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2004年3月 | ||||||
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_ 一日イベントで手が離せなかったので、夕方になってやっと息子に「アカデミー賞どうだった」と電話すると「渡辺謙は受賞しなかったって」「それは予想してたけど指輪は」「…しらない」「どこかで見といて」数分後また電話したら「ノミネートされた11部門全部受賞だって」「…やたー!」で、急いで帰宅して急いで夕飯をすませ、8時半からのWOWOWの再放送をしっかり見た(デップさま〜!)。毎度のことながら、どの受賞者のコメントもなかなか泣けますが、今回はやはり思い入れのある「王の帰還」が3部作の最後を飾る11部門受賞ということでこちらも感動がひとしおだ。衣装賞のナイラ・ディクソンは、「ラストサムライ」でもノミネートされていた。衣装賞のノミニーがどれも懐古趣味なものだったが、映画自体の時代背景もさることながら、古い時代の衣装は現代の衣装にない美しさがあるのだろうか、と自分がそうしたものが好きなだけにひいき目でそう思ってしまう。脚色賞のフィリパ・ボウエンズが、子どもの頃からの愛読書をこうして脚色することができるなんて、とその感動を述べていたのが、本当に共感!ハワード・ショアの作曲賞受賞も至極当然でしょう。アンディ・サーキスの姿が見えず残念。しかしこれで終わりですよ終わり。とりあえずまた見に行くのだ!
_ 2月の初めから、お雛さま出さなきゃ!と思っていたのに、とうとう出しそびれ…と思っていた。一昨日の深夜、娘と長男がなにやらごそごそやっているなあと思ったら、ちゃーんとお雛さまが出ていた。そうか娘の初節句に買ったからもう20年経つのか。もう譲ることを考える程大きくなったのねえ。職場でも昼休みにおじさま方が桜餅や雛あられを買ってきてくれて、午後中ずっと春の香りだった。けれども帰宅時にはちらほらと冷たいものが落ちてきて、コートの襟を立てて帰った。
_ 清冽な、という読後感だ。『白鯨』へのオマージュが全編を通して感じられる。あるその時だけしか書けない若書きの魅力にあふれ、ことに読後に感じた不思議な爽やかさに、ああファンタジーだなぁと腑に落ちた。読んでいるときは大して好きとは思わなかったが、主人公が塵の海で遭難しかかるときに幻を見るあたりから、それまでの所を含めて惹きつけられた。作者の、書くことの喜びがストレートに感じられた。次々と生まれるアイデアやイメージを紙面に定着させて物語として創っていく喜び。その弾むようなエネルギーが好きだ。原文は全く読んだことがないが、多分言葉に対する鋭敏な感覚がある人なのではないか?訳文も全体として好き。
_ 手近にあった文庫。という言い方はなんだけれど、別にそれ以上の意味はない。まだ1作目の途中。主人公が海へ向かって歩いていくと、ホテルは彼とそれまでと同じ距離を保って付いてくる。海辺でも浜でもなく「ビーチ」とそのまま訳されているのが何か深い意味でもあるのかと気になり始めてしまった。
_ こここ、これは面白いっ!確かに、言っていることも元ネタも筋自体さえもよく分からないのだけれど、それにもかかわらず非常に惹きつけてやまないものがあり、一日中この奇妙な世界がまとわりついているような気がする。この人は突出している才能なのではないか。表題作「スペシャリストの帽子」でほんのちょっとわかりにくいところ(主語とか)があったので、初出の"Specialist's Hat"を見に行って、プリントアウトした(だけ)。最後に掲載されている「少女探偵」も同じサイトで原文"Girl Detective"に当たることが出来る。
_ 板橋区立美術館で3/28まで開催中のディック・ブルーナ展 Dick Bruna:all about his workに行った。暖かく同時にシンプルですがすがしいデザインはやはり北欧のものか(オランダ、ユトレヒトの人)。おもわずいっぱいグッズを買いこんじゃった。もう一回行きたいなあ。というのも、ほとんどなじみのないキャラクター「ブラック・ベア」が、可愛いくせに同時に渋くて妙に印象に残ったからだ。『芸術新潮3月号 特集おとなのための ディック・ブルーナ入門』も充実していてお薦め。それにしても、いいなあ美術館や博物館の学芸員!
_ 昨晩FMで放送されていたティーレマン指揮のブルックナー7番・ウィーンフィル@サントリーホール(昨秋)が、久しぶりにすっごくよかった!テンポ・歯切れと言い、金管の輝きと言い、もちろん弦の透明な響きと言い、素晴らしい広がりを見せエキサイティング。2楽章がワグナーに捧げられた7番が、バイロイトのワグナー指揮者で振られるとこうなるのか!エンディングでフライング拍手があったけれど、7番だからまあ許す。そういえば先日次男が、4番(「ロマンチック」)のある部分を「かっこいい」と言って歌っていた。えらーい。
_ 先週末から次男が鼻風邪らしく、毎日少しづつ悪化し、今朝はのどが痛くなった。鼻が詰まって息が出来ずしかも水っぱなが垂れる。頭も痛・重い。当人つらくて「今日は学校に行かない」と哀れな声を出すので、熱でも出ると大変だから午前中年休を取って医者に連れて行った。す・る・と「花粉かも知れないよ」とのご託宣だ。「風邪かも知れないけど、それにしてはのどの腫れも少ないし、可能性はあるよ」とおっしゃる。そうかも?と思わないでもなかったが、のどが痛くなったので風邪だと思っていたのだ。「それが、のどが痛くなることもあるんだよ〜」とのことで、どっちにしろ症状を抑える薬というのをもらって帰ったが…。あ〜お若いのに今から花粉症だったら、これからの長い年月可哀想だね。家族全員何かしらアレルギーぽくはあるが、日常生活に支障を来すほどのものはない。私の主婦湿疹もこのところ小康状態を保ち悩むほどのことはなくて済んでいる。次男、わが家のつまんないダークホースにならないでねえ。そういえば医者の門口の辛夷が、目に美しかった。
_ なかなか読む時間が取れずまだ途中をさまよっている。むしろファンタジーといったようなレッテル抜きで、ある種の普通小説の読者のほうがすんなり移行してこられるのではないか、とくに翻訳小説の読者ならば。「靴と結婚」と言うタイトルは、「靴と結婚すること」を指しているのか、「靴」と「結婚」という二つを並べたものなのか途中で急に気になり始めたら最後、居心地が悪く、原題を見て後者だと確認した。確かに、前者なら「靴との結婚」のように訳されただろうよ。アホな読者ではあるが、タイトルが内容の手がかりになるのかと思ってもう一度見たのが運の尽き。何でそんなことが気になり始めたのかとは突っ込まないで欲しい。どれも大変刺激的で面白いのだが、自分なりに咀嚼するのが何だか困難な作品なのだと言い訳しておく。そうあるものだとまず単純に楽しむべし、ということ。
_ 実に奇妙な魅力だと思う。しかし万人向きかというとそうとは言えない。(山尾悠子の作品などでも、どうしてここはこうなのか、これはどういう意味なのか、等々説明が付かなければ読めない、納得できない、評価しないという姿勢の人々が少なからずいるのを見てげんなりした。別に屁理屈や因縁つけないでお好きなものを読みに行けばいいのに、と思う。指輪物語も然り。)ちょっとアンジェラ・カーターを思い出す所などもある。先日ゲットした原文も読もうとは思うが、あちこち手を出していて収拾がつかなくなっているのでハテどうしたものか。
_ 池袋西武デパートで期間限定ショップがオープンしている(3/10〜16)。種菌情報等はカスピ海ヨーグルト相談室@フジッコで。ここのところうちのカスピくんも以前のようなとろみがなくヘタレになってきていたので、ちょうど同じような状況にあったお友だちと連れだって買いに行った。7時を過ぎていたので製品のヨーグルトはすべて売り切れ、種菌のみ。週末から作り始めようと思う。
_ 他へ浮気していたのを再開。ところがまだやっと3章だ。
_ 電車に乗るついでがあるのでそれ用に持って出た(英語の本は字がちっちゃいので電車では結構辛い)。不思議不思議。いつの間にか、違う話題へと移っていってしまっているので、あれあれっ、読み落としたかな、と思ってしまう。この話の移り方は解説では「尻取り」と表現されていてまさにそんな感じだが、同時に、ハイパーリンク的でもある。けれどもまったくとんでもないところへジャンプしていくのではなくて、ちゃんと戻りどころへ、気球の係留索のような標がつながっている。どんな海原が広がっているのか、すっかり身を任せているところ。
_ 昨日の午後のこと。確かに窓際の明るいところへ行ったときだったけれど、特別まぶしいものを見たわけではないのに、かなり強烈な光の環の残像を感じ、それがいつまでたっても残っている。切り子風のガラスボウルの濡れた底がテーブルに残した環みたいに。どこかの向きを見た拍子や、机の上に置いた本をある向きで見たときに特に、その残像がひどくまぶしく見えて、くらくらしそうになる瞬間すらある。10分たっても30分たっても直らないのでこりゃヘンだと思いはじめたが、1時間まで経たないうちにいつの間にか直った。「網膜剥離」という言葉が浮かんできて、ネットで検索したらどうも念のため眼科を受診した方が良さそうに思えてきた。以前から多少の飛蚊症もあるので。こわいよ〜。あした行ってこよう…!
_ 一昨日の症状は、神経内科の先生を捕まえて訊いたところscintillating scotoma(閃輝暗点)というものらしく、網膜剥離を疑うよりもむしろ、(頭痛を伴わないので)ホルモンバランスかストレス性のものではないかとの話であった。視神経近辺の動脈にヒスタミンが悪さをすることによって起きるそうである。この「悪さ」がより脳の方へ行くと、偏頭痛となって現れる。つまり閃輝暗点は普通、偏頭痛の前駆症状としてとらえられるようだ(これもネット上でどっさりヒットする)。「頭痛はないの?それっきり治まってるの?じゃ緊急性は低い、と…。まあ普段より睡眠をとるようにしてね」そして明後日、念のため眼科を受診するように手配してくれたのであった。この先生とは同い年。同い年って言うのはなんだか連帯感があっていいわね。
_ しばしば言及されるフェルメール(デルフト生まれ)については例えば次のようなページを参照しつつ読んだり。Paintings of Vermeer
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『詩と思想 3月号 特集 ファンタジー』/土曜美術社出版販売
シュティフター/『晩夏 上』/ちくま文庫
ジュリアン・グラック/『シルトの岸辺』/ちくま文庫
T・ミュア/『人魚と結婚した男−オークニー諸島民話集−』/あるば書房
山本夏彦 著、藤原正彦 編/『「夏彦の写真コラム」傑作選(1)』/新潮文庫
養老孟司/『まともな人』/中公新書
_ 『詩と思想 3月号 特集 ファンタジー』は、井辻朱美の短編ファンタジー「シベールの風」、東逸子・寮美千子・酒寄進一・一色真理の座談会「ファンタジーの復権」、中山星香のインタビューなど。出版元土曜美術社出版販売に通販の問い合わせメイルしたところ、送料無料で即発送してくれた。郵便局の振り込み手数料も無料。
_ 私の部署の派遣社員の人が、ちょうど1年で交代した。彼女、指示されたことはきちんとやるんだけど、それ以上にアタマを使おうと言う意志がないのよね…。昨日今日は、チミの作ったWord文書をpdfに落としたんだけど、改めて見てみたらグラフの数字が違ってるじゃない。もとのデータを作った人が休みだから正しい数字がワカンナイ、っていうけど、Wordに貼り込んだExcelのグラフの修正法を知らないってぇ…?暖簾に腕押しだから、もらったWordファイルをあちこち直してはpdfにする作業を…なぜに私がっ。しかもよくよく訊いてみたら、チミがどことかとどこかの数字を、修正前のデータを渡したのを言わなかっただけじゃないか。本業をやる時間がどれだけ削られたか分かる気はないね>チミ。それはともかく今週は、辞める人と引き継ぐ人が重なって来ているので、部署の5人で昼食会。この近辺では珍しいおフランス料理店のランチ1000円である。久しぶりにお昼にいっぱい食べたのでおなかがつらい。
_ どうして森山和道さんときどきこんなに楽しいサイトを教えてくれるんですか>「にくきう」はんこ。お友だちのぶんもプレゼント用に注文してしまったのだ。
_ 先日神経内科の先生が手配してくれた眼科の先生の診察を受けた。問診ののち念のため眼底検査をしたが異常なく、やはり閃輝暗点と言う診断だった。よかったー、モウマクハクリじゃなくて。先生方ありがとう。散瞳薬を点眼されたため3時間ほど視界がヒカヒカして仕事にならなかった(理由があって良かったね)。
_ ティム・バートンの映画化(ビッグ・フィッシュ)〜5月公開とのことで、原作本も持っているのに、つい…。開いた紙面が何だか安っちいなあ。4月上旬最新作『西瓜王』発売決定と帯に書いてある。ところで公式サイトのティム・バートンのインタビューに、次回作をジョニー・デップと撮るとあるがほんと?\(^O^)/
_ アマゾンで取り扱われているのを有里さんちで知ってさっそく購入した。以前から欲しいと思っていたのだ。紅茶を入れるには最適なので職場で使用予定。1.5L用の方がお安いのはなぜ?
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ジェームズ・ジョイス/『フィネガンズ・ウェイク 2』/河出文庫
ジェームズ・ジョイス/『フィネガンズ・ウェイク 3・4』/河出文庫
スーザン・リー・パーク/『モギ―ちいさな焼きもの師』/あすなろ書房
_ 買うばかりで全然消化できないのはなぜ。
_ Lord of the Rings Presentation Pack
_ なんと、パッケージが赤表紙本のデザインなんですよ!2/26発売。全く知りませんでしたが、イギリス在住の方が送ってくださいました。大感謝です!額面の"1st"についても初めて知りました。これ2ちゃんの指輪スレでは話題になったのかなあ、最近映画板を見るのがやっとでSF板のほうにはご無沙汰なためわからない。
_ サントラ(初回限定版)を折に触れてかけては涙目。きょうも帰宅したら"Into the West"がかかっていた。これが最後の曲で、終わるなり次男と「もう一回!」とハモってしまった。そしてまた涙目…あしたまた見に行こうかなァ!また読書が進まない。
_ 朝からの雨が肌を刺すようなみぞれに、そして戴冠式の白の木の舞い散る花びらのようなぼたん雪に変わった頃、やっぱりRotK五回目に行っちゃいました。今回は次男向けに吹き替え版。うーん…これは字幕版に軍配を上げたい。と言うか、字幕版だと多少字幕自体がヘンでも、それを手がかりにして英語のセリフのニュアンスを自分なりに理解(想像)することがある程度は出来るが(出来ないときももちろんある)、吹き替えだと、当たり前だが日本語のセリフしかないので、ン?と思ってももうそれ以上想像の余地がないからだ。予想より殿様がたの言葉づかいが重々しかったのも印象に残っている。また個人的には、全体に声優の演技の入りすぎのように感じられた。中でもピピンは名うてのお調子者とは言え、あれではただのお馬鹿。またよく耳にする「フロドはなんでもサム任せの、何にもしないしょうもないやつ」という印象は、確かに吹き替えではそう思われても仕方ないように感じた。吹き替え版だと子どもが多くて場内がうるさいのではという危惧があったが、幸いにそれは全くと言っていいほどなく、むしろ今までで一番静かだったと思う。
_ しかし4回目を見終わってから、とりあえずここしばらくは見なくてもいいかなと思っていたのだが、やっぱり今日また見に行って再びこの前以上にボロ泣きしてきたのだ。なぜなんでしょう!?しかもまたまた、他はともかく、本筋(原作)とは全然関係ない、戴冠式でのエルロンドの表情にメロメロとは…。ここまで見ると、これまでのエルロンドの言動はやっぱり描かれている通りの「娘の行く末を心配するフツーの父親」像だったんだなとそれなりに納得。エルフの殿としての立場は全然ないじゃないのよとは言っても仕方ないので置いとく。もしや私はヒューゴファンになってしまったのか…?
_ 吹き替えの最大の欠点は心の中のことにせよ「Dea〜th!!」コールが出来ないこと。「死の〜う!」「オ〜ッ!」じゃあね。
_ ゴンドールで出陣するファラミアらの軍勢を見送る人々のワンシーンで、画面右下に割に大きく映る人はやっぱり噂通りTTTで死んだハマの中の人なのかと毎回気になる。
_ それにしても、エンドロールのスケッチ集はどこかで出版されないのだろうか。
_ なんと、日記を見直してみたら、3/4(木)に4回目を見に行ったのを書き忘れているではないか。2/29にネット予約し、当日は年休を取って一人で行ったのでした。噂に違わぬ音響の良さだった。ナズグルの叫び声などすごかった。画面はそれ程「でかーい」と感動するほどではなかった。RotKコンボセット(ポップコーン+ドリンク+ハンカチ=500円)を買い、パッケージはせっかくなのでしっかり保存(ここのポップコーン、大変軽くておいしい)。
_ 最初にアラゴルンが死者の道の入り口(おぼろ林に続く細い入り口、手前で馬たちがおびえて暴れている)を怪訝そうに見入っているときに、その入り口の隙間にごくうっすらと死者の王が見えるのを確認した。これまでよく分からなかったのだ。(直後ギムリが「何か食いに行こう!」と声をかける)
_ この点は今日次男に耳打ちしたら「ほんとだ!今日初めて見えた!」と大変お喜びだった。
_ RotKのエンディングでアニー・レノックスが歌う'Into the West'の歌詞に、'why do the white gulls call?'という一節がある。灰色港のシーンでも、カモメの鳴き声がバックに効果的に聞こえている。原作では、死者の道を通り抜けたあとのアラゴルン一行がゴンドールの西〜南部を通り海辺へ近づく辺りで、初めてカモメの声を聞いたレゴラスが、自分はこれからずっと海への強いあこがれを抱くことになるだろう、と胸中を述べる下りがある。それで、この一節と灰色港のカモメの声のシーンでは、レゴラスのそのあこがれと、将来灰色港から西へ旅立つ時に抱くであろう彼の感慨とを思って、一層胸がいっぱいになるのだ。もうそれだけで、またもやうるうる。
_ 遅々として進まず。これまで文の端々にさり気なく紛れ込まされていた琥珀への言及だが、それが急に中程で、財宝を隠していた布をさあっと取りのけたような具合に、琥珀についての蘊蓄がひとくさり語られる。また阿片を吸ったときの異様に増幅された感覚を、顕微鏡的・望遠鏡的・魔法的視野を駆使して語る所も素晴らしい。この作品もまた分類不可能だ。ダイヤなどの硬質な貴石でなく、琥珀というぬくもりのある、しかも底知れぬ物語をそれ自体が持つように思われる有機体をちりばめたところが非常に魅惑的だ。
_ 琥珀はあたかも時を閉じこめて温もったまま凍り付いたかに思われる不思議な物質で、昔から惹かれているが(なめてみて蜂蜜の味がしないのも不思議)、いつか知らぬ時にまた融けるに違いないと半ば信じているようでもある。義母がいつかロシア産の大粒の琥珀のネックレスを譲ってくれると言っているが、その時に最初にすることの一つは、口に入れて味を試してみることだ。
_ 花のつぼみもこれではくしゃくしゃになって縮んで落ちてしまうのではないかと危ぶまれる。朝、がらんとした講堂で2時間ほどネットワークの接続などの作業があり、その底冷えする寒さが一日尾を引いていたようだ。帰宅時もまだ氷雨が降っており、タートルネックにコートの襟を立ててもまだ冷え込んで、家に着いたら耳が冷えすぎてしばらく頭痛が止まらなかった。
_ 相変わらずゆっくりと。琥珀の蘊蓄はまだまだ続く。琥珀は地層の中から掘り出すものとばかり思っていたが、かの地では本当に海辺に流れ着いたりするのね。じつは、ここんとこほんとかぁ?と思わないでもなかったのである。日本でも久慈海岸の琥珀が荒波で削り取られ九十九里で採取されたとか。疑って正直すまんかった。
_ あたりまえか。その後、閃輝暗点が職場で二度起こり、その間まるで仕事にならないことが分かった。それに遅れて、軽いがしつこい頭痛も。また起こりそうな気がして、とってもいや。
_ 昨日より東武百貨店池袋店で開催されている(31日まで)。今日夕方、休みを取ってイバラードに1時間半滞在した。すでに大作のいくつかにも買い手が付いており、いいなあの連発だ。今日は珍しく井上さんは胸に赤いバラをつけておられたが、一目で画家本人と分かるようにとのことらしい。たしかに見た目フツーのおっさん(^_^; 大作のいくつかについていろいろ伺ったが、今回はまたこれまでとやや違った新しいものが感じられた。新境地か?おかげさまで堪能しました!
_ 突然職場の友人からチケットをもらい、そんなら一緒に行こうか!って6時過ぎから見に行った。夕方からの美術館は初めてだが、結構混んでいた。前からこのマルモのマークがたいそう気に入って、よく企画が通ったなと思っていたのだが、道理で日テレが絡んでいたからなのね。3/28(日)まで。次の企画展(フェルメール「画家のアトリエ」栄光のオランダ・フランドル絵画展)も期待だ(4/15から)。
_ 西洋美術館は金曜は8時までなのに、都美術館は7時までだったのが残念。終了後、上野のお山の桜の下で宴会客を横目に見ながら(寒いのにご苦労さん)こちらも腹ごしらえに…ところが、どっこの店も空いてない!みーんな並んで待っている。番地が湯島に変わる辺りまでさまようこと30分あまり、たまたま覗いたところでちょうど空きが出てようやく座った。いつもこの辺りはこんなに混むのだろうか、やはり桜の季節の金曜日だから?
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ジェイムズ・ブレイロック/『魔法の眼鏡』/ハヤカワ文庫FT
カーター・ディクスン/『パンチとジュディ』/ハヤカワ文庫ミステリ
_ 何とも気恥ずかしくなるようなタイトルだ(原題は'Something's gotta give')が、全編可笑しくて、泣けて、また可笑しい、素敵な映画だった。ダイアン・キートンにジャック・ニコルソンという達者な役者たちに、生真面目で優しいキアヌ・リーブスがまたはまり役だった。それにしても最近は何でこんなにすぐ泣けちゃうんだろ。ダイアン・キートンの白ずくめファッションがとーってもいい感じで、確かに白を買いに走りたくなっちゃう。彼女はこの作品で、今年のアカデミー賞こそ逃したが、ゴールデン・グローブ賞コメディ・ミュージカル部門で主演女優賞を獲得している。エンドクレジットの一番最後で、シャンソン「ラ・ビアン・ローズ」が流れるが、これがジャック・ニコルソンが歌っており、ちょっとしびれるうまさ。ジャック・ニコルソンはもうひとつ「NY式ハッピー・セラピー」も現在上映中で見たいのだが、2日までなので行けるかどうか。映画は、一旦行き始めるとちょっと癖になる。ネット予約が出来ると余計に。
_ 会場レポート。これは出品作の一部で、他にももっとある。ここに出ている中では、大作の「イバラード2004」などが目を惹くが、個人的には「空のモニュメント」が実に良かった。視点の動きや人物の配置、茫漠とした広がりと人物の思いの向かう先、等々。
_ 水曜からうちの男どもがスキーに行くので、ウェア類の掘り出し。昨年も私は行かなかったので、一体どういうふうにしまったのか記憶に薄い。目当ての次男のウェアがなかなか出てこず、上の子たちのお下がり(これからの予備)の中を探したりしたが、見覚えのない物凄いカマキリ色のウェアなんかは出てきたが(誰かからもらって捨てられずしまってあったらしい)肝心のがなかなか見つからない。結局ちゃんと圧縮袋にパックしてあったのが隙間に滑り落ちていたのを発見。もう小さくなったのや絶対着ないこのカマキリ色のなんかは場所ふさぎだから捨てなくちゃ。でも、ついリサイクルショップに行こうかとか誰かもらう人がいないかとか、貧乏性が邪魔をするのだ。確かにもったいなくはあるけれど、実際にはそういう引き受け先を捜したり持っていったりする時間も労力もないのに。いい加減に踏ん切りなさい>自分
_ 全26章の終わりの方に近づくに連れ、次第に作者のたくらみは、大気に満ちる電気のようにピリピリ度を増し、全編キーワードのオンパレードのような様相を呈してくる。時間と空間の絨毯を織りなし、解き、また串刺し検索のように貫いては新しい獲物を釣ってくる。電気を感じさせるのは、まさに琥珀の性質のためかも知れない。キーワードや、ここはと思う部分にお得意の色とりどりの透明ポストイットを貼ったのが、満艦飾の船みたいに林立してしまった。これはぜひ折を見て、その手がかりをたどりながら再読したいのだが…!
_ その中で、最終章「回転のぞき絵'Zoetrope'」と言うタイトルそのもの、あるいはその中に出てくるほぼ同義語「パラパラ動画帳」、これがこの書物全体を現す良いキーワードではなかろうか。膨大な話題を読み進めることで積み重なった記憶どうしをつなぐ残像、イリュージョン。そしてアラビアンナイトよろしく締めくくられるこの書物。何層にも張り合わされた地球儀の裏側から照らし出されるかのような、重層化した神話、歴史、耳を奪う語り。現在の世界の中心ではないが確かにある時代ある種の中心であった視点からの貼り混ぜ、じゃーんぷ!
_ 気分転換にと全然毛色の違うものを手に取った。久しぶりのペイトンである。原題は'Blind Beauty'、ペイトンとこのタイトルから、盲目の馬の話だろうと察しられる。
_ 家庭の事情からかたくなに心を閉ざしてしまった勝ち気な少女テッサは幼い日に盲目の馬アカリを愛していたが、母の離婚で馬と離ればなれになり、人を愛するすべを知らずに成長する。12歳になった頃、問題児として学校を「除籍」になったテッサは、金持ちで冷酷な馬主として知られる義父に近所の競走馬の飼育場へ働きに出される。そこで出会ったのはアカリの生んだ、ピエロという不格好だが気だての良い馬だった。テッサは一途にピエロを愛し信じて、競走馬として育てようと心を傾けはじめるが…。
_ 1999年の作だが、妙に現実の悲惨さにさほどあからさまに踏み込むことなく物語を進めているのは、私には適切だと思える。しかしあるいはこれがターゲットとする年代の読者にはもはや古風で時代にそぐわないと思われるのかも知れない。…たとえばテッサは、自分を押さえることが出来ず、ついに義父をナイフで刺して(幸か不幸か怪我ですむ)少年院に入れられるが、院長は彼女にむしろ好意的であるし、学校の先生もしかり、この農場でもレース場でも回りはほぼ味方ばかりである。怪我をさせた義父にのちに車で拉致されそうになるところですらも、それ以上に話が不穏になることなく終わる。様々な困難が立ちふさがるが、回りの人々の好意と疑いを知らないピエロの力によって結局はハッピーエンドとして終わる。これを甘さやまやかし、あるいは古いと言って一蹴する意見もあろうかとおもう。けれども、やはりこうした率直な、人を信じることをまっすぐに訴える作品を、私は支持したい。
_ 唯一の子ども向けの作品と言うが、別にそうこだわる必要は感じなかった。弟に比べてちょっと気後れする気味のある兄、というあたりの設定がそうかな。描写が気恥ずかしくなるほど盛り沢山で、イメージと色が溢れていてきれいだし、ワクワク感やスピードもあってとても楽しめた。魔法の眼鏡を掛けると見えない世界が見えて…という単純な仕掛けだけに止まらず、ガラス魔法だの月梯子だの、木の葉に乗って舞い飛ぶ小人だの、ぼおっと消えていくまぼろしの家だの…、文句なく楽しかった!つやぴかのドーナツもね。
_ 「熊が火を発見する」「アンを押してください」「未来から来たふたり組」を終え「英国航行中」読んでいるところ。これは、いっくらでも読める!何だろうこの不思議なユーモア感。止まりません。
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斎藤 秀三郎 /『熟語本位 英和中辞典』/岩波書店
ですよ!何年か前、どういうきっかけで知ったのだったか、さっそく書店に注文したときはちょっと遅かったらしく品切れだった。オンライン書店を利用するようになってからも時たま思い出しては検索するが、やっぱりヒットしなかった。『NEW斎藤和英大辞典』CD版は持っているのだけれど。なのにいつの間に出ていたんだ〜。サイトで触れていた中野善夫さんありがとう〜。これもぜひCD版になって欲しいものだ。何に使うのかは問わないで欲しい。
_ 今日から土曜日まで、男3人は今朝からスキーに出掛けた。こちらは年度替わりなので居残りである。足もガタガタだし。娘は相変わらずバイトに勤しんでいるので、夜遅くまでヒマである。終業後のんびり映画でも見に行こうと思っていたら、アホな娘が、先日お友だちと苺狩りに行ったときに有り難くもクール便で苺を手配してくれて、それが届くのが今日の夜便だという…。家にいなきゃだめじゃん。先ほど確かに頂戴いたしました。今日は夜中に、フロドとサムの苺クリームパーティですか。
_ 日曜からちょっと痛くなり始めたのどが急速に悪化し、翌日にはぜいぜい胸苦しい咳を伴うようになって、今朝はのどがひっつくような痛さで目が覚めた。トローチだの、のどスプレーだの、しているのだが気休めにしかならない感じ。腹筋も痛いし肩、首、頭も痛い。と言いつつ夜更かし。
_ あのウィリアム・メインが…。なんとショッキングなんでしょう!その作品のいくつかを読んで感銘を受けただけになおさら。作品と作者は違うとは言え信じたくない。モンモランシが情報を下さった。ガーディアンのニュース
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