ニムの木かげの家 日時計 2003. 11月

 
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2003.1104(火)

休暇@Oxfordおしまい

_ きのうの19時頃帰宅。今日はいきなり職場〜えいごなので、さすがに疲れた。

_ フィリップ・プルマンの新刊"Lyra's Oxford"が出たのに合わせ、書店Blackwell'sが主催して11/5にシェルドニアン・シアターで彼の講演会。別な書店Waterstone'sが11/3にサイン会。さらにもう一つの書店ではサイン本を11/3から売ると言うから「今日帰らなくちゃいけないんだけど」(フライトが現地の11/2夜)と泣きついたけど「おんやそれは残念〜。ネットで買ってね」と言われた。タッチの差でなんと残念な〜!

Philip Pullman/"Lyra's Oxford"/David Fickling Books

_ 11/1にオックスフォードの書店に並んだこの新刊には、ライラの世界のオックスフォードの地図がついている。ジェリコ、オックスフォード運河、ジョーダン学寮、etc. 実際に行った場所と重ね合わせることができて、帰りの機内で楽しめたのが嬉しい。実際にジェリコを通ってナロウ・ボートを見ながら運河沿いの道も歩いたのだ。なお10月末には一足早くアメリカ版が出ている(こちらはamazonで予約しておいたら旅行中に届いていた)。

2003.1109(日)

ひとまず一段落

_ 7日の職場のイベントまではその準備に忙殺。ちゃんこ屋でうちあげ、カキもちゃんこもおいしかったけれど、なかでもあん肝が最高においしかったのだ。

_ 8日〜9日は、10月にご結婚された踊るらいぶらりあんさんの結婚披露パーティ@名古屋に参加。1/3ほどの出席者がネット関係者で、その中の一人が司会者に「ひとことどーぞ」とマイクを向けられ「これまでに実際にお会いしたのはほんの一、二回ですが」と言ったら、司会者が「たったそれだけのおつきあいでどうして遠路はるばる披露パーティに?」と目を白黒していた。ネット関係者は大笑いしていたけれど、司会のおじさまは内心相当怪しい集団だと思ったに違いない。観音様のようならいぶらりあんさん、お連れ合いと末永くお幸せに。

_ お宿に取って頂いた愛知厚生年金会館はなかなか気持ちの良いお部屋であったが、なぜかこの施設はムーミンがキャラクターになっていて、フロントマンたちの胸にはムーミンのピンバッジ、カレンダーやメモ用紙、ボールペンもムーミンとその仲間。もちろんグッズも売っていたので、早速吸い寄せられるようにミイなどのグッズをお買いあげ。何故に名古屋土産がムーミングッズ(^_^;

M・R・ジェイムズ/『M・R・ジェイムズ怪談全集1』/創元推理文庫

_ 旅行の前後から、空き時間にちょっとずつ読んでいた。昨年は旅の風景が夢に出てくるようなことは余りなかったように思うが、今回はオックスフォードの印象が強く、建物や町並みがずいぶん夢に出てきたのだが、そこにどこかこの怪談のイメージがだぶっていたように思う。怨念や呪いによって異形のもの、悪魔的なものに襲われる話が続く。こればっかり読んでいると多少飽きるかも知れない。

最近の購入本

_ しばらく書いていないが、何だかあれこれ買っていて溜まる一方だ。どーしよー。

2003.1113(木)

お疲れのご様子、にもかかわらず出歩き

_ いろいろあったといえばあったんだけど、気力体力ともに負けております。

_ 次男は二駅先の耳鼻科へ連れて行ったところ(近所に耳鼻科が不作なので)、立派な中耳炎と判明したが、現在のところ薬が奏効してか単に峠を越えたためか、順調に回復中。私の方にむしろ後遺症がぁ(=寝不足)。

_ 帰国後休みが取れなかったので、本日一息つくため半ば強引に休み。実は、娘が大学のある講義で「レンブラント展@西洋美術館に行ってチケットの半券を提出すること」という課題を与えられ、「ママ一緒に行こう〜」というリクエストがあったのである。展覧会自体は大体何でも大好きだけど、ちょっと疲れたかな。有里さんも断念した「大英博物館展」は80分待ちという張り紙があった。タダ券あるのに。ふん本場に見に行けばいいや@悔しまぎれ

_ 危うく死蔵するところだった江戸東京博物館の企画展「東京流行生活展」の招待券を有効活用すべく、午前中ひとりで見に行く。出る前に突然気がついて、まだ残っている招待券を有里さんに差し上げる(押しつけるとも言う)ことに。娘の約束が先約だったので、時間的に有里さんとご一緒はできず、券をお渡しするだけでちらっとお茶だけ。「考現学」っていうのは凄いものだなと感心を通り越してほとんど感動(いつの世にも有里さんのお仲間はいたようで)。今見てもキュートなスバル360(スポーツタイプ)がピカピカなお姿で展示してあり、しかもキーホルダー等のグッズにも幅をきかせていたので、スバルの後援でもあったんかいなとか思ってしまった。うちにもあったみたいな○○とか、うちでも使っていたみたいな××とか、いろいろありましたわよ。あっ、私の母校の昔々の写真とか!終わり近くに思いがけずパンダのランランの剥製が。あなたが急死したとき、私は朝のニュースを聞いて布団の中で涙したのよ。日本中でたくさんの人が泣いたのよ〜、と語りかけてしまった。この展覧会は11/16まで。

〈読み中〉M・R・ジェイムズ/『M・R・ジェイムズ怪談全集2』/創元推理文庫

_ 1に続き2へ。なんだか、はまるのである。短編集なので切れ切れに読んでもいいのだが、やっぱり寝床に持ち込んでじっくり…というのがよろしいでしょう。例えば怪奇現象のもとである迷路が取り払われて一見怪奇が終息したようではあっても、なお怪奇現象の理由やその異形のものが何かと言うような説明、あるいは「合理的な」否定はされないので、何だか分からない怖さが読むほどにしっかり蓄積して行くのである。

2003.1115(土)

久し振りに練習

_ クリスマスの直前に、所属している(ことになっている)アマオケの本番があるので、さすがにおしりに火がつき練習に参加した。午後2時から5時まで、殆ど休みなし。しかも曲自体が殆どずっと弾きづめのものなのだ(ブルッフのVnコンチェルトとエロイカ)。久し振りに3時間連続で弾いたらさすがに肩から腕が抗議の声を挙げ、途中でだるくて何度もぶるんぶるんと振ったりグーパーをしたり、いろいろ。しかし、ブルッフもエロイカも、なんていい曲なんでしょう!やっぱり楽しかったぁ。ソロも上手でうっとり聞き惚れてしまった。久し振りに持ってみるとVnケースがボロになってきているのが気になるので、新しいケースが欲しいな。でも目星をつけているものは、軽いしリュックのように背負えるし、値段も手頃なのでかなり気に入っているのだが、先に買った人によると肩当てがケース内に入らない模様。うーむ悩む。

2003.1116(日)

驚異的に早寝

_ 慣れない肉体労働(久し振りの練習)が祟ったか、昨晩夜10時になる前にバッタリ討ち死にしてそのまま朝9時であった。

ムットーニ講演会@池袋西武コミュニティカレッジ

_ 「ムットーニの世界 武藤政彦 自動人形制作秘話」3回シリーズのうちの最終回。2回目は旅行のため参加できなかった。今日は、「ガイコツは踊り、天使は舞う」の巻。新作のガイコツ時計(まだ名称もナレーションも決まっていない)と、代表作「カンターテ・ドミノ」、そして天使のオルゴールの3点が上演された。なんでも「カンターテ・ドミノ」は、ファンの中では垂涎の部類に入る模様。素敵でしたよう。構造上の都合(ご本人に伺った)で、オルガニストが立つでもなく座るでもなくやや半端な姿勢で足の動きもなかったのが残念だが、全体に夢のよう。一種荘厳でありながら、青いライティングが、キッチュな感じでいいのよねえ。はじめは「天使」とナレーションしていたのがいつの間にか「ビーナス」になっていたのは何故?これを質問するのを忘れた。なんかお仲間・熱烈ファンがいっぱい遠方からも来ていたらしい。私なんぞ家から30分で申し訳ありません。それにしてもこれはとくに、実物を見ないとその魅力のほんとに片鱗しか分からない。

_ 来年2月には、恒例の渋谷パルコ・ロゴスギャラリーでの展覧会があるが、これまでと違って、整理券なしで上演が見られることになりそうだとのこと。月、火以外はムットーニご自身が会場に居られる予定。これにはぜひ足を運びたいと思う。

えーっ!『ラピスラズリ』評

_ 今朝の読売の書評欄に、大原まり子の『ラピスラズリ』評が掲載されていた。その中程にいわく、

『冒頭の「銅版」は、画廊で見かけた三枚の古びた銅版画から、今は失われている小説のストーリーを妄想する話。「閑日」以降は、その妄想された小説世界が描かれてゆく。』

_ もももも、「妄想」って…。どこをどう読むと「妄想」になるのか、笑止。そもそも『ラピスラズリ』のような謎に満ちた驚異的な物語を読み解こうとすること自体、野暮な所業であるのだけれど。私は力不足でとても出来ないし、だいいち出来る出来ない以前に、そうした作業によってその世界をいわば「汚したくない」と思わせるものを持った作品(作家)だ。

〈読み中〉M・R・ジェイムズ/『M・R・ジェイムズ怪談全集2』/創元推理文庫

_ まだちびちびと続き。『幻想文学 63 <M・R・ジェイムズと英国怪談の伝統>』も合わせて読まなくては!

購入本

_ 恩田陸/『蛇行する川のほとり3』/中公新書

_ しばらく前、amazonに注文してしばらく待った挙げ句、入手不可と連絡があり、その後リアル書店でも実際目にしなかったが、今日リブロでふと見た棚にあった(初版)。2まで読んだ娘に先に貸して、私はそのうち一気に読むつもり。

購入しなかった本

_ 上橋菜穂子/『狐笛のかなた』/理論社

_ リブロですでに平積みになっていたが、ネット書店に予約注文したような気もするし、やっぱりしていない気もして定かでないので、逡巡した挙げ句買わなかった。帰宅後確認したら案の定予約していなかったことが判明。しかもネット書店には今現在まだ入荷していないらしく、注文しようにも出来ないので、あーあさっき買わないでソンしたとふくれ中。

2003.1117(月)

またもやフィギュア買い

_ アリスのティーパーティ4と、ムーミンズランチをそれぞれいくつか買い込む。また大成堂に行かなきゃ。本場アリスショップなどで見かけたフィギュアより、海洋堂のアリスフィギュアのほうがよっぽどリアルだと思う。ムーミンの方はビミョーだけど、プークマの場合とは違って、どのみちこれはアニメのムーミンだと割り切っているのでまあ許す。いっぱんにスナフキンが子供っぽすぎ/ちょっと顔がヘン。ミムラ姉さんのはどうしてないのかしらね。ところで先日、リブロで、二つ目のムーミントートバッグを買ってしまっていたのだ。ひとつ目はポットの中のミイ、二つ目はボートの上のニョロニョロ。

閉め出し

_ 6時に、学童から帰る次男と落ち合って二駅先の耳鼻科へ。今日も殆ど待たされず「鼓膜もキレイだね」と無罪放免。連れ合いは泊まりだし、長男は塾で遅い、娘はバイト、じゃあ寒いからラーメンね、となじみの中華屋へ。長男のために焼きビーフンを作ってもらい、帰ってから何か野菜類を足してやろうと帰路につく。あと2,3分で家に着くという時、バッグを探ると…探っても…本格的に立ち止まって捜しても…、鍵がなーい。「きみランドセルにうちの鍵ついてるよね」「ない」「なんでぇ?」「今日はママと一緒に帰るからいらないと思って」この寒風の中、あと1時間半長男の帰りを待つのは悲惨である。このようなときに役立てなくて何の携帯電話かな。というわけで、塾の自習室でお勉強中の長男を急遽呼び返し、その間我々は再び商店街に引き返す。何が悲しうてこんな時間に100円ショップに(;.;)<すでに8時半。しかも次男の背にはランドセルだし。結局お気の毒な長男の夕ご飯は、焼きビーフンとインスタントのスープと冷凍のカツとほうれん草炒めでした。許せ。鍵がないと分かって思わず仰いだ夜空は、木枯らしに星が綺麗でした。

2003.1121(金)

早くも忘年会兼お誕生会

_ 職場の有志で焼鳥屋。立派なお花をいただき、感激〜。それが、昨日、一昨日と、夕飯を食べたらもう余りの眠さに打ち勝てず、9時過ぎから朝の7時まで寝る有り様で、風邪の引き始めだねと言っていたのだ。そして今朝起きたら、首から背中がパーンと張った状態で、その後一日中ピリピリチクチク、腕の方まで響いて痛い。これはいよいよ発熱だと気づき、主賓がドタキャンというわけには行かないから、昼休みに葛根湯を買いに走った。が…。おまけにやたらに忙しい一日だった(;.;) 飲み会はとっても盛り上がり意義ある会だったのだが、帰宅して熱を測ると案の定38度だった。あまり熱の出ない私としては十分な高熱である。ビールがおいしかったわけだ。バタンキュー。

M・R・ジェイムズ/『M・R・ジェイムズ怪談全集2』/創元推理文庫

_ 今週のいつだかに読み終わっていた。だんだん著者自身のこだわりが感じられるようになってきて、面白さが増し、もう一度読み直したいと思わせる。あとになるに連れ読みやすさが増した=古めかしさが薄れたせいもあるかもしれない。

2003.1122(土)

上橋菜穂子/『狐笛のかなた』/理論社

_ 昨日届いていたのを、気分が良くなってきた昼から読み始め、途中「ううやっぱり寒気が」とか言いつつ一気に読了。時代が特定されていない日本だが、城の規模、武将たちのあり方など見ると江戸時代くらいの感じ。城や領地を守るため古くから伝わる呪術が武将たちに重用され、まだ強く生き残ってはいるが、それも次第に細々と消えていこうとしている。狐笛という呪いの道具によって主(あるじ)の命を否応なく受けるべく、使い魔として運命づけられた若い霊狐・野火と、父を知らず、今は亡き母から受け継いだ人の心を「聞く耳」をもつ少女・小夜は、二つの領国の領主たちとそれを守る呪術師たちの勢力争いに、否応なく巻き込まれて行く。霊狐は、この世界とあちらの世界の「あわい」に生を受け「あわい」で死んで行くモノだ。自分でも知らない昔からの力を受け継いだ小夜は「あわい」の世界にも入っていくことが出来るのを知る。信頼と愛、憎しみと戦い。作者は、起こってしまった悲劇を安易に救うようなことはしない。今ある自分たちが、自分としてぎりぎり出来る最良のことを実行することの難しさを次々と語る。そして呪術と同等、あるいはそれ以上に、解き放つのが難しいのが人の心であることも。一気に読んで差しかかった最終章は、一種ハッピーエンドでもあり、しかし共同体を外れたところで生きる者達に残された唯一の道とも言え、どっと涙が溢れてしまった。上橋菜穂子の作品らしく、文章は平易だが描写にすぐれ、かつ力があり、背景の構築も見事である。ただ一つ言えば、タイトルでもある「狐笛」は、確かに肝心なところで力を発揮し、強い呪縛を持つことも終始述べられるのではあるが、実際に使い魔がその主によって狐笛を吹き鳴らされたときの具体的影響が描写される回数が少ないので、多少のインパクトに欠ける気もする。

_ ちょうど読み終えるときに「じゃあバイトに行ってくるから」と顔を出した娘が「あら、泣いてるしー」と言って去っていった。恥も外聞もなく涙するハハです。

〈読み始め〉ボブ・カラン/『アイリッシュ・ヴァンパイア』/早川書房

_ ちょうどM・R・ジェイムズを読み終わった身にははずすわけにはいかないようなので。しかし寒気が〜(熱のせいでしょうか)。

2003.1123(日)

◎ダイアナ・ウィン・ジョーンズ/『マライアおばさん』/徳間書店

_ 少女ミグとその兄クリスのお父さんは、その母マライアおばさんの家に行く途中、崖から海中に車ごと落ちて亡くなった。マライアおばさんは見た目は可愛らしいお年寄りで、いかにも手助けをしてあげなくては気が咎めると言う気持ちにさせられる。こちらのそういう気持ちを意識してかしないでか、どちらにせよ上手に利用しているタイプのイヤな人だから、これまで何とか避け通していたというのに、なぜかイースター休みに家族揃っておばさんの家で過ごすことになってしまった。お母さんはまるで召使いのように家事をさせられるは、きょうだいはかわるがわるおばさんのお相手をさせられるは、うるさい隣人をはじめお取り巻き連中はどこか変だは、せっかくの休みも散々な有り様だ。おまけにクリスの寝室にはしばしば、何かを捜しているおかしな格好の幽霊が出るらしい。そのうちミグは、事故のあと海中から引き上げられたはずの父親の車と瓜二つの車が、無傷で町を走っているのを見かける。一方事故の際、車の中に置き忘れていたままの、ミグが書いていた物語のノートも、まったく無傷のままなのをマライアおばさん宅で見つけた。車ごと海中に沈んだなら、水浸しになってとても読めたものではないはずなのに。これをきっかけに、このどこかおかしな町が隠しているあるたくらみが次第に見えてくる。

_ 普通の人、普通の町が、ある時点からその本当の姿を見せ始める(ミグが探り出すのだが)その感じが、ジョナサン・キャロルに通じるものがあり、奇妙な怖さを感じる。クレストマンシー・シリーズよりも『九年目の魔法』『私が幽霊だった時』などに連なる作品だ。彼女の作品では、男の子はちょっと気が弱く影が薄いことが多いが、ここでは兄クリスはミグが言えないような少年らしい率直な意見、悪口雑言をずばずば言ってしまい、痛快な騒ぎを引き起こす。もっともそのためにマライアおばさんの怒りを招いて痛い目を見るのではあるが。1991年の発表だが実際にはもっと前に書かれていたらしく、男らしさ女らしさの対立がこの町を動かす中心原理になっているので、作者がよそ者のクリスに主張させたのも宜なるかな。作品の成立事情は作者、訳者の後書きにも詳しいが、マライアおばさんは実際にいた我慢のならない人をモデルに書かれたとのことで、始めは殆ど読むのが嫌になるくらい、おばさんのイヤさがこれでもかこれでもかと出てくる。原題'Black Maria'は、カードゲームでのスペードの女王を指し、作者の希望で「マライア」と発音するとのこと。ところでアンソニー・グリーンと彼にまつわる悪夢がすごいぞよ。なるほどグリーン・マンへの連想か。ほかに、見たところクレストマンシーぽい人も出てくる。しっかしマライアおばさんは不滅なのね。殲滅しなかったところが、DWJの優しさか、あるいは、おばさん一人殲滅しても同類はいくらでもいるという、彼女なりの辛口のエンディングか。

〈読み中〉ボブ・カラン/『アイリッシュ・ヴァンパイア』/早川書房

_ 4作収録中の2作まで終わる。怪奇現象に土地が分かちがたく結びつきしかもそこに血の色と匂いが…。作者の緻密な描写が恐怖を倍加させる。吸血という行動に飢饉がまつわっていることは、言われてみれば当たり前のようだが目ウロコ。残忍な領主が云々といういわば一面的な設定よりも、生命への執着と怨念がいっそう色濃くにじんでいるので、陰惨さもひとしおである。

山尾悠子インタビューふたつ

_ 国書刊行会のサイトでのインタビューと、bk1怪奇幻想ブックストアでのインタビュー。後者は、さすが東雅夫氏の質問は鋭いが、せっかくの読者のメールによる質問が意外に月並みだなあと思った。それにしても、訊きたいところのツボをはずしているところが、まったく山尾さんらしい。

2003.1125(火)

◎ボブ・カラン/『アイリッシュ・ヴァンパイア』/早川書房

_ 収録作4作、いずれもそれぞれに異なる素材を、異なる語り手を配して語り、読み応え十分だ。もっと読みたい!4作のうちどれが一番好きかが、全く決められない。いかにもM・R・ジェイムズ張りの古色蒼然とした1作目、結婚や仕事に挫折し鬱屈を抱えた女性の心理をも投影した2作目、一転して再び時代を遡って東イングランドの陰鬱な風物を舞台にした3作目(きゃーこれが、怪異が解決し終わっていないのだ)、事件当時の少年の目を通して描かれたどんでん返し付きの4作目。一番怖いのは間違いなく「手」!次にイギリスに行く機会には必ずや広義のゴースト追っかけツアーにしようと思う今日この頃。ううっブルブル!(快)

〈読み始め〉デイヴィッド・イーリイ /『ヨットクラブ』/晶文社

_ 一連の読みたい本のなかから新しい順に読んでいる感じ。一連の怪奇もののあとに読み始めたせいか、ついついそちらの方へ話が行くのではと知らず知らずのうちに期待してしまう癖が。

えいご

_ 今日はいつものちんたら姉ちゃん先生が休暇で、スクール本部から日本人の先生が助っ人に入った。と言っても、事実上英語はネイティヴで、べらべらボンボンしゃべる。生徒(今日は3人)が口に出すそばから素早く的確に直してくれるので大変効果的に思える。次回も来て欲しいなり。

2003.1126(水)

〈読み中〉デイヴィッド・イーリイ /『ヨットクラブ』/晶文社

_ 書かれたのが60年代なのでやや古いかと思う部分もあるが、総じていい感じ。それもかなりいい感じ。自分のことを神だと思っている男の話まで。原題でもある「タイムアウト」は、イギリスを再建する話で、主人公がオックスフォードで過ごすので、臨場感があった。と言ってもちょっと微妙な臨場感なのだが。所でモードリン・カレッジ(コレッジ)をマグダレン・カレッジとスペル通り訳しちゃいけませんぜ。

風邪?

_ 先日寝込んだ風邪(たぶん)は職場の同僚も3連休中によく似た症状で発症した。首、肩、背中が堅く張って、筋や筋肉が痛む。熱が38度くらい出るが、いわゆる頭痛や悪寒、咳、ハナなどはない。そうしたら昨日行った英語スクールのスタッフのお姉さんも、先日よく似た症状で寝込んだとのこと。新種の風邪か?まだ昨日、今日とも夕方になると首の凝りがきびしくなって、それが頭に響いてちょっと辛い。

2003.1127(木)

Sailing club

_ 昨晩続きを読もうとしながらつい枕に頭をつけそのまま朝まで寝てしまった『ヨットクラブ』。昼休みに、さあ読もう!と思ったら家に置き忘れてきていた。がっくり。仕方がないのでえいごの勉強をした。ところでsailingとかyachtingとかの言葉を聞くとやっぱり思い出すのはランサムで、そこで出会った言葉が「帆走」。ほんとうにきれいな言葉だ。ところで、作者のイーリイのスペルはEly、『トムは真夜中の庭で』に出てくるイーリー(の大聖堂)と同じスペルだ。

〈見始め〉/J.K.A. ムゼーウス 『リューベツァールの物語』/国書刊行会

_ 読み始めでない、まだ見始め。魅力たっぷりの挿絵多数。大判でずっしり重いので、これは持ち歩き無理だなあ。

2003.1128(金)

◎デイヴィッド・イーリイ /『ヨットクラブ』/晶文社

_ この中でどれが一番?と言われると一瞬迷ってしまうが、間違いなく一番好きなのは「タイムアウト」と「オルガン弾き」だ。「ヨットクラブ」「面接」「夜の音色」「G.O'D.の栄光」「夜の客」などが、はずせないところ。「オルガン弾き」や「面接」の、一気にエスカレートするあたりがすごい。かと思うと「夜の音色」のような余韻もあり。

〈読み始め〉ダン・シモンズ/『夜更けのエントロピー』/河出書房新社

_ 短編集が続くよ続く。「黄泉の川が逆流する」「ベトナムランド優待券」「ドラキュラの子どもたち」まで終わる。「ドラキュラ〜」は長編『夜の子どもたち』の原型。「黄泉の川〜」は作者のデビュー作だそうだが、すでにのちの作品の持つ雰囲気をはっきりと持っている。そういえば最近の翻訳書『ダーウィンの剃刀』も『雪嵐』も手許にあるのに未だ読んでいないことに気付いた。タイミングやその時の体調によって、買ってすぐ手を出す本あり、気にかけながら埋もれたままの本あり。

SFマガジン1月号 「ケルトの血を遠き島国から想う」

_ 対談記事「ケルトの血を遠き島国から想う」を昼休みに読みかける。ボブ・カランの『アイリッシュ・ヴァンパイア』の訳者・下楠昌哉氏と東雅夫氏の対談で、ナイスタイミングである。そうなのよそうなのよ、4作どれもいずれ劣らず素晴らしいのよ。しかし半分くらい読んだところで、思いがけず長い記事であることに気付き、昼休み中に読み切るのは無理と一旦断念。本屋から自室の近くまで戻ってきたところを、大事な用件ではあったが、同僚に長時間つかまっちゃったのが運の尽きだった。これが早く読みたくてわざわざ昼休みに本屋に足を運んだのに、しくしく。

2003.1129(土)

〈読み中〉ダン・シモンズ/『夜更けのエントロピー』/河出書房新社

_ 「夜更けのエントロピー」「ケリー・ダールを捜して」まで。この配列が憎いですね。より強い印象を受ける。

次男の学芸会

_ 彼の出番は朝いちで、そこだけ見に行けばいいので楽と言えば楽だが、平日と同様の早起きなのでつらいと言えばつらい。彼のグループはオレンジの帯をしていると通知があったのでそれを目当てに捜していたら、結局分からずじまい(怠慢な彼はせりふのない、側転を数回するだけの役を希望したのだ)。退場するところを捕まえてみたらなぜか青い帯だった。「この前変わったんだよ。そう言ったじゃん」聞いてないよ。久し振りに父親が出動して撮ったビデオを見ながらご本人に聞いてようやく確認したが、「これだよ。これ。それとこれ。」と指さされても分からない。だって、普段より背が高く見えるんだもの。親の目にはいつまでも赤ちゃんに見えるのかねえ。ところで本人はすでに昼のうちにお友だちの家でビデオを見たそうで「○○ちゃんちでは(その子が)ちゃんとズームで写ってた」と鋭い突っ込みを頂きました。反省するように>とうちゃん

オケの練習

_ あー疲れた。エロイカで2ndVnとチェロの位置を入れ替えたので、譜面と指揮を同時に視野に入れるのに苦労した。「他のパートの聞こえ方が普段と違うから弾きにくいでしょ、よく聞きながら弾いてね」と指揮者がおっしゃるそれ以前の問題、つまり譜面を殆どさらってないという…。帰宅して倍テンポでさらいました。

最近の購入本から

_ (落ちているのもありそうなので「から」。書かないうちにすでに読んじゃったものは除く)
稲垣足穂(著)たむらしげる(イラスト)/『一千一秒物語』/ブッキング
石川 鴻斎/『夜想鬼談』/春風社
オーソン・スコット・カード/『シャドウ・オブ・ヘゲモン 上』/ハヤカワ文庫SF
オーソン・スコット・カード/『シャドウ・オブ・ヘゲモン 下』/ハヤカワ文庫SF
ジェラルド・カーシュ/『廃墟の歌声』/晶文社

_ 『廃墟の歌声』とか『アイリッシュ・ヴァンパイア』などは実際にはbk1で予約購入しているので、多分12月中頃に予約特典(短編など)が頂ける模様。ヘゲモンは、前段を覚えているだろうか?

2003.1130(日)

購入本

_ ウォールター・テヴィス/『地球に落ちてきた男』/扶桑社
フリッツ・ライバー/『妻という名の魔女たち』/創元推理文庫
デイヴィッド・アンブローズ/『幻のハリウッド』/ 〃

スノークとシークレット

_ 午前中、次男と白山の大成堂へ行く。ムーミンとアリスのばら売りが目的だ。ムーミンの方でスノークくんだけなくてがっかり。ところが、このシリーズのシークレットアイテムがあったのよ〜3000円…。しかもムーミンともみの木と、彗星!!!しばし眺めて涎を垂らしてしまいました。ほかはまあそこそこのお値段だったのでそれなりに納得なんだけど、3000円はちょっと…。でもとくべつ素敵なアイテムだったなあ…とても心残り。アリスの方はシークレットはないって言うのだけれどホントか。フレッシュネスバーガーで軽くお昼。

誕生日

_ はい、一つ年を加えました。子どもたちから、アラン模様のルームシューズ、レゴのイウォーク(帝国軍を急襲する場面)、手のひらに載るくらいのトナカイ(車輪がついていて、ひもを引っ張ると首を揺すりながら走る)を貰った。連れ合いからはヴァイオリンケース(注文中なので目録だけ)。池袋の「点(Tomoru)」で食事。おいしかったけどちょっと高かったです。

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ニムの木かげの家
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最終更新
2003.12.01 00:28:12