BOOK BAR 4 > おかえりのすけ宅 > おかえり、あのね。

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2003年2月28日
日記は本にかく
譲り受けた本の見返しに、手作り索引がびっしり書かれていたという話。その本は久野収著『神は細部に宿りたまう』、書き込んだのは岸本重陳、岸本氏の遺族から譲り受けたのは佐高信、そしてそれをさらに預かりうけた内藤克人が、朝日新聞夕刊「時のかたち」に。丹念に読み返されてきた一冊の本は、余白に幾人もの読み手の時間が宿る。
本にはじつはたくさんの余白があって、それは一冊ずつのノートにも思える。吟味を尽された本文は、ノートの罫線に重なる。これから日記をつけるなら、市販の日記帳ではなくて一冊のお気に入りの本に書き込もう。今毎夜開く本こそ日記帳にしてしまいたいけど、もう一冊探してからね。なかなか勇気のいることである。
2003.2.27
『小さな中国のお針子』(2002/監督:ダイ・シージェ)
後味の悪いフランス映画
邦題もかなりいやなタイプだけれど、この場合は作品に合ってます。原作「バルザックと小さな中国のお針子」に寄せた川本三郎氏の評もなぞ。フランスをキィワードによのなかをみるひとには楽しいのかも。
とにかく、育ちよし成績よしのボクちゃんたちが俺たちってケッコウワル?と言ってる典型。野暮男映画です。
今夜は「wataridori」の予告が一番よかった。そんな日もある。
2003.2.26
東北
「別冊東北学」vol5が届く。特集:壁を超えて。
子供のころ、「おかぐら」というものがあった。春先だったと思う。獅子頭と太鼓の二人組が、一軒ずつまわってこどものあたまをがぶりとやる。怖かった。なめていたあめ玉を思わず呑み込み、涙目になって苦しんだことを思い出す。縁起ものだとずっと思っていたのだけれど、実はその季節になるとどこかからやってくる流れの芸能であったことを、ずいぶん後になって知ったのだった。
そんなことを思い出させる記述もでてくる。ありがたい。だけどちょっと毎号厚すぎ。しかもつるっつるの紙でしょう、片手で持って読めないのです。
2003.2.25
文楽
「ひらがな盛衰記」を観る。人形=傾城梅ケ枝の吉田蓑助、法印女房の吉田蓑一郎、太夫=竹本千歳太夫、三味線=鶴澤清二郎がそれぞれ良かった。
私は義太夫の好みの幅がかなり狭い、素人だから許してね。深みある声色でありながら情と齢にほだされず......楽しくなって抑えがきかない、ように聴こえる竹本千歳太夫はまた聴きたい。
舞台装置が端正で美しい。けど気になるのはだとえば蝋燭。夜空に星といえばかつては和蝋燭をちりばめていたんだろうが、いまは消防法かなんかでできないんでしょう?それなのに中途半端に固執して、「蝋燭風電飾」をわざわざつくるのは何?床にかかげる蝋燭もあれ電気?
今年は近松門左衛門生誕350年。通し上演などたくさんあるかと思いきや格別そうでもないらしい。ゆったりのどか。歌舞伎、狂言、派手になってきたからね、このスタンスがかえっていいのかも。
2003.2.24
うじゅぶじぇぼぉるてるとほよんふん
来週からはじまる「POESIE VISUELLE JAPONEISE (5)」(3/1〜3/17)に『十丸図』を出品しました。会場のGalerie SATELLITEのサイトでは、前回行われた藤富氏のパフォーマンスの模様がみれます。今回も最終日にナマ藤富せんせいご登場!場所は地下鉄ヴォルテール駅より徒歩4分、わたしはよくわかんないけど。
2003.2.23
ダミー・オズマー
弁士付き無声映画上映はいまや完全にイベント。やり続けてくれるひとがいるからこそのことなんだけど、コ慣れて上手でそつがない弁士はつまんない。
活弁監督を名乗る山田広野氏。撮りも語りもジョウズではない。が、ライブの帰り道にすれ違うひとはみなダミー、木陰にひそむオズマーの姿までみえてきて、あげく鏡のまえで洗顔中に針でひとさし突いてみる。お、だいじょうぶ、このワタシはほんものらしい。
川崎市民ミュージアムができてすぐの頃だったと思う。『結婚哲学』の上映に坂田明氏がサックスを。おじぃちゃんの咳や子供の泣き声が混じってね、ざわざわとそれはそれはいいグルーブ感で楽しかったことを思い出した。
2003.2.22
写真といえば
プレイスM蒼穹舎がこの春新宿御苑前へ引越し。スペースを3倍にして、これまでのギャラリーと書店に加えて、写真制作のためのフリースペース(引き伸ばし機3台、全紙までプリント可な暗室)も。四谷三丁目での営業は今月24日まで。
2003.2.21
四日過ぎて
あぁあれから完全に四日経った。ごめんおねぇちゃん。はりきったり甘えたりがんばったりで、あの日はもうろくの春のいちにちでありました。
2003.2.20
誰もが詩人
ポエトリージャパンが来月一日、詩の出版物を専門に扱う取次業務を開始。あまたある「詩のホームページ」に、詩の専門書店を持ってもらうべく呼び掛けかつ統括する業務も行っていくとか。
行動になにより敬意を。そのうえで、案内をみて思うこと。「...インターネット上にたくさんある『詩のホームページ』に協力いただいて販売...」といって、「詩のホームページ」からいきなりグーグルの検索「詩」にナビしてどうする?
詩集は、愛好家のあいだでブツブツ交換する比率がかなり高い。「詩集つくりました」といってもうさんくさがられてガックリくるんだから、そんなんだったらちょっとでも興味のありそうなひとにおくってあわよくば楽しんでもらいたいと思う。そのことに、なんのオチドもあるまいよ。
詩はしんきくさいと言ってみても、所詮誰もが詩人であるのだからして、そういうひとたちが思いもかけないところで遭遇する機会をつくるとかその現場にたちあうとか、そういうことが楽しいと思う。行動に敬意を。共感はできないけど。
2003.2.19
確認事項
亡くなったらしいときいていたひとのお身内のかたから、遺言により密葬を済ませましたと葉書が届く。じぃちゃんまたひとり面白いひとがそっちにいくからよろしくねと言う。口にしたり文字にしたり。そんなことでだれかとなにかを確認した気分になって、落ち着くのはなぜだろう。
2003.2 .18
もういくつねるともうろくの春
鶴見俊輔詩集『もうろくの春』が届く。手にぴったりコンパクトサイズ、布装で温かく丈夫。開きが悪い。背貼りのボンドが強すぎて、かがりの穴から本文紙にしのびよっているからだ。思い切ってべーっと開く。かがり上製だから大丈夫です。わたしなら函はやっぱりつくらない。つくるなら、捨てるしかないくらいの具合につくる。
もういくつねるともうろくの春?もうとっくにもうろくの春、諸の浮く春、もう、ろくでもない春かも。
2003.2 .17
きわめてよい
ホンマタカシによる「きわめてよいふうけい 中平卓馬の日常」をゆっくり眺めたいばかりにリトルモアを買う。今発売号で三回目。いい距離感と温度感で、楽しみな連載だ。たとえば次号は三ヶ月先の発行であること、そしてこの連載以外はつまんないと思うこと、そういう全ての状況のなかにあるこのきわめてよいふうけいに、きわめてよい心地をいただく。
2003.2.16
橋、ペンキ
池澤夏樹×本橋成一両氏による『イラクの小さな橋を渡って』の英語版PDFファイルダウンロードがこちらからできます。
「......この戦争を止められなかったら、次の戦争も止められないだろう。......ナシリヤの町で、一人の男がロータリーの縁石を白と緑に塗り分けていた。走る車の中から一瞬見ただけだが、ペンキの刷毛を動かすその手の動きをぼくはよく覚えている。......」(あとがきより)
2003.215
よりによってコインロッカー
コインロッカーの鍵を落とした。しかも預けたものは自分のものじゃない。焦る。ロッカーの番号は憶えていた。ロッカーやさんに電話して待つこと15分。免許証を提示しながら、預けた中味についてできるだけ詳しく紙に書く。係りのひとが鍵を開けて確認しながら、おかしいな、と言う。おかしい。違うのだ、中味が。
鍵を落としたのは私。たぶん、ロッカーに預けた直後に落としたんだと思う。誰かが拾う。ロッカーを開ける。持っていく。それだけのこと。係りのひとは慣れ慣れである。鍵を落としたふりをして盗むひとの話までして、私を慰めてくれているつもりだろう。しかしそれどころじゃない。よりによってなんで今日落とすのか。
四日を過ぎてもとりにこない荷物はロッカーから回収されるという。預けた番号が思い違いであったことに望みを託して、あと四日待ってみる。がっくりである。「よりによって」なときに限ってこんなことがおこる。
2003.213
金魚部員、親戚登場
ピエ・ブックス刊の『きんぎょ』は、久留幸子氏による写真満載。金魚部員もたくさん登場、本人じゃないけどね。ついでにこちら1こちら2もどうぞ。「双児の扉の金魚」という名前で近々入部いただくおふたりです。
2003.2.9
サーファーになったパティ&ジミー
かつてサンリオにパティ&ジミーというキャラがあったんです。それが復活するらしい、しかもサーファーになって。
日焼けするよね。髪型はどうなるんだろう。
2003.2.7
給水タンク小説
として名高い『仄暗い水の底から』は、給水タンクのある屋上に落ちていたバッグのなかの水玉模様の水着が鈴木光司に抱かせた妄想がアイディアの発端だったとききますが、確かに屋上には秘密めいた隠れ家的雰囲気があったもの。
ここ数年都心でみる給水タンクにはふたつの大きな傾向があって、ひとつはビルの鏡面ガラスに映りこむもの、もうひとつは奇妙な高層ビルと並ぶもの。いずれも周囲の建物より低い位置にあるので、秘密も隠れ家的雰囲気もない。こうこうと陽に照らされてうつくしいシルエットにシャッターきりつつ、あぁきみの水は飲みませんよ、とタンキストは言う。
2003.2.6
なにがいや?
旧同潤会大塚女子アパートメントの公開見学会を実現するための署名もすすんでます。残すか壊すかと聞かれれば前者だけど、「古い→使えない→壊す→悲しい。vs. 古い→美しい→見つめる→大事。」と言われても困る。古いから大事なのでも壊すから悲しいのでもなく、根拠なく他言して煽動することにノーを言いたいのであります。
2003.2.5
ノウハウはノウハウ
M&CO,TRAVELING BOOKSELLERSの松浦氏が監修する「仕事と生活ライブラリー」ダイエックス出版から刊行開始。第一弾は、松浦弥太郎、皆川明、相原一雅各氏による三冊。ウラタイトルは「役に立たない就職本」あるいは「仕事と仲良く生きる方法」だそうです。就職=仕事ではないね確かに。
ダイエックス出版刊というところがいいじゃないですか。ガッツリとあっつい装丁でやってくれればなおよかった。
2003.2.4
エコ・ファッション
「封筒再利用紙」って、知ってます?新しい宛先を書いて使用済み封筒の上から糊で貼って、封筒を再利用するんだそうです。封筒の大きさにあわせて3種類あり、50枚入りで250〜450円。郵便番号の枠が印刷してあって便利、だと。
エコやリサイクルを声高にいうひとたちがこういうものをすすめてくるから可笑しい。封筒再利用というただのファッションじゃないか。
2003.2.3
しおりのサービスでございます
書店ではなるべくカバーも袋ももらわずすむように、「そのままでいいです」とレジで言う。たいてい「ありがとうございます」と言われる。レシートをはさんだまま店を出てちょうだいと言われたり、雑誌なら店のシールを貼られたりもするが、それでかまわない。のだが、こっちが気をぬいたすきに店オリジナルのしおりを何枚もはさんでくれるのが困る。どうだろう。しおりだけは何枚でも欲しいというひとが、いるんだろうか。
2003.2.2
新萬来舎を倉庫から喫茶へ
昨年「萬来喫茶イサム」プロジェクトがひらかれた、慶應大学三田校舎の新萬来舎の解体迫る、だそうです。その一部は新校舎のビルのなかに残す計画らしいが、雑木林を目下にみながら西陽を浴びる庭を含めてこの建物自体を保存しようと、学生が中心になって運動が続いている。私も好きな建物。壊すか残すかと言われれば、残して欲しいと答える。
そもそも「大学でアートカフェ」という企画が先行、その会場として、学生には開放されていなかったこのイサムルームが選ばれたらしい。イサムさんも自分の作品倉庫じゃなくて、こんなふうに使ってちょうだいと思ってたはず、よかったね。