2009年4月11日土曜日

Perfume-23:30

前のエントリでストーリーとして、23:30の不倫関係があり、そして別れた後の物語がワンルーム・ディスコであると言う説に賛同した旨書いた。ワンルーム・ディスコのイントロとボーカルパートの曲調がずいぶん違うと言う印象をネットで散見する。やや不気味な印象のイントロは何を意味するのか?これは二人の対立と別れに至る諍いを表現しているのではないか。そうすると腑に落ちるのである。23:30のラストの歌詞は以下のようなものだ。変わらない関係に終止符をこの後打ったと思うわけである。

どれほど過ごせば
ひとつになれるの
変わらない 終わらない
何かを探すの

さて23:30はダウナー系であると書いた。しかしダウナーになりきれないのはPerfumeの三人の声質が暗くないからだ。これがTracey ThornやKaren Carpenterの様なアルトボイスだったら、もっと暗い歌になっただろう。このあたりの声質と曲調の危ういバランスが今のPerfumeでしか出せない雰囲気を醸し出しているのではないか。あまりハモらせずにユニゾンにして可愛らしさを出している。中田ヤスタカのトラック作りでは、三人の歌をそれぞれ録音して、ボーカルを演奏するように操作するとのことだ。ハモらせるのも自由自在であり、今まではそうやって三人の声を自在に操ってきた。しかしこの曲では一人の声にスポットを当てていないように聞こえる。生々しくなることを避けて匿名性を出したのであろうか。まだまだ分からない曲である。ステージでどうやるのかが気になるな。

さて同じく前のエントリでMassive Attack with Tracey Thornの「Protection」の事を書いた。この曲はFoxlifeでやっているアメリカのTVドラマ「Dr. House」の曲なんだよね。このドラマは今かみさんのお気に入りである。ひねくれ者のDr.ハウスは良いね。

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2009年4月9日木曜日

Perfume-ワンルーム・ディスコ

会社の帰りにWalkmanでMassive Attackを聞きながら、週刊文春を読んでいた。近田春夫の「考えるヒット」がPerfumeの新曲「ワンルーム・ディスコ」を取り上げていたのだ。まるで近田春夫は2ちゃんねらーの様に「そろそろ作戦が必要なとき」「つくりはかなり普通のポップスより」などと変化を求めているのはいかがなものか。俺のこの曲への印象はどんどん変わっている。これはPerfumeの楽曲の多くに言えることであるが、音の重なりが凄くてちょっと聞いたぐらいでは分からないのである。それが「スルメ曲」と言われるゆえんであり、聞くたびに発見があるのだ。また音の重なりのため、なるべく良いオーディオ機器で聞くことが推奨だ。分離の良い装置で聞かないと細かい作り込みが聞けない。もちろん団子状の音でも鑑賞は可能であるが、その場合の曲の印象は表層的になる。近田春夫の連載のように。ひょっとして近田先生、老化で細かい音が聞こえなくなってる?

また中田ヤスタカの歌詞は、相変わらずはっきり語らないことにより想像力を働かせやすくなっている。俺の解釈はTEKUNOTTE774さんとほぼ同じだ。尤も後段の深読みは同意しないけど。田舎で彼氏と同棲していた(結婚していた?)女の子が都会(たぶん東京?)に出てきて一人暮らしを始める歌なのだろう。ディテールを聞けば決して新社会人や新入生への応援歌ではないのだが、聞き流せばそう取れないこともないのがうまい造りになっている。軽く聞き流せば楽しそうなJPOPなのだが、裏には不安と痛みが満ちている。この辺もTEKUNOTTE774さんが「音の裏側に隠された痛み」として書いてらっしゃる。聞けば聞くほど単純なJPOPからは遠いことが分かるだろう。中田ヤスタカの歌詞は古今集の和歌のように、ベールを被っている歌詞だ。はっきり言及しないことでシルエットの様に浮かび上がらせる手法は日本的なんだろう。

さて、近田春夫の見方が浅く見えるのは、カップリング曲によってPerfumeはどんどん幅を広げている事実があるからだ。アルバムGAME以後のシングルに入ってるカップリング曲である、「edge」「願い」「23:30」だが、見事にPerfumeの幅を広げていないだろうか。こう並べてみると「edge」がある意味GAMEの延長線上にあり、分かりやすいのだが「願い」や「23:30」はどうだろうか。俺の予想ではパキパキのテクノは一年前にやったし、edgeも武道館でやった。代々木のキー曲はこの二曲なんじゃないか。ライブでどう料理するのかが見物である。どちらもダウナー系というか、けだるい曲である。特に「23:30」はトリップホップというか、Tracey ThornがMassive Attackとやった「Protection」みたいな感じかなあ、と思ったのだがそこまでダウナーじゃないね。Tracey Thornのアルトボイスとは違って、Perfumeの三人の声はキラキラ感があるし、テンポもそこまでゆっくりではない。ただし明らかに彼女たちにとっては新境地であろう。

これもまたTEKUNOTTE774さんの受け売りになってしまうが、Perfumeのシングルはカップリングで一つの世界、と考えた方が味わいが増す。「23:30」でけだるく「そうねえ、愛して」と言っていた彼女の後日談が「ワンルーム・ディスコ」なんだろう。空元気も宜なるかな、ってところか。こういうバラードはJPOPの文法からは外れているんじゃないのかなあ。「願い」も「23:30」もPerfumeが驚くような曲調であったようで、それってきっと良いことなんだろう。ファンが過去の記憶をなぞって満足するような曲じゃないことは良いことだ。

Massive AttackやEverything but the girlのブリストルは20年以上前に仕事で行った場所だ。お客さんの喋ってることの半分も聞こえずしょんぼりしていたのを覚えている。今回のシングルは半分ぐらい聞けただろうか。

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2009年3月8日日曜日

Perfumeとベートーヴェン

金曜の夜はかみさんとクラシックのコンサートへ。東京都交響楽団によるベートーヴェンの英雄と皇帝。前半と後半でまるで響きが違うのでびっくり。ホールの一番後ろの席だったのだが、前半はピアノがどんと前にあったためか、音が反響音ばかりだったのが、後半良い音になった。ピアノが邪魔だったのかねえ。隣の席のおっさんがちょっとあれな人だったために、全く集中できなかったのは不運。聞いていた位置のせいか、クラシックの録音について考えてみた。

ポピュラーミュージックのコンサートとは対照的に、オーケストラを聴く場合にはほぼ生音を聞いていることになる。一方CDなどで聞く場合はどうかというと、マイクで音を拾うわけで、このセッティングによって聞こえ方は変わってくるわけだ。今回のコンサートでも一番後ろの席というのは、楽器の直接音より壁に跳ね返ってくる反響音が多いわけで、もやもやした音の固まりが聞こえてくるという印象。楽器一つ一つの分離が悪い訳ですな。しかしロックバンドなんかは分離された音をPAでミックスして流すわけで。

そこでDTM的手法でクラッシックの録音をしたらどうなるか?と思ったのだ。各パートをサンプリングした音で重ね合わせていけば、オーケストラの演奏もパソコンだけで出来るんだろうな。新人作曲家にとってはとても役に立つだろう。すでにやってるんだろうけど。クラシックは再現芸術などと言うが、人件費という側面から見ると、全て生でやると言うのは費用的に厳しいものなあ。作曲のみに興味がある人にとってはもう解決策があるということだろう。

さらにそれをCGとかビデオとかと組み合わせてライブパフォーマンスにすると言うのもありだろう。そうすればオーケストラの人間を見るのではない、別のコンサートもありでは?と思う。ここまで来るとPerfumeのコンサートまで後一歩と言うことかと思う。テクノロジーの進歩は表現形態の変化を促し、本質を見る角度を変えていく。Perfumeにおいては即興的なものはMCに集約され、楽曲は決められたものである。しかしダンスのクオリティとMCでコンサートは紛れもなく生ものになっている。ものの見方が変わるねえ。

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2009年2月28日土曜日

Perfumeとエルビス・コステロとミチコ・カクタニ

ケーブルテレビのMusic Airで2004年にあったエルビス・コステロとインポスターズのメンフィス公演をやっていた。この2年後ぐらいに結婚前のかみさんと、東京公演を見に行っている。その時は東京フォーラムでオーケストラによる「真夏の夜の夢」かなんかをやっていたので、バンド演奏は後半のちょこっとだけだった。それでも"Watching the detective"を生で聞けたのは、今でもデビューアルバムが一番好きな俺からすると嬉しかったのだ。かみさんはクラシック好きだから、前半も良かったみたいだが。

昨日のテレビではデビューアルバムから三曲ぐらいやっていて、嬉しかったがアレンジが結構変わっていて、というか曲のテンポがせわしなくてサビでようやく曲名が分かったりした。なにせ曲のタイトルも字幕で出ないし、MCも無く曲が進むので聞き分けるしかないのだ。デビューアルバムの曲じゃないけど三枚目の"Armed Forces"に入っていたニック・ロウの"(What's so funny 'bout) Peace, Love and Understandings"をやってくれたのは嬉しかった。この曲は単純なリフの繰り返しなんだが、さすがニック・ロウはポップスを分かっていて、ご機嫌なロックンロールになっている。オリジナルのニック・ロウ版は鼻歌っぽい歌い方でクールなポップスって感じだが、コステロのはアルバムと同じ様に熱くてエモーショナルな歌い方で勢いがある。手元のLPレコードを見ると1978年発売だから30年前だ。26年後でも変わらぬ熱い歌い方なのだから、これはコステロの芸なんだろう。大好きなデビューアルバムはニック・ロウがプロデュースして、バックはその後ヒューイ・ルイス&ザ・ニュースになった面々。焦燥感と切なさが渾然となった傑作だ。

そこでPerfumeなんだが、はまる一方である。とても加工された歌声なんだが、良く聞くと非常に三人三様の個性がある。少なくともコステロとニック・ロウぐらいは違うぞ。こういった所が聞き込んでくるのに連れて見えてくるのも、音楽の多層構造って感じではまる理由だろう。さらに歌詞の響きのおもしろさも相まって、完成度高いな?って思ってしまう。こっそりファンクラブに入ろうとしたらかみさんに見つかってしまい、「入ったら離婚だ」と言われてしまった。やれやれ。2ちゃんねるの既婚男性板にある、嫁からPerfumeについて問い詰められましたというスレを読んで苦笑いしている。でも頑張るぞ。

話は変わって最近時々読んでいる"Books and the city"だが、またミチコ・カクタニねたが。うーん、やっぱりこういう人は必要なんだよね。業界のインサイダーが内輪ぼめするのは胡散臭い。馴れ合わず批評する人は必要なんだなと。Perfumeとは関係ないけどついでに書きました。

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2009年2月22日日曜日

Perfumeとテクノ

かみさんが木曜日の晩から具合が悪くなって、金曜日はご飯も食べられず悶絶していた。どうやら質の悪い風邪だったようで、胃がやられたみたい。電話で情けない声を出していたので懇親会からとっとと帰る。帰っても氷枕を出してやるぐらいしかすることがないので、Yahoo動画で音楽ものでもないか探してみる。そこでPerfumeスペシャルってのが無料であるのを見つけた。

Perfumeと言えば、この間紅白歌合戦に出ていたな、と言う程度の認識だ。昔アキバブログで路上プロモーションやっていたとか言うのを読んだ記憶はある。後は2ちゃんねるの芸スポ板でたまにスレが立っているのを見たぐらい。どんなのかなあ、と思ってPVをいろいろ見てたら、はまってしまった。うーむ、完成度高いじゃないか!確かにPerfumeよりルックスの良いアイドルはいるだろう。歌だって上手いかどうかすら分からん様に加工されているじゃないか。そもそも口パクじゃないんか?しかし「ポリリズム」のライブ版をYahoo動画で見ていたら、そんなことどうでも良くなってきた。この楽曲とパフォーマンスは理屈を超えてるんじゃないか。そんな気がしたのだ。そしてAmazonのレビューでは俺と同じ様なおっさんではまっているのがいるわいるわ。

そんな人たちが良く書いているのが、青春時代のYMOやその他テクノ勃興期の思い出がよみがえるというものだ。確かに俺の学生時代にYMOとか聞いてる奴が良くいたっけ。でもヒカシューもP-MODELも俺は聞かなかったしなあ。細野晴臣と言えば中森明菜の禁区だったり。クラフトヴェルクも数曲聞いたぐらい。だからテクノに俺は思い出はない。ただその後のエレポップは少々聞いた。OMDとかChina Crisisとかね。ヤズーも聞いたかな。ただそんなに聞いて無くて、ハウスとかも全然聞かなかった。たまにデリック・メイのCDとか買って聞いたが。

その後Jスカイスポーツのサッカー番組でChemical Brothersとか掛かったのを気に入ってCD買ったりした。ま、そんな程度なので特にテクノやエレクトロ好きじゃないのだが、何故かPerfumeにはまったのである。アイドルったってモー娘。なんかも全く興味がなかったしねえ。だから不思議なのである。

さてライブのDVDを二枚とMusic Magazineを二冊(Perfume特集と中田ヤスタカ特集)Amazonで注文したのだが、ようやく復活したかみさんに早速文句を言われた。うーむ、やっぱり理解されなかったか。DVDはWalkmanに転送して通勤の楽しみとするか。

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2007年5月19日土曜日

Carpenters

SACDの「Carpenters/Singles 1969-1981」を買ってから、今頃カーペンターズにはまっております。音が良いってのもあるんだけど、昔海外ポップス聞き始めの頃に、「スーパースター」とか「ハーティング・イーチ・アザー」とかが好きだったのが、今聞いても良いのが驚きなのである。実際カーペンターズの音楽はよく言えば洗練されており、悪く言うと小綺麗でちんまりまとまった中産階級向けの音楽というイメージであった。

しかし何十年も経って聞いてみると、驚くほど古びていない。彼らの目指したものが普遍的な良質の音楽であった証だろう。それにしてもカレンの歌声の魅力的な事よ。聞いていて素晴らしいな、と思うのは「愛のプレリュード」「小さな愛の願い」「雨の日と月曜日は」「遙かなる影」辺りだろうか。もちろん他の曲も良いのだが。日本盤のCDとは曲目が異なっていたりする。「青春の輝き」が入ってないのは残念だったりする。

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