これ早すぎ)によれば、5月号の「読んでみたいハヤカワ文庫の名作アンケート」により、9月に以下の重版が決定したそうである。重版と言うより復刊と言いたいものも。ファインタックは読んでないよ。

『宇宙気流』 アシモフ
『へびつかい座ホットライン』 ヴァーリイ
『』地球の長い午後』 オールディス
『宇宙のランデヴー』 クラーク
『薔薇の荘園』 スワン
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』『高い城の男』 ディック
『星ぼしの荒野から』 ティプトリー・ジュニア
『月は無慈悲な夜の女王』 ハインライン
『さすらいのスターウルフ』 ハミルトン
『チャレンジャーの死闘(上・下)』  ファインタック
『果てしなき旅路』『血は異ならず』ヘンダースン
『80年代SF傑作選(上・下)』 小川隆、山岸真・編

 ひとまずめでたいめでたい。
 また11月号は「秋のファンタジイ特集」だ。待ち遠しい。

 同誌にさきのSF大会レポートがあり、不鮮明な写真ながら妹尾ゆふ子さんのお姿が見える。うーん、個人的にもっとよく見てみたい気が…。それにしても参加できなくて残念なり。ミニ・ファンタジーコンとか…。うう。

 やっとムー9月号を入手。先日東へんしうちょうによる池上永一のインタビューを立ち読み(not 座り読み<謎)したきりだったのである。今日意を決して買いに行くと既に平台から姿を消して見あたらなくなっている。しかたなく店員に<小声>あのう、ムーはどこでしょうか</小声>と訊ねると、店員は黙って棚を指さして去って行くのであった。なぜにー。
 たしかに当該インタビューに興味あっても『ムー』を買う勇気のない方はたくさん(=3人以上)おられる模様。忠実な『ムー』読者と伝え聞くu-kiさんは買ったのかしらね?

 『麦の海〜』はただ今5章。この主人公理瀬は誰かを思い出すのだけれど、うーん。
 きのうの『赤毛のアン』話のついでに言えば、モンゴメリなら『銀の森のパット』なども好きだが、かなり短い『丘の家のジェーン』が好き(どうやら絶版らしい)。ジェーンもお父さんも好きだし、何よりもこの丘の家が好き。こんな家が欲しい!休暇ごとに「ほんとうの自分の家」と感じられる家にやってくる、と言う構成はリンドグレーンの『わたしたちの島で』に似ている。リンドグレーンのこの作品も繰り返し読んでいる大好きな本のひとつなのだ。
 しかしそれにしてもこのリンク先の岩波の解説文はどうもピントはずれでひどいものが目につく。『まぼろしの白馬』とか…。どれもこれもそうなのだろうか?子供に媚びすぎで方向を間違えている。

 当方の掲示板を含むVirtual掲示板のサーバーが落っこちて早や1日半。そう言えば昨夏も数日間(以上?)繋がらなかったことがあったのを思い出す。こちらを見ても軒並み落っこちています。

2000.0824(木) 
購入本
ロアルド・ダール/『単独飛行』/ハヤカワ文庫HM
ディック、クーンツ他/『影が行く』/創元SF文庫
萱野茂/『アイヌ歳時記』/平凡社新書
ヤンソン+ヤンソン/『あこがれの遠い土地 ムーミンコミックス2』/筑摩書房

 朝から掲示板にアクセスできない状態が続く。virtual系掲示板は全滅らしい。一説によると、Midnight Folk (私)が10時間も寝たから調子が狂っちゃったんだって〜。タイミング的にはぴったりだ、と納得したり。とりあえずThe Midnight Folkをお使い下さい。あるいはログが残るこちらがいいかもしれません。

 昼休みはせっせと『麦の海に沈む果実』を読む。この人の本のタイトルはどれも素敵だと思う。ミスマッチ、と言うほどではないが意外性・物語性のある、妙に心に引っかかるタイトルだ。

 この本の19ページに、赤毛のアン派、若草物語派というくだりがあるが、私はこの二つを区別する視点にはちょっとびっくりした。私自身はどっちも好きだったし。アンをやかましい女の子と言うより、内面の夢見がちな少女としてより強くイメージして自分に引きつけて考えていたせいかもしれない。たしかにここで述べられているようにジョーの熱烈なファンではあった。いっぽう、ベスのつよさも自分とは違うだけに惹かれるものを感じたものである。
 アンが先生になってから、生徒に演劇を教えるところがあった。そのうちの一人が「静かな中にも明るさのあふれた少女」と形容されていて、読んだ当時(小学校高学年から中学)はこの二つの形容を一人の少女の性格の中に両立させて想像するのが難しかったが、よくわからないなりに素敵に思え、以後そう言った性格の人を見るにつけ、ああこういうひとが「静かな中にも明るさのあふれた」ひとなのだなぁ、としみじみ思ったりする。ベスが病に倒れなければ、そう言った女性に成長したのだろうに、と思う。自分の中にある(がうまく表れない)ものに自ずと惹かれることと、自分とは違うがために逆に引き寄せられるものと、アンとベスは大げさに言えばこの二つの心理の象徴のような人物であると言えるかもしれない。

2000.0823(水) 

 なぜか帰宅したらへろへろ病が発症して8時過ぎにちょっとだけね、と横になったきり再起できず。当然知的活動はまったく出来ない。途中ちらっと目が開いたときに、姉弟3人が同じアホ面をして一心にテレビを見ていたのを記憶しているが、いったい何を見ていたのだろう。そろって魂が抜けたような顔をして見入っていたのがボケ頭にもちょっと異様だった。

2000.0822(火) 
お恵み本アリガトー
菅浩江/『末枯れの花守り』/角川書店
 〃 /『ゆらぎの森のシエラ』/ソノラマ文庫
 〃 /『鷺娘』/ 〃

 見た目にはそう暑そうではないのに、実はしぶとい暑さの一日。けれど一時のような、暑さの圧力、圧倒的な光と熱の暴力、という感じはなくなっている。
 さるすべりの花が涼しげ。

 頭痛はどうやら肩こりから来るものらしい。肩こりは、疲れ目からくるらしい。疲れ目は、……。早く寝れば>自分

 中野善夫さまアッホーな疑問にお答えを有り難うござりました(#^.^#)

 昨夜から読み始めた『三月は深き紅の淵を』を読了、『麦の海に沈む果実』に突入。『三月〜』は、『三月は深き紅の淵を』なる題名の本を巡る4話からなる構成。先日私は掲示板でこの2冊についてどういう話か、と訊ねて、あんな話、こんな話だ、と教えていただいたのだけれど、まさにそれを地でいくような話だったのである。
 本の好きな人ならつい自分に引きつけて読んでしまうだろう第1話がやっぱり一番好き。あとは第4話かな。本好きの魂をくすぐるいろいろな本への言及がうまい。マニアックにならず、かといってひどく一般的というわけでもないあたりを選んでいるように思う。

 『麦の海〜』ではいきなり『不思議の国のアリス』より『鏡の国のアリス』が好き、なんていう文章が出てきてびっくり。なぜって昨日そんなことを書いたばかり↓。

2000.0821(月) 

 そこはかとない頭痛がして、寒気の予感のそのまた片鱗みたいな感じがするので、葛根湯を服用。単なる肩こりかも。いずれにしても葛根湯は効くはず。そう言えばバファリン(アスピリン)は内臓痛にはあまり効かないことになっているのだが効きますか>にじむさん

 児童文学MLで知った山形浩生訳「不思議の国のアリス」、時間のあるときに真面目に読んでみよう。「鏡の国のアリス」のほうに、より興味あり。

 結局『三月は深き紅の淵を』を読み始めている。まだ初めの方、登場人物たちが本を読む愉しさについて蘊蓄を傾けているあたり。筋は別としてこれはなかなか楽しい。それにしてもこの題名はなかなか覚えられないこと甚だしい。

2000.0820(日) 
購入本
『CREA』9月号/文藝春秋新社

図書館本
恩田陸/『三月は深き紅の淵を』/講談社
ジーン・メリル/『歯みがきつくって億万長者』/偕成社

 午前中から発作的に台所を片づけ、そのうち使うもの・そのうち食べるもの・少量残ったコーンフレークスなど・古くなった豆・使いかけのナッツ…etc.をひたすら捨てる。あ、ポップコーンを作るの忘れた。引っ越し以来3年間しまい込んであったオーブントースターを娘のリクエストで出すが、さすがにぼろっちくばばっちい。いつもトーストはキャンプ用のトースター(丸い金属板に針金でパンを4枚立てかけるようになっている)か焼き網、あるいはパンダの焼き印が付く普通のトースターで焼いている。ガスであぶるように焼くトーストは香ばしくて、トースターとはひと味違います!

 近くの商店街で母と落ち合って、普段の靴や服を新調する。以前、独り身になった老父をこれもいい年の娘が叱咤激励して自立させると言う内容で話題になった『おじいさんの台所』と言う本があった。その中で娘(著者)が老父に口うるさく「身なりは小綺麗に」と言い続けたのを覚えている。実際物忘れが目立つようになってから、母は身なりにもあまり気を回さなくなってきたらしく、着易さ履き易さだけが優先して、その結果くたびれた靴やスカートで過ごしているらしい。それだけで年寄りじみて見えるし、気の張りもなくなってしまいそうだ。少し明るいものを選んで気が引き立つようにと思う。

 電話で「○○スーパーの前に何時にね」と約束し、娘、次男と行ってみると母は日差しを避けて中で待っていた。「じゃあまず靴屋さんに行こう」と外に誘うと「○○ちゃんが来るから待ってる」と私の姉の名を言って動かない。私ではなく姉が待ち合わせの電話をかけたと勘違いしているらしい。電話での私の声と姉の声がかなり似ているのは確かだが、その内容から言ってまちがいようがないのに、と内心驚く。ともかく娘とあれこれ言いながら靴屋で2足、洋品屋でシャツ2枚とスカートを選ぶ。ふだん年配の人向けの店って入ったことがないので、店のおじさん・おじいさんの、母に対する対応に感心する。うーん侮れないぞ地元の小さい商店。
 こちらは買い出しがあるので母とは商店街で別れるが、別れ際に「これからどうするの、帰りに寄るの?」「泊まりに来ないの?」と、しきりに訊く。上の子たちが小さかった十年以上前には私たちと(父)母は車で数十分離れたところに住んでいて週末などはよく泊まりに行ったものだが、どうもそれとどこか取り違えている様子。うーん、うーん。

 菅浩江『歌の降る惑星(ほし)』読了。センシティヴ(超能力者)のナツノと亜美の黒白コンビが、歌う水晶じつは珪素型宇宙生命と遭遇する話。女性科学者パメラが開発した人工生命体の時間旅行までが組み込まれていて、かなり複雑な話になっている。宇宙から飛来した水晶の大結晶体に呼応して地球そのものが歌い出すくだりは『星虫』などに通じるかも。

 『EDGE2』は職場に置いてきたので『三月は深き紅の淵を』を読もうか『永遠の森』を読もうか迷い中。図書館で返却日は9月2日と言われ、8月も残り少ないのだと実感する。なんだかお盆からこちら、秋の気配が急に濃くなり、例年こんなだったか、今年はちょっと早すぎないか、と名残惜しさを感じる。

 娘、読書感想文の一環として読んでいる『いまを生きる』のヴィデオを借りてきて見ていた。数年前何回か見たのに、あまり記憶にないらしい。イーサン・ホークが出ている、とびっくりしていた。友人が自殺したあとの雪景色のシーンにはいつも涙。『ラヴ・ストーリー』を想起する。

 『CREA』9月号は、また猫の特集。娘と「イヤーン、可愛い〜」と猫鳴きを連発。息子たちも目を細めて見ている。とうちゃん、猫飼いたいよ〜。

2000.0819(土) 
購入本
菅浩江/『永遠の森 博物館惑星』/早川書房
ロバート・シーゲル/『氷海のクジラ』/
創元推理文庫
サン=テグジュペリ/『人間の大地』/みすず書房
カニグズバーグ/『エリコの丘から』/岩波少年文庫
書物の王国編纂委員会編/『復讐 書物の王国16』/国書刊行会
大島弓子/『グーグーだって猫である』/角川書店
図書館本
菅浩江/『歌の降る惑星(ほし)』/角川スニーカー文庫

 自宅の電気のアンペア数を50Aにあげてもらった。ベランダ側のリビング・連れ合いの仕事部屋のエアコンと、玄関側の子どもたちの部屋のエアコンを一緒に入れるとさすがにブレーカーが落ちる。エアコンは好きではないのであまりお世話にはなりたくないのだが、さすがにこの東京の暑さでエアコンなしは実際問題として無理。それに連れ合いのパソコンは無停電装置が付いているが、私のには付いていないので1,2度悲しい思いもしているし。40Aが上限だと聞いていたが実はそうではないことがわかったので今更ながらに上げることにしたと言うわけである。

 『グーグーだって猫である』をさっそく読み終わる。角川の広報誌『本の旅人』に連載中のものを一旦まとめたもの。大島弓子が長年起居を共にした愛猫サバの死から始まって、次の猫グーグーとの出会いを経、彼女自身の手術・退院までを扱っている。その後の闘病から回復に向かうまでの淡々とした、けれども苦しい部分は収められていない(1999年2月掲載分まで)。始めの部分にあるサバの死のところでは、これを買ってすぐに読んでいた池袋リブロ脇のティールームで、つい涙しそうになってぐっとこらえたものである。サバはおなじみ人間の姿で描かれているが、グーグー、ビーたちはちゃんと猫の姿で登場しているのだ。今まで気付かなかったことは、サバが女の子だったこと!サバはずっとどの作品の中でもラフィエルのような姿で登場していたので、疑いもなく男の子だと思っていたのだ。ごめんなさい、サバ!
 それにしても、ああ、猫が飼えたらなあ!

 図書館で菅浩江の本を検索したところ、区内の図書館に結構所蔵されていることがわかったが、ちょうど先頃新刊が出たせいか、ランダムに引いたうちの数冊が貸し出し中となっていた。その新刊『永遠の森』はようやく今朝bk1から届いたところ。水彩絵の具のような色調の美しい装丁で、なかなか読むのが楽しみである。

2000.0818(金) 
購入本
上遠野浩平/『冥王と獣のダンス』/電撃文庫
麻生木綿子/『マンションの中に世界でたった一つの木の家を建てる』/飛鳥新社

 久しぶりに近所の書店へ行く。『マンションの中に〜』は新築マンションを建築の段階から関わって合板など化学物質を排して無垢の木をふんだんに用いた内装(エコ・ハウス)にするという奮戦記。
 うちも来年あたり、お風呂、洗面所、トイレを改装しないといけないのだが、ことに洗面所はなんとかユニットでないものを、と考えている。おかしなことに、洗面ボウルを板にはめ込むだけ、という簡単なものを希望しても「○十万かかるからやめた方がいい」と即座に言われる。大嫌いなごてごて・ピカピカユニットのほうがずっと安いし早いのだという。資金はともかく、こちらにも施工会社にも手間と時間をかける気がないと、ポンとユニットを持ってくるだけで済む改装以外のことはなかなか出来ないのは確かである。まして住みながらの改装だとほんの数日のこととは言え、いろいろな不便もあるし。うう、来年なんてすぐに来ちゃうよ。

 「フリントストーン2」が見たい!と息子たちがコールしている。はい、私も見たいです。見たい映画はたくさんありすぎ。
 来年は次男が小学校に上がる、ということは保育園のお迎えがなくなると言うこと。そうしたら終業後に映画を見られる可能性が高くなるということ。みんなで見られる映画ならどこかで落ち合って見に行けるかも!といまからちょっとだけワクワク。

2000.0817(木) 

 帰宅して『メルサスの少年』読了。美しいイメージをきっちりと文字に定着させる手腕はなかなかのもの。パラサンサ結晶の山がくずれ、液化して螺旋の街になだれ込む様は、スローモーションを見るようで緊迫感に溢れている。このあたりからあとがスピード感を優先するあまり急ぎすぎて、少年イェノムと牡ラーファータのトクウがおとなになる、と言う点が性急に過ぎるきらいがあった。彼はそれまでがあまりにドジすぎて…。少女カレンシアがもう一つ活躍の場が少なく、もったいない。その「祖父」カレム翁も同じ。実は彼が○○であったことなど、歴史の存在を感じさせると言うよりむしろ唐突さが先立ったかも。そのあたりの伏線が書き足りないのでは?もう少しふくらませて、充分書いて欲しかったと思う。それだけの筆力とアイデアを持っている人のはず。
 どうしてもこの作品を読むと山尾悠子がイメージされる…。ガラス、結晶、螺旋、辺境の孤立した街、宝石、などなど。それからどうしてもヤパンはユパ様だー。
 『雨の檻』と2冊読んだ限りでは、短篇のほうが彼女の特性が良く現れるのでは?
 と言うわけで、井辻朱美強化月間もほぼ終わりに近づいたので、今度は菅浩江強化月間を設けなくっては。

 と言いつつ、ほかにまだ菅浩江が手許にないので『EDGE2』を読み始める。

2000.0816(水) 

 結局義母のところではそれ程天気も悪くなかったので、大して本は読めなかったが『雨の檻』を読了、つづけて『メルサスの少年』にとりかかる。

 『雨の檻』は噂に違わず素晴らしい短篇集。7篇のどれもが隅々まで神経の行き届いた筆致で構成も緊密に描かれている。神経の配り方に加納朋子を連想した。どの作品も甲乙つけがたいがやはり表題作には「やられた!」と言う言い方がぴったりだ。「そばかすのフィギュア」は思わず涙し、「お夏 清十郎」は、このような題材にはうといながら踊りの恍惚境に鏡花の『歌行燈』を想起させられた。

 『メルサスの少年』はようやく半分あたりまで。この世界の設定に山尾悠子を連想するがやはり多少の影響はあるのだろうか。

 片づけ、骨休めの一日で何をするでもなく過ごしたが、午後ヴィデオで懸案の「ユー・ガット・メール」を見た。わーん、すてきだー。トム・ハンクスはとりたてて好きではないが、この役は悪くない。それに何よりあの街角の本屋の素敵なこと!あんなお店を持ちたい!この映画を見た人の多くがそう思ったことだろう。最後は二人の仲はハッピーエンドで終わるが、大書店によって閉店を余儀なくされたちいさな「街角の本屋」は結局そのままぢゃありませんか。オーイオイ(泣)
 現金オンリーのレジでジョーがレジの女性とやりとりする、あの魔法のフレーズは何?閉店セールのシーンで「白鳥のラッパ」を確認。ここも参照。

 なぜか続けて「レナードの朝」を見る。そうかL−ドーパの話だったのか。30年前のアメリカは臨床治験がいい加減だったらしい。それはともかくデ・ニーロらの演技も素晴らしく、つい引き込まれて見る。オリバー・サックスの原作も前から読みたいと思ってはいるのだが。

2000.0813(日)〜15(火) お盆

 12日夜出て義母のところへゆく。

13日:お墓参り、買い物、迎え盆。一日雨模様。
14日:比較的天気良く、なぜか女神湖まで足を延ばす。義母が裏道を知っていたのですいすいと行くが、さすがに牧場も湖も人がいっぱい。どうせなのでボートに乗り湖上で涼しい風とそれなりのきれいな眺めを楽しむ。女神湖入り口の観光馬車乗り場前の小屋みたいなお蕎麦やさんがなかなか侮れず安くておいしいのだ。
15日:めずらしく早起きして避暑地の朝を味わう。さすがに一年中でもっとも人出がある時期なので朝から思ったより人出がある。7時半過ぎから9時頃まで娘と散歩、束の間緑陰の涼しさにひたる。

 義母の住まいから車で数十分のところに義母の実家があり、例年義母のきょうだいがお盆に集まるのだが、今年はそれぞれの都合が合わなかったらしく、恒例の集まりがなかったため、混雑の中にも比較的らくちんなお盆休みだった。帰路、目論見がはずれて深夜の事故渋滞にまきこまれてしまったのがハズレ。16日未明帰着。

2000.0812(土) 
購入本
井辻朱美/『夢の仕掛け』/NTT出版

 在宅の日は何かと雑用。どうしても本が読めない。

 昨晩読み始めた菅浩江『雨の檻』、最初の表題作にやられました!ううっ、巷で話題の新刊、とっくにbk1に注文してあるのだが、発売後の注文だったためか、未だに届かず。重版かかったと聞くのに。

 bk1のダブリ受注の件は、きのうようやく最後の1冊が再配達されて解決。途中ちょっとした行き違いもあったが、概ね好感の持てる対応であった。いったんは3冊配達された『夢の仕掛け』であったが、念のため在庫を確認してもらったところ、すでに版元切れだということであった。

 せっかくのお盆休みなのにどうやら台風9号のため天気は悪そうだ。本を多めに持って行こうっと。

2000.0811(金) 
購入本
『ネムキ』 9月号/朝日ソノラマ

 次男を保育園に迎えに行くのがいつもより小一時間遅くなった。
 昼間は相変わらずの猛暑だが、立秋を過ぎて朝晩の暑さは一時の勢いを失い、建物に映る木々の影は確かに秋の気配だ。次男をピックアップした頃には、あたりは淡い茜色に染まり、空は一面の絹のさざ波に埋まっている。足元に咲くおしろいばなの赤が長波長の光の中で不思議な濃い色調にシフトし、びろうどのようにくっきりと浮かんでいる。ほんの2,3分でみるみる空は光を失い、家に着いた頃にはあたりはすっかり藍に沈みかけているのだった。

 夏のラタトゥイユは、簡単でおいしい料理だ。
 トマト、茄子、ズッキーニ、タマネギなどをオリーブオイルで軽く炒めて蒸し煮にする、基本的にはそれだけのもの。熱くても、冷たく冷やしてもいける。先日大量に作ったが、作りすぎてしまいさすがに3日目には残念ながらいかれてきたので捨てる羽目に(ごめんなさいー)。
 ここで素朴な疑問を一つ
 ラタトゥイユを作ったのこりの材料であるトマトやズッキーニなどはどれも傷みもせず大丈夫なのに、同じ材料から作って
しっかり熱を通したラタトゥイユのほうがだめになっちゃったのはなぜ?

 長男が、クラシックの指揮をするプレステソフトを買ってきて「面白い!」とはまっている。付属の指揮棒を本体に繋いで指揮し、画面に表示されたテンポと音量に近いと高得点になり、一曲クリアである。本物の指揮とはぜんぜん別物だが、これはこれで面白いぞ。父親の方が半分ムキになって頑張っているのが可笑しい。

 『針さしの物語』読了。ド・モーガンが残した三冊の童話集の最初のもの。最終話の「炎のかなたに」は、どこかで読んだ気がすると思ったら、『クリスマス・ファンタジー』(ちくま文庫)のなかの「ジャックと火の国の王女」がそれであった。訳がだいぶ違うのでしばらくピンとこなかった。
 この岩波少年文庫の三冊のド・モーガンの童話集(『フィオリモンド姫の首かざり』、『針さしの物語』。もう一冊、古い『風の妖精たち』は岩波の言う品切れ)は矢川澄子の訳であるが、二冊は最近の訳(1996,97年)であるのに全体に古めかしさがあり、時にはそれが違和感として感じられる。フェアリーテイルなのでそれがよい効果になっているとも言えるのだが、時として意味がとりづらい文があったり、上記の二つの訳を比べるとあきらかに異なった解釈がされている部分もあったりする。原文がないので何とも言えないが、読んだ感じでは、正確さについてはちくまの安野玲の訳に軍配を上げたい気がする(もちろんきちんとした根拠があるわけではない)。

 次は発作的に『雨の檻』(菅浩江)を積ん読から引き抜く。あれとかこれとか後回しに…。

2000.0810(木) 

 昼間遊びに出た娘が、夕食時になっても食事が済んでも帰ってこない(ツノ)。やっと連絡が入ったと思ったら、新宿で具合が悪くなってのびていたらしい。友人が付き添っていてくれたのが何より。しかたなく連れ合いと車で迎えに行く。合宿から帰った日にひどくばてていたようだったが(料理部なのに…)、夜中にエアコンをつけたまま寝入ってしまうことがしばしばあるので冷房性感冒と言ったところなのだろう。ひどく吐いて熱がある。

 メアリ・ド・モーガン『フィオリモンド姫の首かざり』読了。
むかしむかし、この作者の『風の妖精たち』を同じく岩波少年文庫で読んだのを覚えている。小学校の図書館では『王女と小鬼』『黄金の川の王さま』などが好きで、繰り返して読んだものだ。
 同じくド・モーガンの『針さしの物語』に入る。針さしの上のブローチやピンたちが退屈しのぎに順繰りにお話を披露し合うという趣向の短篇集である。

2000.0809(水) 
購入本
一色まこと/『ピアノの森 5』/講談社
澁澤龍彦編/『言葉の標本函 夢のかたち』/河出文庫

 『風街物語 完全版』読了。これや、『遥かよりくる飛行船』、『パルメランの夢』といった系統がもっとも好きかも。自分の一部が風街に行ったきりになってしまった。

 続いてマリア・グリーペ『忘れ川をこえた子どもたち』読了。北欧の、いかにもファンタジーかとおもうと、意外にそればかりではない要素がたくさんあって驚かされる。片目の大ガラスと指輪、フラクサとナナなど、含蓄に富む人物やものに心を惹かれる。訳文のせいかどうか、倒置法が散見されてやや読みにくいところがある。日本ならむしろ大人が読んでこそ面白いかもしれない。

 眠。

2000.0808(火) 

 昨日が立秋であることを、今朝まで忘れていた。

 どうも冷房病ぽい。今日は一日建物の中で過ごしたが、帰り道の自転車をこぐのがだるくてだるくてちっともスピードが出ない有様。帰宅してもずっとよれよれ〜。
 うまくしたもので、今日は長男が家庭科の宿題(「我が家のおすすめ料理」を作って、レシピと写真を提出)を製作する日なのであった。材料だけ出してやり、口頭にて指示する。私はおつゆとおひたしを作って、昨日たくさん作ったラタトゥイユを出しておしまい。はーラクチン。
 ちなみにおすすめ料理とは「鶏のクリーム煮」で、チョー簡単なわりにおいしい。何を隠そうその昔、私が最初に覚えた料理らしい料理なのである。

 古沢嘉通さんの日記を見るにつけ、デ・リントとかテリー・ビッスンとかキース・ロバーツとかクリストファー・プリーストとかずらずら書いてあるのがよだれを誘い(原書ね)、やっぱり自力救済しかないかと考えてしまう。
 自力救済とはもちろん、待っても無駄かも知れない翻訳に頼るよりは原書で読む、と言うことであるが、英語力のなさは措いておくとしても、時間的制約が大きいから実際には難しいだろうなあと思う。いや、英語力があれば時間的制約は今と同じか。Kusou。

 よくおじゃまするサイトの一つに中野善夫さんのところがある。幻想系の中野さんのお買いになる本も非常に興味深く、グレゴリイ・キイズの名など見ると、自力救済かあ…とまた思ってしまう(あきらめれ、って)。『魔術師マーリンの夢』の刊行もこちらで知った次第。

 そんなわけで、疲れた頭には『風街物語 完全版』は短篇集のため各章の長さがちょうど良い。いちどきに1章をやっとの今日この頃である。
 風街の風物はほんとに心地よくて、多分私の夢のがらくたもいまごろ吹き寄せられて行っているに違いない。そのせいで実物のほうは頭がカラカラしているのかも。

2000.0807(月) 立秋
購入本
佐藤亜紀/『1809 ナポレオン暗殺』/文春文庫
皆川博子/『笑い姫』/ 〃
高野史緒/『ウィーン薔薇の騎士物語3』/中央公論新社
『母の友』9月号/福音館書店
『こどものとも』9月号/ 〃

 ああ(嘆息)まだ月曜日だ〜。火曜〜、水曜〜、木曜〜、金曜〜、4日も残っている、うらめしや〜。

 8月から職場の規則の運用が少々変わって、出勤が15分早まった。朝の15分はなかなかつらいものがある。しかし、私は早起きするとか(理論上)、急ぎまくるとか、手抜きするとかでなんとか間に合わせるのだが、問題は次男である。

 この子は、とにかく食べるのが遅い!長男も遅かったが、それに輪をかけて遅い!「急いで食べてね」というとうんうんとうなづくが、その一口のそれも最初だけで、すぐにスピードダウンである。おまけにおしゃべりしたり、椅子の上に立ったり、あっち向いてこっち向いて、そのうち「おしっこ」「うんち」「手あらってくる」許可が出ると帰りに寄り道。しまいに牛乳やおつゆものをひっくり返してさんざん叱られる。毎日言われ続けても一向に直らない。
 こういうふうなので、単純に考えても15分早く起きなくてはならないのだが、時はまさに夏休み。姉も兄も夜更かし・朝寝を決め込んでいる。哀しいかな大邸宅ぢゃないからつい夜更かしにつきあわされる次男こそ良い迷惑で、朝は当然いつにも増して起きられない〜。
 かくして今朝もまた「置いてっちゃうぞー」「もう待てない」「くつ!」「かばん!」とつむじ風のように玄関を出、プールのための体温は、保育園に着いて私が月曜日の作業であるお昼寝布団のカバー掛けをしている間にそばに座り込んで、持参した体温計で 測定しているという有り様なのである。通用門の関係で朝だけは近道が出来るので、保育園までほんの5分もかからない。それなのにこの騒ぎ。思い出すだけで(疲)じるしがつく。
 
 恒例・昼休みの読書はまだ『風街物語 完全版』続き。なぜってお昼寝タイムに化けてしまったからである。

 文字通りたれ込める暗雲に急ぎ帰宅する。息子が「東京湾に竜巻だって!」とニュースを見せてくれる。一息ついて窓の外を見ると、ややっ、真っ暗になってものすごい雨風、そして凄まじい雷鳴と電光!夕飯の支度もお留守で、ベランダにへばりついたり、玄関を出て空を見上げて圧倒されたり。雷見物は大好きなのだ。それにしても天候が極端すぎ。
 後刻、一足先に上がった雨に遅れてようやく雷も遠のいた頃、若干離れた駐車場に止めてある、うちの車の車内灯がついている、という電話が入る。いやいや出てみればすっかり涼しくなっており、思いがけず気持ちよい散歩。

2000.0806(日) 
購入本
ウィリアム・サローヤン/『ワン デイ イン ニューヨーク』/ちくま文庫
 〃 /『わが名はアラム』/晶文社
 〃 /『人間喜劇』/ 〃
ド・モーガン/『フィオリモンド姫の首かざり』/岩波少年文庫
 〃 /『針さしの物語』/ 〃
マリア・グリーペ/『忘れ川をこえた子どもたち』/冨山房
スーザン・クーパー/『光の六つのしるし 闇の戦い1』/評論社

今日から火曜日まで料理部の合宿(!)に出掛ける娘を送り出してから、まこりんさん@まこりんのお部屋主催の「猛暑のランチオフ」のため、表参道のクレヨンハウスに向かう。
 地下のランチバイキングの部屋にはすでにわっちょさん@自我展覧会大江戸さん@道楽の箱木の実さん@Cotton100%MAKIさん@MAKI'S HOMEがテーブルを確保して居られた。しばし待つうち、まこりんさんかめにいさん@SPUNKY-STUDIO が到着。まこりんさんの掲示板に出入りするメンバーのうちなかなか顔を合わせる機会がない面子のオフ会である。だから殆どが初対面という、正しいオフ会となった。

 身を削りながらサイトを続ける意義は何か?自サイトに、つい更新が滞っていいる言い訳を書いてしまうのはなぜか?読書感想文なんて子供の頃はあんなにいやだったのに、今何が楽しくてうんうん言いながらサイトに載せているのか?などなど。
 ★飲食店の店先の盛り塩の意義を新発見したのはわっちょさん。ナメクジもカブトムシもいやですよね。
 ★外見もしゃべり方も連れ合いの従弟によく似ているかめにいさん。寡黙さがニヒル、と思ったら睡眠不足だったとか?
 ★優しげな見かけによらずハングライダーの趣味も持つMAKIさん。『麦の海に沈む果実』をわざわざ持ってきて下さった。読むぞう。
 ★図書館本の正しい期間延長法(謎)を実践している木の実さん。トップページは自作の絵で飾られている>すてき〜
 ★オフ会初体験で心臓ばくばくと言ってらしたけれど実は楽しい話題をいっぱいお持ちとみえる大江戸さん
 ★地蔵化とは何ぞやを明かしてくれたまこりんさん
 クレヨンハウスの売場探訪を経て更に場所を移して5時過ぎまでWeb談義、本談義は続くのであった。

 驚きは、わっちょさんが、そのサイトから感じた通り、実際にお会いしてもu-ki総統にテイストがそっくり(見かけもしゃべり方も!もしや年齢も一緒?)だったことで、これはぜひ、ださこん本会でu-ki・わっちょ対面を実現させなくちゃ!と強力お誘いをかけたのであった。わかりましたね>わっちょさん

 クレヨンハウスの玄米ランチバイキングはいつもおいしくおなかいっぱい、デザートに自家製フルーツアイスクリームを食べ、おやつ時にはまたシフォンケーキ入りパフェを食べてしまったので、帰宅後も死にそうに満腹状態(Wep)。

 クレヨンハウスでは、他の書店ではあまり見かけない(主に)児童書がよく目につくこと、また別な意味で目につかない、つまりおそらく品切れあるいは絶版かもしれないものがひょっこり生き残っていることが楽しみである。でも程良く遠くてよかった、近かったらたまらない。きっと入り浸る。

 地下鉄に往復で1時間ほど乗ったので、めでたく『石ノ目』読了。表題作以外の3作は、ホラーというレッテルから連想されるようなものとはひと味違っているので、ホラー嫌いな向きにもぜひ一読をお勧めする。「石ノ目」と並んで好きなのは「はじめ」だろうか。「BLUE」も「メニム一家物語」を思い出すがなかなか捨てがたいし、「平面犬。」も好きだ。ポッキーはほんとにフンをしないのかしら。タイトルについた「。」は何。

 『風街物語 完全版』を先に読んでしまおうと鋭意消化中。哲学書房版は東逸子の装画によるカバー、この完全版は安江恵美による『ファンタジーの森から』と対になるようなカバー装画である。素敵な装丁で本が出せて井辻朱美も幸せ〜。

2000.0805(土) 
購入本
小池滋・編/『英国鉄道文学傑作選』/ちくま文庫
井辻朱美/『風街物語 完全版』/アトリエOCTA

 昨晩11時過ぎから猛烈に眠くなり、「1時間だけね」とつぶやいて横になったら、次は朝の9時だった。パソコンつけっぱなし、電気つけっぱなし、カーテン開けっ放し、冷房つけっぱなし。パソコンのアプリケーションは全部閉じてあったのでよかった…。

 そのせいか一日目が覚めない感じで、気が付くと12時、また気が付くと2時、と言う具合で、何やってんだか。しょうがない、午後買い出しに行くとやっと暑さで目が覚める。

 5時半頃家を出て、花火大会に行く。普段はがら空きの地下鉄が、ラッシュアワー並みの混雑。ゆかたのねえちゃんたちは、降りる人がどんなに押しても動かない。なんでやー。今年はゆかたが大流行らしく、若い子でゆかたじゃない子はいないと言うくらい、どれもこれもゆかた姿である。涼しそうでいいなあ>ほんとは死にそうに暑い

 先にシートを持って場所取りをしてくれているはずの娘+友人たちの姿が、いるはずの場所に全く見えない。重い荷物(焼き鳥、びいる他)を持って息子二人と何度も往復するが、あたりは次第に暗くなるのに、人波の中まるで見あたらない。これで最後、間もなく開始、と言うときになって忽然と現れた娘たち。いい加減湯気を立てながら事情を聞くと、なんと娘らが貼った筈のシートを剥がして他のグループが占領していたらしい。娘らが戻ってきたときには彼らはすでにすっかり酔っぱらっていて話にならなかったという。そばに大きく場所をとっていたおじさんが、娘らが確かに先に場所を確保していたのを見ていて仲裁に入って下さったうえ、たまたま予定の人が何人も来なくなったから、と言って席を譲って下さったのだ。どちらもフツーの人たちなのに、この違いはどうでしょ。結局うちのシート2枚は行方不明のまま。

 花火は、毎年の事ながら腹に応える迫力で、一時のばかみたいな「音と光の饗宴」なるものすごい騒音がスピーカーから放出されるイベントは全くなくなり、ひたすら大玉の早打ち、毎年複雑になるスターマイン、川のこちら側と向こう側の競演に、どよめきと拍手が自然と起こるのであった。ああ首が痛い。惜しむらくは、ちょうど対岸からこちら側の観覧席に向かって風が吹いてきたため、後半かなりの部分が花火自体の煙で隠されて見えにくくなってしまったこと。ことにフィナーレのナイアガラの滝は、実際のナイアガラの滝の水煙よろしく、光の滝が煙でほとんど見えない状態となってしまった。この直後にエンディングの、これでもか連発があったのが、救いである。

 このころから、ぽつり、ぽつりと落ちてきた雨が、ほとんどの観客が荷物を畳んで移動体制に入った頃から本降りとなり、あっという間に豪雨になってしまった。東京にはなんと大雨・雷注意報が発令されていたのである。傘はあったものの、ないよりはましという状態で、しかも駅まで道いっぱいの人波では急ぐこともできない。傘を持っていない人が驚くほど多く、途中のコンビニ、マンションのエントランスやビルの軒先にはずぶぬれ着衣水泳状態の人々がごっそり雨宿り。美しかったはずのおねえさまがたの帯はどれも惨めにずり下がって紐が丸見え。
 我々もしばしコンビニで様子見をしていたが、雨足は衰えないので、笑っちゃう状態で豪雨の中を帰る。地下鉄の冷房が身にしみた。
 花火も面白かったし、豪雨の中を歩くのもこれまた面白かった。ようやく帰宅すると一足先に娘も帰っており、やはり傘など役に立たず、ゆかたはずぶぬれ、ぞうりの鼻緒は切れんばかり、おろし立ての帯もびちょびちょ、さんざんなゆかたデビューであったようだ。

 花火の間中、すぐ後ろから聞こえる若い男の子二人の会話が面白い。外人と日本人か、と思っていたが、どうも二人とも外人のようだ。なぜにそれぞれたどたどしい日本語で?花火に拍手をしながら、つい耳は後ろに向いてしまう。
 「Sはドイツに帰ったらどうするの?」「かえったらすぐに、えーとexamination、テストがあるンだよ」「あー、そうなんだ。帰ってすぐじゃ、テスト意味ないじゃない?」「一年も数学とか、やってないからね、いい点取れないよ。Aはブラジルでこれからどうするの」「マンガかいてね。日本かブラジルで仕事見つけてね、多分、日本でね。家内もらってね、田舎の方に、行って、畑とか作って…20年くらいかかるかな」そうか、ドイツと、ブラジルからの留学生か、だから英語じゃなくて日本語でしゃべっていたのね…。どうやら英語と日本語を学んでいるらしい。一人は間違いなく漫画家志望で、「オタクになりたい」とか言いつつ、宮崎駿の話をつたない日本語でしているのだった。
 「親友は二人いるよ。でも、ブラジルみたいに、仲良くなると、こう、みんなね、いっしょに、うーん、そういうのがない、それがさびしい」「あー…。そうだね…(しみじみ)。でもそれはしょうがない」そうやってじゃべりながら、大きな花火が上がるとしっかり拍手しているのだ。
 ああ、若い男の子たちの誠実そうな声がおぼつかない日本語で一生懸命話しているのを聞いていて、なんかとても、いいなあ!と、耳ダンボ状態の私は焼き鳥の一つも進呈したくなっちゃったのであった。その時既に食べちゃって残っていなかったのが残念。

 あっ、バカみたいに長い。本は『風街物語 完全版』の目次とあとがきを読んだのみ。

2000.0804(金) 
古本
笙野頼子/『タイムスリップ・コンビナート』/文春文庫
森茉莉・文 佐野洋子・画/『魔利のひとりごと』/
筑摩書房
天沢退二郎/『闇の中のオレンジ』/ 〃
 〃 /『オレンジ党と黒い釜』/ 〃
 〃 /『魔の沼』/ 〃
 〃 /『オレンジ党、海へ』/ 〃

 というわけで、天沢退二郎の魔法3部作と『闇の中のオレンジ』のオーナーになったのであった。近所の古本屋さんが、京王デパートの古書市で見つけてきてくれたのだ。ヤッホウ!

 ちょっと読書モードが薄れていたが昼休み『石ノ目』から「はじめ」を読了。ストーリーはホラーじゃない。文体が特徴的。なにか深読みする材料があるような気がしているのだけれど…。
 『恋する潜水艦』は忘れていません、ハイ。

2000.0803(木) 
購入本
恩田陸/『上と外 1 素晴らしき休日』/幻冬舎文庫
重松清/『四十回のまばたき』/
 〃
唐沢俊一/『古本マニア雑学ノート』/ 〃
野尻抱介/『ピニェルの振り子 銀河博物誌1』/ソノラマ文庫
アンドレア・カミッレーリ/『おやつ泥棒 モンタルバーノ警部』/ハルキ文庫
週刊朝日百科 世界の文学 55 『ロランの歌 ニーベルンゲンの歌 ほか』/朝日新聞社
 〃 56 『アーサー王伝説 トリスタン物語 ほか』/ 〃

 うふふ、昨晩とある電話があって、明日は嬉しいことがあるのさあ。おっ、いかん、ヒデヨシモードが抜けない。

 今日も、さて所内の他施設へいざ行かん、といっている間に、怪しかった空から滝のような激しい雨が降ってきた。まるでスコール。幸い30分かそこらで止んだのだが、直後に出たら、冷房で冷えた体には暑いこと暑いこと。連れだって歩いていたアルバイト嬢が曰く、「足が冷えてて、湿気が結露してます」うまいっ、これ実感。

 それにしてもハルキ文庫は高い。
 週刊朝日百科・世界の文学55『ロランの歌 ほか』、56『アーサー王伝説 ほか』は、薄い冊子ながら図版が美しく、見るもうっとり。それぞれの作品(ていうのか)も図書館に行って借りたくなってしまう。今日はしばしこれを眺めて過ごす。

 世の中には様々なものがあるもので、「もの忘れ外来」なる診療科があるそうだ。教えてくださった50歳過ぎの方が「実は私もかかりたい」確かに私もかかりたい。

 間もなく(8月12日)、ペルセウス座流星群の極大を迎える。各地の流星群の様子をシミュレートできるサイト、お星様とコンピュータは、とても親切で詳しい。ちょうどその日は月齢が11で、空は月明かりでかなり明るいようだ。先日キャンプで幾つか見えた流れ星も、その方向から見て多分ペルセウス座流星群だろう。

2000.0802(水) 

 本当は今日までキャンプの予定だったが、片づけを考えると大変なので一日早く切り上げて昨日までにしたのであった。というわけで洗濯、洗濯、また洗濯。連れ合いと長男は装備をしまう係。連れ合いは、テントを畳む段になってアブか何かに足を3カ所刺され、今日になってひどい腫れようで、一時は37度何分かの熱まで出してしまった。私は私でなんだかおなかが痛い。昨日帰って来てよかった〜。
 山のような洗濯物に、暑くてもいいから今日は晴れてくれー、と願っていたが、次第に雲行きが怪しくなりとうとう午後、一時間ほど激しい雷雨に見舞われる。あわてて取り込んだ洗濯物の山も、再び干して夕方にはパリパリに乾くほどの暑さ。

 キャンプの間中、新聞取り込み、ベランダの毎日の水やり、配達される牛乳の取り込み、などをいつものように近所に住む母に頼んでいった。最近物忘れが目立つので、箇条書きにして張っておき、更に口頭でも丁寧に説明して出掛けた。
 さて昨日の夜9時頃帰ってきて、ベランダを見てびっくり、草花の鉢はもうカラカラのカラ、ススキの葉に似たレモングラスなんてまるで針金のよう。ペパーミントはほとんどドライ状態。びっくりして牛乳箱を確かめると、朝届いた牛乳がそのまま入っている。新聞も3日分新聞受けに刺さったまま。代わりに、なぜか私のコンピュータの電源のプラグと、電話機のプラグが抜いてある(だから留守電があったとしても録音されていない)。娘に帰宅の報告がてら電話させて確かめると、どうやら30日に一度来たきりらしいのだ。うーん。

 おみやげを持って皆でお茶しに行くが、どうも様子が今までの勘違いや物忘れとは、はっきり違う。留守中も役に立ってよかった、と言っているし。うーん、これはそろそろやっぱり…。うーん、うーん…。


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最終更新日 01/12/31 01:11:42
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