2008年4月17日木曜日

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

ゼア・ウィル・ビー・ブラッドの試写会に行ってきた。うーむ、落ちのすごさに圧倒されたまま席を立つことになった。

映像美はリアリズムに貫かれていて、2時間半以上の長尺でも飽きることはなかった。構成も見事。主役のダニエル・デイ=ルイスはもちろん、脇役達の演技もすばらしい。正直2時間を回ったところで、どうやって落ちを付けるのか想像できなかったのだが、衝撃のラストが待っていた。これがブラックユーモアあふれるひどいもので、おいおい、こんな終わりではとてもじゃないけど感動は出来ないよ、と苦笑した。ひどい、ってのは褒め言葉ね。しかし人に勧めづらい映画だなあ。面白いのは間違いないけど、勧めちゃうと人間性を疑われそう。

しかし主人公の複雑な性格は表現するのが難しい。こういう奴らがいたから、アメリカの石油業が発展したのだ、というのは分かるけど、だったらそれは良いことだったのか?と言う疑問には何も答えない。答えなくて良いんだけど、歴史に整合性を求めるのは間違い、と言うことを思い知らされる。こういう人物が田舎のコミュニティで軋轢を起こす様が表現されているのもすごいなあ。

パンフレットに書かれている、「欲望」というキーワードは当たらない。むしろ「人間不信」や「人間嫌い」という方がぴったりくるような主人公である。映画にほとんど女性は出てこない。主人公は立派な屋敷に住むようになるが、それを追い求めていた気配はない。女に惑溺する偽の弟には軽蔑を感じていたようでもある。ひたすら酔いつぶれていたようだが、頭は覚醒している。成功を収めても幸福感は得られない。むしろ人とのつながりを拒否している。人物背景についてはわずかしか語られないので、なぜ彼がこのような価値観を持つに至ったかは想像するしかない。

美しく、かつ荒涼とした油田地帯である。

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2007年8月29日水曜日

釣りバカ日誌

またまた映画の試写会である。釣りバカ日誌18の試写会に一ツ橋ホールへ行った。もともと釣りバカ日誌はたまに見ても笑えなかったので、相性が悪いのだろうなあ、と思ったら案の上である。二時間近くくすりとも笑えなかった。

まず役者達がヤバイ。三国連太郎はいつ死んでも不思議無いぐらいの様子である。浅田美代子の汚さは尋常でない。石田えりが降板したのはしょうがないとしても、なんでこんな汚い女優使うかなあ。谷啓もやばい。サラリーマン役はないだろう。とっくに年金暮らししてるはず。嫌いな高嶋弟も見たくない。檀れいもびっくり。最初分からなかった。「武士の一分」の時は綺麗な人だと思ったのだが。太ってほっぺたがふくれてる。二重あご。お前は山瀬まみか。激しくバッドシェイプである。女優としてはやばいんじゃないの。以上のように見てるだけでつらい役者のオンパレードである。

さらに脚本が駄目すぎ。こないだの「ミルコのひかり」の方がよっぽど笑えたぞ。あんまりにも脚本がつまらないせいか、西田敏行が大げさな芝居で笑わそうとしてるので、更に萎えてくる。だいたい西田敏行と三国連太郎はまるで釣りバカに見えない。ちっとも釣りが好きそうではない。脚本家も監督も釣りが嫌いなんじゃないか。海岸を工事したらメバルやカサゴやアイナメが釣れなくなる?マリーナ作ってテトラとか沈めたら、こいつら増えるんじゃないの?

映画のラストで瀬戸大橋を映し込んだ遠景が広がる。一応テーマらしいはずの環境問題もぶちこわしですな。自然だけ映しとけよ。改めて寅さんの偉大さが分かった二時間であります。

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2007年8月25日土曜日

ミ ル コ の ひ か り

ミルコのひかりと言う映画の試写会に丸ビルへ行った。一週間前のことだが。そんなに期待していなかったのだが、かなり面白かった。邦題はなんか訳分からんのだが、ストーリーが単純な割には脚本が良いのか、笑いと感動があって見た後の気持ちは上々である。

子供の時に事故で視力を失い、盲学校に転校させられる主人公(当時のイタリアでは法律により盲人は盲学校に行かねばならなかった。日本ではどうなのかは知らない。そこで心を閉ざすのだが、元から映画好きの主人公は今で言うサウンドノベルの制作をテープレコーダーによって行う。やがて友達を巻き込み、学芸会の発表がクライマックスとなる。

笑えたのはシスターが子供達を脅かす声を録音して、勝手に魔女役をやらすところ。神の僕(と自分では思ってる)であるシスターの言ってることがそのまま魔女の台詞に聞こえるところは、とても皮肉が効いていて面白い。

見て損しない映画である。

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2007年7月4日水曜日

明日の記憶、ほか

日曜洋画劇場って邦画ばっかりやってるみたいだけど、渡辺謙主演の若年性アルツハイマー病をテーマにした「明日の記憶」をやっていて全部見てしまった。病気ネタで暗い話ではあるものの、淡々とした演出は引き込まれるものがあった。現実の病気はもっと悲惨でやりきれないんだろうけど、そんな現実を仄めかしつつ美しく描く表現はなかなか良かったと思う。吹石一恵が出てるから見始めたはずだったのだが、あんまりでなかった。でも渡辺謙が上手かったからいいや。大滝秀治も良かったなあ。

先週の水曜日には尺八の藤原道山とピアノの人のコンサートを聴きに行った。まあ近所なので。うーん、言い方は悪いけど女子供向けだなあ。綺麗な環境音楽みたいなのは、なんで尺八なのかが良く分からず。フルートでも良いじゃん。ジャズっぽくテンポの良い曲は、実際そのものもあったけどRPGのラスボスを倒しに行く曲みたい。と言うわけで、女と子供向けという印象だ。上手だしルックスも良いから人気にはなるだろうけど、音楽的に興味が持てるかというとどうかなあ。英国フォーク好きの自分からすると、もっと泥臭く新しい日本音楽が創造できないものかと思った。

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