ニムの木かげの家 日時計 2004. 7月

 
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2004.0703(土)

負けた

_ 母のところに行った。最近今度はひざが痛いと行ってほとんど歩こうとしなくなり、自室の中は歩くが、自室のすぐ目の前のトイレに行くにも−それも夜間でも、車椅子を自分から要求するのだという。

_ まだ頭がもっとクリアだった頃、病院に行ったとき、検査にあちこち行くのにあの遅い歩みでは大変だし疲れちゃうからと車椅子に乗せたのだが、さあそれから全然降りようとしない。医者が「ちょっとここまで歩いてみて」と言っても「(車椅子を)押してちょうだい」と言う。「先生が歩き方を見たいんだって」と言っても「どうして!」と怒る。帰りにタクシーに乗るから降りましょうと言うと「降りたくない」と頑として動かない。そりゃあ楽ちんだもの、二度と降りたくないよね。そんなことを思い出し、本当に歩けないほど痛いんだろうか、春からこちら腰が痛いときにしばらく乗っていた車椅子の楽ちんさにすっかり味をしめたんじゃなかろうかと、気の毒だが、思ってしまった。

_ 現在のスタッフの人は「もしかするとそうじゃないかもしれないがきっと本当に痛いんだと思う、それに本人が「痛い」と訴えれば無理に歩かせるわけにも行かないし…」と悩む。頭がクリアなら「痛くないときにはがんばって歩かないといっそう足が衰えて本当に歩けなくなる」と説明して納得してもらうこともできようが、今の頭の状態ではね…。でも帰り際に無駄とは思いながら「おかあさん、痛いときは車椅子に乗せてもらっていいけど、痛くないときには歩くようにしてね。そうでないと本当に足が弱ってあっという間に一歩も歩けなくなっちゃうよ(母、内心えっという顔)。歩けなくなっちゃった人は、ここにいられなくなるのよ。」「どうして!?」「ここに入れるのは、自分で歩ける人だけ、というきまりがあるの。車椅子でしか動けない人は出てください、て言われるの。そしたら次に入れるところは病院か何かになっちゃうし、うちに帰ってもおかあさん一人じゃもっと困るでしょ、せっかく今楽しいのにそれはいやでしょ」「別に楽しくなんかないよ」またこれかい。見る限りここ数年来もっとも楽しそうだよ。続けて母けろっと言うには「じゃあ、次に行くところの手続きしてちょうだい」お、おかあさん…。次に行くところって、そんなに簡単にころころ、しかもここよりいいところに移れる訳がないじゃない。しかし、ワタシマケマシタワ。あとは「とにかく痛くないときはがんばって歩かないと一歩も歩けなくなっちゃうからね、車椅子に乗ってばっかりじゃダメだよ」と繰り返して、じゃあねと帰って来るのみでありました。

〈読み中〉T・E・D・クライン/『復活の儀式(下)』/創元推理文庫

_ やっと上巻を終わって昨日より下巻へ。自分でも知らぬ間に古代の儀式の一端を担ってしまう主人公たち。ふらふらとそれらの行動に引き込まれてゆくあたりの描写自体に、既に呪文でも仕込んであるかのよう。

2004.0704(日)

水仕事が気持ちいい

_ 網戸ふき、トイレ掃除、洗濯、ベランダの水やり、台所では洗い物が出るたんびにじゃぶじゃぶ洗う。水の感触が手に気持ちいいっ!心なしか手がふやけた。物干しにタオルケットや夏掛けを干して日差しを遮り、レースのカーテン(紫外線よけ仕様)を引いておくと、ほどほどに暑いことは暑いが、適度な風が心地よく、また窓際に座り込んでつい本読みを始めそうになり、こりゃいかん、本読みは片づけが一段落してから!と言い聞かせて我慢。ようやく2時過ぎに切り上げ、涼しそうなところを求めて時々移動しながら英語、書類書き、読書。ああ日曜はこうでなくちゃ!さすがに外は暑そうなので、洗濯やさんに行かなくちゃいけないのを閉店ぎりぎりの6時近くまで延ばし、行きはともかく、帰りはそろそろ気温も下がり始めてなかなか良いお散歩日和だった。

2004.0705(月)

T・E・D・クライン/『復活の儀式(下)』/創元推理文庫

_ 口の中の…が恐ろしくてたまらん(;.;) 就寝前に(寝なくてはいけない時間を大幅に超過して)読み終えたので、朝方暑くて目が覚めてから様々な場面の映像が脈絡なく浮かび、半覚醒がずっと続いて一日中後遺症に悩まされた(=眠くて死にそうだった)。ただ、ホラーでも私は「頭蓋に斧が食い込んだまま走り回っている死体」みたいなものには別の意味でめっぽう弱く、つまり笑い出したくなってしまうので、むー、どうしようと思う場面もあったのは事実だ。この個人的問題以外は、題材とスタイルがぴったり合ったと思われる作品なので言うことはない。堪能しました。ところで舞台となったこの宗教共同体はこの場所でその後も連綿と続くことになるのだろうか。また実は私はラブクラフトはほとんど読んでいないのだが、ラブクラフト愛好家がこれを読むとまた違うのだろうか?解説にはそれほどのこともないというように書いてあったが。

〈読み始め〉ジェフ・ヌーン/『未来少女アリス』/ハヤカワ文庫FT
波津彬子/『燕雀庵夜咄』/白泉社文庫

_ 娘と待ち合わせたコンビニでちょうど目の前にあったのを「これって大きい版で読んだ気がするが」と思いながらもカゴに入れ、そのまま帰宅して一気読み(ちゃんと代金は払った)。いやー素晴らしい!ちょうど今日の陽気にぴったりだし。

購入本

_ 波津彬子/『燕雀庵夜咄』/白泉社文庫
東雅夫 編/『ゴシック名訳集成 西洋伝奇物語』/学研M文庫
Claire Delacroix, Lynn Kurland, Patricia A. McKillip, Sharon Shinn 'To Weave a Web of Magic' Berkley Pub Group

_ゴシック名訳集成 西洋伝奇物語』のギュスターヴ・ドレの絵による「大鴉」に引きつけられ、それぞれの絵に付いている詩句を読むが、嗚呼悲しいかな、さっぱり意味わからん。それに対応する英語も記載されており、そっちの方がまだわかるくらいだ。数十年前の日本語が意味不明なんだもの、英語のシェークスピア劇がわかんなくても仕方ないよね。ソファの隣で次男が自分のマンガを読んでいたので、「これわかる?」と本編の紙面を見せると「ふりがな付いてるじゃん」とすかさず言うから「じゃ聞いててごらん」と音読する。「紫丹の帳、綺窓かけの縵繪ふとありて惆しげに小揺ぐとみて慄然たり」(これ入力するだけで疲れる)…と1,2ページ読み「わかる?」「わかんない」しかし不思議なもので、わかんなくても構わず音読していくとなんだかだんだん調子がつかめて来て、心なしか意味も通ってくるような気がする。そのうち次男、「お化けが出てくるの?」と言う。「(お、えらい)そんなもんだ」と返事する母は、心許ないなあ。なんか既にこの翻訳の調子、平家物語と変わらない世界みたいに感じられる。私の年代がこれでは、日本語の将来は覚束ないか。しかしすごーく面白そうなり。

_ To Weave a Web of Magic'は4人の作家がほぼ同じくらいの分量の中編を書いている。お目当てのマキリップは'The Gorgon in the Cupboard'、ドラゴンじゃなくてゴルゴンらしい。

2004.0707(水)

亜熱帯

_ 日曜の晩に続き月曜の晩も、ひどく暑いのと、なんだかおなかが痛いのと、隣に寝ていた人がなぜかひどく斜めになっていて何度もつま先で蹴飛ばされたのとで、死にそうに寝不足。おかげで昨晩は、11時になった頃には口をきく元気もなく、観念してばったり寝てしまった。多少は回復した…かも?でもやっぱり今日も早く寝たほうがよさそう。

ジェフ・ヌーン/『未来少女アリス』/ハヤカワ文庫FT

_ マンチェスターを舞台に、アリスが未来へと滑り込んで行っちゃうちょっとグロっぽいテイストもあるつぎはぎ・ぎょうてん話。アリス話の常として屁理屈、謎解き、そして何より言葉遊び、語呂合わせがあるわけで、その連発度は相当高い。良く日本語に置き換えられたと、訳者の風間賢二氏に感服。しかしやっぱり原語でどんな風にぶっ飛んでいるのか、片鱗なりとも感じてみたいと思ったのも事実だ。公僕はヘビかい。ヘビにアオムシにシロアリにバラバラつぎはぎ殺人事件、動物と人の掛け合わせばかりか物と人の掛け合わせまでぎゅうぎゅうに犇めくほど(あっこれも語呂合わせ)たくさん出てくる。相当に気持ち悪いはずの材料ばかりなのだが、訳のせいか、ちっともそう感じられなかった。オリジナルのアリスにある淫靡さが、どこかカラッとした別物に置き換わっていて、一気読みした。面白かったァ!

〈読み始め〉デイヴィッド・イーリイ/『観光旅行』/ハヤカワ文庫HM

_ これと『ガーネット傑作集I キツネになった人妻 動物園に入った男』と'To Weave a Web of Magic' のどれにしようか迷ったが、文庫と言う大きさが寝不足の体に負担が少なそうだという単純な理由でこれにした、と言ってもまあ言い過ぎではないかな。

_ いやひげの殿下がお疲れで5日間入院だそうで、ああ私も5日間ばったりなんにもしない休暇を取りたいものだと、気分はすっかり半病人。

ウィーン国立歌劇場

_ 連れ合いが、知り合いから1枚もらったと言ってウィーン国立歌劇場のチケットをまわしてくれた。もらったはいいが自分もその日は国外出張だから、と言うわけだ。「ふーん、オペラ?行く行く」と生返事して、しばらくあとで「どこって言ったっけ」「ウィーン国立歌劇場。S席」「えっ、それってウィーンフィルじゃない。どこで」「文化」「高いでしょうに」「うん」「4万とか」「もっと」「6万?」「そ。」「誰が振るの」「さあ〜」と言うので調べたら、小澤でした(;.;) 喜んでいいやらなにやら。

2004.0708(木)

〈読み中〉デイヴィッド・イーリイ/『観光旅行』/ハヤカワ文庫HM

_ 「文庫と言う大きさが寝不足の体に負担が少なそうだ」などと言う理由で読み始めたが、とーんでもない、結構ヘビーだ。でも登場人物がみなどこか滑稽でずれていて、ふしぎな味がある作品。「バナナ国」(いちおう外国人によるあだ名ではあるが)という中米のプランテーションの国での観光旅行…なのか?そして今日のような死にそうに暑い日には、炎熱の熱帯を舞台にしたこの奇妙な物語はぴったり…なのか?猛暑を避けて冷房の中で熱帯の話を読んでいると、物語中で冷房の効いたバスの中から炎暑の車窓を感動もなく眺めている旅行者たちの気分が重なって、なにか一層ヘンな感じがする。

軽く35度

_ またも朝方の暑さに眠りが浅くなり、いざ目覚ましが鳴った頃には再び夢の中状態で、気が付けば30分の寝坊だ。目の下には重症のクマができている(実際には気分だけだったが)。ピンポイント天気予報でみたら今日の最高気温はやっぱり35度。エアコンをかけていてもどこか暑さが潜んでいる。いったん外に出ようものなら、マラソンをした後みたいに顔はボワーッとゆでだこ状態になるし、体は汗の海を泳いでいるよう。せめてこの湿気がなかりせば!同じ天気予報によると、明日は9時にはもう34度、昼にはなんと37度!!これ体温より高いんじゃないか。息子と思わず「7時に家を出ようか!」と顔を見合わせてしまった。いや本気で。

2004.0710(土)

猛暑の一週間

_ 結局今週は暑さとそれによる不眠に終始した。今朝はがんばって朝寝坊。起きてからはまたまた洗濯三昧、明日もまたがんばるぞ>よろしく洗濯機。

〈読み中〉デイヴィッド・イーリイ/『観光旅行』/ハヤカワ文庫HM

_ なかなか進みません。それぞれの陣営の人々の思惑が次第に見えてくる。登場人物それぞれが、取りかえしの付かない流れに足を取られた状態にあり、どうにかしたいとそれぞれにあがくが…という感じの滑稽さ、しかし笑ってしまえない重さがある。「観光旅行」という言葉に、ちょっと違和感を感じる。たぶんハヤカワポケミス(1969年)からの文庫化とのことで、特に訳の見直しはされていないのだろう。含みの多い意味に「tour」と言う言葉が当てられているので、うまい日本語訳は難しいと思うし、もちろん代替案があるわけではないのだが。二人称の多くが「あんた」なのもいったん気になるとなんだかひっかかる。

シオドア・スタージョン/「ニュースの時間です」/『SFマガジン 2004年7月号』収載

_ 奇天烈な症状を呈するに至ったニュース漬けのマクライル。「まずまず聡明な精神科医」がドジるのかと思ったがそうではなく、一見マクライルを治したがために人間社会に実害が発生したというところが「まずまず聡明」のゆえんだとわかる。しかしこういう症状の病気が実際に現れても不思議ではない今日この頃。こういう状態もいいかも、と共感してしまう。作中で主人公が買い込んで山中で演奏?する楽器オフィクレイドとは何か?察するにチューバかユーフォニウムかそのお友達かと思ったがこのへんに詳しい。説明なしで多くの読者がわかるとは思えないが、別にそれで構わんというかんじの記述なので、まいいか。

テリー・ビッスン/「ザ・ジョー・ショウ」/『SFマガジン 2004年7月号』収載

_ いかにもアメリカらしい感じ。気が利いていて楽しめた。

最近の購入本

_ ジュール・シュペルヴィエル/『海の上の少女―シュペルヴィエル短篇選 』/みすず書房
ローズマリー・サトクリフ/『夜明けの風』/ ほるぷ出版
安房直子 /『おしゃべりなカーテン』/講談社

_ シュペルヴィエルと言えば以前妖精文庫『火山を運ぶ男』を読んだのみであるが、忘れられない強い印象がある。それは図書館本として読んだが、妖精文庫を探すきっかけになり後に入手した。

2004.0711(日)

〈読み始め〉ローズマリー・サトクリフ/『夜明けの風』/ ほるぷ出版

_ あの『ともしびをかかげて』の続編(と言っても100年ほど後の話)。また主人公の少年に寄り添う忠実な犬の影。

_ ところで『ともしびをかかげて』の記述にエディタでは全然ISBNを入れていないのに、ndiaryで勝手にamazon.jpへのリンクが生成されるのはなぜ?

スパイダーマン2

_ 午後から急遽見に行くことに。今日の午後は読んだり書いたり昼寝したり…と予定していたが、大変つまんなそうにしていた次男が昼ご飯もすぎた頃「今日は映画見に行かないの…?」と言いだし、しょうがないなあ、と「スパイダーマンとウォルターとどっち?」と訊くと即座に「スパイダーマン!」

_ 予告編からこれは前作より面白そうな感じがしていたが、確かに!どうも前作はうだうだぐじぐじと、暗さ満載だったのだが(あまり好きではなかった)、今度はその悩みや迷いがちゃんとストーリーの推進力となっている。スパイダーマンの滑空シーン自体はより自然になったように感じたし、ドック・オクのロボットアームのくねくねした動きが、気味悪さを通り越して恐怖感をひきおこす。手首?から先の部分はほかにも似たような造形があるので既視感あり。ドック・オク自身は、モンスター化しているときはともかく、正気の時は天才科学者というふうにはあまり見えない。それから「トリチウム」という名前はどうでしょう?三重水素のトリチウムとはスペルが違うの?そのもの?とか、川へ沈めて一件落着ってありか、とかその辺は突っ込んじゃいけないらしい。しかしスパイダーマンで泣くとは思いませんでした、ハイ。緩急の付け方がうまく、飽きないし、めまぐるしすぎもしないし、ダレもせず、150分を終始楽しませてくれた。私は原作を全く知らないのだが、やっぱり次作ではまたゴブリンが…なのかしら?しかしMJ(キルステン・ダンスト)は、落胆した顔と輝いている顔の落差がおおきいわね。

2004.0712(月)

〈読み中〉ローズマリー・サトクリフ/『夜明けの風』/ ほるぷ出版

_ 昼休みに読んで、大泣き。ハナかんで涙拭いて、次の章に行ったがまたそのとたん泣けて困った。同室のお姉様が昼食から戻るのが遅くてよかった。鏡を見たらずいぶん後まで目と鼻が真っ赤だった。

_ 神に捧げられる白馬というのは世界中馬のいるところにはどこにでもあるのだろうか。中編ながらサトクリフの真髄とも言える『ケルトの白馬』を思い出してしまった。

2004.0713(火)

ローズマリー・サトクリフ/『夜明けの風』/ ほるぷ出版

_ 「さあちょっと読んで早く寝よう!」と宣言したはずが止められず、後ろ半分を読み終わったのが1時半過ぎだった。ぐいぐいっとそれも納得ずくで引っ張っていく力はすごい。しかし◎をつけなかったのは、いつにもましてストーリーにお膳立てが過ぎる点を差し引いたからだ。それともう一つ言えば、彼女の作中によく出てくる「これはあとで思えば〜だった」とか「あとになって〜とは知るよしもなかった」ふうな記述は、実はあまり好きではない。主人公オウェインの、誠実を絵に描いたような11年。ブリトン人である彼は、サクソンとの激しい戦ですべてを失った。いったんは生きることを放棄したに近い彼が、物心ついて以来の人生の半分にも及ぶ年月を、どうしてこのように自分に誠実に生きることができたのだろうか。社会的規範によるのか、宗教によるのか、それとももっと人間として根源的なもの?サトクリフの描くドラマは、舞台は古代であってもやはり現代のものなので、つい翻って今ここでは…?と考え込んでしまうのだ。

_ 一方、彼女の筆力が、背景となる時代そのものの魅力を感じさせ興味をかき立てるのも事実で、ローマが支配する前後のブリテンの歴史というものをもっと知りたい、とやはり強く思う。物語終盤に、のちにカンタベリの初代司教となる人物一行がノルマンディから「あの」ルトピエに上陸する場面がある(ルトピエは『ともしびをかかげて』でローマ軍が最後にブリテンから撤退した港、最後の灯台の明かりが灯されたあの場所)。この出来事はほぼ史実で、幸いにも自分自身カンタベリの地をたとえちらっとでも踏んだことがあるので、遠い異国の、それも千数百年も昔の人々と自分との間に細い繋がりができたような、不思議な感慨を覚えたのも事実だ。まるで片思いのようではあるけれども。

〈読み始め〉デヴィッド スノウドン/『100歳の美しい脳―アルツハイマー病解明に手をさしのべた修道女たち』/DHC

_ アルツハイマー病の疫学調査の中で重要なものの一つ、ナン・スタディを行った人物の著書。修道女の集団の長年にわたる調査は非常に有用で、しかも彼らの献脳は、この病気の解明に大きな貢献をしている。病理学的には脳の組織はアルツハイマー病の症状を呈しているというのに、なぜ見かけ上は発症せず高い知力を保持したまま長寿を全うできる人々がいるのだろうか。

ファイアウォールはきらいだー、XP Homeもきらいだー

_ 職場で、遙か上の方のお達しにより事務系のWin98マシンを入れ替えることになり、10台ほどのWinXP Homeのノートがやってきた。Norton Internet Securityが入っているのでデフォルトだとファイアウォールのためにLANの中で立ち往生することになる。「プリントが出来ませ〜ん」とか、「急に知らないファイルがたくさん私のパソコンの中に入ってます気味悪い〜」とか、助けを求める声しきり。おまけに経理のパソコンも丸見えになっちゃって、おーい会計の帳簿、誰でも見えちゃうんですけどいいんですかあ。知りませんよいろんな情報漏れても>上の人。それに私自身の職場のパソコンもXP professionalにすべきだった(誰ですかHomeでたくさんと言った人は)。

2004.0716(金)

デヴィッド スノウドン/『100歳の美しい脳―アルツハイマー病解明に手をさしのべた修道女たち』/DHC

_ 前半はナン・スタディを始めるまでと、初期における多くのシスターたちとの出会い。ようやく中盤から科学的な成果の話となってくる。全く図表を用いず記述のみに頼りながらよく専門的な事柄を砕いて説明してあると感じた。しかし結局ある仮説を否定しているのか肯定しているのか言い回しがわかりにくい記述になっている部分が散見された。これはなんとなく翻訳のせいであるように思われるがどうだろうか。なんと言っても(しゃれにあらず)、何百人にも及ぶシスターたちの暮らしぶり、これまでの生き方を紹介した素晴らしい記録となっていることがこの本の読み所だろう。研究者である著者自身が、対象であるシスターたちに心からの尊敬を捧げているところにこうした研究がスムーズに進むキモがあるように思う。

_ 一方、科学的研究に予断や思いこみは禁物で、そのために盲検のような手段が用意されている。しかし生きている人間としての対象=長寿のシスターたちに長いこと接してきた著者であるからこそ、アルツハイマーの発症あるいは長寿と感情、生きる姿勢の関係へとその興味が向かってきたことに全く違和感がない。そればかりか、これからなされるだろうその分析に非常に興味を覚える。付箋を貼ったところはたくさんあるが、終盤に出てくる2つのこと、ナン・スタディで科学的に検証できない要因の2つ、と言う部分が、こうした研究に残されるであろう大きな課題なのだろう。それは「シスターたちが等しく持っている深い精神性」と「コミュニティの力」だ。後者については著者は、シスターたちは「支援と愛情の常設ネットワークから限りない恩恵を受け」ることが出来ると述べ、「生涯を通じて、ひとつのところに安心して根をおろせる状況が、ほかにあるだろうか?」と問うている。この種の研究は著者が再三繰り返しているように疫学調査なので、ある個人にひとつの仮説がそっくり当てはまるようなものではないが、上記のような状況で、しかも世間でのように年齢という縛りによって活動性を奪われにくい環境にあったなら、素人考えでも、それは誰でも健康に長生きできるだろうとは容易に推測される。そしてもしそういったことが科学的に実証されたとして…、そのような状況が、修道会のような特殊な環境以外に、社会のなかにどのようにして成立させうるのだろうか?!

_ こう悲観的見方をするようでは長生きしないかもだ。

本の包装

_ ジェフリー・フォード『白い果実』の予約してちょうだいメイルがbk1から来たが、いまいち気が乗らない。なぜかと言えば、しばらく前に配達されたとき中の本が傷んでいたからだ。早速交換してもらったが、それは大変厳重な包装だった。二、三回あとの時にも、包装の角がぐちゃぐちゃにつぶれていた。このときは本体にはほとんど被害がなかったのでよかったけれど、そもそも包装の紙がヤワすぎなのだ。amazon.jpの包装は大変安心なのだが、その反面ほんの2,3冊でも中味スカスカの箱で届くので、もったいない、申し訳ない、とどこか後ろめたい思いをしなければならない(空き箱もやたらにたまるし)。amazonのマーケットプレイスではどこも丁寧な包装をして送ってくれるが、中にクラフト紙の封筒だけ、というのもあって、その時は中味が傷んでいたらどうしたらいいんだろう、とはらはらしながら開封した。そんなわけで『白い果実』をbk1に注文するという気にはあまりならないのだが、amazonのほうはまだ予約を受け付けていない模様。うーん気になる。

2004.0717(土)

おとなも水遊び

_ もう以前から給水の方が不調だったトイレを修理しに、業者が朝からやってきたのでちょっとだけ早起き。それは20分ほどで済んだのだが、そのあと、ずっと気になっていた玄関の掃除を何となく始めたらこれが水遊びみたいで気持ちよく、デッキブラシ担当の次男と一緒にザアザアごしごし。やや広めではあるがマンションの玄関だからたいしたことはないのだが、ドアはオフホワイトの明るさを取り戻し、たたきもすっきり。何が気持ちよかったって、ビーチサンダルを履いた足で水をピチャピチャする感覚だ。ベランダにビニールプールでも持ち出したい気分だったけれど、もうずっと使ってないからと夏前に捨てちゃったんだっけ。代わりにベランダに打ち水してからシャワーで汗を流す。空梅雨だったのに水の使いすぎだと怒られそう。

〈読み始め〉ジュール・シュペルヴィエル/『海の上の少女―シュペルヴィエル短篇選 』/みすず書房

_ 「海の上の少女」、「秣桶の牛と騾馬」まで。なんかこう、この馬鹿暑い中読んでいて、胸がぎゅっと締め付けられる。

映画「スチームボーイ」

_ なぜか突然19時頃からの回を見に行った。今年は面白そうな映画が目白押しな上、ネット予約で気軽に行けるようになったので、つい行く回数が増える。しかし映画のチケット高い!とまた思う。

_ これも期待に違わず大変面白かった。セピア色に押さえたところに差し色が入るといった感じの前半の色調から、ロンドン万博あたりからいわば総天然色(と言っても抑え気味)になって来るその感じがまたよい。出てくる機械仕掛けはもろ「スチーム」パンクなのだが、映画自体の中味は別にぶっ飛んでいるというほどのことははない。舞台であるイギリスの風物が良かったというのも、ひいき目としてはある。ただやっぱり戦い部分が多かったなあ。「蒸気兵」は全部機械仕掛け=ロボットかと思ったら実は中味は人間、つまりモビルスーツだったことがわかり、スカーレット・オハラ(^^)も目の前でそうと知って真相の残酷さにびっくりする仕掛けになっていると思った。しかしあとで見たパンフレットにはもろに「パワードスーツのようなもの」とバラしてあり、それは制作側の意図とは違うのではないかと疑問を抱いた。と言いつつここでもばらしていいのか。いいよ。エンドクレジットはその後の世界の姿とレイやスカーレットの成長した姿が見られ、続編もありかと期待される。「スチームガール」、というのは冗談?しかし2項対立の図式がちょっと単純すぎ、というのはエンタメ映画に言っても仕方ないのでしょうかね。いや、でもとても面白かったです。おすすめ。つい見ながら力が入って疲れた〜。

中村哲医師

_ アフガニスタンで医療活動や井戸を掘る活動を続けている中村哲医師を追った90分番組をNHK教育TVでやっていた。うーん考えさせられる言葉が多すぎる。「教育に失敗した国が教育教育と言って援助をしている」と言うのもそのうちのひとつで、これはやっぱり日本を指しているだろう。また反政府組織と行動をともにしていた頃には処刑を目の当たりに見ることもあり、その際になぶり殺しのようなことをしようとする彼らに、ひと思いにやれと、つまり医者でありながら安楽死を指示するようなこともしてきたとも。しかしそれにしてもなぜ、アフガンにせよイラクにせよ、またほかの地にせよ、なぜ自分の国でない地域を舞台に戦争を行われなければならないのか、本当の「テロ国家」はどこなのかと声を挙げたい。大昔から様々な理由で戦争は続けられてきたにせよ、今の世界ヘンすぎ。かれの、決して理想主義というのではない、ある種諦念をも含んだ楽観的現実主義と言ったらよいのか、そういうものを感じ、それが彼の人間としての健康さ・生きる力なのだろうとも思った。

2004.0720(火)

史上最高気温39.5度

_ これは書かずにはいられない。もっとも今日は出勤、帰宅時以外に日中外出することがなかったのでこの記念すべき(!)気温を直接体感することはなかったのだが。しかし朝から既に暑さは相当なもので、折悪しく職場まで歩く途中の道路が改修の最中のため真っ黒いアスファルトになっていて、暑いの何のって。かといって工事区間が終わってふつうの舗装部分にさしかかったとたん、今度は真っ白い路面の照り返しでこれまた暑いの何のって。日傘を差していても、せいぜいないよりマシ状態だ。家を出てほんの数分歩く公園の中は、ケヤキなどの大木がたくさんあるのでかなり涼しい。足元は土なので、最近の日照りで乾ききった土埃のためにサンダルを穿いた足指がいっぺんでばっちくなるが、へたに舗装でもしてあったらこの涼しさも半減するに違いない。土と緑の偉大さ。また雨でも降ったら「このどろんこナントカしてくれ〜」とか思うのだろうけど、そのくらいのことは自分で引き受けなくちゃね。

2004.0721(水)

〈読み中〉デイヴィッド・イーリイ/『観光旅行』/ハヤカワ文庫HM

_ まだぼちぼち、ほかの本に寄り道してはまた戻って読んでる最中。いや読み出すと面白く、「これは!」と思う記述がたくさんあるのだが、決して読みやすいとはいえず、物語に入り込んだ頃には昼休み時間切れ、という繰り返し。しかし彼らの切り札って何なんだろ?

中村哲/『医者井戸を掘る―アフガン旱魃との闘い』/石風社

_ 月曜あたりに読み終わっていた。例の9.11の後、アフガニスタン方面の話で持ちきりの頃に、実は彼の地にこういう地道な仕事を続けている人たちがいると紹介された筆頭がこの中村哲医師とそのペシャワール会だった。そのころ買った本であるが先日の中村医師のTV番組を見て、そうだっ、この本持ってる!と取り出してきたのだった。ちょうどTVを補完するにぴったりであった(ペシャワール会のサイトも有用。この春に出来たところまでの用水路の模様などが見られる)。

_ 真の国際貢献とは何か、を考えさせられるというより、自分の生きる足場は何か?閉塞感や焦燥感を抱いているとしたらそれはなぜか?と、いうことを強く意識せざるを得なかった。

森雅之/『惑星物語』/河出書房新社

_ 軽くて、遠くて、深くて、しんとしていました。

_ そういえばNASAが、水星にも探査機を飛ばすんだってね。

_ この前まとめて森雅之を読んでいたとき、しばらく横からのぞき込んでいた次男が主人公を指して「どうして子どもなのにタバコ吸ってるの!?」と驚いていた。小学生の男の子って訳じゃないのよ、いちおうタバコ吸っていいくらいの青年ではあるのよ。でも、少年に見えちゃうのよね。それはともかく、やっぱりタバコ吸うというところはイヤだなあ。

2004.0722(木)

デイヴィッド・イーリイ/『観光旅行』/ハヤカワ文庫HM

_ はっきり言って終始暑い!いくら何でも現実世界でこの暑さ、本の中でも熱帯では、読む時期を間違えたかも。

_ 中米にある蔑称「バナナ国」へ、アメリカから特別の観光ツアーに来た一団がある。近辺では人を襲うイグアナが出没している、という風評があるが、「まっさかー」と思っているうちにその夜彼らのホテルをイグアナの群れ(たぶん)が襲い、訳わからぬうちに旅行客たちもライフルを持たされて暗闇から迫るイグアナ(たぶん)を撃ちまくることになる。…こんなふうにふつうでは味わえぬものを提供するのが売りの観光会社の社長は、政府や軍、各国大使館との繋がりも深く、実は何をたくらんでいるのかわからない。旅行客の一人フロレンタインは、なにかこの「観光旅行」には見かけ以上のものがあると感じるが、どこの何がおかしいのか捉まえることが出来ない。表の世界の観光旅行、政府や大使館のパーティ(ああ暑苦しい)の陰には、彼ら西欧化された文化を持ち込んでこの熱帯であえいでいる人々の不平不満や虚飾、密通、また現地人とのうさんくさい軍事的?取引、などが渦巻き、ぐつぐつと発酵している。フロレンタインは「観光旅行」から距離を置こうとすればするほど、その渦中にどんどん巻き込まれる。そのなかで我々すべてが観光旅行の途中にあるのだと喝破するが、その滑稽ですらある哲学的直感と偶然により、ストーリーの底で潜行する陰謀のまっただ中に文字通り身をさらすことになる。目をむくようなトンデモのエンディングを迎えるのだが、結局はすべて熱帯のジャングルに再び覆い尽くされるのだろうか。

_ 細部に意味深い考察が多くちりばめられており、なかなか味わいが深い。社長の妻サリーの描写もよかったが、なかでもちびっこタンクを巡る描写が、真実をついていて面白かった。キャラクターがそれぞれ生々しい上、背景の細部もはっきりしているので、そのまま映画を見たあとのような読後感だ。

〈読み中〉ジュール・シュペルヴィエル/『海の上の少女―シュペルヴィエル短篇選 』/みすず書房

_ 陳腐だが一服の清涼剤のよう。それぞれが一編の詩のようだ。でもそのおおくは残酷さを秘めた美しさだ。

2004.0723(金)

金欠病

_ アレン・カーズワイル『驚異の発明家(エンヂニア)の形見函』の続刊『形見函と王妃の時計』読みたい〜、しかし高い!!この数日財布の中には100円玉より高額の貨幣が全くないのだ。

記憶力減退、注意力散漫

_ 朝出掛けに、そこらに置いたか手提げに入れたかしたはずの『海の上の少女』が見あたらなかったが、時間がなくて泣く泣く出勤した。昼休みは仕方がないので英語の勉強をして過ごしたが、時間が終わってテキストを手提げにしまおうとしたらなんとほかの書類の陰になって『海の上の少女』がちゃんとあるではないか。損したー。

『光車よ、まわれ!』

_ 復刊ドットコムで、ようやく復刊が決定したそうです。これも高いなあ。たぶんほかのオレンジ党も出るのだろう。

2004.0724(土)

ハモンセラーノサンド@フレッシュネスバーガー

_ 次男は白山の大成堂にビーダマンを買いに、じゃあ私もそれを口実にフレッシュネスバーガーで期間限定ハモンセラーノサンドを食べに。噂通り、生ハムの塩気、クリームチーズの味わいと、トマト・ルッコラとが全体として良く溶け合って、とてもおいしかったですよ。ここってバンズが黄色いのだが、これはコーンブレッドか何かなのかしら?それにしてもこのやたら暑い日の一番暑い時間にわざわざ食べに出かけてゆく私って。

購入本

_ ダイアナ・ウィン=ジョーンズ/『呪われた首環の物語』/徳間書店
イアン・ローレンス/『闇にひそむ海賊』/理論社
ローズマリ・サトクリフ/『ロビン・フッド物語』/原書房
ケビン・クロスリー=ホランド/『少年騎士アーサーの冒険I 予言の石』/角川文庫
小林篤子/『高齢者虐待』/中公新書
クラフト・エヴィング商會プレゼンツ/『』/中央公論新書

_ 暑いなか出掛けついでに池袋へ。リアル書店に行くといろいろ目について困っちゃうな。『呪われた首環の物語』は中野善夫さんも書いておられるけど、いっそ『首環物語』にしちゃえばよかったのに。原題は 'Power of Three' だ。

_闇にひそむ海賊』は、『呪われた航海』、『死を運ぶ航海』に続く3作目。原作読みかけでむにゃむにゃ。

_少年騎士アーサーの冒険I 予言の石』は、『ふたりのアーサー1 予言の石』の文庫化。映画「キング・アーサー」公開とあって、アーサー王関連本がたくさん並んでいた。このタイトルもそのための改題だろうが、良くないなあ。

_』は買ったが、並んでいた『』は買わなかった。それぞれ、猫、犬のアンソロジー(猫や犬が書いたわけではない)。『』の巻末を見ると”本書は単行本『猫』(一九五五年 中央公論社刊)を底本とし、新たにクラフト・エヴィング商會の創作・デザインを加えて再編集したもの”とある。

_ 買いそうで買わなかったもの
平出 隆 /『ウィリアム・ブレイクのバット』/幻戯書房
この人は全く読んだことがないのだが、時々目にする本は目を引く装丁で気になっている。いいお値段だったことと、私には全然興味のない野球のことらしいので今日の所は措いた。

_ 文庫に付けてくれたカバーが、暴君ハバネロ著『暴論』だった。

2004.0725(日)

購入本

_ エレナー・エスティス/『元気なモファットきょうだい 新版』/岩波少年文庫
エレナー・エスティス/『ジェーンはまんなかさん 新版』/岩波少年文庫
エレナー・エスティス/『すえっ子のルーファス 新版』/岩波少年文庫

ダイアナ・ウィン=ジョーンズ/『呪われた首環の物語』/徳間書店

_ 湿地の国にはそれぞれを「長」が治めるいくつかの塚山があって、ひとつの世界をなしていた。彼らは「言葉」をあやつり、「能」をもつものも少なからずいた。そこにはまた巨人もいれば、人間に忌み嫌われ水の中に住むドリグという変身する種族もいた。ある人間の少年が、たまたま出くわしたドリグの少年の美しい首環に惹かれ、見栄も手伝って、ドリグを殺して首環を奪ってしまう。ドリグの少年は死に際に3つの大きな力に依って首環に強い呪いを込めた。…DWJにしてはちょっと変わった、ケルト的色彩の濃い、古代の舞台だなあと思って読み進んでいくと、次第にDWJ独特の世界へと変容してゆく。比較的初期の作品と言うことで、はちゃめちゃ度は割合に低い。が、凄まじい性格の女性を登場させないことには気が済まないらしく、脇役ではあるが「アヒル声」の我が意を通さないでは済まない騒々しい女性が登場する。主軸としては主人公の取り柄のない少年ゲイア、塚山の長である「英雄」ゲストの長男の成長物語だ。

_ 「巨人」と言ってるのになぜ「人間とあまり背丈が違わない」のか?なぜ巨人の家が美しくなったり醜くなったり脈動するのか?等々、DWJお得意の目くらましのような記述がたくさんある。また彼女にしてはやや説教くさい感じに傾いている部分もあるが、どうにかそちらが勝ちすぎることなく、物語は収束する。

2004.0726(月)

購入本

_ ダフネ・デュ・モーリア/『レイチェル』/創元推理文庫
ジェイムズ・P・ホーガン/『揺籃の星 上』/創元SF文庫
ジェイムズ・P・ホーガン/『揺籃の星 下』/創元SF文庫
ジーン・ウルフ/『ケルベロス第五の首』/国書刊行会

_ 国書刊行会と言えば、突然↓のようなメイルが来た。いきなりなのでびっくりした。しかしいいお値段。

_  突然のメールで申し訳ありません。この度、弊社からジェイムス・G・フレイザー
の「金枝篇」第三版の完全訳が刊行されました。詳しくは下記URLをご参照下さい。
http://webshop.ncm.jp/cgi-bin/kokusho/shop.cgi?button=detail&page=4-336-04492-9

_ 中学の頃『風と共に去りぬ』読んで『ジェイン・エア』読んで『嵐が丘』読んで、もっとこういうのないか姉に訊いて『レベッカ』読んで、大好きだったんだ!

_ 『揺籃の星』は内田昌彦さん訳。

朝の豪雨も涙雨

_ 朝しきりにFMで「雲行きが怪しい」「ものすごい雨です!」と言っている。確かに不穏な雲が見る間にモクモクと成長して、雷も鳴っている…と、いきなりたたきつけるような雨。うーわー、あと1時間もしないで出勤時刻だよ〜。次男激しい雨音に「でっかい雨!…どのくらいでっかいんだろうね。1メートルとか」と、自分の言葉にニヤッとしていた。小一時間雷を伴って降り続き、ちょうど私が出る頃にはすっかり上がった。さぞかし通り道の公園は泥んこで、と思ったのもつかの間、木の下陰は全然濡れていないでふわふわの乾燥しきった土のままの所さえある。ほんのお湿りだったなあ。

_ 先日、このフカフカの土埃のなか、雀たちが気持ちよさそうに土浴びをしていた。すぐそばの水鳥が飼われている浅い池では、別の雀の一団が、鳩と一緒に水浴びをしていた。どちらもあまりにかわいいので何遍も振り返った。

_ そのそばには今年から中止となった区のジャブジャブ池が空のままむなしく横たわっている。たぶん区内でも広い方と思われる子どもたちのための夏の遊び場なのに、突然、老朽化だの、運営するボランティアがすくないだの、という理由をくっつけて今年から中止としたと言うのだ。ひどいのは「夏しか使わない施設に経費をかけるのはどうかという区民の意見もある」云々が言い訳のひとつになっていること。せっかく夏のために作った施設なのに、なんでこのくそ暑いのに使わせないで無駄に閉鎖してあるんだよ!!ホントに代替の計画をする気なら、決まるまで使わせりゃいいじゃん!そんなの事前にちゃんと募ればボランティアなんかいっぱい出てくるよ、絶対。区は頭悪すぎ。というかやる気ないのが見え見えだ。税金はどこに行ってるんだァ!

_ 「今の子どもはボール遊びひとつ知らない」と言いつつ一方で「公園はボール遊び禁止」、じゃあ、と校庭で遊ぼうとすればサッカーや野球のチームが占領している。すべてこの図式ではないか。いっそ池にたまるくらい雨が降って、ある日そこは水遊びするチビちゃんたちでいっぱいでした…なんて光景を思い浮かべた。

いざ緑陰へ

_ でもって明日から金曜まで恒例キャンプへ。今年は子どもたちは次男のみ。娘はバイト(なんでー)、長男はレポートと試験(そんな予定前からわかってるはずなのに、大丈夫って言うからとうちゃんが今週休みにしたんでしょ)でそれぞれ不参加。同じ3泊なら始めか終わりを土日にかけたかったのに、いちばん無駄な休みの取り方になってしまった。とうちゃんが今週月曜と土曜がどうしても予定が空けられなかったからだ。私は仕事の進行の方でちょっと泣きたいんだけど、私じゃなくて印刷屋が悪いんだもーん。

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最終更新
2004.07.27 01:09:59